「ガンスリンガーの復讐」(98年・イタリア) ほっこりユッタリ、心和むマカロニ・ウエスタンてか?!

ガンスリンガーの復讐
ロックスター、デヴィッド・ボウイが亡くなって早や1年とちょっと。ミニシアターじゃ、彼の主演作「地球に落ちてきた男」が追悼上映されているけど、そんな彼が出演したイタリア製西部劇がこの「ガンスリンガーの復讐」。
映画スターとしても「戦場のメリークリスマス」「ラビリンス/魔王の迷宮」「ハンガー」「プレステージ」など出演作は多いけど、この「ガンスリンガー-」は劇場未公開となっちっちで、2年前にソフトリリースされたんだけどセルオンリーだった。
それが、去年の秋、宅配レンタル・DISCASでレンタルされていたのを知り、未見の作品だし、ボウイの追悼をこめてみることにしたんよね。

カバージャケットじゃ、ボウイを真ん中に右にハーヴェイ・カイテル、左にイタリアのレオナルド・ピエラッチョーニが並んでいるから、てっきりボウイ主演の西部劇と思って見たら、彼は脇役だったやん。
主役はレオナルド・ピエラッチョーニなんだけど、
ボウイも脇役ながら、さすがスターオーラはビンビン、なかなか目立ってたわ。

ピエラッチョーニは、本国イタリアで大ヒットし、
日本でも公開された「踊れトスカーナ!」(96)の監督・脚本・主演をこなした人物で、
「踊れ-」で脚本を共同で書いたのが「ガンスリンガー-」の監督ジョヴァンニ・ヴェロネージ。
ジョヴァンニ・ヴェロネージと言えば、
これまた本国で大ヒットを飛ばした「イタリア的、恋愛マニュアル」(05)が
日本でも公開されたので知っている人もいると思うけど。
4話オムニバスの恋愛にまつわるユーモラスなドラマで、僕のお気に入りの一本よ。

だから、ヴェロネージとピエラッチョーニと組んだ西部劇ときたら、
一昔前のマカロニ・ウエスタンになるわけないなあと思って見たら、
案の定、良い意味で裏切られるというか、
何ともホッコリとした、穏やかな春風を浴びているような作品やったやん。
西部劇だから銃撃シーンやアクション・シーンもあることにはあるんだけど、これが…。

西部の小さな町で暮らしているドック一家。
彼は町で唯一の医者で平和主義者。
妻は先住民の首領の娘パール。そして息子のジェレミア。
穏やかな日々を送っていたある日、20年ぶりにドックの父ジョニーが帰ってきた。
ジョニーは伝説のガンマンと呼ばれる拳銃の名手だったが、
彼を倒して名を上げようとするキザなガンマン、ジャックが現れ、
町が騒然とする中、ジョニーに対決を挑んできた…。

物語の語り部となるのが少年ジェレミアで、
彼の目を通して、彼自身や周囲の大人たちの様々な出来事を綴っていき、
おかげで、映画に温かくて穏やかな空気感みたいなものを漂わせているな。
朝は屋根の上でコケコッコーと叫び、夜はウォーと狼の遠吠えをまねる、
ドック一家に住み着いている変わり者ジョシュアの存在が、なんともユーモラス。

とにかく、一昔前のマカロニ・ウエスタンにありがちなシーンが、
次から次へとものの見事に予想を裏切る展開なんだけど、
それがちっともガックリこさせないというか、これもありやんと妙に納得させられてしまう。
なにせ、酒場でジャックの手下どもを撃ち殺すのは〇〇だし、
ジェレミアを救うのに活躍するのは〇〇だし、
ラストのジョニーとジャックの対決場面じゃ○○が…。

ヴェロネージ監督は、西部劇の形をとりながら、
父と息子、祖父と孫の心の絆を描こうとしたみたいで、
そこに、ガンマンの時代が終わり、新しい時代が始まるのを、
ちょっぴり詩情みたいなものを漂わせながら語ろうとしたみたい。

映画の冒頭に、「“ウエスト”で子供たちはカウボーイごっこをした」って言葉が出るけど、
ひょっとして、監督は好きなウエスタンを自分流の味付けをして、
カウボーイごっこをしようとこの作品を撮ったのかな。

