「ロード・オブ・クエスト ドラゴンとユニコーンの剣」(11年・アメリカ) ボンクラ騎士が勇者になってまう(?)、下ネタ含みのファンタジー・アドベンチャー・コメディってか!
ファンタジー系の映画って好きだから、よく見るけど、劇場未公開のこのジャンルの作品で面白いと思えるものにはなかなかお目にかかれない。
本作も、メジャーなキャストやスタッフが揃ってるけど、アメリカ本国じゃコケたそうだし、タイム誌じゃ去年の最低映画トップ10のひとつに挙げられてるし、最低映画を選ぶ第32回ゴールデンラズベリー賞では、出演者の一人ジェームズ・フランコが最低助演男優賞にノミネートと、評判はすこぶる良くない。
それでも見てみようかなと思ったのは、オスカー女優ナタリー・ポートマンが、勇ましい女戦士に扮してるってのが気になったから。
それと、僕の好きなコメディ作品だってところ。
時代は、大ざっぱに中世。
ボンクラでひねくれ者のブサイク王子サディアスと、
その兄で勇敢なハンサムガイ、ファビアス王子。
その兄が、怪物退治を終え、
助けた囚われの姫君ベラドンナと共に城に帰ってきた。
ファビアスとベラドンナは結婚することになったが、式の当日、
姫を狙う邪悪な魔術師リザーや老魔女トリオが現れ、彼女を連れ去ってしまった。
ベラドンナ救出のため、ファビアスは、いやがる弟サディアスとともに、リザーの城に向かうが‥。
二つの月が重なる夜、
リザーが、ドラゴンを生み出すために処女を犯そうするけど、勇者達に邪魔されもくろみは失敗。
次に二つの月が重なる100年後を待っていろと捨てぜりふと共に消える、
いかにも、ファンタジー・アドベンチャー風のオープニングで、
これから始まる物語にそれなりに期待感が高まるんだけどね。
そして100年後、
小さい人ばかりのドワーフ国で、あわや絞首刑寸前の主人公サディアスとその召使いコートニー。
下ネタ・ギャグをかましながら、なんとか逃げることができるんだが、
ま、これでツカミはOKとばかり、タイトルクレジットに突入。
劇画風味の切り絵アニメのようなタイトルシーンは、なかなかオモシロイ。
で、いよいよメイン・ストーリーとあいなるが、
なんて言うか、ここからが、どうにもこうにも盛り上がりに欠けるんよね。
リザーが姫をさらう場面とか、ファビアスたちが五頭蛇のモンスターと戦うなど、
SFXを駆使した、派手なシーンもあるんだけど、それとコメディ・タッチの物語とのバランスかな、
それがしっくり噛み合っていないというか。
リザーと対決を迎えるクライマックスも、なんだかなぁ。
下ネタ・ギャグも、笑えるところもあれば、不発気味のところもあるし。
脚本が、少々ザツ過ぎるんとちがう?
その脚本を担当したのは、本作の主演でもあるダニー・マクブライド。
ジャック・ブラックを薄味にしたような風貌で、役柄にはマッチしているんだけど、
どうも主役をはるには、ちょい弱い感じがするのよ。
「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」「ファンボーイズ」など
コメディ畑で活躍している人だけど、脇で光るタイプみたいね。
脚本は、ベン・ベストって人との共作だけど、物語の構成力もいまいち。
ボンクラ王子が、なにゆえ一皮剥けて勇敢な戦士に変貌を遂げたのかも、よう判らんし、
そんな彼に、なにゆえ女戦士イザベラの心が傾いてしまうのかも、アイマイだし。
もっと、脚本を練って欲しいやんけと思ったわさ。
ところで、どうもマクブライドさん、
ストップ・モーション・アニメの巨匠レイ・ハリーハウゼンの
特撮映画「タイタンの戦い」や「アルゴ探検隊の冒険」が大好きみたい。
ファビアスの機械仕掛けの愛鳥サイモンは、「タイタン−」に登場したゼンマイ仕掛けの鳥まんまだし、
五頭蛇も、「アルゴ探検隊−」で主人公が戦う七首の竜ハイドラもどきだし。
3人の不気味な老魔女ってのも、「タイタンー」じゃ盲目の魔女をイメージしているのかも知れない。
CGとストップ・モーションの違いはあるけど、
なんだかハリーハウゼン愛みたいなものが感じられて、
そこんところは個人的に好感が持ててしまったわぁ。
僕も、ハリーハウゼン好きなんで。
お目当てのナタリー・ポートマンは、イザベルに扮し、五頭首を刀剣でなぎ倒したり、
派手なアクションを披露(スタントウーマンがやってる可能性ありありだけど)。
気丈な女戦士ぶりで、しなやかな魅力を放ってる。
なんか、こんな作品に出てしまうのが、もったいない感じ。
ちゃんとしたファンタジー・アドベンチャー映画に出て欲しいわ、ほんまに。
ファビアス王子に、「127時間」「猿の惑星 創世記」のジェームズ・フランコ。
本作の監督デビッド・ゴードン・グリーンの「スモーキング・ハイ」に出演した縁で出たのか、
弟思いの勇敢でカッコ良いけど、超オンチな戦士を、飄々と演じてる。
彼、笑いのセンスもあるみたいだし、最低助演男優賞にノミネートされなくてもええんと違う?
邪悪な魔術師リザー役は、男前のジャスティン・セロー。
俳優にして、「トロピック・サンダー−」「アイアンマン2」の脚本も担当した才人だそうだけど、
なんか邪悪っぽさ不足で、マクブライド同様、どうもキャラが際立たない。
まだ、3人の老魔女のほうが、不気味っぽくて映画のアクセントになってる。
ベラドンナ役、「(500)日のサマー 」のズーイ・デシャネルは、歌手としても活躍していて、
ミュージカルもどきに、フランコとデュエットで熱唱。
世間知らずでバージンの姫を、トボケ気味に可愛く演じてるけど、これまたなんか弾けてないなぁ。
デビッド・ゴードン・グリーン監督。
どうも自分に不向きなジャンルだったのか、登場キャラがいずれもパッとしないのよぉ。
ポートマンだけ、存在感あるけど。
演出力がヒドイってわけでもないんだけどね。やっぱ脚本の問題か。
ま、全くつまらない作品ってこともなく、ボーッと見てる分にはそこそこ楽しめるかな。
グリーン監督、今度、D・アルジェントの「サスペリア」のリメイク作を作るらしいけど、
僕の好きな映画だけに、グリーンにだけは手がけてほしくないなぁ。
監督念願の企画だったらしいけど、
彼の手に掛かると、最初から失敗作になるのが目に見えてるようでさぁ。
そう思いませんこと?
ジェネオン・ユニバーサル 2012年4月25日レンタルリリース

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