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「ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者」(18年・ロシア) 生々しい剣と肉体の豪快バトルにワックワクなロシアン・アクションやん!

ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者
劇場未公開のロアシの娯楽映画って、僕が見たものはたいがいが大味でストーリーもいまいちってのが多かったので、この「ラスト・ウォリアー-」も最初はあまり見る気がしなかったんだけど、他の作品と勘違いしたのか宅配のDISCASにレンタル予約を入れてしまっていて、届いたので仕方なく見たんだけど、これが実に豪快でパンチの利いたバトル・アクションだった。
間違ってレンタルして良かったやんと思ってしまいましたわさ。

時は11世紀のユーラシア大陸のどこか。
オレグ公に仕える戦士リュトボルの住まいを得体のしれない男たちが襲い、彼の妻と生まれたばかりの息子が誘拐されてしまった。
そして、妻子を返して欲しければオレグ公を殺せというメッセージが残されていた。
リュトボルは、密かに公の命を狙う者を探し出すのと妻子を救出するため、住まいを襲われた時に捕虜にした男クニーツァを案内役にして旅に出た。
味方をも欺くために、オレグ公の考えで国を裏切ったことにしたが、それゆえ味方からも追われる身となった。
クニーツァは、遊牧騎馬民族スキタイ族の人間で、傭兵として報酬目当てに様々な暗殺を請け負っていた。
リュトボルとクニーツァは、最初は互いに気を許さず用心していたが、旅を続け、様々な危機を乗り越える中で次第に心を通い合わせるようになった。
そして、スキタイ族の集落に辿り着き、リュトボルは妻子と再会を果たすが、族長は妻たちを誘拐した人物の名は明かそうとはせず、妻たちを引き渡すことも拒否した…。

オープニングは、
クニーツァがスキタイの仲間達と、
荒野の中にポツンとある酒場のようなところで暗殺を繰り広げるんだけど、
手持ちカメラで、ほとんどカットを変えず殺戮シーンを生々しく見せ、
一気に映像に惹きこまれてしまう。
クニーツァの動きも実にシャープで、凄腕暗殺者としての説得力たっぷり。
酒場の従業員を装うために、暗殺ターゲットが来る前に店で働いていた人間達を先に殺すんだが、
暗殺が無事終わった後、クニーツァが店の若者がまだ息があると知った時、
生きていると判ったら自分の仲間に殺されると思い、声を出すなと唇に指をあてるところなど、
暗殺者ながら、どこか心の優しさを滲ませる描写をチラリと差し挟むなど、ニクイやん。

他のバトル・アクション・シーンもそうだけど、
撮り方が実に柔軟で、手持ちカメラによるワンカットで見せる時もあれば、
上から見下ろすような俯角と真横からのアングルで撮ったり、
人物の動きやバトルの様子かがはっきりと判るような撮り方がされていて、実にリアル。
相手の腕を刀剣で切り落とすところも、カットを変えていないような巧妙な編集がなされていて、
ほんまに切り落としたと錯覚させられちゃんちゃこ。
最近の映画に登場するバトルアクションは、細かいカットを繋いで何が何だか分からないまま、
相手を倒しちゃってるてのを目にすることが多いけど、それだけに妙に新鮮と言うか、
ガツンッと手ごたえみたいなもんを感じさせてくれたな。
香港映画みたいにワイヤー・アクションもほとんどないし。
CGもラストでチラリと使うだけというのも好感が持てるわさ。

また、ロシアならではの広大で荒々しい大自然の風景が、
物語にどこか土着的かつ神話的なムードを漂わせていて、これまたナイス。
オレグ公やスキタイの族長が、顔に黄金を塗りたくっていたり、
白塗りの野蛮で奇妙な部族が現れたりするのも、映画の味付けとして面白い。

オレグ公に忠誠を尽くすリュトボルが、
最後に、スキタイ族に暗殺を依頼した人物の正体を突き止め、
そいつをオレグ公の前に差し出すんだけど、その後の展開は、
日本の戦国時代さながら、肉親であろうが裏切りあうというか、なんとも血なまぐさい。
リュトボルがスキタイ族と交わした約束もオレグ公によって…。

