「イーグル・ジャンプ」(16年・イギリス/ドイツ/アメリカ) オリンピック選手を夢見る近眼&運動能力ペケポンの青年の熱意にフレー、フレーしてしもたやん!

イーグル・ジャンプ
僕はスポーツがあまり得意でないせいもあり、スポーツ映画ってのにあまり興味をもてないんよね。
だから、スポーツがテーマの作品って、そんなに食指が動かないんだけど、この「イーグル・ジャンプ」は、僕の好きな映画「キック・アス」の監督マシュー・ボーンが製作を務めたってのにちょい興味を抱き、宅配レンタル・DISCASになんとなく予約してしまい見てしまった。

で、これがなかなかのヒット!
よくあるスぽ根ドラマと思いきや、ケラケラ笑えて、でもって元気がもらえるナイス・ムービーだった!

イギリス史上初のオリンピック・スキージャンプ選手、エディ・エドワーズの実話をベースにした作品なんだけど、とにかく主人公のメゲないコリないアキラメない前向きな心意気にググッと来てしまったわさぁ!

幼い頃からオリンピック選手に憧れ、いろいろな競技にチャレンジしまくる左官職人の息子エディ。
でも、近眼で運動神経いまいちの彼にとっちゃ、五輪選手は夢のまた夢。
そんな彼を母は何かと応援してくれるが、父は夢を諦めて親の仕事を継げとそっけない。
ある日、エディは88年・冬季オリンピックのイギリス代表のスキージャンプ選手が
一人もいないことを知り、それなら自分がなってやると単身でドイツの雪山の強化合宿所に向かう。
そこで、元オリンピック選手だったが、今は飲んだくれのスキー場の整備係ブロンソンと出会う…。

バスタブの中で“息止め耐久”に挑む幼いエディの描写から始まるオープニングからして、
なんともユーモラス。そんなのオリンピック競技にないのにね。
高跳びや様々な競技に挑むんだが、運動能力に恵まれないばっかりに失敗続きで、
そのたびにメガネが壊れ、缶の中に壊れたメガネがどんどん溜まっていくのが笑わせよる。
やがて、成人しても夢を捨てきれないエディは、スキージャンプに目をつけ、
なんとか選手代表になろうと雪山の強化練習所に乗り込むが、周りの選手からは無視されまりんこ。

監督は、マシュー・ボーンの「キック・アス」に出演していたデクスター・フレッチャーで、
「レイヤー・ケーキ」「スターダスト」などに出ているベテラン・イギリス俳優。
監督作にイギリスで大ヒットしたらしい80年代のヒット曲を散りばめたミュージカルの
映画化作品「サンシャイン/歌声が響く街」(13)がある。

本作じゃ、監督はクセのない歯切れ良い演出で、
ジャンプに失敗して大怪我しても、ちっともくじけない前向き過ぎる主人公を、
穏やかなタッチでサラリと描いて見せてる。
嫌味なオリンピック選考委員長や同じイギリス選手たちのイジワルも、ちょろっと描写するだけで、
あくまでエディと彼のコートを務めるブロンソンの姿に焦点を絞り、
師弟愛とまではいかないけど、深い絆な生まれ、
お互いに一皮むけていくというか、心の成長をとげていく様を丁寧に描いてみせてる。

エディがブロンソンの指導のもと、ジャンプの訓練をするときに、
お相手したい好きな女優を思い浮かべて飛んでみろと言われ、
彼がボー・デレクと答えたのには笑ってしもたわ。
ブレーク・エドワーズ監督「テン」で10点満点美女を演じて注目を浴びた懐かしの女優で、
「類人猿ターザン」(81)とか、演技より見事なプロポーションしか取り柄のない女性だったけど、
確かに80年代のセックスシンボルの一人だったかも知れないな。

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「Two Tribes/トゥー・トライブス 」や
ヴァン・ヘイレンの「JUNP/ジャンプ」など、80年代のヒット曲の使い方もニクイやん。
「JUNP/ジャンプ」はまんま過ぎな気もするけど、とにかく盛り上がらせてくれるんよねぇ。

