「カジュアル・ベイカンシー 突然の空席」(15年・イギリス) 「ハリー・ポッター」のJ.K.ローリングの大人向け小説のTVドラマ化でおまんにやわ!

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席
「ハリー・ポッター」の70年前を舞台にした新シリーズの1本目「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」が現在公開中だけど、その脚本も担当した「ハリー・ポッター」の生みの親J.K.ローリングが、大人向けに書いた小説をTVドラマ化したのが、この「カジュアル・ベイカンシー 突然の空席」。

J.K.ローリング原作なのに、あまり話題にもされず、「ファンタスティック-」の公開に便乗してオマケ扱いでリリースされたみたいだけど、ま、確かに日本じゃ原作小説もそれほど話題になっていないみたい(と思う)だし仕方ないか。

話は、イギリス郊外の田舎町を舞台に、ある人物の突然の死によって、そこに住む人間たちに及ぼしていく様々な出来事を描いた群像劇で、穏やかなタッチでストーリーが展開するのに、最後にググッときてしまう、不思議な味わいを持ったドラマやったやん。

美しい田園風景が広がる田舎町パグフォード。
町の自治組織議会議員を務める、住人からの人望の厚い弁護士のバリーが突然死し、
自治組織議会に空席ができ、補欠選挙が行われることになった。
議長のハワードは、息子でバリーの弁護士仲間だったマイルズを無理矢理に出馬させる。
低所得者層のための救貧院をリゾート施設に作り変えようと考えているハワードに対抗するため、
議員で医師のバーミンダーやテッサは、テッサの夫で中等学校の副校長コリンを立候補させる。
バリーの弟で工場労働者のサイモンも、議員になればワイロがゲットできると、よこしまな考えから出馬。
そんな折、亡きバリーの幽霊サイトが何者かによって立ち上げられ、
住人達の秘密が次々と暴露されていった…。

全3話・3時間のTVドラマだけど、
登場キャラが20人以上に及び、馴染みのない俳優が多いせいもあり、
最初は各々の人間関係を把握するのに、ちょっと戸惑ってしまったわ。
原作小説では、もっと登場キャラが多く、それを整理し、
もう少し判りやすくされているみたいなんだけど。

マイルズは、父ハワードと母シャーリーの言いなり状態で、
40過ぎにもなって親に反発できない彼を疎ましく思いながらも愛している妻サマンサ。
当然、サマンサはシャーリーと犬猿の仲で、なにかにつけて対立している。

バリーとはソリが合わなかったサイモンは、
家では暴君で息子ポールにいつも辛くあたっていた。
幽霊サイトで隠し事を暴露されると、うろたえて…。
そして彼の行為が、とんでもない結果に…。

そして、低所得者層エリアに住んでいるクリスタル。
ヘロイン中毒の母テリーに悩まされながら、
幼い弟ロビーの面倒をよくみていて、
生前のバリーからは、彼から何かと援助してもらい将来を前向きに考えていた。

登場キャラそれぞれの特徴が、軽くはあるけど端的に描写されていて、
中でも、クリスタルの比重が、後半は大きなものになってくる。
風貌からして役柄にナイスマッチするような俳優がキャスティングされていて、
あまり混乱しないよう作られているのもナイスかな。

アメリカドラマなら、もっと展開にメリハリをつけてパンチを利かせるところだけど、
あえて穏やか、かつ軽やかに描いていくところが、最初は物足りなく思えるんだけど、
何ていうか、じんわりと人間味みたいなものを感じさせ、これはこれで“あり”かなとも思えてしまう。
実際、話はへヴィーな部分も結構あるんだけど、そういうのって見ていて辛くなってくるし。
ま、劇場映画とちがってTVドラマってことで、こういうタッチにしたのかも。

