「ザ・サムライ/荒野の珍道中」(74年・イタリア) 詐欺師と保安官と日米ハーフ足軽トリオが繰り広げるオバカ・マカロニ・ウエスタンやんかいさぁ!

マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション・12   ザ・サムライ 荒野の珍道中

今年の4月から朝日新聞出版が発売開始した分冊百科のひとつ、
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」シリーズ。
隔週で2作品セットで発売されていて、気になる作品があったら購入しているんだけど、
先週買ったのが「ザ・サムライ/荒野の珍道中」「帰って来たガンマン」の2作品収録の12号。

僕の好きな「続・荒野の用心棒」(66年)「殺しが静かにやって来る」(68年)のセルジオ・コルブッチが
最後に撮ったマロニ・ウエスタンが「ザ・サムライ/荒野の珍道中」で、
それも「続・荒野-」や「殺しが静かに-」と違ってオバカ・コメディ・ウエスタン。

日本じゃ劇場未公開となり、80年代にビデオが発売されたらしいけど、
それが今年、HDリマスター版でDVDリリース。
めっちゃ笑える、チョー・オモシロ・バカ・ウエスタンって記事をいろんなネット・ブログで目にし、
見たいなあと思っていたけど、DISCASでもレンタルされていないし、買うのもなあと思っていたら、
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」シリーズの1本として発売。
2作品で1900円ちょっとと安いし、迷わず買ってしもたんよね。

で、見たんだけど、名作・傑作とは言えないけど、
ほんまに底抜けにノーテンキでオバカこのうえない、楽しさ満々の作品だった。
とにかく日米ハーフの足軽・サクラのアホ・キャラがサイコーに笑わしよるんよ。

日本人移民のため、アメリカ大統領に神聖な仔馬シン・ミを献上するため、
列車で運んでいたサムライとシン・ミのフンの世話役(足軽)のサクラ。
だが、アパッチに襲撃され、サムライは命を落とし、シン・ミが誘拐されてしまった。
そして、アパッチたちは、仔馬の身代金100万ドルを要求してきた。
保安官ブラック・ジャックが身代金を運ぶ役目についたが、
たまたま列車に乗り合わせていた詐欺師スイス・チーズは、
ブラックに逮捕されるが、身代金をせしめようと脱出し、彼の後を追った。
サクラも、命より大事なシン・ミ様を取り戻すべく、ブラックと合流した。
そして、いろいろあって3人の珍道中が始まった…。

本作、なんでも三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンが共演した
西部劇「レッド・サン」(71年)のパロディとして作られたんだそう。
「レッド・サン」じゃ、合衆国大統領に贈るのは「宝刀」だったけど、
有難みがあるのかどうか、こっちは「仔馬」(ポニー)。
頭の毛をちょこんと結んで立ててるのが、ちっとも神聖ぽくないのね。

サクラは、米国兵士と日本の遊女の間に生まれたハーフなんだけど、
口の上の両端にチョコンと髭をたくわえ、雑なオカッパに団子を乗っけたような珍妙なヘアスタイルで、
風貌からして、どうにもこうにもヘンテコリン。
武士に憧れ、日本にいるときは「東京のサムライ学校に行きたかった」と
ワケのわからんこと言いよる。
とにかく、この映画の侍(さむらい)のイメージは、時代背景もそうだけど、かなりデタラメ。
でも、助けられた相手に対する恩義を重んじるなど、武士道精神はそこそこある。
演じるは、「ガンマン大連合」の陽気なキャラから、「情無用のジャンゴ」のニヒル・キャラまで、
マカロニ・ウエスタンじゃ、なんでもこなすトーマス・ミリアン。
ハンサムなのに、ほとんど本人とは分からないメイクで、ケッタイな日米ハーフを珍演。
こんな日本人キャラは日本じゃ絶対に受けないと劇場未公開になったのかもね。

詐欺師スイス・チーズに扮するは、
マカロニ・ウエスタンの貴公子なんて称されてるジュリアーノ・ジェンマ。
僕は、あまり好きな俳優じゃなかったんだけど、
本作じゃ、ニクメないヒョウキンな詐欺師を軽やかに演じていて、ちょい好感が持てたな。