エディ役は、「キングスマン」のタロン・エガートン。
ちょいズングリ気味の陽気でネバー・ギブアップ精神の主人公を、
気張らずにフンワリ&おおらかに好演。
「キングスマン」の時は、そんなに印象に残らなったけど、今作の彼を見て、
好感度増したやないの、ほんまに。
ブロンソン役のヒュー・ジャックマンも、やさぐれながらも、
エディによって立ち直っていく男を力まず、これまた好演。
エディの両親を演じた母役ジョー・ハートリーと父キース・アレンのも味わい深かったな。
BBCコメンテイターにイギリスの名優ジム・ブロードベントが出ていたり、
ブロンソンの元コーチにクリストファー・ウォーケンが顔を見せていたり、
キャスティングがなかなかの充実ぶり。

しかし、映画でも言われるけど、今更ながら近代オリンピックの父と言われるクーベルタンの言葉、
「オリンピックは、勝つことではなく参加することにこそ意義がある」の重みを感じたなぁ。
そうやそうやそうなんや、それをエディは体現しているんや、
メダル取りに必死になるなんてオカシイんと違う、と思ってしまいましたわさ。


20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン 2017年2月3日リリース



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「超人X.」(14年・ベトナム) わけあって超人ヒーローやってるゲイで~す!何か問題でも?

超人X.
ヒーロー・アクション映画って様々な国で作られてるけど、この「超人X.」は、ベトナム製のヒーロー・ムービー。
なんでも“アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015”や“大阪アジアン映画祭(16年)”で上映されたらしんだけど、劇場公開とまではいかずDVDソフトスルーとなっちっち。

ベトナム映画って、ほとんど見たことないんだけど、ヒーローものって好きだし、日本でも映画祭で上映されるくらいだから、そんなにハズレではないだろうと見てみることにしたんよね。

で、これがなかなかに楽しくて、アクションもバリバリ、ユーモラスでノリの良いネアカな娯楽映画やったやん。

ごく平凡な青年が、怪しい科学者の実験台になったばかりに超人になってしまうという、一昔前のマンガにありそうな話だけど、主人公がゲイで自分のブティックを持つのが夢という、マイノリティ・ヒーローってのがなかなかユニーク。

バクチ好きの母親の世話をしている青年スンは、
友人フィーのマネジメントで、仮面をかぶり、偶然身につけた超人パワーを使って
悪者たちをやっつけるヒーロー業を副業としてこなしていた。
あるとき、ダイヤ会社を経営する超高慢ちきな女キキが強盗団に誘拐され、
彼女を救いだしたことから、超人X.ラブラブラ~ブな猛アタックを受けてしまう。
女性に全く興味のないゲイのスンは、ハンサムで人気歌手のトウアンへの想いでいっぱいだった。
なんとか超人X.を自分に振り向かせたいキキは、狂言誘拐を計画。
彼女の計画はうまくいくかに見えたが、強盗団がスンと同様の超人パワーを身につけ、
キキや超人X.の前に立ちはだかった…。

主人公スンは、正義感というのが少々希薄で、
あくまで副業のお仕事として、悪党どもに立ち向かうのであって、
フィーの作った仮面や衣装にも文句たらたら。
恋するトウアンがビルの屋上で歌とダンスの練習をしていると、
超人X.の恰好で近づき、同じように踊ってみたり、なんともウブっぽく、
自分がゲイであることを彼にカミングアウトできないでいる。
マイノリティゆえの切なさみたいなもんが、ちょろっと描かれる。

しかし、科学者に注射一本打たれるだけで超人になるって設定、アバウト過ぎるやないの。
それも、スンの場合、打たれたときに、ゴキブリを飲み込んでしまったことから、
ゴキブリが大の苦手で、それが弱点となり、ラストじゃ…。
また、スンだけが超人パワーが持続し、
同じように注射された強盗団たちのパワーの有効時間が限られてるってのもさぁ。

ま、作品を見ている間は、とにかくテンポが良くって展開が早いし、
(いつの間にか母やトウアンが強盗団に捕まっていたり、部分カットした縮尺版と違うかと思うくらい)
スパスパ物語が進み、いつのまにやらエンディング。なにせ映画の尺が81分。

アクションは、香港チックにワイヤーアクション駆使しまくりで、
パルクールやムエタイも出てくるし、見せ方も上手で、痛快・爽快・まだやるかい!って感じ。
強盗団の紅一点の女性がパワフルで、動きのキレも抜群やったわ。
そのぶん強盗団のボスに精彩がないというか。
彼女をボスにして大暴れさせたらよかったのにとも思ってしまったわさ。