監督は、脚本も書いてるラスタム・モサフィールって人だが、
骨太な演出で、ダレルことなくタイトかつシャープに物語を語れるみたい。
キャラ描写も抜かりないし、ちょい注目しておいてもいい監督かも~ん。
そのうちアメリカに招かれて映画を撮ってたりして。

男気あふれるマッチョなリュトボルに扮したアレクシー・ファッジェーフは、
逞しい体つきでいかにも力強い武骨な戦士そのものって感じで、役にぴったり。
ラストに一人で死を覚悟して刀剣を振り上げ
馬に乗って向かってくる相手に立ち向かう姿が、ヒーロー然としていて拍手したくなるやん。

スキタイ族の暗殺者クニーツァに扮した細身で甘いマスクのアレクサンドル・クズネツォフも、
しなやかで見事な立ち回りを見せ、実にカッコイイ。
DVDジャケットの表で、一番前に短刀を構えた姿で出ているのも当然って感じ。
ターゲットを確実に仕留める冷淡さと、時折見せる優しさがミックスされて、
主人公を食ってしまうほどの存在感を見せるな。
スキタイ族の次の族長を決める戦いで、ちょっと油断したばっかりに、あんな最期を…。

出番は少ないが、
リュトボルの妻タチアナを演じたIzmaylova Vasilisa(イズマロバ・ヴァイシリサと読むのかな)は、
気丈な美熟女を控えめに演じていて、なかなか魅力的。

オレグ公に、
アレクセイ・ゲルマンの「フルスタリョフ、車を!」「神々のたそがれ」に出ていたユーリー・ツリーロ。
一癖ある王を、憎々しげに演じてる。

とにかく、久しぶりに面白いロシアの娯楽アクション映画を観れたな~と思える、
個人的には満々満足やんかいさ~な作品であ~りました。


アメイジングDC 2018年6月2日レンタル&セル・リリース



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「タッドの大冒険~失われたミダス王の秘宝~」(17年・スペイン) インディ・ジョーンズもどきの痛快冒険CGアニメの痛快作やん!

タッドの大冒険~失われたミダス王の秘宝~
僕のブログで以前紹介した、スペイン産のアニメ「キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!」がなかなか面白かったので、そのアニメを監督したエンリケ・ガトの新作が、この「タッドの大冒険~失われたミダス王の秘密~」だってので早速レンタルして見たんだ。

なんでも、このインディ・ジョーンズ風味の「タッドの冒険-」は三部作の2作目だそうで、13年に作られた1作目がスペインのアカデミー賞と言われるゴヤ最優秀長編アニメーション賞、新人監督賞を受賞し、劇場でも大ヒットを飛ばしたらしいのね。2作目にあたる本作も、ゴヤ賞長編アニメーション賞をゲットしている。
なのに日本じゃ劇場公開されず、ソフトスルー。
ま、主人公のタッドが鼻デカのイモ兄ちゃんってのが、子供に受けないと思われて劇場公開が見送られたのかも知れないな。

で、これがアクションとギャグたっぷり、恋愛要素も加味されて、
実に楽しさ溢れる痛快この上ないアドベンチャー・CGアニメだった。

建築現場で働くタッドは、かって冒険を共にした美人考古学者サラが
発見したミダス王の首飾りに関する古文書の研究発表をラスベガスの博覧会で行うことになり、
彼女から招待されて愛犬のジェフと共に喜び勇んで出かけていくことになった。
タッドは、そこで久しぶり会うサラに愛を告白するつもりだった。
会場では、サラの助手ティファニーが出迎えてくれ、
彼女の案内でサラと再会したタッドは、告白のチャンスをうかがった。
だが突然、謎の軍団が現れ、
ミダス王の首飾りのことが記された古文書と共にサラが誘拐されてしまった。
謎の軍団のボスは億万長者のラッカム。
彼は、触れるものを黄金に変えると言われるミダス王の3つの首飾りを手に入れ、
世界征服を企んでいたのだ。
タッドは、愛するサラを救出するため、ティファニー、犬のジェフ、サラのペットの鳥ベルゾーニ、
そしてタッドの前に突然現れたミイラと共にラッカム達の後を追ったが…。

