「ロード・オブ・クエスト ドラゴンとユニコーンの剣」(11年・アメリカ) ボンクラ騎士が勇者になってまう(?)、下ネタ含みのファンタジー・アドベンチャー・コメディってか!

ロード・オブ・クエスト 〜ドラゴンとユニコーンの剣〜

ファンタジー系の映画って好きだから、よく見るけど、劇場未公開のこのジャンルの作品で面白いと思えるものにはなかなかお目にかかれない。
本作も、メジャーなキャストやスタッフが揃ってるけど、アメリカ本国じゃコケたそうだし、タイム誌じゃ去年の最低映画トップ10のひとつに挙げられてるし、最低映画を選ぶ第32回ゴールデンラズベリー賞では、出演者の一人ジェームズ・フランコが最低助演男優賞にノミネートと、評判はすこぶる良くない。
それでも見てみようかなと思ったのは、オスカー女優ナタリー・ポートマンが、勇ましい女戦士に扮してるってのが気になったから。
それと、僕の好きなコメディ作品だってところ。

時代は、大ざっぱに中世。
ボンクラでひねくれ者のブサイク王子サディアスと、
その兄で勇敢なハンサムガイ、ファビアス王子。
その兄が、怪物退治を終え、
助けた囚われの姫君ベラドンナと共に城に帰ってきた。
ファビアスとベラドンナは結婚することになったが、式の当日、
姫を狙う邪悪な魔術師リザーや老魔女トリオが現れ、彼女を連れ去ってしまった。
ベラドンナ救出のため、ファビアスは、いやがる弟サディアスとともに、リザーの城に向かうが‥。

二つの月が重なる夜、
リザーが、ドラゴンを生み出すために処女を犯そうするけど、勇者達に邪魔されもくろみは失敗。
次に二つの月が重なる100年後を待っていろと捨てぜりふと共に消える、
いかにも、ファンタジー・アドベンチャー風のオープニングで、
これから始まる物語にそれなりに期待感が高まるんだけどね。

そして100年後、
小さい人ばかりのドワーフ国で、あわや絞首刑寸前の主人公サディアスとその召使いコートニー。
下ネタ・ギャグをかましながら、なんとか逃げることができるんだが、
ま、これでツカミはOKとばかり、タイトルクレジットに突入。

劇画風味の切り絵アニメのようなタイトルシーンは、なかなかオモシロイ。

で、いよいよメイン・ストーリーとあいなるが、
なんて言うか、ここからが、どうにもこうにも盛り上がりに欠けるんよね。
リザーが姫をさらう場面とか、ファビアスたちが五頭蛇のモンスターと戦うなど、
SFXを駆使した、派手なシーンもあるんだけど、それとコメディ・タッチの物語とのバランスかな、
それがしっくり噛み合っていないというか。
リザーと対決を迎えるクライマックスも、なんだかなぁ。

下ネタ・ギャグも、笑えるところもあれば、不発気味のところもあるし。
脚本が、少々ザツ過ぎるんとちがう?

その脚本を担当したのは、本作の主演でもあるダニー・マクブライド。
ジャック・ブラックを薄味にしたような風貌で、役柄にはマッチしているんだけど、
どうも主役をはるには、ちょい弱い感じがするのよ。
「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」「ファンボーイズ」など
コメディ畑で活躍している人だけど、脇で光るタイプみたいね。
脚本は、ベン・ベストって人との共作だけど、物語の構成力もいまいち。
ボンクラ王子が、なにゆえ一皮剥けて勇敢な戦士に変貌を遂げたのかも、よう判らんし、
そんな彼に、なにゆえ女戦士イザベラの心が傾いてしまうのかも、アイマイだし。
もっと、脚本を練って欲しいやんけと思ったわさ。

