「SP 国家情報局:Mr.ZOO」(20年・韓国) 突然、動物と会話できちゃった中年国際情報局員のコミカル・アクションやん!

「動物と会話できる能力」という特殊な能力を持つ人間と言えば、2020年に公開されたロバ-ト・ダウニー・Jr主演の「ドクター・ドリトル」があるけど、本作は、国際情報局の中年室長が頭を打ったせいで突然動物と会話できてしまう、韓国製のコメディ・アクション。
「韓国で驚きの大ヒット!!」ってジャケットのキャプションが気になり、レンタルで見たんだけど、ケラケラと笑えてテンポも良く、でもってちょいハートウォーミングな、なかなか楽しめる作品だったやん。劇場公開してもいいんじゃな~いと思う作品だけど、劇場未公開でソフトスルーとなっちっち!
主演が、「パラサイト 半地下の家族」のソン・ガンボだったら劇場公開されたかもしれないけど、イ・ソンミンではイマイチ興行的にキツイと判断されたのかもしれないな。分からんけど。
国家情報局エリートSPのテジュは、大の動物嫌いなのに、
韓中友好樹立記念のイベントに、中国からVIPとしてメスのパンダが来韓することになり、
その護衛を任されることになった。
動物の護衛なんてとお気楽に構えていたが、パンダが謎のテロ組織に誘拐され、
組織を追いかけた際にテジュは頭を打ち、突然動物の声が聞こえるようになってしまった。
パンダ誘拐現場にいた軍用犬アリと共に、テロ組織からパンダ奪還のために捜査を始めるが…。
動物嫌いだったテジュが、動物と話せることで仕方なく犬のアリとバディとなり、
紆余曲折を経て友情で結ばれていくところを、
コミカルでホンワカしたタッチで描かれいて、妙に好感が持てたな。
動物好きな娘のソヨン、テジュの元部下で情報局の局長にのし上がっている美貌のミン、
そして、テジュの後輩で調子っぱずれなマンシクなど、
脇のキャラも個性的で、物語に弾みをつけている。
犬やパンダ、ハトなど動物たちにも個性を持たせたキャラにしていてニヤリとさせられる。
パンダなんて、VIP扱いに慣れていて、ちょいお高くとまったお嬢様って感じだし、
犬のアリも、自分を可愛がり調教してくれた女性軍人を
ちょっとした気の緩みで爆死させてしまった悲しい過去があるんよね。
メスのパンダやゴリラは、どう見たってヌイグルミなんだけど、
それにCGを加えて、そこそこリアルっぽく見せてるし、
コメディ的な展開だから、不思議に気にならないんだわさ。
人間側のマンシクの度外れなおバカっぷりも笑わせる。
でも、マンシクが持っていた秘密兵器が物語のクライマックスで
大いに役立つなど、バカなんだけど意外にアテにできる部下なんよ。
監督・脚本は、「残酷な出勤」(06)「善惡の刀」(17)のキム・テユン。
前作は観ていないけど、笑いに適度にアクションをプラスし、
軽快なタッチでサラリと物語を運ぶ手際はベリーナイス。
テジュが動物嫌いの理由が、愛する妻が動物の世話に熱中するあまり
自身の病気に気付かず亡くなってしまったというのも、ちょい切なく、
母同様に動物愛に溢れた娘ソヨンの言葉で、
テジュが少しずつ動物愛に目覚めていく展開も良い感じ。
主人公のテジュ役は、イ・ソンミン。
「目撃者」(18年)では、殺人現場を目撃した事なかれ主義の中年サラリーマンを
リアルに好演していたけれど、本作じゃ動物と会話できると言う突飛なキャラを、
ちょっぴりペーソスを滲ませながら、嫌味なくスンナリと演じて見せてる。
ソンミンは、僕は未見だけど「工作 黒金星と呼ばれた男」(18年)で、
百想芸術大賞 男子最優秀演技賞を受賞した演技派だそうで、確かに巧い役者さんだ。
父とすれ違いの日々を送ってる娘ソヨンを演じたカル・ソウォン。
「7番房の軌跡」(13年)でデビューした少女だけど、とにかく健気で可愛いのよ。
マンシク役ペ・チョンナムの、オーバーなお間抜け演技も、作品にナイス・フィット。
エンディングじゃ、事件が解決した後の彼が別の事件で
ダメ押しのバカっぷりを見せて、映画を締めくくりよる。
ひょっとして、本作の続編の予告ともとれるけど、
今度はチョンナム主演で作るんやろか。
ま、娯楽要素たっぷりだし、個人的には十分楽しめる作品だったでおまZOO!
ファインフルムズ 2020年12月02日レンタルリリース


にほんブログ村