サラが海底に潜ってミダス王の古文書を発見するオープニングから、
ラストのタッド達とラッカムのバトルまで、
息つく暇なく豪快なスラプスティック・アクションとネアカなギャグがさく裂しまくりチヨコ!
展開もスピーディーだし、一つ一つのアクションも工夫がされていて、
アニメならではの突拍子もない動きと映像展開にワックワクさせられちゃうんだ。
また、タッドの前に突然現れたミイラのキャラがめっちゃ面白くて、
ラスベガスではエルビス・プレスリーもどきになったり、スペインじゃフラメンコダンサーになったり、
お茶目でオバカで調子っぱずれで、主人公のタッドを食ってしまうほどの強烈な存在感を放っていて、
ギャグもほぼミイラが一手に引き受けてるって感じ。
ミイラ・キャラのおかげで、物語がビンビンに弾けまくってるやん。
なんでも、1作目に登場したキャラのようで、その時タッドを助けたことで仲間から追放されたらしい。
それで行場がなくなり、タッドを頼って彼の前に姿を現したってことみたい。

アニメらしく、タッドの飼い犬ジェフや、自分の気持ちをいちいちボードに書くサラの鳥ベルゾーニ、
それにミダス王の首飾りの一つが眠っている地下室にいたネズミなど動物キャラも登場するが、
いずれも可愛いと言うより、どこかトボケた風情で、人懐っこくて、なんか愛嬌がある。

冒険の合間に、タッドとサラ、そしてティファニーの恋の三角関係が生じたり、
フラメンコダンサーになったミイラにタクシー運転手のオヤジがよろめいたり、
物語に膨らみを持たせ、単調にならず、そこそこ奥行きを感じさせるのもいいなぁ。
タクシー運ちゃんのオヤジがミイラに御馳走したパエリアの鉄板の器が、
ラストで効果的に使われるってのもスペインらしくってムフフとさせられる。

ヨーロッパのアニメったら、アート系のものをイメージしがちだけど、
エンタメに徹した娯楽作もちゃんとあるんだし、
それもアニメに馴染みがないと思えるスペインで、
こういう痛快作が生まれるってのが、なんとなくウレシクなってくる。

日本語吹替えバージョンも、
キャラにマッチした声優さんが当てているのもナイス。

1作目が見たくなってくるけど、本作がレンタル店でヒットするとは思えないし、
ま、いつか見れることを願って気長に待とうかなぁ。
それとタッド・ジョーンズ・シーリズ三作目もね。

とにかくアニメ監督エンリケ・ガトさん。
個人的に注目しておきたい娯楽派の監督さんであ~ります。


パラマウントジャパン 2018年6月6日レンタル&セル・リリース



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「デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-」(17年・アメリカ) 愛する妻を救うためスキンヘッド男が監獄で殺人指令を実行する!?異色サスペンスやん

デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-
以前、このブログで紹介した異色ウエスタン「トマホーク ガンマンvs食人族」の監督S・クレイグ・ザラーの新作がこの「デンジャラス・プリズン-」。「トマホーク-」同様、この作品も日本劇場未公開でソフト・スルーとなっちっち。
「トマホーク-」は、風変わりだけど妙に面白かったので、ちょっと気になりレンタルしたんだ。僕の愛読誌「映画秘宝」に載っていた紹介記事で興味をひかれたこともあったし。

主演は、「ウェディング・クラッシャーズ」「ドッジボール」「人生、サイコー!」など、僕にはコメディ俳優のイメージが強い長身のヴィンス・ボーン。ジャケットを見ると、めっちゃシリアスな面構えで同スキンヘッドだし姓同名の別人と違うのん?と思うほど従来のイメージとかけ離れているやん。イメージチェンジをはかったんかしらね。