そして、堅物の保安官ブラック・ジャック役は、「続・夕陽のガンマン/地獄の決闘」(66)で
ずる賢い悪党を演じて強い印象を残した、ちょいシブ親父、アメリカ俳優イーライ・ウォラック。
本作じゃ、どう見てもブサイクな女装姿を楽しくなさげに披露してる。

とにかく、それぞれのキャラが際立ち、
互いに出し抜きあう3人のヘンなトリオっぷりが、実に楽しい。

コルブッチは今までのマカロニ・ウエスタンに飽き飽きしたのか、
オバカ路線を突っ走り、次から次とアホなギャグを連発しまくりチヨコ。
ベタなものから突拍子もないものまで、ギャグはてんこ盛りだけど、
本作を未見のひとのために、あまりギャグのことは言わないでおこうかな。
ただ、ストーリーは意外にキッチリしていて、
シン・ミ誘拐のアパッチたちが実は…、誘拐事件の裏に隠された企みとは…など、
最初は、行き当たりばったり的展開に見えて、後半に意外な事実が明るみになり、
なるほど、そういう事だったのかと納得させられるやん。

単なるオバカ・ウエスタンに見えて、
さすがコルブッチ、押さえるところはキッチリ押さえている。

ただ悪党キャラが少々弱いかな。なんか安っぽいんよね。

それと、収録されているのがアメリカ版で、
イタリア版オープニングがカットされているらしく、
カット部分が、唐突なラストの伏線となっているらしいのね。
ま、なくっても、あまり気にならないような気がするけど。

しかし、このサクラは、何度でも見たくなってくるなぁ。
僕の好きな映画の中の個性キャラのうちでもナンバー3に入るくらい強烈やったわぁ!

朝日新聞出版 2016年9月15日発売 1843円(税別)



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ジャンル : 映画

「ぼくとアールと彼女のさよなら」(15年・アメリカ) 冴えない男子高校生と難病の女の子の交流を軽やかに描いた、ユーモラスでちょっぴりホロリの青春ドラマやん!

ぼくとアールと彼女のさよなら
重い病気を抱えた女の子が男の子と出会う物語と言ったら、二人の間に恋が芽生えて、男の子が愛する彼女を悲しみをこらえて最後まで看取るってな、涙腺ユルユルにしまくりチヨコな、お涙頂戴ストーリーを思い浮かべてしまい、その手の映画は苦手だし、今まであまり見なかった。

でも、「ぼくとアールと彼女のさよなら」は、主人公の男子高校生が映画オタクってところに、映画好きな僕としちゃ興味をそそられ、去年のサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をゲットしたと知り、見てみることにしたんよね。

で、これが、ごく普通の男子高校生が、難病を抱えた女の子との交流を通して、ほんの少し心の成長を遂げていく姿を、ユーモラスかつビビッドに描いた、なんとも気持ちの良い、上出来の青春ムービーやったやん。
ヘンに泣かせにはしらず、難病ものにありがちな展開にならないところも好印象よ。

目立たず出しゃばらず、無難に学校生活を送るのが信条の男子高校生のグレッグ。
趣味と言えば、幼い頃から社会学の教授である父からアート系の映画をいろいろ見せられ、
外国映画好きとなり、友人のアールとともに、名作をもじった映画作りをすること。
ある日、幼馴染みだけど今は疎遠になっている同じ学校に通うレイチェルが白血病となり、
グレッグの母は、彼にレイチェルの話し相手になるよう無理強いし、仕方なく彼女に会うこととなった。
最初は形だけの付き合いだったが、話を交わすうちに打ち解けていき…。