デヴィッド・ボウイは、中盤に登場するんだけど、
その登場に仕方が、キザたらっしいというか、カッコつけまくり。
カウボーイハットには羽根飾りがついててオシャレだし、
手下には、女カメラマンもいて、いちいちボウイ指示にしたがって、
彼のナイスポーズを撮りまくらせたりするし。
ギターをつま弾きながら♪ハレルヤ~♪と歌うシーンまで用意されている。
いちおうニヒルでクールなんだけど、最後の決闘じゃ…。
彼も、カウボーイごっこをしたかったので、本作に出たんかしらね。

ハーヴェイ・カイテルは、さすが渋さ満々、ガンマンの暮らしに疲れ、
平穏な生活を送ろうと考えている初老の男を味わい深く好演。

そして主役でもあるレオナルド・ピエラッチョーニ。
医者として町の人たちから尊敬され、町のもめごとなども言葉によって丸く収める
心優しい主人公を、力まず軽やかに演じてる。
いまいち個性に乏しい気もするけど、この作品じゃビッタリコン。

とにかく一昔前のマカロニ・ウエスタンを期待して見ると、なんじゃこれは!と
文句垂れてしまうかもしれないけど、
僕は、好感が持てたし、西部を舞台にしたファミリー・ドラマとしちゃ、
なかなか愛すべき作品やんと思ってしまいましたわさ、ほんまに。

ピノ・ドナッジオの音楽もなかなかよかったしね。

映像文化社 2016年9月30日DISCAS・レンタル



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「二つの真実、三つの嘘」(13年・アメリカ) 心が病みきってる女たちの、全く先の読めないサイコ・サスペンスやん!

二つの真実、三つの嘘
僕が時々訪れる映画ブログのひとつ「ホラーSHOX [呪](ほらーしょっくすのろい)」で、“意外なtwistがおもしろい!”と紹介されていて、見たいなあと思っていたインディー系作品が、「二つの真実、三つの嘘」(原題・Proxy)って邦題でDVDレンタル・リリースされていたのを知り、見てみることにしたんよね。

劇場未公開でソフトスルーだけど、13年製作だから3年も前の作品なのに今頃リリースなんて、出演者に近頃話題になった人物でも出ているのかと思ったけど、そうでもないみたい。

ま、それはともかくこの映画、ほんまにヒネリの利かせまくった展開で、エエッ!オヨヨッ!ナナ、ナント!と驚かされちゃんちゃこよ。
言ってみれば心が病んだ女たちのダーク風味のサスペンスなんだけど、ここまで先が読めいない展開なんて久しぶりって気もしたな。

だから、あまりストーリーを書くわけにはいかない。
ちょろっと導入部分だけ書くけど、あとは気になったら見て頂戴としか言えないやんかいさぁ。

妊娠9か月を超え、超音波検診を受けたエスターは、
帰りに突然暴漢に襲われ、腹をレンガで何度も打ち付けられた。
病院に運ばれるが、赤ちゃんは死産。
うつろな気持ちを抱え退院すると、彼女は“子どもを亡くした女性を癒す集会”に参加し、
そこで、彼女と同じ境遇の女性メラニーと親しくなる。
メラニーの夫と幼い子供は、酔っ払い運転の車に轢かれ亡くなったらしい。
ある日、エスターは仕事を求めてショッピングセンターを訪れたとき、
偶然メラニーを見かけるが、彼女は息子を見失ったとうろたえ、
警備員に息子を探してとわめいていた!
メラニーの息子は死んで、いるはずがないのにと、
不審を抱いたエスターは彼女の後をつけると、
な、なんとメラニーが車の中から息子を抱きあげる姿を目にしてしまった…。

子を失った女たちの切なげなドラマに見えたのが、
やがて2人の女の病んだ心がじわじわと画面に滲みだし、とんでもない展開となるが、
描写が説明過多にもならず、それでいて丁寧に女たちのマッドな心情を描いてみせてるな。
監督ザック・パーカーって僕にはお初の人だけど、
現実と妄想の境をあえて(多分)あいまいにしていて、
ちょっと戸惑ってしまう部分もあるけど、演出手腕は、そんなに悪くはない。
超スローモーションの使い方など、
カメラワークの随所に映像技巧派監督ブライアン・デ・パルマ・チックなところが散見するけど、
ここぞという場面で効果的に使われているので、マネしているって感じはあまりしない。
思わせぶりなラストショットもなかなかニクイやないの!
あの後の展開は、観客の皆さんのご想像にお任せしますってねぇ。

