「ウィッチ・アンド・ドラゴン~秘密が見える少女~」(15年・デンマーク) 不思議な力を持った少女が王国の陰謀に巻き込まれるキュートなファンタジー・アドベンチャーやん!

ウィッチ・アンド・ドラゴン~秘密が見える少女~
「ハリー・ポッター」シリーズのヒット以来、劇場未公開のファンタジー系映画のソフトが次から次とリリースされるようになったけど、安っぽいCGに安っぽい役者、それに安っぽいストーリーと安さ満々の作品が結構多くて、この手のジャンルは好きなのでよく見るんだけど、げんなりすることがしょっちゅう。
このデンマーク映画「ウィッチ・アンド・ドラゴン…」も、最初は見るのをためらったんだけど、本国で「イントゥ・ザ・ウッズ」を抑えて公開初週間第1位のヒットを放ち、デンマーク・アカデミー賞5部門(脚色賞・衣装賞・作品賞・VFX賞・他)をゲットしたと知り、それなら映画の出来に期待してもええんとちゃうと思い見ることにしたんよ。
なんでも、デンマークを代表する女流ファンタージー作家、リーネ・コーバーベルの原作を映画化したもので、日本でも早川書房から翻訳本が出ていたらしい。

で、これが実に丁寧な作りの作品で、なかなか楽しめたやん。
人の秘密が見えてしまう不思議な力を持つ少女が、王国の陰謀に巻き込まれ、大変な目に会うという物語なんだけど、健気な主人公を演じるレベッカ・エミリー・サトラップが、そんなに美人じゃないんだけど芯の強さみたいなものを全身から発散してい魅力たっぷり、物語に説得力があるんだ。
主人公が10歳の少女だからって、安易にお子様向けにしていないところも好感が持てたしね。

遠い昔、ドゥンアーク王国の領主や彼の妻子が何者かに殺される事件が起き、
領主の後継者ニコディマスが血の付いた刃を持っていたことから容疑者として捕えられた。
ニコディマスの容疑を裏付け自白させるため、司法長官は、
相手の目を見ることで、その相手が秘密にしておきたい心の奥にある恥や罪悪感を暴く
特別な力“恥あかし”を持つ女性マルシナを呼び、二コディマスの心を読み取ろうとした。
母マルシナが城へ向かった後、兄や妹と留守番をしていた娘ディナのもとに
城の代官ドラカンがやって来た。
母がお前を呼んでいるから一緒に来なさいと言われ、彼女はドラカンと共に城に向かった。
城に着くと、ドラカンはニコディマスの心を読み取ってほしいと彼女を牢に連れて行った。
実は、ディナも母の力を受け継いでいたのだ。
母がニコディマスを先に読み取っていたのに、なぜ私が同じことをしなければならないのか、
疑問に感じるディナだったが…。

特別な能力を授かったばかりに、邪悪な陰謀に巻き込まれてしまう少女の冒険ドラマを
キレの良い演出でテンポ良く見せてくれる。
相手の心を読み取れる能力ゆえに周囲の人間から敬遠され、
友達を作ることも叶わない自分に腹立たしさを覚えていたディナが、
母の窮地を救うために、疎ましく思っていた自分の能力を使おうと決心し、
傷つきながらも真っ直ぐに突き進む姿をビビッドに描写。
ディナを取り巻く人間達、ニコディマスや彼女が街で知り合った少女ローサなども、
過不足なく描かれるし、デンマークの大自然の風景や衣装や美術&装飾など、
細部に至るまで中世のファンタジー世界を手抜きなく映像に塗りこめているのもナイス。
安っぽさが微塵もないし、スコーンと物語に入り込めちゃうんだ。

ただ、96分に収めるためにディナをメインに物語を展開させようとしたため、
登場キャラによっては描写が不足気味のところもあるけど、そんなには気にならない、かな?