ところで、どうもマクブライドさん、
ストップ・モーション・アニメの巨匠レイ・ハリーハウゼンの
特撮映画「タイタンの戦い」や「アルゴ探検隊の冒険」が大好きみたい。
ファビアスの機械仕掛けの愛鳥サイモンは、「タイタン−」に登場したゼンマイ仕掛けの鳥まんまだし、
五頭蛇も、「アルゴ探検隊−」で主人公が戦う七首の竜ハイドラもどきだし。
3人の不気味な老魔女ってのも、「タイタンー」じゃ盲目の魔女をイメージしているのかも知れない。

CGとストップ・モーションの違いはあるけど、
なんだかハリーハウゼン愛みたいなものが感じられて、
そこんところは個人的に好感が持ててしまったわぁ。
僕も、ハリーハウゼン好きなんで。

お目当てのナタリー・ポートマンは、イザベルに扮し、五頭首を刀剣でなぎ倒したり、
派手なアクションを披露(スタントウーマンがやってる可能性ありありだけど)。
気丈な女戦士ぶりで、しなやかな魅力を放ってる。
なんか、こんな作品に出てしまうのが、もったいない感じ。
ちゃんとしたファンタジー・アドベンチャー映画に出て欲しいわ、ほんまに。

ファビアス王子に、「127時間」「猿の惑星 創世記」のジェームズ・フランコ。
本作の監督デビッド・ゴードン・グリーンの「スモーキング・ハイ」に出演した縁で出たのか、
弟思いの勇敢でカッコ良いけど、超オンチな戦士を、飄々と演じてる。
彼、笑いのセンスもあるみたいだし、最低助演男優賞にノミネートされなくてもええんと違う?

邪悪な魔術師リザー役は、男前のジャスティン・セロー。
俳優にして、「トロピック・サンダー−」「アイアンマン2」の脚本も担当した才人だそうだけど、
なんか邪悪っぽさ不足で、マクブライド同様、どうもキャラが際立たない。
まだ、3人の老魔女のほうが、不気味っぽくて映画のアクセントになってる。
ベラドンナ役、「(500)日のサマー 」のズーイ・デシャネルは、歌手としても活躍していて、
ミュージカルもどきに、フランコとデュエットで熱唱。
世間知らずでバージンの姫を、トボケ気味に可愛く演じてるけど、これまたなんか弾けてないなぁ。

デビッド・ゴードン・グリーン監督。
どうも自分に不向きなジャンルだったのか、登場キャラがいずれもパッとしないのよぉ。
ポートマンだけ、存在感あるけど。
演出力がヒドイってわけでもないんだけどね。やっぱ脚本の問題か。

ま、全くつまらない作品ってこともなく、ボーッと見てる分にはそこそこ楽しめるかな。

グリーン監督、今度、D・アルジェントの「サスペリア」のリメイク作を作るらしいけど、
僕の好きな映画だけに、グリーンにだけは手がけてほしくないなぁ。
監督念願の企画だったらしいけど、
彼の手に掛かると、最初から失敗作になるのが目に見えてるようでさぁ。
そう思いませんこと?


ジェネオン・ユニバーサル 2012年4月25日レンタルリリース



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「DATSUGOKU 脱獄」(08年・イギリス・アイルランド) 男臭さムンムン、オヤジだらけの脱獄サスペンスやんかいさぁ!

datsugoku.jpg

日本でもヒットした「猿の惑星・創世記(ジェネシス)」の監督ルパート・ワイアットが、その前に撮ったのが、この「DATSUGOKU 脱獄」。
ネットで調べたら彼の長編劇場デビュー作のようで、なんでも、サンダンス映画祭でプレミア上映され大絶賛されたってことらしいけど、本作がきっかけで「猿の惑星−」の監督に抜擢されたそうなのね。
しかし、主演が渋いけど華のないシルバーエイジ、ブライアン・コックスってことで、日本じゃ劇場未公開。
ま、仕方ないか。「X−MEN2」「ボーンアイデンティティ」と大作に顔を出してるけど、コックスの名でお客を動員って無理やしなぁ。

