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「グッバイ・クリストファー・ロビン」(17年・イギリス) 「くまのプーさん」のせいで人生が明るくなったり暗くなったりするクリストファーってか?

グッバイ・クリストファー・ロビン
今年9月に、クマのプーさんと大人になったクリストファー・ロビンが主人公のディズニー映画「プーと大人になった僕」が公開されたが、この映画に便乗しれソフトリリースされたってわけでもないと思うけど、「くまのプーさん」の作者A・A・ミルンと彼の息子クリストファー・ロビン・ミルンの関係を描いたのが、この「グッバイ・クリストファー・ロビン」。

A・A・ミルンが、いかにして児童小説「くまのプーさん」を書くことになったかの作品誕生秘話とも言える作品だけど、父と息子の心がすれ違っていく様をクラシカルな映像の中に穏やかなタッチで描いていて、ちょっぴり胸にグッとくる、なかなか味わい深い作品だったやん。

第一次世界大戦から帰還したミルンは、
辛い戦争による心的外傷後ストレスに悩んでいた。
そんななか、妻のダフネが妊娠し、男の赤ちゃんクリストファー・ロビンが生まれた。
ミルンは、文筆業に復帰するため、反戦を訴える執筆に取りかかったが、
なかなか思うように書けず、思い切って気分転換しようと家族と共に田舎町に引っ越した。
クリストファーの面倒を見てもらうナニーとして独身のオリーヴも一緒だった。
派手好きのダフネは、引っ越しても夫がちっともペンを走らせないことにイラつき、
ロンドンに帰ってしまった。
オリーヴも病気の母の看病のため実家に帰ることになり、
ミルンとクリストファーの二人だけで暮らすことになった。
親子ながら、最初はなかなか打ち解けあえずにいたが、
二人で森に出かけて過ごすうち、心が通い合うようになった。
ある日、クリストファーがミルンに「僕のために本を書いてよ」と言った。
ミルンは、クリストファーがいつも手に持っているヌイグルミのクマを見てアイデアを思いつき、
息子のために物語を書き始めた…。

ミルンが、自分の詩に、
友人で挿画画家のアーネストにヌイグルミのクマとクリストファーの絵を描いてもらい、
ロンドンのダフネに送ったら、彼女がそれを雑誌ヴァニティフェアの編集者に見せ、
気に入られて掲載され、人気が出た。
そして、クリストファーが登場する物語「クマのプーさん」の児童小説が出版され、
彼も人気者になっていくが…。

物語を生み出したミルンより息子のクリストファーにばかり周囲が注目することに、
ちょっとジェラシーを覚える少々気弱な父や、
息子の気持ちも考えずに様々なマスコミに彼を引っ張り出そうとする母、
そして、それに振り回されるクリストファーを心配するオリーヴ。
それぞれの心情を、優しく穏やかな視線で軽やかに綴られていくな。

クリストファーが親元を離れて男子学校に入りイジメにあい続けたり、
オリーヴに愛する男性が出来てダフネに嫌味を言われるなど、
辛辣に描けそうな場面も、あまりそうにはならず、さらりと描写される。
実在の人物だから遠慮があったのかどうか分からないけど、
ちょっぴりほろ苦さを漂わせるだけに留めている。

監督は「黄金のアデーレ 名画の帰還」(15)「マリリン 7日間の恋」(11)のサイモン・カーティス。
ドラマ的に少々深みに欠けるきらいはあるけど、
父と息子の決別と和解のストーリを軸にして軽やかに物語を綴り、
ラストで、じんわりとハートフルな気分にさせちゃってくれるところはニクイやんかいさぁ。
木漏れ日が降り注ぐ森や清流が流れる小川など、美しい自然をとらえた映像が何とも美しい。
衣装や美術なども、レトロムード満点で実に丁寧に作り込まれている。