また、邦題にドラゴンが付いてるけど、ドラゴンはほんのちょびっと登場するだけで、
それもオオトカゲみたいな造形で、ディナに噛みつくぐらいだし、ちっとも迫力がないんよ。
原作はどうか知らないが、多分原作でもそんなに登場しないんだろうな。

とにかく主人公のディナに、レベッカ・エミリー・サトラップがピッタリコン。
彼女、目ヂカラがあるとういか、目に強さが宿っているって感じ。
おそらく、それゆえにヒロインに選ばれたんだろうけど、
期待に応えようと精一杯頑張ってるって気がしたな。

彼女と共に悪者と戦うニコディマスを演じたヤーコブ・オフテブロは、
ノルウェー出身で「獣は月夜に夢を見る」などに出ていた俳優だけど、
やさ男風情のわりには、そこそこ活躍をしよる。
でも、おいしい見せ場はレベッカに持っていかれてしまうけど。

代官ドラカン役は、デンマーク生まれのピーター・プラウボルグ(Peter Plaugborg)。
陰謀の親玉で、母と共に国を乗っ取ろうと企み、ドラゴンの血を飲んで強くなろうとするワルを、
ちょい爬虫類を思わせるヌメリとした風情で冷ややかに演じてる。

ドラカンに従う戦闘隊長にソーレン・マリン。
デンマークのテレビドラマ「THE KILLING/キリング」の出演していた強面の男優だけど、
ワルに見えていたのが、ディナによって心を読まれ、彼女に協力することになる隊長を、
ちょい渋めに演じてる。

映画は、続編が作られそうな終わり方をしていたけど、
案の定、本国のヒットも手伝って続編制作が決定し、今年(2018年)公開されるんだとか。
日本でリリースされたら、またレベッカちゃんに会ってたいやんかいさいぁ。


彩プロ/竹書房 2018年1月3日リリース



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「ミッション・ワイルド」(14年・アメリカ/フランス) 心を病んだ女たちと流れ者が荒野を旅するロードムービー・ウエスタンやん!

ミッション・ワイルド
缶コーヒーBOSSのCMでお馴染み、宇宙人ジョーンズことアメリカ俳優トミー・リー・ジョーンズが監督・主演した日本劇場未公開の異色ウエスタンが、この「ミッション・ワイルド」。
2年前に、京都ヒストリカ国際映画祭で「ホームズマン」の原題で上映されたらしいけど、日本でも知名度のある俳優がドドッと出ていたにも関わらず劇場未公開となり、遅まきながらソフトリリースされたんよね。
トミー・リー・ジョーンズにとっちゃ2作目の監督作で、彼の初監督作「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」は僕はまだ未見だけどカンヌ映画祭で2部門受賞(男優賞・脚本賞)したし、演出手腕はどんなもんじゃろ?と見てみることにしたんだ。

でこれが、今まであまり描かれることのなかったアメリカ開拓時代に東部などから西部の開拓地に嫁いだ女たちの過酷な状況と、それゆえに心が壊れてしまった彼女たちを故郷に連れ戻す様を淡々と描いた、枯れた味わいのロードムービーだったやん。

舞台は19世紀アメリカの開拓地ネブラスカ。
厳しく過酷な荒野の生活で心が病んでしまった3人の妻たちを、
アイオワの教会に連れて行って故郷に送り返すことになり、
独身のメアリーがその役を引き受ける。
その直後、彼女は馬に乗った状態で木に吊るされた初老の男ジョージを目にし、
旅に同行することを条件に彼を助ける。
そして5人の荒野を超える旅が始まった…。

ジョーンズ監督は、荒涼とした西部の風景をシネスコ画面に鮮やかに切り取ってるな。
どこまでも広く荒々しく、どこか寒々とした風景、そんな中を荷馬車に女たちを乗せて進むんだけど、
見るからに大変な旅だというのがすんなりと伝わってくる。
旅の中で、メアリーやジョージの心情が描写されるけど、
なぜメアリーが一人で開拓地にやって来て住んでいのかなど、
あまり過去のいきさつは語られることもなく、
女たちの心を病んだ理由もそんなに丁寧に描かれず小出しにされるので、
見ている側が、推し量らなきゃならない部分があるな。
監督が、あえてそうしたのかも知れないけど、映像展開が時々ブツ切りというか、
女たちの開拓地での生き様が唐突に挿入されたりして、映像の流れがギクシャクするところもある。
メアリーがジョージに対して最後に取った行動も、なんとなく分かるような、そうでもないような。
なんていうか、映像の行間を読みこんでいかないと話に置いてけぼりを食ってしまいそうな感じかな。
アメリカ映画なら、もう少し解りやすく描いてもいいように思ったけど、
そうする気ははなからなかったような感じ。
しかし、物語の後半のメアリーのあまりにも唐突な…。
エエッと思ってしまいましたわさ。
いずれにしろ、西部劇の隠された部分をちゃんと描こうとした監督の心意気はなかなかよね。