いまどきのKポップっぽいラブソングがやたら流れたり、
キキの衣装がセンスが良いのか悪いのかヘンにゴージャスだったり、
彼女の付き人みたいなヒエンがオネエ丸出しのチャライ・キャラだったり、
科学者(どうみても飲み屋のオヤジな風貌)が誰でも超人にしたがったり、
とにかく、どこか普通ではない過剰さみたいなもんが作品全体を覆っている。

最後に「人は誰でも性別や出自に関係なく超人になり社会貢献できる」って、
きっちりメッセージも発せられ、そのために主人公をゲイの設定にしたのねと
それなりに納得、納得。

監督のグエン・クアン・ユンさん、本作の脚本も書いてるけど、
多少荒っぽいながら、いろいろな要素をビッシリ詰め込み、
パワービンビン・湿っぽさゼロの娯楽映画を作り上げようと頑張ったやん。

最後に超人X.が「また会おう」って言って、飛び去っていくけど、
続編があるならちょっと見てみたいなぁ、と思ってしまいましたわさ、ほんまに。


キュリオスコープ 2016年11月25日レンタル/12月2日セル



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「ガンスリンガーの復讐」(98年・イタリア) ほっこりユッタリ、心和むマカロニ・ウエスタンてか?!

ガンスリンガーの復讐
ロックスター、デヴィッド・ボウイが亡くなって早や1年とちょっと。ミニシアターじゃ、彼の主演作「地球に落ちてきた男」が追悼上映されているけど、そんな彼が出演したイタリア製西部劇がこの「ガンスリンガーの復讐」。
映画スターとしても「戦場のメリークリスマス」「ラビリンス/魔王の迷宮」「ハンガー」「プレステージ」など出演作は多いけど、この「ガンスリンガー-」は劇場未公開となっちっちで、2年前にソフトリリースされたんだけどセルオンリーだった。
それが、去年の秋、宅配レンタル・DISCASでレンタルされていたのを知り、未見の作品だし、ボウイの追悼をこめてみることにしたんよね。

カバージャケットじゃ、ボウイを真ん中に右にハーヴェイ・カイテル、左にイタリアのレオナルド・ピエラッチョーニが並んでいるから、てっきりボウイ主演の西部劇と思って見たら、彼は脇役だったやん。
主役はレオナルド・ピエラッチョーニなんだけど、
ボウイも脇役ながら、さすがスターオーラはビンビン、なかなか目立ってたわ。

ピエラッチョーニは、本国イタリアで大ヒットし、
日本でも公開された「踊れトスカーナ!」(96)の監督・脚本・主演をこなした人物で、
「踊れ-」で脚本を共同で書いたのが「ガンスリンガー-」の監督ジョヴァンニ・ヴェロネージ。
ジョヴァンニ・ヴェロネージと言えば、
これまた本国で大ヒットを飛ばした「イタリア的、恋愛マニュアル」(05)が
日本でも公開されたので知っている人もいると思うけど。
4話オムニバスの恋愛にまつわるユーモラスなドラマで、僕のお気に入りの一本よ。

だから、ヴェロネージとピエラッチョーニと組んだ西部劇ときたら、
一昔前のマカロニ・ウエスタンになるわけないなあと思って見たら、
案の定、良い意味で裏切られるというか、
何ともホッコリとした、穏やかな春風を浴びているような作品やったやん。
西部劇だから銃撃シーンやアクション・シーンもあることにはあるんだけど、これが…。

西部の小さな町で暮らしているドック一家。
彼は町で唯一の医者で平和主義者。
妻は先住民の首領の娘パール。そして息子のジェレミア。
穏やかな日々を送っていたある日、20年ぶりにドックの父ジョニーが帰ってきた。
ジョニーは伝説のガンマンと呼ばれる拳銃の名手だったが、
彼を倒して名を上げようとするキザなガンマン、ジャックが現れ、
町が騒然とする中、ジョニーに対決を挑んできた…。