出演は、これまたほとんどお初の俳優さんばかりだけど、
エスター役アレクシア・ラスムセンは、どこかエキセントリックな風情を漂わていて、
はかなげに見えつつも、狂気が見え隠れするキャラにナイスマッチ。
エスターと親しくなるメラニー役アレクサ・ハヴィンスは、ごく平凡な主婦風情なのに、
心の内は…な女を上手に演じて見せてるな。
そしてもう一人の女、短髪にタトーとパンクないでたちのアニカに扮したクリスティーナ・クリーブ。
出番は少ないけど、おいしい見せ場があり、
ヌードも披露するし(ちっともエロティックじゃないけど)結構印象に残るな。

男優じゃ、ジョー・スワンバーグって人が出ているんだけど、
「新しい夫婦の見つけ方」(15)「ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式」(13)など、
インディー系作品の監督で、その世界じゃそこそこ知られているみたい。
と言ってもアメリカの話で、日本じゃ全く無名に近いけどね。
「新しい夫婦-」「ドリンキング-」も劇場未公開でソフトスルーだったしさ。
彼、俳優として「サプライズ」(11)など出演作があり、
そんなにハンサムってこともない普通っぽい顔立ちで、
その普通というか平凡っぽいところが、この作品じゃ妙にハマっているかな。

この映画、すごく良くできた作品とは言い難いけど、
女優たちの好演のおかげと、意外さ連発の筋運びでオモシロク鑑賞できることは確かやん。

しかし、書きたいことはいろいろあるのに、何を書いても肝心の部分に触れてしまいそうで、
書けないやんかいさぁ!
とにかく、見て、驚いてチョーダイとしか言われへん、ほんまにね。


チャンス・イン 2016年12月2日レンタル



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「トマホーク ガンマンvs食人族」(15年・アメリカ) 人間描写が丁寧な、異色アクション・ホラー・ウエスタンやんかいさぁ!

トマホーク ガンマンvs食人族
タランティーノ監督の西部劇「ヘイトフル・エイト」で賞金稼ぎを演じていたカート・ラッセルが、今度は保安官に扮した、ちょっと風変わりなウエスタン・ムービーが、この「トマホーク-」。
共演が、「死霊館」シリーズのパトリック・ウィルソン、「扉をたたく人」(07)でアカデミー主演男優賞にノミネートされた名脇役リチャード・ジェンキンズとなかなか豪華なのに、劇場未公開でDVDソフトスルーとなっちっち。

知名度のある俳優が出ているのにソフトスルーになるケースといったら、作品の出来がよっぽどヒドイとか、クセの強すぎる内容で日本じゃ劇場公開しても当らないと判断されたとか、いろいろ理由はあるだろうけれど、ホラーテイスト漂うジャケットのデザインと “映画史に残る、衝撃のラスト30分!!” って思わせぶりなコピーにひかれてレンタルしてみたんよね。

で、これが何ていうか、前半は、丁寧な人間描写とリアリズムに徹した映像展開で、一昔前のアメリカン・ニューシネマのテイストを思わせるのに、クライマックスでいきなりギョギョギョッなエグイ描写連発に突入する、なんとも風変わりな、妙にオモシロイ作品だった。
じんわりと男気なんてものも感じ取れるし、古き良き西部の男たちの姿を、よりリアルに、今風にスタイルを変えて描き直そうとしたみたいな、そんな気もしたな。

アメリカの田舎町ブライトホーム。
ある夜、うさん臭い流れ者が現れ、保安官ハントは、彼の足を銃で撃ち留置所に放りこんだ。
そして、カウボーイのアーサーの妻で女医のサマンサに治療を頼んだ。
翌朝、流れ者とサマンサ、そして副保安官の青年が忽然と姿を消した。
現場に残された矢じりから、山岳に住み、人肉を喰らう習慣を持つ穴居人ではないかと推測したハント、
補佐官の老人チコリー、ガンマンのジョン、それに、
屋根から落ちて足に大けがを負っているサマンサの夫アーサーの4人で、
穴居人の棲み家に向かうこととなった…。