で、この作品、主人公が愛する妊娠中の妻を救うために、自ら悲惨な状況の中へと突き進んでゆく姿がなんだか胸にグッときてしまう監督らしい異色サスペンスだったやん。「トマホーク-」同様に、エグい描写もしっかりあったしね。

元ボクサーのブラッドリーは、自動車修理工場をクビになり、
生活のために昔の仲間ギルを頼って麻薬の運び屋となった。
一年半後、愛する妻ローレンが妊娠し、待望の子供が生まれると喜ぶブラッドリーだったが、
ギルの新しい取引相手エリエイザーの手下達と仕事をしたとき、
ブラッドリーの忠告も聞かず、勝手な行動に出て警察と銃撃戦を繰り広げ、
彼は巻き添えを食って逮捕され、刑期7年が言い渡された。
監獄にいるとき、初老の男が面会に訪れ、彼に妻のローレンが拘束された姿を携帯で見せた。
そして、彼女を助けたければ、極悪人が収容されている別の監獄に移り、
ある人物を殺してほしいと言われた。
仕方なく、暴力沙汰を起こし、なんとか別の監獄に移送されることになったが…。

ちょい暴力的だが、あまり感情を顔に表さず仏頂面の主人公ブラッドリーの行動を、
監督は突き放すのでもなく寄り添うのでもなく、少し距離を見つめるように描いていくな。
ブラッドリーが目的の監獄に移るまでが淡々と描かれ、
もうちょっと端折って展開してもええんやんと思わせところもあったけど、
ラストのエグい殺戮描写で見ている側に衝撃を与えるために、わざとそうしたと思ってしまう。
ま、登場人物たちをあまり説明過多にならず、それでいて的確に描写する手腕はナイスだし、
どこかクールなのに不思議に端正な映像もグッドよ。

ブラッドリーが移されることになる別の監獄は、最初の監獄と違って、
古色蒼然なカビ臭い建物で幽霊が出てもおかしくないところ。
ここで、彼は殺害を依頼された男に近づくため、獄内で隔離された、
一際薄暗い、中世の牢屋のようなところに移るんだけど、
便器が壊れ、ひどい悪臭が充満している部屋で、見ているだけどオゲッとなりそう。
おまけに、電流が流れるベルトを腰に装着され、刑務官がボタンを押すたびに、
電流が体中に流れて、もんどり打って倒れさせられる。
この現実離れしたような監獄ながら、なぜか妙にリアリティを感じさせるな。
そして、目的の男がいる部屋に入ることができるんだが、そこには…。

そして、ホラー映画そこのけの無茶苦茶な殺戮描写が披露される。
一瞬、目をそむけたくなるくらいよ、ほんまに。
でも、主人公の溜まり溜まった怒りの炎が爆発し、暴走しまくったんだ考えれば、
ま、納得できるカモ~ン。

主人公を演じるヴィンス・ヴォーンは、スキンヘッドの後ろに十字架の入れ墨を入れ、
無口ながら運び屋の仕事をプロとして実直にこなす男を力演してる。
すべてが終わり、自分の運命を受け入れる表情が、実に渋いんよ。惚れてもたわ!
元ボクサーって役柄にしては、囚人達のバトル・アクションじゃ動きが鈍い気もするけど、
好意的に見れば、リアリズム重視で描けば、こんな感じなのかなとも思ってしまう。
監督が、アクション場面は、あまりカットを割らずに見せようとしているせいもあるけど。

妻のローレンに扮したのは、爬虫類顔のジェニファー・カーペンター。
美人じゃなけど、やさぐれ感を漂わせていて、キャラにはマッチしているかな。
別の監獄の冷酷な所長にTVドラマ「マイアミ・バイス」でお馴染みのドン・ジョンソン。
すっかりロマンスグレーの初老親父になったけど、未だに男臭さを匂わせ貫録もあるなぁ。