物語の語り部となるのが少年ジェレミアで、
彼の目を通して、彼自身や周囲の大人たちの様々な出来事を綴っていき、
おかげで、映画に温かくて穏やかな空気感みたいなものを漂わせているな。
朝は屋根の上でコケコッコーと叫び、夜はウォーと狼の遠吠えをまねる、
ドック一家に住み着いている変わり者ジョシュアの存在が、なんともユーモラス。

とにかく、一昔前のマカロニ・ウエスタンにありがちなシーンが、
次から次へとものの見事に予想を裏切る展開なんだけど、
それがちっともガックリこさせないというか、これもありやんと妙に納得させられてしまう。
なにせ、酒場でジャックの手下どもを撃ち殺すのは〇〇だし、
ジェレミアを救うのに活躍するのは〇〇だし、
ラストのジョニーとジャックの対決場面じゃ○○が…。

ヴェロネージ監督は、西部劇の形をとりながら、
父と息子、祖父と孫の心の絆を描こうとしたみたいで、
そこに、ガンマンの時代が終わり、新しい時代が始まるのを、
ちょっぴり詩情みたいなものを漂わせながら語ろうとしたみたい。

映画の冒頭に、「“ウエスト”で子供たちはカウボーイごっこをした」って言葉が出るけど、
ひょっとして、監督は好きなウエスタンを自分流の味付けをして、
カウボーイごっこをしようとこの作品を撮ったのかな。

デヴィッド・ボウイは、中盤に登場するんだけど、
その登場に仕方が、キザたらっしいというか、カッコつけまくり。
カウボーイハットには羽根飾りがついててオシャレだし、
手下には、女カメラマンもいて、いちいちボウイ指示にしたがって、
彼のナイスポーズを撮りまくらせたりするし。
ギターをつま弾きながら♪ハレルヤ~♪と歌うシーンまで用意されている。
いちおうニヒルでクールなんだけど、最後の決闘じゃ…。
彼も、カウボーイごっこをしたかったので、本作に出たんかしらね。

ハーヴェイ・カイテルは、さすが渋さ満々、ガンマンの暮らしに疲れ、
平穏な生活を送ろうと考えている初老の男を味わい深く好演。

そして主役でもあるレオナルド・ピエラッチョーニ。
医者として町の人たちから尊敬され、町のもめごとなども言葉によって丸く収める
心優しい主人公を、力まず軽やかに演じてる。
いまいち個性に乏しい気もするけど、この作品じゃビッタリコン。

とにかく一昔前のマカロニ・ウエスタンを期待して見ると、なんじゃこれは!と
文句垂れてしまうかもしれないけど、
僕は、好感が持てたし、西部を舞台にしたファミリー・ドラマとしちゃ、
なかなか愛すべき作品やんと思ってしまいましたわさ、ほんまに。

ピノ・ドナッジオの音楽もなかなかよかったしね。

映像文化社 2016年9月30日DISCAS・レンタル



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「二つの真実、三つの嘘」(13年・アメリカ) 心が病みきってる女たちの、全く先の読めないサイコ・サスペンスやん!

二つの真実、三つの嘘
僕が時々訪れる映画ブログのひとつ「ホラーSHOX [呪](ほらーしょっくすのろい)」で、“意外なtwistがおもしろい!”と紹介されていて、見たいなあと思っていたインディー系作品が、「二つの真実、三つの嘘」(原題・Proxy)って邦題でDVDレンタル・リリースされていたのを知り、見てみることにしたんよね。

劇場未公開でソフトスルーだけど、13年製作だから3年も前の作品なのに今頃リリースなんて、出演者に近頃話題になった人物でも出ているのかと思ったけど、そうでもないみたい。

ま、それはともかくこの映画、ほんまにヒネリの利かせまくった展開で、エエッ!オヨヨッ!ナナ、ナント!と驚かされちゃんちゃこよ。
言ってみれば心が病んだ女たちのダーク風味のサスペンスなんだけど、ここまで先が読めいない展開なんて久しぶりって気もしたな。