そんなコックスが、製作総指揮も兼ねて主演した、
イギリスとアイルランド合作のメッチャ男臭〜い刑務所脱獄サスペンスでおます。
コックスってアメリカ映画でよく見るし、てっきりアメリカ人だとばかり思っていたけど、スコットランド生まれだったのね。
1946年生まれだから、この映画の撮影時は64歳。
ボッテリ&ズングリ体型で動きが鈍そうだし、老囚人役にはピッタリか。

刑務所から、娘宛にいくら手紙を送っても住所不定で送り返されてきたのに、
ある日、フランク宛に一通の手紙が届く。
それには、愛する娘が薬物依存症に陥り、重体で死の瀬戸際状態だと書かれていた。
娘と会いたい、そして和解したいと願うフランクは脱獄を決意。
囚人仲間を集め、着々と脱獄計画を練るが‥。

映画は、仲間を集めて脱獄計画を練っていく様子と、脱獄の実行経過が、
キビキビとしたタッチで交互に描かれていく。
どうして交互に描くんだろう、緊張感がちょい削がれるみたいやんか、
と思って見ていたら、な、な、なんと、終盤に‥。

フランクと同室の新入りの囚人レーシー、
彼のお尻を狙うヒルみたいに気味の悪いトニー、
トニーの兄で、囚人達を取り仕切るボス的存在のリッツァ、
フランクが脱獄計画を持ちかけるブロディとレニー、
そして、所内の図書室を管理しながら、様々な薬品を使って麻薬を製造している黒人バチスタ。

以上が主な登場人物だけど、それぞれのキャラを明確に描き分け、
男臭いドラマをカッチリと作り上げてるな。
ワイアット監督は、脚本も共作で手がけているけど、
多分にご都合主義的なところも、手際の良い演出もあいまって、
それなりに説得力を持たせているみたい。
バイオレンス描写もやりすぎず、節度があるし。
ただ、所内でそんなに簡単に薬物が作れるんか疑わしい気がするけど。
イギリスの刑務所は、規制が緩いんやろか。
それから、説明的なセリフがほとんどなく、映像で語ろうとしているところも好感がもてるやん。
フランクの妻が面会に訪れる場面など、セリフが一切ないのに、
彼女が何を語ろうとし、それに対しフランクの心がどんなに動揺したことかが、
ひしひしと伝わってきて、グッとくる。
「Vフォー・ベンデッタ」を担当したベンジャミン・ウォールフィッシュの音楽も、
脱出の緊張感を高めるのに大いに貢献してるんでおます。

脇の俳優も、いい顔が揃ってる。
ブロディに、「ディセント」のニール・マーシャル監督の「ドッグ・ソルジャー」の
悪役が印象的だったアイルランド生まれのタフガイ、リアム・カニンガム。
レニーに、「恋に落ちたシェークスピア」でG・パルトロウの相手役をやったジョセフ・ファインズ。
彼、最近はアクション作品にも顔を出してるけど、坊主頭で、野獣派チックな男をクールに演じてる。
レーニーに、「マンマ・ミーア」「マリリン7日間の恋」のドミニク・クーパー。
レーニーのオケツを狙うトニーに、スティーブン・マッキントッシュ。
牢屋のボスである兄の権力をかさに、気に入った男の体を我がものにしようと
好き勝手に振る舞う卑劣男を、イヤラシサ満点で演じてる。
リッツァに、ダミアン・ルイス。
刑務所のボス役といったら、強面のオヤジってのをイメージするけど、
ルイスのシュッとしたアンちゃん・フェースが意外にハマっていて、務所を牛耳る冷血漢ムード満々。
バチスタに「シティ・オブ・ゴッド」のセウ・ホルヘ。
ホルヘだけが、唯一ユーモラスなテイストを作品に匂わせているみたい。

とにかく、俳優チョイスがすこぶるナイスやん、この作品。
そんな俳優達を、ワイアット監督は上手に操って、なかなかの作品に仕上げたやんかいさぁ。

老囚人の悔やんでも悔やみきれない後悔の念。
それゆえに、わずかの希望を、脱獄という手段に託すが‥。
はたして、フランクは希望の光に照らされるか否か、それは見てのお楽しみで
アリンス・プリンス・ヒヤシンス〜でおまんにやわ。

インターフィルム 2012年4月6日レンタルリリース



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「唇を閉ざせ」(06年・フランス) 8年前に殺された妻から夫宛てにメールが!まさか‥でも、ひょっとしたひょっとして‥!