それでも、ラストに起こる悲しい出来事(これの伏線の張り方がニクイやないの)のあと、
ある決断をして前に進む人間もいれば、失望のどん底に陥る人間もいる、
人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろと、島倉千代子の歌を思い出してしまいましたわさ。

しかし、知名度がある俳優が、
「ハリー・ポッター」シリーズでダンブルドア校長役のマイケル・ガンボンぐらいで、
後は、ダニエル・クレイグ版「007」シリーズの脇役ロリー・キニアなど地味な役者だらけ。
でも、それぞれ印象に残る演技を見せていて、
なかでもクリスタルを演じた若手俳優アビゲイル・ローリーが、
やさぐれているのに心優しさを内に秘めた少女を、
実にナチュラルに演じていて、特に印象深かったやん。

もう一人、ハワードの妻シャーリーを演じたジュリア・マッケンジー。
物腰柔らかで上品なたたずまいなのに、気位ばかり高い性格クソな高慢ちき老女を、
こんなバアさんいてそうやんと思わせるリアリティさを持って、さらりと好演。
彼女、ネットで調べたらTVシリーズ「ミス・マーブル」のマーブルを演じたこともあったんだ。
本作じゃ嫌われ役ながら、ベテランらしい確かな演技で、上手いやんかいさぁと思ってしまったわ。

このドラマ、物語もさることながら、俳優たちの演技合戦を楽しむってのも見方としてありかもしれないな。

ワーナーブラザース ホームエンタテイメント 2016年11月2日レンタル&セル・リリース



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「ペーパーマン」(09年・アメリカ) 売れない中年作家のイマジナリー・フレンド(空想の友達)はスーパーヒーローってか!?

ペーパーマン
洋画で、あまり知名度がなかった俳優の出演作が大ヒットしたら、ソフト業界じゃ、その俳優の過去の出演作をお蔵出しとでも言うのか、以前の出演作がリリースされるってことがよくある。
エロティック・ミステリー「氷の微笑」(92)がヒットした時も、これで一躍人気スターになったシャロン・ストーンの過去作品「シザーズ/氷の誘惑」(90)ってのが出たことがあったしさ。

この「ペーパーマン」も、7年前の作品ながら、世界的に大ヒットしたアメコミ・ムービー「デッドプール」に主演したライアン・レイノルズが、主人公のイマジナリー・フレンド(空想の友達)を演じていたおかげでソフトリリースされたんだと思うな。
ジャケットからして、レイノルズがスパーマンの安い焼き直しみたいな扮装の写真使ってるもんね。

この手のお蔵出しムービーって、ヒット作にあやかってセールスしているのが見え見えで、
作品自体はなんだかな~ってのが多いんだけど、ヒーローものって好きだし、
コメディ要素もあるようなのでレンタルしてみたんよね。

売れない作家リチャードは、
スランプ気味ながら、それを克服して2冊目の本に取り掛かるために
妻の勧めで、海辺のコテージでしばらく滞在ことにした。
一人っ子として育った彼には、
8歳の時から40年以上になるイマジナリー・フレンド、“キャプテン・エクセレント”がいて、
何かにつけ、彼に悩み事を聞いてもらっていた。
ある日、ママチャリで街に出かけたとき、地元の17歳の少女アビーに出合う。
なぜか彼女に興味を抱いたリチャードは、ベビーシッターを頼みたいともちかけ、
それから毎週金曜日に、彼女がコテージに来るようになったが…。

リチャードは、一人っ子だったゆえに、孤独感からイマジナリー・フレンドを作り出したけど、
アビーも、悲しい過去ゆえに、リチャードと同様に…。

本作、ヒーロー的要素もコミカルな要素もあまりなくって、
自分に自信が持てなかった中年男と少女の間に、奇妙な友情みたいなものが芽生え、
お互いが、今の状況から一歩前に踏み出し、生まれ変わろうとする姿を、
イマジナリー・フレンドを絡めて、穏やかに見つめたヒューマン・ドラマやった。