メアリー役のヒラリー・スワンクは、東部からやっきた音楽が好きな31歳の女性で、
結婚願望があるのに、気位が高いゆえに男たちから敬遠され誰からもつれなくされるヒロインを、
リアルに演じて見せてる。
旅のさ中、一人迷子になって取り乱し、やっとジョージを見つけたときに泣きわめきいたり、
ジョージに結婚してと申し込んでも断られ、気位どころか生きる気力さえ失っていくところは、
痛々しいやら切ないやら。そしてとうとう…。

トミー・リージョーンズは、軍隊からの脱走した過去がある流れ者で、
義理堅く、どこか剽軽で多少の正義感を持ち合わせた男を、気張らずに演じて見せる。
メアリーとは、異性と言うより戦友のような気持で接していて、
彼女から結婚がダメなら、せめてセックスをして迫られても、
あくまで友情から仕方なく行為に及ぶなど、心優しさが滲み出るところがナイス。

心を病んだ主婦を演じる3人の女優、
グレイス・ガマーは、生んだ子供を次々と亡くし心が壊れた女の役で、
布製の人形を手放せないでいる若い妻を熱演。
オーストラリア出身のミランダ・オットーは、
夫から子供を産む道具としてしか扱われず、母の看病も重なり、これまた心を病んでしまう女を好演。
デンマーク出身のソニア・リヒターは、気がおかしくなって凶暴になる女を、これまた生々しく演じてる。

脇のキャストが、ハリウッドの大物俳優ジョーンズだけに、
彼が声をかけたのかどうかは分からないけど、なかなか豪華。
グレイス・ガマーの実の母であるメリル・ストリープが、ラストで教会の牧師の妻役で顔を出し、
ジョージが荒野にぽつんと建ってるホテルで出会う陰険なホテルオーナーにジェームス・スペイダー、
メアリーの知り合いの牧師にジョン・リスゴーと大物系が次々登場するんよ。
コーエン兄弟の「トゥルー・グリット」(10)で数々の映画女優賞をゲットしたヘイリー・スタンフェルドも
ホテルの裸足のメイド役でチラリと登場するし、ほんまに俳優に関しては贅沢でおまんにやわ。

本作、エンターテイメント性にはいまいち欠けるけど、
異色のウエスタンとして見て損はない作品かなって印象であ~りました。


トランスフォーマー 2017年12月22日リリース



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「サラリーマン・バトル・ロワイアル」(16年・アメリカ/コロンビア) 社員のみなさん、生き残りたいなら殺し合いを始めましょうってか!

サラリーマン・バトル・ロワイヤル
僕の好きな映画「スリザー」(06年)「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ(14・17年)の監督ジェームズ・ガンが脚本&製作したってので、見ようかなと思ったのが、この「サラリーマン・バトル・ロワイアル」。

邦題もそうだけど、ガンの脚本だから彼の作品に見られるユーモラスでちょいレトロなアクション・ムービーだろうと考えていたら、いやはや何とも、お笑い一切なしで、ひたすら社員たちが殺し合いまくる作品だったやん。

でも殺伐としているかというとそうでもなく、カラッと乾いたタッチでバコバコ展開するので、なかなか楽しめる娯楽作に仕上がっていたやん。
ガン作品でお馴染みのマイケル・ルーカー(「スリザー」じゃ、エイリアンに体を乗っ取られてグロいモンスターになってしまうエロ親父を怪演しとった)や、ガンの弟ショーン・ガン(「ガーデアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス」じゃ、ルーカーの手下を演じとった)が顔を出してるのも、ニヤリとさせられたしね。