ミルン役は、
「スター・ウォーズ フォースの覚醒&最後のジェダイ」で、
ハックス将軍を演じたドーナル・グリーソン。
知的だが、ちょい神経質っぽい風情がキャラにマッチしていて、
心的外傷で悩んだり、息子への接し方に戸惑ったり、
ちょっと不器用な父親像を、力まず巧みに演じてる。

ダフネ役は、「スーサイド・スクワッド」でハーレイ・クインが印象的だったマーゴット・ロビー。
派手好きで勝ち気、ミルンを尻に敷いているような妻を、
ちょいイヤミな感じを滲ませ、それなりに演じてる。しかし彼女の顔立ちって、なんかケバイなぁ。

ロビーよりオリーヴを演じたケリー・マクドナルドの方が印象的だ。
気立てが良くて、おとなしく、控えめだが愛情にあふれる女性を見事に演じてる。
彼女が、成人したクリストファーと橋から小枝を川に流すシーンは、心がホッコリとしてしまう。

クリストファーの子供時代を演じたウィル・ティルストン。
劇映画初出演で、出演時は8歳だったそうだけど、
物語のカナメとなる役柄を表情豊かに好演。
あまり演技してますって感じはなく、自然体でノビノビと演じているって気がしたな。
成人になったクリストファー役は、アレックス・ロウザー。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」では、
主人公役ベネディクト・カンバーハッチの少年時代を演じていた俳優だ。
「くまのプーさん」に登場したおかげでイジメにあい続け、
それがもとで父と決別して軍隊に入るが、戦地で仲間が「くまのプーさん」の歌を口ずさむのを聞き、
父の生み出したキャラクターが人の心を慰め励ましているんだと知ったと父に話し
和解するところは、じんわりと胸が温まってくる。
ちょっとクセのある顔立ちで、ひ弱なイメージだけど、性格俳優として伸びるカモ~ン。

この映画を観終わって、なんだかクリストファー・ロビンのことが気になってしまったやん。
映画によると、彼はその後「くまのプーさん」の印税を一切受け取ろうとせず、
ロンドンで小さな書店を始めたらしい。
デェズニーの「プーと大人になった僕」は、全くのフィクションだけど、
クリストファー・ロビンをどんなふうに描いているか、ちょっと見てみたくなったやんかいさぁ。
DVDレンタルされたら借りてみようかなぁ。


20世紀フォックス・ホームエンターテイメントジャパン 2018年10月3日レンタルリリース



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「ミステリー・ロード/欲望の街」(13年・オーストラリア) オーストラリア原住民アポリジニ出身の刑事が少女殺人事件に挑むクライム・ムービーでおます!

ミステリー・ロード/欲望の街
オーストラリア映画批評家協会賞6部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞)を受賞したらしいと知り、ちょっと興味をひかれて見たのが、この「ミステリー・ロード/欲望の街」。

主人公が原住民アポリジニの一匹狼刑事ってのが、いかにもオーストラリアらしいて気がするし、だだっ広いオーストラリアの荒野の小さな街が舞台ってのも意外に新鮮に目に映り、クライム系の映画が好きなら見て損はないんと違うって感じの作品だった。
ジャケットのうたい文句“全世界絶賛”というのは、ちょっと大袈裟やけどね。
この映像ソフトはレンタルのみで、なぜかセル(販売)されていないのね。主役に知名度がないせいでもないと思うんだけど。
ま、ビジネス的にいろいろあるんだろうね。

シドニーの警察署から地元の小さな舞い戻ってきた原住民アポリジニ出身の刑事ジェイ。
ある早朝、街の近くの道路脇でアポリジニ少女ジュリーの死体が発見され、
ジェイは捜査を担当することになった。
ジュリーの母親や彼女の友人ワーニに聞き込みを始めるが、
彼女たちの口は堅く、捜査はなかなか進まなかった。
偶然、路上にいた少年からジュリーが落としたらしいスマホを手に入れることができ、
その中のスナップ画像にジェイの娘クリスタルが映っていた。
彼女に会うため、別れた妻メアリーの元を訪れるが、
メアリーもクリスタルも彼には冷たかった。
やがて、事件に麻薬が絡んでいることが徐々に判明し、
署内の警官も事件に関わっていることにジェイは気付き始めた。
刑事ジョノがどうも怪しいとにらんだジェイが、
彼の後を付けるとジョノは前科者の男と落ち合っていた。
ジェイは、車のナンバーから前科者の男の住居を調べ、男の家に赴くが…。