サマンサ達が穴居人に連れ去られたのは、流れ者(実は強奪殺人犯)が、
穴居人の聖なる墓場に足を踏み入れたせいで、その巻き添えをくってしまったんだ。

追跡行のなかで、
4人それぞれの人柄がじっくり過ぎるほどじっくりと描かれる。
用心深く、野営するときも周囲に紐をめぐらし、
怪しいと思われる者が現れたら容赦なく打ち殺すジョン。
彼の行き過ぎた行動に怒りながらも、目的続行のため怒りを抑えようとするハント。
足の傷がひどくなるばかりのアーサーは、気持ちばかりが焦り、ついつい怒りを仲間にぶつけてしまう。
穏やかで人当たりの良いチコリが、そんな険悪な空気を緩和しているというか。

監督のS・クレイグ・ザラーって人は、これが初監督らしいけど、
セリフの端々に往年の西部劇らしいニュアンスを残し、前半はあえて淡々とした展開にしたみたい。
音楽もほとんど流れないし、エンタメ的には退屈しかねないところだけど、
そこは、カート・ラッセルなどベテラン俳優の年季の入った演技でカバーされ、
クライマックスまで引っ張っていってくれるやん。
俳優たちも、それが分かっているのか、それぞれ味のある演技を見せてる。

そして、穴居人の棲み家に到着したところから、エグエグ描写のホラーチックな展開となるんだけど、
西部劇に人食い族って場違いとも思える存在が、前半のリアリズム描写のおかげで、
あまり違和感を感じさせないというか、そんな存在もアリかもしれないと思わせちゃってくれる。

ザラー監督、ちゃんとそこまで考えて(多分ね)、演出したのと違うかな。

しかし、あの描写のエグさ、マカロニウエスタンでももっとおとなしかったと思わせるエグさやった。
ま、これもリアリズムの追求で~すと言われたらそれまでだけど。

ザラーさん、脚本も書いてるけど、カート・ラッセル以下、
俳優たちにアテ書きしたみたいに、それぞれキャラにピッタリとハマってる。

チョチョイのチョイ役で、「ブレードランナー」のショーン・ヤングが、
オーラゼロのオバチャンになって登場してたやん。
「ストリート・オブ・ファイヤー」のマイケル・パレも出ているみたいだけど、
どこに出たのか全く判らんかった。

なおこの作品、ブエノスアイレス国際ファンタスティック映画祭アヴァンギャルド&ジャンル・コンペテション部門で最優秀作品賞、シッチェス映画祭・最優秀監督賞など、あまり名を聞かない映画祭で賞をいろいろ取ったみたい。
ま、それがどうしたと言われるかもしれないけどね。

2時間を超える(132分)作品だけど、見ていて意外にそんな長いって感じなかったし、
個人的には、こんな作品あってもええんと違うと思えてしまえるムービーであ~りました。ほんまにね。

トランスフォーマー 2016年12月2日レンタル&セル・リリース



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「カジュアル・ベイカンシー 突然の空席」(15年・イギリス) 「ハリー・ポッター」のJ.K.ローリングの大人向け小説のTVドラマ化でおまんにやわ!

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席
「ハリー・ポッター」の70年前を舞台にした新シリーズの1本目「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」が現在公開中だけど、その脚本も担当した「ハリー・ポッター」の生みの親J.K.ローリングが、大人向けに書いた小説をTVドラマ化したのが、この「カジュアル・ベイカンシー 突然の空席」。

J.K.ローリング原作なのに、あまり話題にもされず、「ファンタスティック-」の公開に便乗してオマケ扱いでリリースされたみたいだけど、ま、確かに日本じゃ原作小説もそれほど話題になっていないみたい(と思う)だし仕方ないか。

話は、イギリス郊外の田舎町を舞台に、ある人物の突然の死によって、そこに住む人間たちに及ぼしていく様々な出来事を描いた群像劇で、穏やかなタッチでストーリーが展開するのに、最後にググッときてしまう、不思議な味わいを持ったドラマやったやん。

美しい田園風景が広がる田舎町パグフォード。
町の自治組織議会議員を務める、住人からの人望の厚い弁護士のバリーが突然死し、
自治組織議会に空席ができ、補欠選挙が行われることになった。
議長のハワードは、息子でバリーの弁護士仲間だったマイルズを無理矢理に出馬させる。
低所得者層のための救貧院をリゾート施設に作り変えようと考えているハワードに対抗するため、
議員で医師のバーミンダーやテッサは、テッサの夫で中等学校の副校長コリンを立候補させる。
バリーの弟で工場労働者のサイモンも、議員になればワイロがゲットできると、よこしまな考えから出馬。
そんな折、亡きバリーの幽霊サイトが何者かによって立ち上げられ、
住人達の秘密が次々と暴露されていった…。