舞台はコロンビアのボコタ。
アメリカ政府がバックについているらしい会社ベルコ・インダストリーズに出社した社員たちが
仕事を始めようとした時、突然、奇妙なアナウンスが流れる。
「8時間後にほぼ皆死ぬ。30分以内に同僚2人を殺せば生き残る確率がある」と。
何かの冗談だと笑っていたら、突如ビルのすべての窓に頑丈なシャッターが降ろされ、
80人の社員は閉じ込められてしまった。
慌てふためきながら状況を把握しようとロビーに集まった時、数人の社員の頭が吹き飛んだ。
入社時に、危険な国だから用心のためにと頭に埋め込まれた追跡装置と言われていたものが、
爆発して殺されたのだ。
このままでは死ぬと悟った社員たちは、外部へ助けを求める者、保身のために仲間の社員を殺す者など、
それぞれが生き残るために必死の行動をとるが…。

90分弱と短い尺ながら、数多くの社員たちのキャラが手際よく描写され、
見ていて、混乱することなくストーリーを上手に運んでいるな。
下手くそな監督なら、数多い登場人物をさばききれずグチャグチャになりそうなところを、
キビキビしたタッチでスピーディに見せたのは、オーストラリア出身の監督グレッグ・マクリーン。
「悪魔のはらわた」のオーストラリア版とも言える「ウルフクリーク 猟奇殺人谷」(05)や
ワニが人を襲う「マンイーター」(07)を撮った監督だけど、
この2作は、ちょい不気味ムードが漂っていたかなと思うくらいで、
僕にはさほど面白かったって印象はなかった。
それが、「サラリーマン - 」じゃ、畳み込むようなメリハリの利いた演出センスを発揮し、
社員たちに殺し合いをさせる目的が明らかになるラストまで、一気に見せきってくれるやないの。
エグい殺しもチラッと見せるだけで、露骨に残虐な殺戮を見せびらかそうとしないところもナイス。
ま、この監督なら作品にユーモラスな味を加えないのも納得できるな。
ただ一か所だけ、トイレの殺戮場面での「トイレは清潔に使おう」って張り紙だけはベタだけどクスリツ!

低予算の作品のようだが、スター級の俳優が出ないだけに、
誰が何時死んでしまうかの予想がつかないところもグッド・グッド。

主人公マイク役のジョン・ギャラガー・Jrは「10クローバー・フィールド・レーン」(16)に出ていたらしいが、
僕には、ほとんどお初の俳優だ。
さほどハンサムでもなくタフガイって感じでもなく、ちっともヒーローらしさはないんだけど、
それが、切羽詰まった状況ゆえに、いやでも強くなっていくところを説得力を持って好演してる。

マイクの恋人リアンドラ役のアドリア・アルホナは、ちょいエキゾチックな美人で魅力あったなぁ。
最後には自分にちょっかいを出そうとした同僚のイヤミな男の顔面に思いっきり斧を振り下ろしたり、
パワフルで気丈なところもベリー・ナイスよ。

ジュン・ギャラガー・Jrやアドリア・アルホナもそうだけど、
ネットで調べていたら、本作のキャストには、どうもテレビドラマで活躍している俳優が多いみたい。

マイクと対立する上司のバリー役トニー・ゴールドウィンは、
往年の名プロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンの孫で、監督作もあるベテラン俳優。
保身のために片っ端から部下を殺しまくる身勝手な上司を、
品の良いニヒルさみたいなもんを漂わせながら演じてる。
リアンドラに色目を使うイヤミ男ウェンデル役のジョン・C・マッキンリーは、
数々の作品に顔を出してるベテラン脇役俳優だけど、
本作じゃ憎たらしくて冷酷なスケベ親父を実に厭らしさ満々演じてる。
他にも、デブの警備員役ジェームズ・アール、新人社員役メロニー・ディアス、
ズングリ相撲取り体型の上司役ブレント・セクストン、お茶目なメガネ社員役ジョシュ・ブレナーなど、
登場キャラそれぞれが、物語に埋もれることなく存在感を示している。
ジェームズ・ガン監督「スリザー」に町長役で出ていたグレッグ・ヘンリーも、
今回の計画の黒幕として最後に顔を出しよる。

ところで原題が「THE BELKO EXPERIMENT(ザ・ベルコ・エクスペリメント)」。
ベルコと言ったら冠婚葬祭の会社を思い浮かべるけど、
なんだか妙に作品に相応しい原題やなあと思ってしまいましたわさ。


20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2017年12月2日リリース



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「MAIGRET メグレ」(16年・イギリス) ミスター・ビーンのR・アトキンソンが人気犯罪小説のキャラ、メグレ警視役にチャレンジしたやんかいさぁ!