グレッグとアールが作った、好きな映画の題名をバカっぽく変えた作品ってのが、
ゴダール作品をもじった「軽蔑できない」「勝手に走りやがれ」、
ニコラス・ローグ作品のもじり「赤い影/キモいドワーフに殺されるぞ」、
ベルイマン作品のもじり「第七の強引」、ビスコンティ作品のもじり「テニスに死す」、
キューブリック作品のもじり「木綿仕立てとオレンジ」、M・パウエル作品のもじり「クソを吸うカレら」、
J・シュレシンジャー作品のもじり「午後2時48分のカーボーイ」、
H・アシュビー作品のもじり「オールドとモード/老人は髪をさわる」
と、なかなかにアート路線まっしぐらで、グレッグ&アール版映画のワンシーンもちょこっと映るんだけど、
映画好きとしちゃニンマリさせられてしまったやん。

グレッグの父が息子に見せていた映画ってのが、
確かヴェルナー・ヘルツォークの「フィッツカラルド」か「アギーレ/神の怒り」。
そんな映画を幼い頃に見せられていたら、まあ、そうなってしまうのも当然か。

監督は、「glee/グリー」「アメリカン・ホラー・シトーリー」など、
もっぱらTVドラマで活躍していたアルフォンソ・ゴメス・レホン。
劇場映画はお初かもしれないけど、シャープかつ柔軟な映像センスで、
登場人物や背景を、鮮やかに映像に描きこんで見せてる。
登場キャラそれぞれの存在感を上手に際立たせているというか。

また、レイチエルの部屋のクッションや本なかの細工など、小道具の使い方もニクイ。

グレッグの心の内を、パペットアニメで見せたり、学園風景も、どこかポップなタッチで描いたり、
難病ドラマにありがちな湿っぽさを、極力画面に漂わせないように心掛けてるってところもいい感じ。

あくまでグレッグの心の成長が物語の芯であり、そこからブレないんよね。

原作のジェシー・アンドリュースが、映画の脚本も担当しているせいもあるんだろうね、多分。

グレッグに扮したトーマス・マンは、初めてお目にかかった若手俳優だけど、
ちょいオタク気味のごく普通の高校生を、とても自然体で演じている。
病状が悪化したレイチエルを励ますためにオリジナル映画を作って見せることになるんだけど、
最初は成り行きで仕方なく撮影していたものが、
やがて、本気で彼女のためを思い、時間をかけて作っていくところなど、
微妙な心の揺らぎを、ニュアンス豊かに演じていて、なかなかうまいやん。

レイチエル役のオリヴィア・クックは、どこかナタリー・ポートマンに似た顔立ちのイギリスの女優さんだけど、
僕が彼女を初めて見たのが、劇場未公開のホラー「呪い襲い殺す」(14)。
可愛い娘だなあとは思ったけど、あまり強い印象はなかった。
でも「ぼくとアールと-」じゃ、役柄のせいもあるけど、なんとも印象深い。
病気に侵された自分を悲しんだり、嫌いになったり、でも明るく振舞おうとしたり、
オーバーアクトにならず、これまたナチュラルかつ繊細に演じて見せるんよ。
役柄上スキンヘッドにもなるし、めっちゃファンになってしもたやん。
なんでも、S・スピルバーグ監督のSF大作「ゲームウォーズ」(17年公開予定)のヒロインに選ばれたそうで、
今後、注目を浴びること必至。
なんでも、「スターウォーズ8」のヒロイン候補としても名前があがっているんだとか。

アール役のRJ・サイラーは、ネットで調べても詳細データが全く見当たらず、
TVで活躍しているか、または新人俳優なのかもしれないけど、
親友とまではいかないけど、グレッグとつかず離れずの友人ポジションを、さらりと好演。

もう一人、全身タトゥーを入れた風変わりなマッカシー先生に扮したジョン・バーンサル。
グレッグたちは、彼の部屋にいつも入り浸っていて、ダチみたいな感じなんだけど、
その彼が、自分の亡くなった父のことをグレッグ話すところ、味わい深いやん。
これがラストシーンにつながる深みのあるセリフで、脇キャラなのに、オイシイやないの。

ところで、レイチェルの部屋に「X-MEN」のウルヴァリンのポスターが貼ってあって、
そのポスターのウルヴァリンがしゃべるシーンで、
映画のウルヴァリン役ヒュー・ジャックマンが声の出演をしてるらしいのね。
それがどないしたんや?と言われるかもしれないけど、
なんかジャックマンの律義さがうかがい知れるエピソードじゃあ~りませんか!ほんまに。


20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン 2016年8月3日リリース



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「SPY/スパイ」(15年・アメリカ) チビデブ・エージェント・ウーマンが大活躍しちゃう、上出来のスパイ・アクション・コメディやん! 