全3話・3時間のTVドラマだけど、
登場キャラが20人以上に及び、馴染みのない俳優が多いせいもあり、
最初は各々の人間関係を把握するのに、ちょっと戸惑ってしまったわ。
原作小説では、もっと登場キャラが多く、それを整理し、
もう少し判りやすくされているみたいなんだけど。

マイルズは、父ハワードと母シャーリーの言いなり状態で、
40過ぎにもなって親に反発できない彼を疎ましく思いながらも愛している妻サマンサ。
当然、サマンサはシャーリーと犬猿の仲で、なにかにつけて対立している。

バリーとはソリが合わなかったサイモンは、
家では暴君で息子ポールにいつも辛くあたっていた。
幽霊サイトで隠し事を暴露されると、うろたえて…。
そして彼の行為が、とんでもない結果に…。

そして、低所得者層エリアに住んでいるクリスタル。
ヘロイン中毒の母テリーに悩まされながら、
幼い弟ロビーの面倒をよくみていて、
生前のバリーからは、彼から何かと援助してもらい将来を前向きに考えていた。

登場キャラそれぞれの特徴が、軽くはあるけど端的に描写されていて、
中でも、クリスタルの比重が、後半は大きなものになってくる。
風貌からして役柄にナイスマッチするような俳優がキャスティングされていて、
あまり混乱しないよう作られているのもナイスかな。

アメリカドラマなら、もっと展開にメリハリをつけてパンチを利かせるところだけど、
あえて穏やか、かつ軽やかに描いていくところが、最初は物足りなく思えるんだけど、
何ていうか、じんわりと人間味みたいなものを感じさせ、これはこれで“あり”かなとも思えてしまう。
実際、話はへヴィーな部分も結構あるんだけど、そういうのって見ていて辛くなってくるし。
ま、劇場映画とちがってTVドラマってことで、こういうタッチにしたのかも。

それでも、ラストに起こる悲しい出来事(これの伏線の張り方がニクイやないの)のあと、
ある決断をして前に進む人間もいれば、失望のどん底に陥る人間もいる、
人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろと、島倉千代子の歌を思い出してしまいましたわさ。

しかし、知名度がある俳優が、
「ハリー・ポッター」シリーズでダンブルドア校長役のマイケル・ガンボンぐらいで、
後は、ダニエル・クレイグ版「007」シリーズの脇役ロリー・キニアなど地味な役者だらけ。
でも、それぞれ印象に残る演技を見せていて、
なかでもクリスタルを演じた若手俳優アビゲイル・ローリーが、
やさぐれているのに心優しさを内に秘めた少女を、
実にナチュラルに演じていて、特に印象深かったやん。

もう一人、ハワードの妻シャーリーを演じたジュリア・マッケンジー。
物腰柔らかで上品なたたずまいなのに、気位ばかり高い性格クソな高慢ちき老女を、
こんなバアさんいてそうやんと思わせるリアリティさを持って、さらりと好演。
彼女、ネットで調べたらTVシリーズ「ミス・マーブル」のマーブルを演じたこともあったんだ。
本作じゃ嫌われ役ながら、ベテランらしい確かな演技で、上手いやんかいさぁと思ってしまったわ。

このドラマ、物語もさることながら、俳優たちの演技合戦を楽しむってのも見方としてありかもしれないな。

ワーナーブラザース ホームエンタテイメント 2016年11月2日レンタル&セル・リリース



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「ペーパーマン」(09年・アメリカ) 売れない中年作家のイマジナリー・フレンド(空想の友達)はスーパーヒーローってか!?