主人公ジェイの目を通して物語が語られるだけに、彼がほとんど出ずっぱりで、
彼が目にしたり聞いたことだけが、見る側(観客)に提示され、あまり詳しいことは語られず、
セリフの端々から汲み取っていくしかないんだけど、あんまり苦にはならないな。
オーストラリアのだだっ広い明るく乾いた荒野の風景が、犯罪にはあまり似つかわしく思えないのに、
どこか暗く濁った影が漂っているようなニュアンスがじんわりと伝わってくる。
少しずつ事件の背景が明らかになっていくところも、
あえてメリハリを利かせた派手な演出ではなく、実に淡々と物語を進めていくところは、
アメリカなどの犯罪映画を見慣れた目には少々まどろっこしく感じるかもしれない。
でも切り取られる映像が実にシャープで、ついつい見入ってしまえるのよ。
そして、最後にライフルによる銃撃戦があるんだが、
ライフルだけに遠くから引きがねを引くと数秒後に相手に当たったかどうかが分かるいうのが、
妙にリアルでちょっとドキドキさせる。

監督は、脚本・撮影・音楽・編集を一人でこなしたアルヴィン・センって人で、
詳細は不明だけど、ネット検索で彼の画像を見たら、どうもアポリジニの人みたい。
セリフや物語の背景、それに登場人物の説明を最小限におさえ、
多少不明瞭な部分も、それで良しとして、
映像重視で、それによって物語を展開しようとしたみたい。
いちおう事件が一段落し、ジェイが夕暮れのハイウェイを車で走る途中、
別れた妻と娘を見かけ、車から降りて二人の前に立ち尽くすラストが妙にグッとくるやん。

主人公ジェイ役は、
ガイ・ピアーズ主演のテレビドラマ「不良探偵ジャック・アイリッシュ」シリーズや
ホラー「キリング・クラウド」に出ていたアーロン・ペダーセン。
彼もアポリジニの人みたいだけど、タフで男臭くて寡黙で、
それにどこか孤独の影を宿していて、主人公にナイスマッチ。

共演は、敵か味方かが最後まで分からないジョノ刑事に「マトリックス」シリーズや
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られるベテランのヒューゴ・ウィーヴィング、
牧場主の息子ピートにテレビ「トゥルーブラッド」のライアン・クワンティン、
それに、僕の好きな映画「人生は上々だ!」(94)の
ラッセル・クロウの父親役が印象深いジャック・トンプソンがワンシーン登場。

ほんまに主人公以外のキャストがオーストラリアのベテランや名優が並び、実に豪華やん。
監督の人徳のせいなんかしらね。
ジェイの別れた妻メアリー役タスマ・ウォルトンも、化粧気を落とし酒に溺れるやさぐれた女を好演。
彼女も、オーストラリアじゃ、そこそこ有名な女優さんみたい。

なんでも、この「ミステリー・ロード」は、オーストラリアでは人気が高いらしく、
続編「ミステリーロード2/悪徳の街」(16)が作られ、続いてテレビミニシリーズも製作されたとか。
「ミステリー・ロード2-」も、本作の後で見たけど(こちらもレンタルのみでセルなし)、
ジェイが長髪なって登場し、行方不明のアジア女性を捜査する中で、
悪事に染まりかけた若い警官に正義感を目覚めさせ、彼と共に悪に立ち向かう姿を、
本作同様のタッチで淡々と描いた作品だった。

テレビミニシリーズが日本でリリースされるかどうかわからないけど、
もしリリースされたら見てみたいやん。
ジェイ刑事がどんな活躍をするか、ちょっとばかし気になるんでね。


キングレコード 2018年9月5日レンタルリリース



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「ウェディング・バトル アウトな男たち★」(16年・アメリカ) 堅物オヤジと娘の恋人のハイテンション男の、ライトなノリのバトルやんかいさぁ!