だから、あまりストーリーを書くわけにはいかない。
ちょろっと導入部分だけ書くけど、あとは気になったら見て頂戴としか言えないやんかいさぁ。

妊娠9か月を超え、超音波検診を受けたエスターは、
帰りに突然暴漢に襲われ、腹をレンガで何度も打ち付けられた。
病院に運ばれるが、赤ちゃんは死産。
うつろな気持ちを抱え退院すると、彼女は“子どもを亡くした女性を癒す集会”に参加し、
そこで、彼女と同じ境遇の女性メラニーと親しくなる。
メラニーの夫と幼い子供は、酔っ払い運転の車に轢かれ亡くなったらしい。
ある日、エスターは仕事を求めてショッピングセンターを訪れたとき、
偶然メラニーを見かけるが、彼女は息子を見失ったとうろたえ、
警備員に息子を探してとわめいていた!
メラニーの息子は死んで、いるはずがないのにと、
不審を抱いたエスターは彼女の後をつけると、
な、なんとメラニーが車の中から息子を抱きあげる姿を目にしてしまった…。

子を失った女たちの切なげなドラマに見えたのが、
やがて2人の女の病んだ心がじわじわと画面に滲みだし、とんでもない展開となるが、
描写が説明過多にもならず、それでいて丁寧に女たちのマッドな心情を描いてみせてるな。
監督ザック・パーカーって僕にはお初の人だけど、
現実と妄想の境をあえて(多分)あいまいにしていて、
ちょっと戸惑ってしまう部分もあるけど、演出手腕は、そんなに悪くはない。
超スローモーションの使い方など、
カメラワークの随所に映像技巧派監督ブライアン・デ・パルマ・チックなところが散見するけど、
ここぞという場面で効果的に使われているので、マネしているって感じはあまりしない。
思わせぶりなラストショットもなかなかニクイやないの!
あの後の展開は、観客の皆さんのご想像にお任せしますってねぇ。

出演は、これまたほとんどお初の俳優さんばかりだけど、
エスター役アレクシア・ラスムセンは、どこかエキセントリックな風情を漂わていて、
はかなげに見えつつも、狂気が見え隠れするキャラにナイスマッチ。
エスターと親しくなるメラニー役アレクサ・ハヴィンスは、ごく平凡な主婦風情なのに、
心の内は…な女を上手に演じて見せてるな。
そしてもう一人の女、短髪にタトーとパンクないでたちのアニカに扮したクリスティーナ・クリーブ。
出番は少ないけど、おいしい見せ場があり、
ヌードも披露するし(ちっともエロティックじゃないけど)結構印象に残るな。

男優じゃ、ジョー・スワンバーグって人が出ているんだけど、
「新しい夫婦の見つけ方」(15)「ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式」(13)など、
インディー系作品の監督で、その世界じゃそこそこ知られているみたい。
と言ってもアメリカの話で、日本じゃ全く無名に近いけどね。
「新しい夫婦-」「ドリンキング-」も劇場未公開でソフトスルーだったしさ。
彼、俳優として「サプライズ」(11)など出演作があり、
そんなにハンサムってこともない普通っぽい顔立ちで、
その普通というか平凡っぽいところが、この作品じゃ妙にハマっているかな。

この映画、すごく良くできた作品とは言い難いけど、
女優たちの好演のおかげと、意外さ連発の筋運びでオモシロク鑑賞できることは確かやん。

しかし、書きたいことはいろいろあるのに、何を書いても肝心の部分に触れてしまいそうで、
書けないやんかいさぁ!
とにかく、見て、驚いてチョーダイとしか言われへん、ほんまにね。


チャンス・イン 2016年12月2日レンタル



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「トマホーク ガンマンvs食人族」(15年・アメリカ) 人間描写が丁寧な、異色アクション・ホラー・ウエスタンやんかいさぁ!

トマホーク ガンマンvs食人族
タランティーノ監督の西部劇「ヘイトフル・エイト」で賞金稼ぎを演じていたカート・ラッセルが、今度は保安官に扮した、ちょっと風変わりなウエスタン・ムービーが、この「トマホーク-」。
共演が、「死霊館」シリーズのパトリック・ウィルソン、「扉をたたく人」(07)でアカデミー主演男優賞にノミネートされた名脇役リチャード・ジェンキンズとなかなか豪華なのに、劇場未公開でDVDソフトスルーとなっちっち。

知名度のある俳優が出ているのにソフトスルーになるケースといったら、作品の出来がよっぽどヒドイとか、クセの強すぎる内容で日本じゃ劇場公開しても当らないと判断されたとか、いろいろ理由はあるだろうけれど、ホラーテイスト漂うジャケットのデザインと “映画史に残る、衝撃のラスト30分!!” って思わせぶりなコピーにひかれてレンタルしてみたんよね。