そして、ドイツ俳優、ウド・キアが、
主人公に監獄内の殺人を依頼する謎の老人としてちょろっと顔を出している。
彼が画面に出ると、たちまちビザールな匂いが映像に立ち込めちゃうな。
「処女の生血」「ブレイド」など、人間離れした役柄の印象が僕には強いからかもしれないけど。
しかし、平気な顔してブラッドリーに、
「依頼を実行できなければ、妻の体内の胎児の手足を切ってしまうぞ」
なんて言葉はキアが言うだけにゾクゾクッとしてしまうわ。

ま、普通の監獄サスペンス・アクションに収まらない、
「トマホーク-」同様、一味違う映画でありやんした。


NBCユニバーサル・エンターテインメントジャパン 2018年6月6日レンタル&セル・リリース



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「ボックストロール」(14年・アメリカ) ファンタスティックでキュートなストップモーション・アニメの快作やん! 

ボックストロール
日本を舞台にしたストップモーション・アニメ「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」が話題を呼んだスタジオライカ製作のファンタジー・アニメがこの「ボックストロール」。
今年の春に東京都写真美術館ホールで「スタジオライカ特別上映」として「KUBO-」等と合わせて特別上映されたらしいけど、劇場公開とまでは至らずソフトスルーとなっちっち。
なんでも、第87回アカデミー賞の長編アニメ映画賞やゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされたそうだけど、あちらの劇場で大ヒットしたって話も聞かないし、登場キャラやモンスターが日本人にはちょい取っ付きにくいと思われたのか劇場公開が見送られたみたい。
確かに、ジャケットに載ってる主人公達やモンスターを見ると、いまいち可愛げないし、あんまり魅力的には見えないな。
でも僕はスタジオライカ制作の「ココラインとボタンの魔女」(09)が気に入っていたし、レンタルで観ることにしたんだ。

で、これがキャラ達の見事なまでのナチュラルな動きと、背景となる街のファンタスティックな雰囲気にビンビンに魅入られ、個人的には大ヒットのストップモーション・アニメやったやん。
ジャケット画像と違って、主人公達も人懐っこくて好感が持てるし、モンスター達も愛嬌あるんよね。

チーズブリッジの街では、発明家トラブショーの幼い息子が失踪し、
街の地下に住むモンスター、トロールボックスが彼を誘拐して食べたんだという噂が流れ、
それ以来、トロールボックスに襲われないよう、夜は外出禁止令がひかれていた。
街の権力者ラインド卿は、駆除業者スナッチャーにトロールボックス狩りを依頼した。
そして数年後、トロールボックスに食われたと思われていたトラブショーの息子は、
実は彼らに大事に育てられいて、エッグスと名付けられてすくすくと成長していた。
夜になるとエッグスやトロールボックス達は、街に出て屑鉄や捨てられた金属加工品などを漁り、
地下に持ち帰っては、それで様々なマシンや道具を作り暮らしていた。
ある夜、街に出たエッグスは、ラインド卿の娘ウィニーに見つかった。
その後、エッグスを育てたトロールボックスのフィッシュがスナッチャー達に掴まってしまい、
エッグスはフィッシュ救出のために、初めて明るい昼間に街に出たが…。

とにかく、登場キャラ達のスムーズで滑らかな動きに魅了させられてしまう。
感情表現も豊かだし、それぞれがキャラに応じた動作で、個性がはっきりと伝わってくる。
トロールボックス達も、フィッシュを始めそれぞれの個性が際立つように動き、
顔立ちもそれぞれ変化を持たせていて、薄っぺらさの欠片もない。
ウィニーのスカートが走るたびにユラユラと揺れ動くなど、
びっくりするほど細かいところまで丁寧に描写されていて、
時間をたっぷりかけて根気強く製作されたんやなぁと感心しまりチコヨよ。
背景となるチーズブリッジの街の家々や舗道、スナッチャーのアジト、
それにボックストロール達が暮らすの地下世界など、
きめ細か過ぎるやんと思うほどきめ細かく立体的に作られてるのもベリーグッド。
ファンタジーの世界にすんなりと入り込めるのよ。