唇を閉ざせ

去年、東京で「三大映画祭週間2011」ってのが開催されて、
カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの3つの映画祭で賞を取った作品が上映されたらしい。
ヒューマントラストシネマ渋谷って劇場でだけど、
多分ミニシアターだと思う。違ってたらゴメンクサイ。
どうも昨今は、いくら世界の有名な映画祭で受賞し話題になろうが、
ビジネス的に観客動員が見込めなさそうな作品は、
未公開のまんまになってしまいやすいんよね。
その時、特別上映作品として上映されたのが、この「唇を閉ざせ」。
3つの映画祭で受賞した作品じゃないけど、制作国のフランスじゃ、
07年に最優秀セザール賞最優秀監督賞、最優秀男優賞ほか4部門をとり、英国インディペンデント映画賞、エドガー・ランポー賞なども受賞してる。でもって、本国では500万人動員の大ヒット。
ハリウッドでもリメイクも決まったそうな。

しかし、受賞歴や大動員にもかかわらず、日本じゃ一般公開に至らずじまい。
やっとこさ、DVDスルーながら、お目にかかることが出来たわけでおまんにやわ。

監督は、フランス若手俳優のギョーム・カネ。
彼の出演作って「ヴィドック」ぐらいしか見ていなくて、あまり印象に残っていないんだけど、
彼のお手並み拝見ってことで、僕の好きなジャンルだし、見てみることにしたんでおます。

アレックスは最愛の妻マルゴと、子供の頃から一緒に遊んでいた湖を訪れた時、
突如、妻が誰かに襲われ、彼自身も殴り倒され湖に沈んでしまう。
彼は奇跡的に助かったが、妻は顔をひどく傷つけられた惨殺死体で見つかった。
それから8年後、今は悲しみから立ち直り、小児科医として忙しい日々を送るアレックスだったが、
ある日、彼のパソコンに、「M+A」というハンドルネームの主からメールが届く。
「M+A」とは、彼とマルゴが幼い頃に、湖のそばの木にハートマークと共に彫りつけた、
2人のイニシャルだった。
まさかそんなはずは、といぶかりつつも、指定された時間に、
指定されたリンク先をクリックし、データをダウンロードして、
その動画をみたら、な、なんと殺されたはずのマルゴの生きている姿があった‥。

ここから先のストーリーは、サスペンス作品ゆえ、
あまり言わない方が良いと思うんだけど、
巻き込まれ型サスペンスの形を取りながら、根底に”愛”があり、
愛ゆえに、アレックスはとんでもない目に遭ってしまうんだけど、
それでも最後には、”愛”にたどり着く‥。

サスペンスとラブストーリーが、ええ感じで溶け合った、なかなかグッとくる作品でありました。

アメリカの人気作家ハーラン・コーベンの原作を、
舞台をフランスに置き換えて映画化したもので、翻訳本も出ているらしいけど、
上下巻に別れていて、結構分厚いみたい。
そのせいかどうか、登場人物が多彩というか、やたら多い。
人間関係がどうなってるのか多少戸惑ってしまうところもあるけど、
カネは、それぞれの登場キャラをセリフや行動で端的に描き分け、
ギリギリのところで、見ている側が、物語に置いてけぼりを食わされないよう気をつけているみたい。

マルゴがはたして生きているのかどうか、それを確かめようとしたばっかりに、
アレックスは、マルゴの親友殺しの犯人として、警察から追われ、
そればかりか、マルゴを殺したのも彼だと疑われてしまう。
どんどん追いつめられていくアレックス。
彼に息子の病気を診てもらったことで恩義を感じている
裏社会の男ヌヴィルの助けを借りながら、なんとか、警察の目をくらますが、
謎の3人組に捕まってしまい、危機一髪に‥。