ウェディング・バトル アウトな男たち★
アメリカのコメディ映画って日本じゃウケないのか、たいがい劇場未公開でソフトスルーってのが多いけど、この「ウェディング・バトル-」もアメリカじゃ週末興行収入ランキングで初登場4位と、それなりにヒットした(と思うんだけど)のに劇場公開は見送られソフトスルーとなっちっち。
出演が、「スパイダーマン」「オズ はじまりの戦い」のジェームズ・フランコに、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、「GODZILLA ゴジラ」にも出ていたブライアン・クランストンとメジャー俳優競演だというのにね。

映画は、堅物オヤジが、大学生の娘の恋人が全身タトゥーだらけでエッチ大好きなハイテンション男と知って、なんとか娘と別れさせようとする軽いノリのコメディ。
フランコとクランストンがキャラにナイスマッチで、脇役も充実しているし、なかなか楽しめるアメリカン・コメディだったやん。

ミシガンで印刷会社を経営するネッドは、
カリフォルニアのスタンフォード大学にいる娘ステファニーから、
恋人のレアードに会わせたいと言われ、妻バーバラや息子スコッティと共に娘のもとにやってきた。
娘の案内で訪れたのはレアードが暮らす大豪邸。彼はゲーム会社の若き社長だったのだ。
だが、全身タトゥーで言葉づかいも下品でチャラさ満々のレアードにムカッときたネッドは、
スティファニーに、あんな男とは別れろと言うが、娘はそれをやんわりと受け流す。
レアードの豪邸に泊るハメになったネッドは、レアードと二人きりの時、
彼から「娘さんプロポーズする許可を下さい」と突然言われ、オタオタしてしまう。
それだけでなく、ステファニーが大学をやめて、レナードが作ったNPOの財団で働くと知り、
あんな男に娘をやるもんかと息巻いてしまうネッドだったが…。

監督は「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズの脚本を書いているジョン・ハンバーグ。
監督作に日本劇場未公開の「40男のバージンロード」(09)があり、
アメリカで大ヒットしたそうだけど、コメディ作品には定評がある人みたい。
本作じゃ、ハイテンション男と彼に敵意剥き出しの堅物オヤジの姿を、
ライトなノリで軽やかに描いていて、気楽にケラケラ笑える。
主演の二人だけでなく、妻のバーバラやレアードの秘書グスタフなど
脇キャラも一癖ある存在として映画に弾みを付けてるし。

傑作だったのが、「ピンク・パンサー」のクルーゾー警部と助手ケイトのもじり。
レナードがゲーム会社CEOだから誘拐される危険もあるとかで、
それに備えて、グスタフがレナードが油断している時に
彼に襲いかかるという訓練が、何度も出てくる。
ネッドが「それって、ピンク・パンサーか?」とレナード達に聞くが、
「ピンク・パンサー」のことを知らないレナード達がきょとんとするのには、
なんかジェネレーションギャップを感じさせて、ヘンに面白かったわ。

日本製の水洗トイレ洗浄機のギャグも笑ったやん。
使い方が分からないネッドに代わってグスタフがリモコン操作するのもヘンに可笑しいし、
エッチをネッドから拒まれたバーバラーがトイレ洗浄機で不満解消するのも、
キワドイけれど、サラリとした下ネタでムフムフムフよ。
この水洗トイレ洗浄機が、最後に物語を締めくくる役目を果たすのも、
そんなアホなと思いながらも、まあそれもアリでしょと受け流してしまえるかな~?