MAIGRET メグレ
Mr.ビーンで知られるローワン・アトキンソンが、フランス作家ジュルジュ・シムノンの推理小説シリーズの登場キャラ、メグレ警視役に挑んだテレビ・ドラマが、この「MAIGRET メグレ 」。
コメディ系の俳優がシリアスものに挑戦するってのは、今年の夏に亡くなったジェリー・ルイスや「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のジョナ・ヒルなど結構多いけど、ローワン・アトキンソン=メグレ警視ってのは、いまいちピンとこなかった。

メグレ警視が登場する作品と言えば、映画ではジャン・ギャバン主演の「殺人鬼に罠にをかけろ」(58)「サン・フィアクル殺人事件」(59)「メグレ赤い灯を見る」(63)、ブリュノ・クレメール主演のテレビ・シリーズ「新・メグレ警視」を思い浮かべるぐらいで、いずれもフランス本国でフランス・キャストによって作られていた。
イギリスでメグレ警視ものを作るのはこれが初めてかなと思って調べたら、「ハリー・ポッター」シリーズのダンブルドア校長役で知られるマイケル・ガンボン主演で、テレビシリーズ「メグレ警視」(92~93)が作られておりやんした。
ガンボン版はミステリー専門チャンネル“AXNミステリー”で放映されたらしいけど、ちーとも知らなんだ。
ローワン・アトキンソン版も、AXNミステリーの枠で今年の4月に放映されたらしいけど、
ウチのテレビは地上波オンリイなので、見れないんよんねぇ。

ま、それはともかくローワン・アトキンソン版メグレがどんな出来栄えか、
ちょっと気になってDISCASでレンタルしたんよ。
1話完結で2話リリースされおり、続けて見たんだけど、
これがなかなかに良く出来た犯罪ドラマやったやん。

1話目は、ジャン・ギャバンの「殺人鬼に罠にをかけろ」と同じ原作。
パリで発生した連続女性殺人事件をメグレ警視が捜査するもので、
なかなか犯人の目星がつけられず、婦人警官をオトリに殺人鬼をおびき寄せようと考え、
襲われた婦警が犯人の衣服の一部を引きちぎっていたことから捜査が進展し、
ある男が浮かび上がるが…。

2話目は、メグレのオフィスに、見知らぬ男から電話がかかり、命を狙われていると告げる。
部下と共に男の足取りを捜査する中、その男の死体が発見され、
やがて地方の金持ちを狙った強奪殺人事件と男の死が関係あることが分かり始めるが…。

いずれも、クラシカルな時代考証や衣装、美術が実に丁寧で、
英国製だけに言葉は英語なんだけど、フランスが舞台のドラマに全く違和感を感じないんよ。
ハンガリーの首都ブダベストでロケしたらしいけど、
ここは一昔前のフランスの街の風景がそのまま残っているような場所らしく、
イメージとしての古き良きレトロなフランスを再現するのに最適だったようで、効果抜群だ。
1話が85分ぐらいと短めだが、演出もキビキビしているし、
人間ドラマにポイントを置いたストーリーも、個人的にはナイスやん。