アレックスを演じるフランソワ・クリュゼ。
確か「ラウンド・ミッドナイト」で、ジャズに心酔するフランス人を演じていたけど、
どちらかと言うと、体つきや顔つきも平凡というか、味はあるけど地味な俳優さん。
それだからこそ、ごく普通の男がミステリアスな事件に巻き込まれ、
必死のパッチで逃げまどう姿に危なっかしさを感じるし、そこがなんともリアルっぽくスリリング。
オレがオレとしゃしゃり出ないところが、彼の持ち味かもしれないけど、それが主人公にぴったりハマってる。

「シネマトゥデイ」サイトに載っていたカネ監督インタビューによると、
主役をクリュゼと決めたとき、出資者が手を引きそうになり、
ヴァンサン・カッセルにしろと要求したんだと。
でも、カネは、クリュゼの大ファンだったそうで、なんとか押し切ったみたい。
その期待に応えて、クリュゼさん頑張りまくり、結果、最優秀男優賞をとったんだから見事なもんやん。

ま、彼だけでは、作品まで地味になってしまうと考えたのかどうか
(出資者のご機嫌をとりなすためかもしれないけど。この考え、また違ってたらゴメンクサイ)
脇役に、名のあるベテラン演技派や若手をにぎやかに配してる。
マルゴの父に、「アガサ・クリスティーの奥様は名探偵」「ミックマック」アンドレ・デュソリエ、
アレックスの姉の女の夫(レズビアンなのね)に、「イングリッシュ・ペイジェント」のクリスティン・スコット・トーマス、
アレックスを追う刑事に、「トランスポーター」「オーケストラ!」のフランソワ・ベルレアン、
「愛しきは、女/ラ・バランス」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のナタリー・バイ。
乗馬クラブを取り仕切る大物に「髪結いの亭主のジャン・ロシュフォール
マルゴに、「潜水服は蝶の夢を見る」「ミュンヘン」のマリー・ジョゼ・クローズ、
ヌヴィルに、「この愛のために撃て」のジル・ルルーシュ、
アレックスの姉に「レディ・チャタレー」のマリナ・ハンズ。
ほかにも、フランスじゃ有名どころの俳優がいるかもしれないな。

フランス映画を見ている人なら、なかなか豪華なキャストやんと思うけど、
それぞれ、ちゃんと見せ所を用意しているし、単なるニギヤカしで終わらせず、
作品に厚みをもたらしているところがニクイやん。

アレックスを遅う謎の3人組の紅一点、
スレンダーで能面みたいな顔つきの女が、ターミネーターもどきに、やたら強靱で、
ピストルで撃たれても、なかなか死によれへんし、なんか現実離れしてる。
ちょいマンガチックな気がしてもたけど、お遊びとして、こんな変なキャラを作ったんやろか。
ま、それで、物語が脱線することはないけど、なんか引っかかってしもた。

真実が明かされるラストまで、
適度の緊張感を維持しながらも、どこか人間くささみたいな要素を残しつつ
カネ監督は上手にまとめ上げたなって思うな。

夕暮れの湖畔で口づけする、幼い頃のアレックスとマルゴの姿、なんとも愛らしいラストシーン、
美しい映像もあいまって、なんだか、胸がジーンときてしまったわさ。
結局、愛、カンじゃないけど、最後に愛が勝つのよねぇ、ほんまに。

ところで、ハリウッドでのリメイクの監督は、ベン・アフレックが候補にあがっているらしい。
俳優のカネが撮ったってことで、同じ俳優に監督やらせて話題にしようとしてるんかしら。
でも、アフレックなら、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」「ザ・タウン」と出来の良い監督作あるし、
ナイス・チョイスかもしれないな。


アメイジングD.C. 2012年4月4日レンタルリリース



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「デスティニー 未来を知ってしまった男」(06年アメリカ・ドイツ) 自分がいつ死ぬ運命にあるか、やっぱ知りたくないよねぇ。

デスティニー 未来を知ってしまった男

自分がいつ死ぬ運命にあるのか、あと10年くらいで迎えるのかな、
それとも事故に遭遇して、あっけなく早々とこの世にバイバイしてしまうのかな。
歳くってくると、時々、そんなことを考えることがある。
医学の進歩で、寿命が延びたからといっても、
いつかは必ず、死はやってくるもんやしなぁ。
あんまり長生きしたいとは思わないけど、
結局、なるようにしかならないし、
ケセラセラ〜と日々を送るしかないじゃあ〜りませんか!