SPY/スパイ
ハゲのアクションスター、ジェイソン・ステイサムとハンサムガイ、ジュード・ロウと日本でも知名度ある二人が出ているのに、主演が日本じゃ知名度がほとんどないチビデブ女優メリッサ・マッカーシーってことで、あえなくソフトスルーとなっちっちのスパイ・アクション・コメディがこの「SPY/スパイ」。

スパイ系の映画って好きだから見たんだけど、これがめっちゃ良くできた娯楽作で、劇場の大きなスクリーンで見たかったやんと思いましたわさ。

メリッサさん、僕は未見だけど、アメリカでヒットしたドタバタコメディ「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(11)でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、一躍注目の女優になったみたいで、日本でも今公開中のリプート版「ゴーストバスターズ」にも主人公の一人として登場。旬のアメリカン・アクトレスなんよね。

CIAの分析官スーザンは、現場で活躍するエージェントを本部からバックアップするのが仕事。
衛星回路を駆使して、パートナーの凄腕エージェント、ブラッドリーの目となり耳となり、
素早い誘導で彼をサポート、なんとか武器商人の核爆弾密売を阻止した。
だが、ブラッドリーが、武器商人の娘レイナに殺されてしまった…。
そして、レイナが核爆弾をテロ組織に売ろうしていることをCIAが察知すると、
パートナーの仇討ちとばかり、スーザンはエージェントに志願。
初めて、現場に出ることとなったが…。

ブラッドリーとスーザンの息の合った活躍ぶりを派手なアクションを交えて見せるアバンタイトルに続き、
オープニングタイトルとなるんだけど、これがまんま「007」もどき。
タイトルバックの凝った映像や音楽も、確信犯的に「007」シリーズに限りなく近づけてるみたい。
でも、「007」のパロディじゃなく、オマージュっぽい印象で、
007シリーズが好きな僕としちゃニンマリさせられるやん。

現場に出ることを許可されたスーザンが、秘密兵器開発部門に赴き、
特殊な兵器を与えられるところも、まんま「007」のQ(開発課長)もどき。
でも、ジェームズ・ボンドと違って、スーザンが受け取るうのは、
「流せるお尻拭き」(クロロホルム入り)や「陰菌スプレー」(催涙スプレー)と、
役には立つけど、いちいちアホくさいアイテムばっかり。

どうも、本作の脚本も書いてる監督ポール・フェイグは、
「007」シリーズの大ファンみたいで、「007」でお決まりのシーンを、
ちょい下品なギャグをまぶして、入れ込もうとしているみたい。
でも無理矢理感は全くないし、好感が持ててくるなぁ。

現場であるヨーロッパじゃ、身分を隠すためとばかり、
スーザンはお上りさんチックにダサイいファッション姿で現れるんだけど、
これがチビデブのスーザンにぴったりというか、実に様になって妙に笑えてしまう。

ヒロインが主人公のスパイアクションと言えば、
お色気みたいなものをイメージしがちだけど、メッリサさんだけにエロい要素は皆無。
そのぶん、アクションは頑張ってて、
敵の女との肉弾バトルやカーチェイスなど、男顔負けの活躍を見せよる。
それも、敵の女と戦う場面じゃ、相手の手を包丁でズブリッと刺し抜いたり、結構ハード。

チビデブ・オバサンが主人公だからって、ギャグ一辺倒のユル~イ、スパイ映画にはせず、
アクションしっかり、笑いもたっぷり、派手な見せ場も用意して、
メリハリの利いた展開で、ほんま痛快このうえない。
ポール・フェイグ監督、なかなかお上手!