監督・脚本は、「この森で、天使はバスを降りた」(96)などに出ていた俳優キーラン・マローニーと
彼の奥さんミシェル・マローニー。
絶滅した鳥ヒースヘン(ニューイングランドソウゲンライチョウ )の話や折り紙の白鳥など、
“鳥”が主人公二人の心情と行動にオーバーラップするように上手に使われているな。

キーランにとっちゃ初監督となる作品のようで、映像展開にぎこちないところもあるけど、
ちょっと寒々としたロングアイランドの風景の中、ほんのりハートウォーミングなエンディングが、
なんだか、ポワポワッと気分を温かくしてくちゃうやん。

リチャードに扮しているのは、「イカとクジラ」「ブラッド・ワーク」「ジム・キャリーはMr.ダマー」と、
シリアスからコメディまで、なんでもこなすベテラン、ジェフ・ダニエルズ。
なんか頼りなげで“大人になりきれない大人”って感じを、うまく出しているな。

ジェフより強い印象なのが、アビー役のエマ・ストーン。
物語の半ばで、心の傷となった幼い頃の悲しい出来事をリチャードに話すんだけど、
「幼すぎて、未来があることを知らなかった」ってセリフ、切な過ぎるわ~。
憂いをたたえた彼女の表情、なんとも愛おしくなってくるやんかいさぁ!

そして、セールスポイントでもあるライアン・レイノルズの“キャプテン・エクセレント”。
主人公にもっと絡んでくるかと思いきや、リチャードの悩みの“聞き役”に徹していて、
「現実と向き合えるまでは付きまとってやる」と言い放って、ちょこちょこ現れよるだけ。
ヒーローの恰好なのは、リチャードが8歳のころにコミックからヒントを得て作り出した
イマジナリー・フレンドからだろうな、多分。

レイノルズより、マコーレー・カルキンの弟キーラン・カルキンのほうが、
キャラのせいもあるけど味のある良い演技してたわさ。

ところでイマジナリー・フレンドが登場する映画で思い出すのが、
フィービー・ケーツ主演のファンタジー・コメディ「私の彼は問題児(ドドンパ)」(91)。
夫に浮気された若妻が、舞い戻った実家で幼い頃に作り出した想像の友達と20年ぶりに再会するって話で、
なかなか楽しい映画だった。
DVDをもってるハズだから、探して、また見てみようっと!


ギャガ 2016年10月5日レンタル&11月2日セル・リリース



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「クランプス 魔物の儀式」(15年・アメリカ) 伝説の魔物がクリスマスに子供たちを襲っちゃうダーク・ホラーファンタジーでおまんにやわ!

クランプス 魔物の儀式
もうすぐハロウィーンだけど、ハロウィーンを扱った映画に「ブライン・シンガーのトリック・オア・トリート」(08)って、DVDスルーながら良く出来た作品があって、僕のお気に入りの1本なんだけど、その作品の監督マイケル・ドハディの新作がこの「クランプス 魔物の儀式」。
なんでもアメリカじゃ初登場第2位を記録したヒット作らしいんだけど、「ブライアン・シンガーのトリック・オア・-」に続いて、今作もDVD&ブルーレイ・ソフトスルー。
ま、それはともかくドハディ作品ってことで、期待満々見たんよね。

でこれが、ドハディの前作同様、ユーモアとホラーを上手にブレンドしたダーク・ファンタジーに仕上がっていて、個人的にはなかなか満足できたやん。
少年が主人公ってこともあって、前作ほどのホラー色は薄いと思いきや、後半はホラー風味全開ってのもウレシカルカルよ!