そして、メグレ警視に扮したアトキンソンが、実にハマってるんだ。
くわえたパイプをくゆらせながら物静かに考え事をする仕草なんて、
これがあのミスター・ビーン?なんて信じられないじゃあ~りませんか。
Mr.ビーンの面影が完全に払拭されていて、物静かで観察眼に優れ、
じわじわと犯人を心理的に追いつめていく主人公を、渋さを滲ませながら好演。
頼りになる部下達への指示も的確だし、上司の妨害にもメゲルことなく黙々と
犯人とにらんだ相手を心理的に追い詰めていくところなど、唸らされてしまう。
あらためて、アトキンソンって懐の深い俳優なんだなあと思わされてしまう。
なんでも、次にはMR.ビーンの新作を作るらしく、またコメディに戻るみたい。
渋いアトキンソンもいいけど、コミカルなアトキンソンもやっぱり見たいやん。

ジャンヴィエ刑事役ショーン・ディングウォール、ラポワント刑事役レオ・スターも、
メグレ警視の忠実な部下を手堅く演じていて、互いの信頼関係がすんなりと伝わってくる。
アトキンソンはアクションは披露しないけど、代わりにディングルウォールが
若手刑事として犯人追跡に街中を思いっきり走り回ってる。

メグレの心優しい奥さん役ルーシー・コウも、出番は少ないが印象的だ。
コメリオ判事に扮したエイダン・マクアードルの、嫌味なメグレの上司っぷりもイイ感じ。
とにかく、良い役者を隅々まで揃えていて、それぞれがキャラにナイス・マッチなんよ。

イギリス本国じゃ、アトキンソン版メグレは好評だったそうで、
シーズン2も製作決定したみたいだし、来年にでもレンタル・リリースされたら
絶対見ようと思ってしまったヤンバルクイナ!


KADOKAWA/角川書店 2017年11月10日リリース



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「湿地」(06年・アイスランド/デンマーク/ドイツ) 「このミステリーがすごい!」選出のアイスランド作家のミステリー小説の映画化なんだけどねぇ!

湿地
僕が、アイスランドのミステリー作家アーナデュル・インドリダソンの小説「湿地」を読んだのが今年の6月ごろ。
確か、書店で彼の小説「緑衣の女」の文庫本が目立つように並べられていて、手に取って後書の解説を読んだら、北ヨーロッパで最も優れたミステリに贈られるガラスの鍵賞を前作の「湿地」に続いて受賞したとか書いてあって、ちょっと気になり、自宅近くの東成図書館にあるかなぁと探しに行ったら、単行本が3冊あったので、まずは「湿地」を借りて読んだんだ。

で、柳沢由実子さんの翻訳も良かったのか、すいすい読めたし、なかなか面白かった。ただ、アイスランドの地名や人名が耳慣れない長ったらしいものが多くて、最初は少々戸惑ったけど。巻頭に物語の舞台となるアイスランドのレイキャヴィックの地図があったので、何度も見直したやんかいさぁ。
続いて日本では翻訳2作目の「緑衣の女」を読み、3作目の「声」も読んだんだ。
いずれも期待にたがわず面白く読めたわ。
4作目の「湖の男」の翻訳本が今年の9月に発売されたので、図書館で貸し出し予約を入れたけど、人気があるのか、まだ未読でおまんにやわ。

そんな、00年に発表され、12年に日本で翻訳本が発売された「湿地」の映画化作品がリリースされると知り、どんな風に映像化したのか興味津々、レンタルしたんよね。
06年制作の映画だから、11年目にしてのリリース(劇場未公開)だが、なんで今頃とも思ったけど、A・インドリダソンの名前が日本でもそこそこ知られるようになってきたんかなぁ。僕の周囲の人間は誰も彼の名前を知らなかったけど。
多分、知っているのはミステリーや推理小説好きの間だけなんやろなぁ。
なんでも、北欧映画祭「トーキョー・ノーザンライ・ツフェスティバル2015」で上映されたらしいけどね。

さて、映画版「湿地」。
原作の脚色に関しては、小説で後半に登場する重要な人物を最初に登場させたり、
少なからず構成を変えたところはあったけど、大幅な変更はなく、小説通りに物語は展開していたな。
小説でもそうだけど、過去の出来事により、哀しい運命にさらされた人間たちの心情を描いた人間ドラマ的要素が強いミステリー小説だけに、それをより明確に見る側に伝えるために構成し直したんだろうな。
90分ちょっとの尺なので、長編小説をコンパクトにまとめ過ぎてるやんとも思ったけど、
途中でダレることもなく、さくさく展開するのも悪くないかなぁ。
主人公のエーレンデュル警部に扮したイングヴァール・E・シーグルソンも、
小説のイメージに近い気がしたしね。