見ていて、メリッサさんに好感がもててくるというか、
ステイサムやロウと互角の存在感で、
映画をグイグイ引っ張っていく、見事な主演ぶりじゃあ~りませんか。

ロウは、タフでダンディでカッコイイのに、肝心のところでミスしよるし、
ステイサムに至っちゃ、いちいち間抜けな行動で、メリッサに助けられてばかり。
でもって最後には…。

ラストのスーザンが危機一髪の時も、彼女を助けるのはロウやステイサムじゃなく…。

スーザンの職場の同僚、ノッポのナンシー(ローズ・バーン)が中盤から彼女を手助けするんだけど、
チビとノッポのデコボコ・コンビってのも、なんか楽しい。

もう一人、ヨーロッパ支部のエージェント、女大好きなチャラいイタリア男アルドが現れ、
いちいちスーザンにモーションをかけるのも、へんに笑える。
演じるピーター・セラフィノウィッツは、イギリス俳優。
微妙なハンサム・フェースで、彼のニヤケ顔が、映画のちょっとしたアクセントにもなってるやん。

フェミニズムとは言わないけど、男たちに助けられることなく、
女らしさを失うことなく、知恵と度胸で危険を乗り越え、世界を救うヒロイン。
監督のフェイグは、そんな逞しく強い、でも愛らしい女性像が好きなのかもね。
確か、メリッサ・マーカーシーとサンド・ラブロック共演の、
デコボコ女性刑事コンビが麻薬組織に立ち向かうアクション・コメディ
「デンジャラス・バディ」(13年)も撮ってるし。

「ゴーストバスターズ」は、監督ヘイグで、メッリサ出演、なんかすごく見たくなってきたやんかいさぁ。

それと、「SPY/スパイ」の続編も、ヘイグ&メリッサで作られるなら見たいやん、ほんまに。

20世紀フォックスホームエンターテインメント・ジャパン 2016年8月3日レンタルリリース



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「キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!」(15年・スペイン) ボーイ&ガール、そして頑固ジイサンとトカゲ君大活躍のスペースアドベンチャーやんかいさぁ!

キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!
アメリカを舞台に、宇宙飛行士一家の少年と彼の仲間、それに少年の祖父の話だから、てっきりアメリカ製アニメだと思っていたら、な、なんとスペイン製のCGアニメ。
なんでも、スペインのアカデミー賞と呼ばれるゴヤ賞の長編アニメーション賞を受賞した作品なんよね。

日本じゃ、ディズニーやアメリカ・メジャー映画会社のアニメばっかり劇場公開されて、それ以外の国のアニメ作品って、あまりお目にかかる機会が少ないし、スペイン・アニメってどんなもんじゃろ?と見てみることにしたんよ。

で、これが大人だって充分に楽しめる、
なかなか良くできたアニメだった。

登場キャラそれぞれに愛着がわいてくるし、アドベンチャー要素も満々、
でもって”家族が何よりも大事”というメッセージが無理なく、しっかりと描かれていて、
独り者の僕だって、家族っていいなぁなんて思わされ、じんわり心温まったじゃあ~りませんか!

タイトルの「キャプチャー・ザ・フラッグ」というのは、
互いに相手陣地の旗を奪い合う騎馬戦や棒倒しに似た野外ゲームのことで、
宇宙や月とあんまり関係なさそうな題名だなと思っていたら、
月に立てたアメリカ国旗を巡る分争奪戦がクライマックスとなり、なるほどなぁと納得。

12歳の少年マイクの父は宇宙飛行士で、祖父のフランクも元宇宙飛行士だったが、
父と祖父はなぜか絶縁状態で、祖父はマイクの家族に近づこうとしなかった。
ある日、億万長者カーソンが、大衆を前に「アポロの月面着陸はねつ造で、NASAの大ウソだ」とぶちまけ、
それの証拠映像を放映し、自分が月に行ってくると宣言した。
それを聞いた大統領は、カーソンに先んじてスペースシャトルで月に行くことを決定したが、
カーソンの悪巧みにより、そのシャトルに偶然入り込んでいたマイクと仲間のエイミー、
それにフランクを乗せたまま唐突に発射されてしまった。
実は、カーソンは、月にある最強エネルギー、ヘリウム3を独り占めにして、大儲けを企んでいたんだ!
そのために、月に立てられたアメリカ国旗を自分の会社の旗にすげ替えようとしていた…!