ストーリー展開が、ちょいトロい部分もあるが、
気の利いたセリフと適度な下ネタ・ギャグ、ナイス・キャストのアンサンブルで、
大爆笑とまではいかないけど、まとまりのあるコメディ作品になってるな。

雑誌「映画秘宝」によると、本作はコメディ俳優ジョナ・ヒルが
ダスティン・ホフマンの娘と付き合っていた時にひらめいたアイデアだそうで、
友人のベン・スティラーと二人で主役をやる企画だったらしい。

ま、それはともかく、
フランコのハイテンションぶりは嫌味がなく、ゲスっぽさもないし、
クランストンの堅物オヤジぶりも実に様になってる。

グスタフ役のキーガン=マイケル・キーが、
有能なのにお茶目なところもあるキャラを気持ち良さげに演じてるし、
バーバラ役のミーガン・ムラリーの熟女な色気も良い感じ。

ネッドとバーバラがロックバンドKISSの大ファンだという設定から、
KISSのジーンとポールが本人役で登場し、
「アイ・ワズ・メイド・フォー・ラビング・ユー」を歌うのも楽しいやん。


20世紀フォックス 2018年6月6日レンタル&セル・リリース



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「ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者」(18年・ロシア) 生々しい剣と肉体の豪快バトルにワックワクなロシアン・アクションやん!

ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者
劇場未公開のロアシの娯楽映画って、僕が見たものはたいがいが大味でストーリーもいまいちってのが多かったので、この「ラスト・ウォリアー-」も最初はあまり見る気がしなかったんだけど、他の作品と勘違いしたのか宅配のDISCASにレンタル予約を入れてしまっていて、届いたので仕方なく見たんだけど、これが実に豪快でパンチの利いたバトル・アクションだった。
間違ってレンタルして良かったやんと思ってしまいましたわさ。

時は11世紀のユーラシア大陸のどこか。
オレグ公に仕える戦士リュトボルの住まいを得体のしれない男たちが襲い、彼の妻と生まれたばかりの息子が誘拐されてしまった。
そして、妻子を返して欲しければオレグ公を殺せというメッセージが残されていた。
リュトボルは、密かに公の命を狙う者を探し出すのと妻子を救出するため、住まいを襲われた時に捕虜にした男クニーツァを案内役にして旅に出た。
味方をも欺くために、オレグ公の考えで国を裏切ったことにしたが、それゆえ味方からも追われる身となった。
クニーツァは、遊牧騎馬民族スキタイ族の人間で、傭兵として報酬目当てに様々な暗殺を請け負っていた。
リュトボルとクニーツァは、最初は互いに気を許さず用心していたが、旅を続け、様々な危機を乗り越える中で次第に心を通い合わせるようになった。
そして、スキタイ族の集落に辿り着き、リュトボルは妻子と再会を果たすが、族長は妻たちを誘拐した人物の名は明かそうとはせず、妻たちを引き渡すことも拒否した…。

オープニングは、
クニーツァがスキタイの仲間達と、
荒野の中にポツンとある酒場のようなところで暗殺を繰り広げるんだけど、
手持ちカメラで、ほとんどカットを変えず殺戮シーンを生々しく見せ、
一気に映像に惹きこまれてしまう。
クニーツァの動きも実にシャープで、凄腕暗殺者としての説得力たっぷり。
酒場の従業員を装うために、暗殺ターゲットが来る前に店で働いていた人間達を先に殺すんだが、
暗殺が無事終わった後、クニーツァが店の若者がまだ息があると知った時、
生きていると判ったら自分の仲間に殺されると思い、声を出すなと唇に指をあてるところなど、
暗殺者ながら、どこか心の優しさを滲ませる描写をチラリと差し挟むなど、ニクイやん。

他のバトル・アクション・シーンもそうだけど、
撮り方が実に柔軟で、手持ちカメラによるワンカットで見せる時もあれば、
上から見下ろすような俯角と真横からのアングルで撮ったり、
人物の動きやバトルの様子かがはっきりと判るような撮り方がされていて、実にリアル。
相手の腕を刀剣で切り落とすところも、カットを変えていないような巧妙な編集がなされていて、
ほんまに切り落としたと錯覚させられちゃんちゃこ。
最近の映画に登場するバトルアクションは、細かいカットを繋いで何が何だか分からないまま、
相手を倒しちゃってるてのを目にすることが多いけど、それだけに妙に新鮮と言うか、
ガツンッと手ごたえみたいなもんを感じさせてくれたな。
香港映画みたいにワイヤー・アクションもほとんどないし。
CGもラストでチラリと使うだけというのも好感が持てるわさ。