ペーパーマン
洋画で、あまり知名度がなかった俳優の出演作が大ヒットしたら、ソフト業界じゃ、その俳優の過去の出演作をお蔵出しとでも言うのか、以前の出演作がリリースされるってことがよくある。
エロティック・ミステリー「氷の微笑」(92)がヒットした時も、これで一躍人気スターになったシャロン・ストーンの過去作品「シザーズ/氷の誘惑」(90)ってのが出たことがあったしさ。

この「ペーパーマン」も、7年前の作品ながら、世界的に大ヒットしたアメコミ・ムービー「デッドプール」に主演したライアン・レイノルズが、主人公のイマジナリー・フレンド(空想の友達)を演じていたおかげでソフトリリースされたんだと思うな。
ジャケットからして、レイノルズがスパーマンの安い焼き直しみたいな扮装の写真使ってるもんね。

この手のお蔵出しムービーって、ヒット作にあやかってセールスしているのが見え見えで、
作品自体はなんだかな~ってのが多いんだけど、ヒーローものって好きだし、
コメディ要素もあるようなのでレンタルしてみたんよね。

売れない作家リチャードは、
スランプ気味ながら、それを克服して2冊目の本に取り掛かるために
妻の勧めで、海辺のコテージでしばらく滞在ことにした。
一人っ子として育った彼には、
8歳の時から40年以上になるイマジナリー・フレンド、“キャプテン・エクセレント”がいて、
何かにつけ、彼に悩み事を聞いてもらっていた。
ある日、ママチャリで街に出かけたとき、地元の17歳の少女アビーに出合う。
なぜか彼女に興味を抱いたリチャードは、ベビーシッターを頼みたいともちかけ、
それから毎週金曜日に、彼女がコテージに来るようになったが…。

リチャードは、一人っ子だったゆえに、孤独感からイマジナリー・フレンドを作り出したけど、
アビーも、悲しい過去ゆえに、リチャードと同様に…。

本作、ヒーロー的要素もコミカルな要素もあまりなくって、
自分に自信が持てなかった中年男と少女の間に、奇妙な友情みたいなものが芽生え、
お互いが、今の状況から一歩前に踏み出し、生まれ変わろうとする姿を、
イマジナリー・フレンドを絡めて、穏やかに見つめたヒューマン・ドラマやった。

監督・脚本は、「この森で、天使はバスを降りた」(96)などに出ていた俳優キーラン・マローニーと
彼の奥さんミシェル・マローニー。
絶滅した鳥ヒースヘン(ニューイングランドソウゲンライチョウ )の話や折り紙の白鳥など、
“鳥”が主人公二人の心情と行動にオーバーラップするように上手に使われているな。

キーランにとっちゃ初監督となる作品のようで、映像展開にぎこちないところもあるけど、
ちょっと寒々としたロングアイランドの風景の中、ほんのりハートウォーミングなエンディングが、
なんだか、ポワポワッと気分を温かくしてくちゃうやん。

リチャードに扮しているのは、「イカとクジラ」「ブラッド・ワーク」「ジム・キャリーはMr.ダマー」と、
シリアスからコメディまで、なんでもこなすベテラン、ジェフ・ダニエルズ。
なんか頼りなげで“大人になりきれない大人”って感じを、うまく出しているな。

ジェフより強い印象なのが、アビー役のエマ・ストーン。
物語の半ばで、心の傷となった幼い頃の悲しい出来事をリチャードに話すんだけど、
「幼すぎて、未来があることを知らなかった」ってセリフ、切な過ぎるわ~。
憂いをたたえた彼女の表情、なんとも愛おしくなってくるやんかいさぁ!

そして、セールスポイントでもあるライアン・レイノルズの“キャプテン・エクセレント”。
主人公にもっと絡んでくるかと思いきや、リチャードの悩みの“聞き役”に徹していて、
「現実と向き合えるまでは付きまとってやる」と言い放って、ちょこちょこ現れよるだけ。
ヒーローの恰好なのは、リチャードが8歳のころにコミックからヒントを得て作り出した
イマジナリー・フレンドからだろうな、多分。

レイノルズより、マコーレー・カルキンの弟キーラン・カルキンのほうが、
キャラのせいもあるけど味のある良い演技してたわさ。

ところでイマジナリー・フレンドが登場する映画で思い出すのが、
フィービー・ケーツ主演のファンタジー・コメディ「私の彼は問題児(ドドンパ)」(91)。
夫に浮気された若妻が、舞い戻った実家で幼い頃に作り出した想像の友達と20年ぶりに再会するって話で、
なかなか楽しい映画だった。
DVDをもってるハズだから、探して、また見てみようっと!


ギャガ 2016年10月5日レンタル&11月2日セル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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