カーソンが見せる証拠映像というのが、
ルパート・グリント主演の「ムーン・ウォーカーズ」(15年)でも描かれた、
都市伝説にもなってる、スタンリー・キューブリック監督による月着陸ねつ造映像ってのがニンマリよ。
その映像に現れるキューブリックを、カーソンの会社の掃除婦夫が演じてるってところがムフフッやん。

監督のエンリケ・ガトは、13年に作った「タデオ・ジョーンズの冒険」でも、
ゴヤ賞長編アニメーション賞、新人監督賞をゲットし、大ヒットを飛ばしたらしいけど、
「キャプチャー・-」は、ストーリーが決してお子様向けだけではなく、
祖父が家を出て、父たちと絶縁した理由、そして健気に夫と義父を気づかうマイクの母など、
ドラマ的にも、ちょっぴり深みをプラスしていて、物語に豊かなのがいいんだなぁ。
90分少しの作品だけど、アニメならでは柔軟な映像展開に、メリハリの利いた演出テンポ。
スリルとユーモアの配分も文句ないし、娯楽のツボをしっかり押さえてるやん。

父と祖父の仲を何とか取り持とうとするマイク、少々お転婆なエイミー、
発明家の太っちょマーティ、それにマーティのペットで愛嬌たっぷりのトカゲのゴーグル。
各々のキャラが際立ち、それぞれにしっかり見せ場が用意されているのもいいやん。
特に、ゴーグルの活躍ぶりったら、ほんま拍手拍手よ!

しかしペットにトカゲをもってくるなんて、
アメリカン・アニメなら犬や猫が出てくるところだけに、
スペインならではって気がしたな。でもないか。

悪役カーソンは、極悪人ってところまではいかないけど、
金儲けしか頭にない、ちょい無慈悲で身勝手なワル・キャラが、
マンガチックに描写されていて、マイケルたちの敵としては、丁度いい感じ。

祖父フランクが、息子であるマイクの父を嫌う理由、
それをマイクに話して聞かせるところは、なんだか、ちょい共感させられたわぁ。
僕だって、もしそういう立場になったら、せっかくの宇宙飛行の夢が夢のまま終わってしまうのだから…。

製作には、NASAの宇宙飛行士が技術顧問として参加しているそうで、
スペースシャトルの細部や月の描写など、そこそこリアリティを感じさせるところもナイスやん。

ただ、この作品、アメリカを舞台にしているせいかスペイン色が、あまり感じられない。
アメリカ製アニメと言われたら、それを鵜呑みにしてしそう。
ちょい、スペイン色みたいなもんが漂っていたらなぁとも思ってしまいましたわさ。
ま、ガト監督が、インターナショナルな作品にしようと、
あえてスペイン色を出さなかったのかしれないけど。

いずれにしろ、個人的には満足満足のアニメーションであ~りました。
ガト監督の前作、インディ・ジョーンズを意識したような「タデオ・ジョーンズの冒険」も
見てみたいやんかいさぁ。

パラマウント 2016年7月6日レンタルリリース



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「カットバンク」(14年・アメリカ) 一つの殺人(?)事件が、次々と新たな犠牲者を生んでしまう、ド田舎スリラーやん!

カットバンク
「カットバンク」ってタイトルから銀行に絡んだ犯罪ドラマと思っていたら、”カットバンク”ってのは、アメリカで最も寒い街と言われているらしい、カナダに接したモンタナ州の小さな町の名前で、そこで起こる偽装殺人事件が発端のサスペンス映画だったやん。

主演が、話題のSF大作「インディペンデンスデイ:リサージェンス」のリアム・ヘイムズワース、脇を「RED」のジョン・マルコヴィッチ、「チョコレート」のビリー・ボブ・ソーントン、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のブルース・ダーンと、ベテラン名優が固めているのに、劇場未公開&ソフトスルーとはこれいかに?