ってなことで、本作「デスティニー 未来を知ってしまった男」
原題は「First Snow」。
「あなたは初雪が降る日に死ぬ」
と占い師に予言されたことが、この題名につながってる。

自分の運命を知らされてしまった男が、その運命に抗おうとするストーリーでありやんす。

車が故障し、立ち寄った砂漠の町で、修理を待つ間、
時間つぶしに、初老男の占い師に未来をよんでもらうことにした、やり手セールスマン、ジミー。
だが、仕事やプライベートのことなど幾つかの予言の後、
占い師の表情が突然こわばった。
「これ以上占えない。私は、自分の力を制御できないんだ」
と言うなり、ジミーを突っぱねてしまう。
理由を言わず、占い料金も返してくる占い師に腹を立てたジミーは、
いい加減な占いをしやがってと罵声をあびせ、その場を去る。
だが、占い師の予言は、ことごとく的中。
心臓に疾患が見つかったジミーは、不安になり、
再度占い師のもとを訪れるが‥。

「この道は自分の意志で選んだ」とセリフとともに、
夜のハイウェイが映し出され、タイトル・クレジットが流れる。
カウボーイ姿の男児2人が撃ち合いごっこをしている場面が挿入される。
なかなかムーディーで、ちょい思わせぶりなオープニングだ。

ジャケット・デザインからも、サスペンス風味を匂わせるし、
どんな展開が待ち受けてるか、期待させるやないの。

占い師から、死を予言されたジミーは、
野心家で薄情なところもあり、人に恨まれることも多い。
彼のせいで会社を首になったロペスもそのひとり。
ある日、ジミーの元に射撃場の標的紙が送られ、ロペスを疑うが‥。
また、服役中だった幼なじみ、ヴィンセントが出所したと知り、おののいてしまう。
2人一緒に悪事を働いたことがあり、逮捕されたがジミーだけが、罪を逃れた過去があるからだ。
ヴィンセントが復讐のために自分を殺しにくるのでは‥。
徐々に精神のバランスをくずしていくジミー。
同居する恋人ディアドラとも心が離れていってしまう。

そして、とうとう初雪の日がやって来た‥。

「カウボーイ&エイリアン」の原案、「アイアンマン」などの脚本家マーク・ファーガスンの初監督作。
脚本も彼だけど、死の予言に翻弄される主人公の心の機微を、
どうも映像ではなく、セリフで語ろうとしてしまっている気がするな。
だから、ジミーが運命を受け入れるか否かって部分の描写が、
あいまいというか、ちょっと弱いような。
死を予言されたことで、だんだん自分自身を見つめ直していくワケだけど、
それが、上手く表現されていないように感じるのね。

ヴィンセントと再会したときの、ジミーに対する彼の突然の行動も、
解ったような解らないような。
せっかくオープニングで幼い頃の子供の撃ち合いごっこを見せたのに、
それがあんまり効果的ではないしなぁ。
ファーガスン監督、撮影中に演出の迷いが生じて、おかしなことになってしもたんかいな。
それとも、監督の頭の中では、ちゃんと必然性があって挿入したのに、上手に処理できなかったのか。

でも、エリック・アラン・エドワーズ撮影の映像は深みがあるし、
スティーブン・ソダーバーグの「コンテイジョン」「ソラリス」などの
音楽家クリフ・マルティネスのミュージックも悪くない。