で、これが何ていうか、前半は、丁寧な人間描写とリアリズムに徹した映像展開で、一昔前のアメリカン・ニューシネマのテイストを思わせるのに、クライマックスでいきなりギョギョギョッなエグイ描写連発に突入する、なんとも風変わりな、妙にオモシロイ作品だった。
じんわりと男気なんてものも感じ取れるし、古き良き西部の男たちの姿を、よりリアルに、今風にスタイルを変えて描き直そうとしたみたいな、そんな気もしたな。

アメリカの田舎町ブライトホーム。
ある夜、うさん臭い流れ者が現れ、保安官ハントは、彼の足を銃で撃ち留置所に放りこんだ。
そして、カウボーイのアーサーの妻で女医のサマンサに治療を頼んだ。
翌朝、流れ者とサマンサ、そして副保安官の青年が忽然と姿を消した。
現場に残された矢じりから、山岳に住み、人肉を喰らう習慣を持つ穴居人ではないかと推測したハント、
補佐官の老人チコリー、ガンマンのジョン、それに、
屋根から落ちて足に大けがを負っているサマンサの夫アーサーの4人で、
穴居人の棲み家に向かうこととなった…。

サマンサ達が穴居人に連れ去られたのは、流れ者(実は強奪殺人犯)が、
穴居人の聖なる墓場に足を踏み入れたせいで、その巻き添えをくってしまったんだ。

追跡行のなかで、
4人それぞれの人柄がじっくり過ぎるほどじっくりと描かれる。
用心深く、野営するときも周囲に紐をめぐらし、
怪しいと思われる者が現れたら容赦なく打ち殺すジョン。
彼の行き過ぎた行動に怒りながらも、目的続行のため怒りを抑えようとするハント。
足の傷がひどくなるばかりのアーサーは、気持ちばかりが焦り、ついつい怒りを仲間にぶつけてしまう。
穏やかで人当たりの良いチコリが、そんな険悪な空気を緩和しているというか。

監督のS・クレイグ・ザラーって人は、これが初監督らしいけど、
セリフの端々に往年の西部劇らしいニュアンスを残し、前半はあえて淡々とした展開にしたみたい。
音楽もほとんど流れないし、エンタメ的には退屈しかねないところだけど、
そこは、カート・ラッセルなどベテラン俳優の年季の入った演技でカバーされ、
クライマックスまで引っ張っていってくれるやん。
俳優たちも、それが分かっているのか、それぞれ味のある演技を見せてる。

そして、穴居人の棲み家に到着したところから、エグエグ描写のホラーチックな展開となるんだけど、
西部劇に人食い族って場違いとも思える存在が、前半のリアリズム描写のおかげで、
あまり違和感を感じさせないというか、そんな存在もアリかもしれないと思わせちゃってくれる。

ザラー監督、ちゃんとそこまで考えて(多分ね)、演出したのと違うかな。

しかし、あの描写のエグさ、マカロニウエスタンでももっとおとなしかったと思わせるエグさやった。
ま、これもリアリズムの追求で~すと言われたらそれまでだけど。

ザラーさん、脚本も書いてるけど、カート・ラッセル以下、
俳優たちにアテ書きしたみたいに、それぞれキャラにピッタリとハマってる。

チョチョイのチョイ役で、「ブレードランナー」のショーン・ヤングが、
オーラゼロのオバチャンになって登場してたやん。
「ストリート・オブ・ファイヤー」のマイケル・パレも出ているみたいだけど、
どこに出たのか全く判らんかった。

なおこの作品、ブエノスアイレス国際ファンタスティック映画祭アヴァンギャルド&ジャンル・コンペテション部門で最優秀作品賞、シッチェス映画祭・最優秀監督賞など、あまり名を聞かない映画祭で賞をいろいろ取ったみたい。
ま、それがどうしたと言われるかもしれないけどね。

2時間を超える(132分)作品だけど、見ていて意外にそんな長いって感じなかったし、
個人的には、こんな作品あってもええんと違うと思えてしまえるムービーであ~りました。ほんまにね。

トランスフォーマー 2016年12月2日レンタル&セル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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