また、ロシアならではの広大で荒々しい大自然の風景が、
物語にどこか土着的かつ神話的なムードを漂わせていて、これまたナイス。
オレグ公やスキタイの族長が、顔に黄金を塗りたくっていたり、
白塗りの野蛮で奇妙な部族が現れたりするのも、映画の味付けとして面白い。

オレグ公に忠誠を尽くすリュトボルが、
最後に、スキタイ族に暗殺を依頼した人物の正体を突き止め、
そいつをオレグ公の前に差し出すんだけど、その後の展開は、
日本の戦国時代さながら、肉親であろうが裏切りあうというか、なんとも血なまぐさい。
リュトボルがスキタイ族と交わした約束もオレグ公によって…。

監督は、脚本も書いてるラスタム・モサフィールって人だが、
骨太な演出で、ダレルことなくタイトかつシャープに物語を語れるみたい。
キャラ描写も抜かりないし、ちょい注目しておいてもいい監督かも~ん。
そのうちアメリカに招かれて映画を撮ってたりして。

男気あふれるマッチョなリュトボルに扮したアレクシー・ファッジェーフは、
逞しい体つきでいかにも力強い武骨な戦士そのものって感じで、役にぴったり。
ラストに一人で死を覚悟して刀剣を振り上げ
馬に乗って向かってくる相手に立ち向かう姿が、ヒーロー然としていて拍手したくなるやん。

スキタイ族の暗殺者クニーツァに扮した細身で甘いマスクのアレクサンドル・クズネツォフも、
しなやかで見事な立ち回りを見せ、実にカッコイイ。
DVDジャケットの表で、一番前に短刀を構えた姿で出ているのも当然って感じ。
ターゲットを確実に仕留める冷淡さと、時折見せる優しさがミックスされて、
主人公を食ってしまうほどの存在感を見せるな。
スキタイ族の次の族長を決める戦いで、ちょっと油断したばっかりに、あんな最期を…。

出番は少ないが、
リュトボルの妻タチアナを演じたIzmaylova Vasilisa(イズマロバ・ヴァイシリサと読むのかな)は、
気丈な美熟女を控えめに演じていて、なかなか魅力的。

オレグ公に、
アレクセイ・ゲルマンの「フルスタリョフ、車を!」「神々のたそがれ」に出ていたユーリー・ツリーロ。
一癖ある王を、憎々しげに演じてる。

とにかく、久しぶりに面白いロシアの娯楽アクション映画を観れたな~と思える、
個人的には満々満足やんかいさ~な作品であ~りました。


アメイジングDC 2018年6月2日レンタル&セル・リリース



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「タッドの大冒険~失われたミダス王の秘宝~」(17年・スペイン) インディ・ジョーンズもどきの痛快冒険CGアニメの痛快作やん!

タッドの大冒険~失われたミダス王の秘宝~
僕のブログで以前紹介した、スペイン産のアニメ「キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!」がなかなか面白かったので、そのアニメを監督したエンリケ・ガトの新作が、この「タッドの大冒険~失われたミダス王の秘密~」だってので早速レンタルして見たんだ。

なんでも、このインディ・ジョーンズ風味の「タッドの冒険-」は三部作の2作目だそうで、13年に作られた1作目がスペインのアカデミー賞と言われるゴヤ最優秀長編アニメーション賞、新人監督賞を受賞し、劇場でも大ヒットを飛ばしたらしいのね。2作目にあたる本作も、ゴヤ賞長編アニメーション賞をゲットしている。
なのに日本じゃ劇場公開されず、ソフトスルー。
ま、主人公のタッドが鼻デカのイモ兄ちゃんってのが、子供に受けないと思われて劇場公開が見送られたのかも知れないな。