主演のガイ・ピアースも、演技に定評があるだけに、「パルプフィクション」の時の
ジョン・トラボルタ・チックなロングヘア姿で、ちょいイヤァな男になりきってる。
占い師に、サム・ライミの「スパイダーマン」の編集長役で知られる
J・K・サイモンが演じてるのも、なんか新鮮な感じだった。
普通のオヤジっぽいのに、不思議な力を持ってるって設定が、妙に説得力があるのよねぇ。
他に、「コヨーテ・アグリー」ノパイパ・ペラーボ、ロペスにTVドラマが多いリック・ゴンザレス。
そして、一癖ある脇役ならおまかせのウィリアム・フォークナー。

スタッフ・キャストは申し分ないんだけどねぇ。

ラストまで見れるんだけど、なんとも地味というか、いまいちインパクトに欠ける作品だったかな。

サイモンの占い師だけが、印象に残ってしまいましたわさ。
このキャラ、別の映画撮ってもオモシロイかなって思ったくらい。

ところで脚本家の初監督作って、当たり外れが多いみたいやね。
「リクルート」「スリー・オブ・ハート」の脚本家ミッチ・グレイザーの「パッション・プレイ」。
ミッキー・ローク、ビル・マーレー、ミーガン・フォックスと充実したキャストの、
ノワールにラブ・ファンタジーをミックスした作品だけど、
演出力のなさが露骨に出てしまった、ぎこちなくて残念な出来やったわ。
クリストファー・ドイルの鮮やかな映像だけが、なんとか映画の面目を保とうとしてるというかね。


ニューセレクト 2012年3月2日レンタルリリース



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「アナザープラネット」(11年・アメリカ) もう一つの地球にいる僕の運命は、この地球の僕の境遇よりマシなんかなぁ!

アナザー・プラネット

去年の12月、NASA(米航空宇宙局)が、地球に似た惑星を太陽系外で初めて発見したと発表し、水が存在する可能性があるらしく、地球外生物の存在もひょっとしたら!ってニュースが流れたよね。
なんでも、生命が存在すると考えられるゾーンを「ハビタブルゾーン」と言うらしいんだけど、発見された惑星が、太陽と似た星の周囲にあるハビタブルゾーン内にあることから、生命存在の可能性への期待が大きくなったみたい。
「Kelper-22b」と名付けられたその惑星は、地球から600光年離れた場所にあり、地球のおよそ2.4倍の大きさだそうだ。
NASAの科学者は、「これは地球のふたご発見に向けた重要な節目になる」と評価したらしい。

この広大な宇宙、
地球と同じように、生命体が存在する星があってもおかしくないし、
またSF映画によく出てくる、目玉が大きくてイカみたいなツルンとした体のエイリアンじゃなく、人間によく似た生命体がいても不思議じゃない。
なんか、無限のロマンが広がるじゃあ〜りませんか!

ってなことで、本作「アナザー・プラネット」。
当然、NASAの惑星発見のニュースの前に作られたんだけど、なんか現実の話とダブってしまう。
地球に似た星の生命体は地球と全く同じ人間で、それも自分と全く同じ人格を持っているという、
SF的設定の話で、実際に地球似の星が発見されているだけに、
妙にリアリティを感じてしまうのは僕だけかしらね。

子どもの頃、ボイジャーが撮った木星の写真に魅了され、
幼い頃から宇宙に憧れを抱いていたローダは、
17歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)に合格した。
でも、ある夜、パーティーの帰り、新惑星発見のニュースがカーラジオから流れ、
それを見ようと夜空を見上げていて、車の運転を誤り、追突事故を起こしてしまう。
相手の車は大破し、妊婦と幼い男の子を死なせてしまう。
4年後、刑期を終えたローダは、罪悪感を抱えたままだった。
事故で大怪我を負いながらも生き残った、妊婦と幼い子の父ジョンに謝罪しようと訪ねるが、
真実を告げられず、清掃会社の無料トライアルだと偽ってしまい、
週に一度、ジョンの家の掃除をすることになった。
そんな時、新惑星が、自分と同じ人間が存在する<もう一つの地球>だとTVニュースであり、
その星へ惑星間旅行の参加者を一般公募していることを知り、
その星での自分も同じ過ちをしているのか、ひょっとしたら違うのではと思い、ローダは応募する‥。