舞台はアイスランドのレイキャヴィック。
あるアパートで老人ホルベルグの死体が発見される。
捜査にあたったのは、エーレンデュル警部と
部下の女性警官エリンボルグと男性警官シグルデュル。
被害者の部屋を調べたとき、机の引出しの裏から古い封筒を見つけ、
中に海沿いに立つ墓の写真が入っていた。
墓に刻まれた故人の名前を調べ、それが4歳で亡くなった少女の墓と判った。
そして、被害者との関係を探っていくうちに、過去に起きた忌まわしい出来事が次々と明らかになり…。

冷え冷えかつ荒涼としたアイスランドの風景の中、
物語は、捜査を続けるエーレンデュルや部下たちの行動が、タイトに描かれていく。
監督は、「ハード・ラッシュ」(12)「2ガンズ」(13)「エベレスト 3D」(15)など、
後にアメリカ映画を撮るようになったアイルランド出身のバルタザール・コルマウクル。
「ハード・ラッシュ」は、インドリダソンも脚本に参加しているところを見ると、
コルマウクルと親しい関係にあるのかも知れないな。
あまり、独自の演出センスってのは感じないけど、登場キャラをそつなく描き分け、
地味でメリハリに乏しいけど、そこそこの切れ味でストーリーを運んでいくやん。
重要な人物を原作と違って最初に登場させたことで、
時間軸的に少々混乱を生じさせる部分があるのが、ちょっと残念な気もするけどね。
コルマウクルは、脚本も手掛けてるけど、それなら、
映像的にもう少し工夫を凝らすとかしたら良かったのに。

エーレンデュルと、非行に走ってドツボ状態の娘エヴァとの関係など、
サイドストーリーを、メインの事件の結末と絡める、エーレンデュルが呟くラストのセリフは、
じんわりと切なさが漂い、いい感じだったけどね。

結局、自分ではどうにもできない現実を前に、“負の遺産”を絶とうとして起きた哀しい事件。
そして、結末もまた…。
こういう、もの悲しい話に、良くも悪くもアイスランドの風景がピッタンコとハマるなぁ。
監督も、それを意識したのか、俯瞰による風景を度々差し挟んでる。

それに、レクイエムを思わせる女性や男性のコーラスが、
哀しい人間の運命をなだめ、死者の安息を願うように流れるのも、なんかしんみりさせよる。

エーレンデュル警部に扮したイングヴァール・E・シーグルソンは、
ネットで調べたらアイルランドのレイキャヴィック出身で63年生まれ。
地味な風貌だが、渋さが滲む男優さんで、「エベレスト 3D」にも出ているけど、
実直に仕事をこなしながら、どこか孤独感を漂わせてる主人公を好演。
ちょっぴり寂しげなたたずまいが役にハマってるな。

脇のハンサム刑事シグルデュル役ビョルン・フリーヌル・ハラルドソンや
太目の女性刑事エリンボルグ役オーラフィア・フロン・ヨンスドッティルも、
多分アイスランドの俳優さんじゃないかと思うけど、
2人が、作品にちょっぴりユーモアをプラスしていて、いいアクセントになってる。

そして、物語の鍵となる、
娘をある病気で亡くした遺伝子研究会社で働くオルン役のアトゥリ・ラフン・シーグルスソン。
繊細そうな顔立ちで、自分の哀しい過去を知ったが故に心に渦巻く苦悩を、手堅く演じている。

しかし、アイルランドの俳優の名前って、一度じゃ覚えられないものばっかりやん。

ミステリーだから、あまり内容を詳しくは書けないけど、
ジャケットのコピーにあるような「世界的ベストセラーを完全映画化」とまではいかないが、
北欧ミステリーにちょっぴり触れてみるって気持ちで見ると、
小説を未読の映画ファンなら、それなりに楽しめるんとちゃう、と思える作品であ~りました。
ほんまにね。


アメイジングD.C. 2017年11月2日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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