トロールボックスが幼い子供を食い殺したと噂を流したのは、実はスナッチャーで、
彼はラインド卿に取り入り彼を同じように街の権力者になるため、嘘をついたのだった。
そして、トロールボックス狩りで集めた彼らをある目的のためにアジトの地下で働かせ、
あるものを作らていた。
街の権力者になると、権力者だけのチーズの試食会に出席することができ、
スナッチャーは、それに出ることも夢見ていた。

スナッチャーはチーズが好きなのに食べると顔の様々なパーツがイビツに膨れ上がり、
異様な顔になるんだけど、そのたびに手下達が彼にヒルをたらふく浴びせて血を吸い取って
もとの顔に戻すなど、ちょいグロテスクな描写があったり、
ラインド卿が、自分の娘ウィニーより美味いチーズの方にうつつを抜かしていたり、
ちょいシニカルというか、ダークな要素がちょこちょこあり、物語に微妙な薄暗さを滲ませているな。
スナッチャーが、トロールボックスが人を食うという話を
念押しで街の人々に信じ込ませるためにマダム・フルー・フルーの名で女装して、
野外芝居を演じたりするのも、この作品を見るお子チャマには理解しがたいやんって気もするしな。

どうも、どこかヒネクレているというか、単純に明るく健全なアニメを作ろうとはしなかったみたい。
ま、「ココライン-」もどこかダークで、ヒネクレたところがあったしな。
ライカスタジオの製作ポリシーなんかしら。

それでも、トロールボックスに育てられたエッグスが、自分が人間だと自覚しても、
一緒に暮らしたトロールボックス達を見捨てることはせず、
彼らを助けようと勇気をもって冒険を繰り広げるってところはアドベンチャー物の王道チックだし、
ウィニーが、か弱い少女じゃなく気の強い勝ち気なところも現代風だし、
ライカスタジオならではのポリシーをちょこちょこ残しながらも、
微妙なサジ加減でこの作品を作ったみたい。

英語版の声には、
ベン・キングスレー、エル・ファニング、ジャレッド・ハリス、トニ・コレット、
それにサイモン・ペグとニック・フロストと豪華な俳優が並んでいるけど、
字幕版で見ると、有名俳優が声を担当していてもその有難みをちっとも感じないなぁ。

とにかく映像の隅々まで気が配られた作品だけに、
廉価版DVDが出たら、じっくり見なおしてみようと思った作品であ~りました。


ギャガ 2018年6月2日レンタル&セル・リリース



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「マッド・プロフェッサー 悪の境界線」(15年・スペイン) 殺されたがる教授と、彼の希望を叶えようとする教え子達のスパニッシュ・サスペンスなんだけどねぇ!

マッド・プロフェッサー 悪の境界線
スペイン映画と言ったら、アレックス・デ・ラ・イグレシアス、ペドロ・アルモドバル、ジャウマ・バラゲロ、ハヴィエル・フェセルなど僕のお気に入りの個性の強い監督が結構いて、彼らの作品は欠かさず見るようにしている。
彼らの作品を見てスペイン映画の面白さに目覚めさせられたようなもんで、ソフトリリースされるスペイン映画があれば、ジャンルを問わず結構追いかけて見ている。

ま、スペイン映画だから面白くって当たり前ってわけでもなく、当たり外れもあり、そうそう面白い映画を撮るスペイン監督に出くわすことはあまりない。
ひょっとしたら、面白い映画を撮るスペイン監督がいても日本で紹介されていないだけかも知れないけど。

この「マッド・プロフェッサー 悪の境界線」も、そんなスペイン映画の1本で、
WOWWOWで放映されたのみで劇場未公開作品。
ジャケットにインパクトがあり、期待を胸に見てみたんよね。