で、これがアクションとギャグたっぷり、恋愛要素も加味されて、
実に楽しさ溢れる痛快この上ないアドベンチャー・CGアニメだった。

建築現場で働くタッドは、かって冒険を共にした美人考古学者サラが
発見したミダス王の首飾りに関する古文書の研究発表をラスベガスの博覧会で行うことになり、
彼女から招待されて愛犬のジェフと共に喜び勇んで出かけていくことになった。
タッドは、そこで久しぶり会うサラに愛を告白するつもりだった。
会場では、サラの助手ティファニーが出迎えてくれ、
彼女の案内でサラと再会したタッドは、告白のチャンスをうかがった。
だが突然、謎の軍団が現れ、
ミダス王の首飾りのことが記された古文書と共にサラが誘拐されてしまった。
謎の軍団のボスは億万長者のラッカム。
彼は、触れるものを黄金に変えると言われるミダス王の3つの首飾りを手に入れ、
世界征服を企んでいたのだ。
タッドは、愛するサラを救出するため、ティファニー、犬のジェフ、サラのペットの鳥ベルゾーニ、
そしてタッドの前に突然現れたミイラと共にラッカム達の後を追ったが…。

サラが海底に潜ってミダス王の古文書を発見するオープニングから、
ラストのタッド達とラッカムのバトルまで、
息つく暇なく豪快なスラプスティック・アクションとネアカなギャグがさく裂しまくりチヨコ!
展開もスピーディーだし、一つ一つのアクションも工夫がされていて、
アニメならではの突拍子もない動きと映像展開にワックワクさせられちゃうんだ。
また、タッドの前に突然現れたミイラのキャラがめっちゃ面白くて、
ラスベガスではエルビス・プレスリーもどきになったり、スペインじゃフラメンコダンサーになったり、
お茶目でオバカで調子っぱずれで、主人公のタッドを食ってしまうほどの強烈な存在感を放っていて、
ギャグもほぼミイラが一手に引き受けてるって感じ。
ミイラ・キャラのおかげで、物語がビンビンに弾けまくってるやん。
なんでも、1作目に登場したキャラのようで、その時タッドを助けたことで仲間から追放されたらしい。
それで行場がなくなり、タッドを頼って彼の前に姿を現したってことみたい。

アニメらしく、タッドの飼い犬ジェフや、自分の気持ちをいちいちボードに書くサラの鳥ベルゾーニ、
それにミダス王の首飾りの一つが眠っている地下室にいたネズミなど動物キャラも登場するが、
いずれも可愛いと言うより、どこかトボケた風情で、人懐っこくて、なんか愛嬌がある。

冒険の合間に、タッドとサラ、そしてティファニーの恋の三角関係が生じたり、
フラメンコダンサーになったミイラにタクシー運転手のオヤジがよろめいたり、
物語に膨らみを持たせ、単調にならず、そこそこ奥行きを感じさせるのもいいなぁ。
タクシー運ちゃんのオヤジがミイラに御馳走したパエリアの鉄板の器が、
ラストで効果的に使われるってのもスペインらしくってムフフとさせられる。

ヨーロッパのアニメったら、アート系のものをイメージしがちだけど、
エンタメに徹した娯楽作もちゃんとあるんだし、
それもアニメに馴染みがないと思えるスペインで、
こういう痛快作が生まれるってのが、なんとなくウレシクなってくる。

日本語吹替えバージョンも、
キャラにマッチした声優さんが当てているのもナイス。

1作目が見たくなってくるけど、本作がレンタル店でヒットするとは思えないし、
ま、いつか見れることを願って気長に待とうかなぁ。
それとタッド・ジョーンズ・シーリズ三作目もね。

とにかくアニメ監督エンリケ・ガトさん。
個人的に注目しておきたい娯楽派の監督さんであ~ります。


パラマウントジャパン 2018年6月6日レンタル&セル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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