なんでかな~と気になって見たんだけど、ヒネリの利いたストーリー展開で、それなりに楽しめる作品であ~りました。

何の刺激もない人口3000人の小さな町カットバンク。
そ町に住む若者ドゥエインは、恋人で町のミスコンにでるカサンドラを撮影していて、
偶然、郵便配達人ジョージーが何者かに射殺されるところを撮ってしまった。
そして、なぜかジョージーの死体と配達トラックが消えた。
ドゥエインは、警察官ボーゲルに証拠としてビデオを差し出すが、
実は、情報提供の懸賞金をあてにした、ドゥエインが企てた偽装殺人だった。
しかし、町一番の変人ダービーが、是が非でも受け取りたい小包を探し出そうとしたことから、
事態はとんでもないことに…。

オープニングに、ジョージーが配達する小包の一つ、
青いバッグが意味ありげに映し出されるんだけど、
最初はそのバッグの意味するところが明かされない。
やがて、ダービーの登場により、彼が必死で探していたものが、
そのバッグらしいと見ている側が気づかされる。でも、なぜそのバッグが必要なのか…。

監督は、テレビ畑で活躍していたマット・ジャクソンの劇場映画デビュー作だそうだけど、
なんていうか、ソツはないけど、味わい不足気味で、緊張感も薄いし、
いまいち、見ていてグッとくるものがないんよね。
物語のどこにポイントを置くか、途中でまごついてしまったみたいな感じ。

マルコヴィッチは、のんびりした平穏な街で起こった殺人現場のビデオを見て、
すぐ吐き気をもよおし、トイレでゲーゲー吐いてしまう、
誠実だが気弱な田舎警官を、微妙なさじ加減でサラリと演じているし、
ブルース・ダーンは、少々ぐうたらな喘息気味の郵便配達オヤジを、これまた、
ベテランらしく、力まず演じて見せてる。

でも、結局のところ、ダービーに扮したマイケル・スタールバーグが、一番印象深いのね。
めっちゃ度のきつい瓶底メガネをかけてて、全身から変人オーラを発散しまくりチヨコ。
「森で拾われた頭の足りない子」って町の人間に言われ、
ほとんど誰とも付き合わず、どこかに消えてしまったなんて思われてる男を、
スタールバーグは、軽いサイコ風味を匂わせつつ、実に陰気くささ満々に演じてる。
彼、コーエン兄弟のアカデミー作品賞にノミネートされた「シリアスマン」の主演で注目され、
「ブルージャスミン」「ヒューゴの不思議な発明」など話題作に出ていたらしいけど、
いままでは、そんなに印象に残らなかったな。
「カットバンク」じゃ、物語を引っ掻き回す重要な役柄ってのもあるけど、なかなか目立つやん。
これからは、彼の出演作、チェックしようかな。
「シリアスマン」も、見てみたいなぁ。ソフトが出ないやろか。

周囲を演技派やベテランに囲まれ、
ヘイムズワースは、主役のはずなのに、なんだかあまり目立たない。
寝たきりの父の世話をし、うだつのあがらない日々に、やりきれなさを感じ、
都会に憧れている男を、控えめに演じているって感じ。

カサンドラ役テリーサ・パーマーも、ミスコンで下手くそな歌を披露して優勝してしまうんだけど、
取り立てて見せ場がなく、ちょいもったいない扱い。

物語は、次々と犠牲者が出てしまい、どういう結末に持っていくのかなと見ていたら、
なんかな~、僕には、どうにも納得しかねるエンディング。
その結末に持っていくなら、カサンドラの頑固おやじ(ビリー・ボブ・ソーントン)と、
警官ボーゲルの関係や過去を、もう少し描くとかしなきゃダメよ、ダメよ、ダメなのよ~、
と思ってしまいましたわさ。

監督は、どうも、登場人物それぞれの背景を、すっ飛ばし過ぎたような、そんな気がするな。

残念とまではいかないけど、良い役者を揃えたまではいいが、
素材は良いのに、料理の味付けを微妙にしそこなった、そんな映画であ~りました。
退屈はしないんだけどね。

ミッドシップ 2016年7月2日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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