監督は、マイク・ケイヒル。どうも新進気鋭の人みたい。
ネットで調べたら、ロックグループ・ポリスのドキュメンタリー映画の編集を担当してたみたい。
手持ちカメラを多用し、ローラの心の揺らめきを、繊細かつとてもビビッドに映像に映し取ってるな。
オープニングの自動車事故のシーンも上手い。
ジョン一家の幸せに満ちた家族の語らいを見せ、
カメラが車を俯瞰でとらえて、ゆっくりと引いていくや、猛烈な衝撃音と共に突然車に衝突される描写、
一瞬にして幸せが奪い去られてしまうのを、巧みに見せてくれるやないか、と思いましたわさ。

出所後、「重犯罪の私にはなんのチャンスもない」と、
なるべく他人と話さない仕事、高校の清掃係の仕事についたローダ。
そこで共に働く老人が、目や耳に漂白剤を自ら入れて、病院に担ぎ込まれた。
彼がなぜ、そんなことをしたのか。
多分、何も見なくていい聞かなくていい世界に逃げ込みたかったようだ。
それほどにも、彼は過去に、癒えることのない過ちを犯し、
それに悩み続け、ずっと引きずり続けていた節がある。
見舞いに訪れたローダに、「自分を許しなさい」と涙を流しながら語る老人。
自分じゃ自分を許せなかった老人が、彼女のためを思ってとつとつと語るところ、
なんだか、ちょいジーンときてしまいましたわさ。

脚本は、ケイヒルと、ヒロインを演じたブリット・マーリングの共作。
SF的要素に、ヒロインの贖罪の物語を巧妙にブレンドし、ちょっと新鮮な感じ。
地球とソックリの星を発見したことから、それぞれの星で同じ人間が同じ行動をとっていたのが、
シンクロしなくなっていくって設定もオモシロイ。
そうと知って彼女は、愛を抱くようになったジョンのために、ああいうプレゼントをしたわけなんよね。
彼の人生を少しでも良くできればと思って。
ストーリーに多少無理を感じるところもあるけど、ヒロインの視点だけで語られる展開ってこともあるし、
青を基調とした、ナイーブっぽい映像とあいまって、ま、そんなに気にならず、
ラストまで見せきってしまうな。

マーリングは、自分が脚本に参加したせいでもないと思うけど、ヒロインにピッタリ。
どこか切なげな眼差しが印象深い女優さんだ。
ジョン役は、「LOST」シリーズなど、TVドラマの出演が多いウイリアム・メイポーザー。
地味な印象の人だけど、大学教授だったのが、妻子を亡くし、仕事も捨て、
飲んだくれて世捨て人のような日々を送っていたのが、
事故を起こした張本人とは知らず、ローダの出現によって、
少しずつ前向きになっていくって男を好演してる。上手い役者さんだなと思ったね。
余談だけど、彼がローダのために、ノコギリで音楽を奏でるシーンがあって、
あんたは横山ホットブラザーズか!と、ちょい笑ってしまいましたわさ。
彼は、彼女への愛の告白として、真剣に奏でてるんやけどね。

ラスト、4ヶ月後にロビーの前に現れた人物。
最後の最後で、唐突に新展開を見せちゃってくれて、これにはムムッと唸ってしまったやんかいさぁ。
この後、4日後、4時間後、4分後、そして4秒後、何が起こるのか、
SF心をくすぐられまくりやん、ほんまにね!
そして、それまでのバックの音楽がリリカルだったのに、
エンドクレジットで、クールかつハードなダンステクノ。
ヘタに感傷的な余韻に浸らせないところが、ニクイやおまへんけ。

しかし、地球ソックリで自分ソックリの人間がいる星が実際に存在したら、
そっちが大金持ちなら、すり替わってみたいなぁと思うの、僕だけかしらね。

フォックス 2012年2月22日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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