父がギャンブルで作った多額の借金を抱え、返済に四苦八苦している息子の学生ガラルダ。
なんとか卒業後の就職口は見つかったが、単位不足で卒業が危ぶまれ、
心理学教授エスピノーサに評価点を上げて卒業できるようにと頼み込んだ。
すると、教授から成績を改ざんする代わりに自分を殺してくれと頼まれる。
教授は、自分の過失から事故で愛妻の妻を四肢麻痺の重傷を負わせてしまい、
治療のための莫大な費用を捻出するため、自責の念もあって、
自分が死んで多額の保険金を手に入れ、それで妻の体を元通りにしたいと考えたのだ。
そんな無茶苦茶な取り引きはできないと、ガラルダは最初は断るが、
自分を殺してくれたら、多額の報酬も払うと言われ、それで借金がチャラになるんならと、
学生仲間も巻き込んで教授殺害を実行に移そうとするが…。

最初に、エスピノーサ教授の大学の教室の授業で、
「善悪の境界線は心の中にある。心の声に従いなさい」と彼が学生たちに語り、
物語は、善悪の境界線で右往左往する学生たちの姿が描かれていくこととなる。

監督は、脚本も兼ねているゴンサロ・ベンダラ。
導入部分は悪くないんだけど、学生たちが教授殺害を始めるあたりから、
どうにもこうにもメリハリに乏しいと言うか、平板に展開し、ちっともスリリングじゃないんよね。
演出のキレがいまいちなんよ。
ガラルダが薬を飲ませて殺害したと思った教授の部屋に忍び込んだとき、
彼の恋人ヌリアが教授に部屋に訪れる場面も、編集の手際がいまいちなのか、
ちっともハラハラさせないしなぁ。
結局は、殺害も失敗続きだし、まさかこんなところでって感じで、
教授が死の瀬戸際まで行ってしまうんだけど、それもなんかご都合主義っぽいしなぁ。
どうも、ベンダラさん、演出センスはどうもなぁって感じ。
いっそ殺しそこない続きをコメディ仕立てにして見せた方が、
よっぽど面白くなるんではとも思うけど、監督にコメディセンスはなさそうだしなぁ。

ヌリアは、姉が自殺したことから、その原因を探ろうと心理学を専攻したんだけど、
それも結局、専攻したってだけで原因が究明できたわけでもないし、
物語の本筋にに絡んでくるわけでもない。

「自殺の決定権は個人にあるべき。人生をどう終わらせるかのね」
「人生の非情さを脳は受け止めきれない」
とか、ちょい心理学的というか哲学的っぽいセリフがちょこちょこ出てくるが、
これまた、どうも上滑り気味。

なんとか作品を最後まで観れたのは、
死を望む教授に扮したミゲル・アンヘル・ソラの渋さ漂う懐の深い演技のおかげかな。
自分の過ちを深く悔い、愛する妻のために死のうとして
自分自身ではそれが出来ない心の弱さを、巧みに演じて見せる。
スペインじゃベテラン俳優なんだろうと思うけど、物語の核となる人物だけに、
それをしっかり意識した演技なんよね。
あの最後の姿、ニクイやないのぉ。
それに、彼に殺害を依頼されるガラルダ役、北村一輝似のマキシ・イグレシアスも、
ソラに負けず劣らず、教授の依頼を戸惑いながらも実行に移そうとする青年を、
柔軟に演じ、二人の関係がどうなっていくのかに興味を持たせる。

ちょこっと出てくるヌリア役アウラ・ガリードも、なかなか魅力的だし、
ガラルダの学生仲間達も、それぞれのキャラを過不足なく演じている。

まあ、そこそこ良い役者が揃っているのに、
ベンダラ監督の演出力の弱さで、
ちょっと残念な仕上がりになっちっちって作品であ~りました。

他に、面白い映画を撮るスペインの監督、おりまへんけぇ!


トランスワールドアソシエイツ 2018年 5月2日レンタル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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