クリスマスは、母サラの妹一家がやってきて一緒に過ごすのが恒例の少年マックスの家族。
でも、マックスは妹一家のいじわるな従姉弟(いとこ)たちとはちっともソリが合わない。
食事の席で、マックスがサンタへの願い事を書いた手紙を従姉弟に取られ、
みんなの前で読み上げられてバカにされたことから、怒りと失意で、手紙を破り捨ててしまった!
すると、翌日に豪雪が降り積もり、そのうえ停電し、家に閉じ込められた状態に…。
そして、姉のベスやいとこ達が次々と何かに襲われて姿を消していった…。

オープニングで、映画会社ユニバーサルや制作プロダクションのロゴが凍った状態で出てくるのが、
これからダーク・ファンタジーの始まりですって宣言しているみたいで、なんかムフフとさせられる。
そして続くクレジットタイトルのバックじゃ、クリスマス商戦で客が押しかけるデパート売り場の状況を、
親たちが商品を取り合ったり、混雑ぶりをちょい皮肉っぽく描写。

マイケル・ドハディ監督は、本作の脚本も書いてるけど、
マックスの父トムの母オミが普段は母国語のドイツ語(と思うんだけど)しかしゃべらなかったり、
平凡なファミリーとはどこか異質な匂いをちょこちょこ漂わせていて、
知らず知らずのうちにファンタジーの世界に誘い込んでいくようなタッチがなんか良い感じ。

マックスがサンタへの手紙を破り捨てたことで、
悪い子に罰を与えるという、ヨーロッパ中部の伝説の魔物が現れ襲ってくるってことなんだけど、
確かに、従姉弟たちはフテブテしくってイジワルで悪い子っぽいけど、
最初に襲われるのがマックスの姉ベスってのは、どうなんじゃろ?
ま、家族のことより彼氏に会うのを優先したってことはあるけどさぁ。

なんかクランプスの出現する理由が、ちょっと弱いって気もするけど、
それを補強する(?)のが、マックスの祖母オミの少女の頃の身の上話。
ここは、立体感のあるモノトーンのCGアニメで描かれ、ファンタジー色がより濃厚に。
ドハディは、元アニメーターらしいけど、その手腕をビンビンに発揮したみたい。

そして、クランプスの手下らしき人形の形のクッキーが、釘打ち機を連射したり、
ぬいぐるみのクマが凶暴な牙をむいたり、次々と家族に襲いかかってくる!

そんな魔物たちとマックスたちの攻防戦は、血こそ出ないけど、パンチが利いていて、
なかなかスリリングだし、ダークなのにポップなアクション・ホラーを見ているって感じ。
ちょっとジョー・ダンテ作品「グレムリン」を思い出したわさ。

最後に、クランプスがその姿を現すんだが、ほんとに不気味このうえない。
マックスもとうとうクランプスに捕まえられ、そして…。

ファミリー向けのホラー・ファンタジーなら、ラストはめでたしめでたしとなるところなんだが…。
ドハディさん、ニクイやんかいさぁ。

母親サラ役は、最近はママさん役ならお任せって気もするオーストラリア出身のトニ・コレット。
僕は、彼女が母国で主演した「ミュリエルの結婚」(94)が大好きなんだけど、
「リトル・ミス・サンシャイン」「ヘンリー・アンド・ザ・ファミリー」と、
どうも最近は、ママさん役で印象に残ることが多い女優さんみたい。
「シックス・センス」でも、ハーレイ・ジョエル・オスメントのママを演じていたし。
どこか普通の生活の匂いを感じさせるからかもね。

物語の肝となる祖母のオミに扮しているのは、
42年生まれのオーストリアのウィーン出身のアクトレス。
初めて見る女優さんだけど、ベテランらしい年季の入った演技で、抜群の存在感。
クランプスがヨーロッパ中部の伝説の魔物ってイメージに説得力を持たせるために、
ドハディ監督、わざわざ彼女に出演してもらったんじゃないかな。

マックス役は、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」でジョン・ファブローの息子を
演じていた(と思うんだけど)エムジェイ・アンソニー。
主人公の割には、周りの大人たちの出番が多くて、ちょいかすみがちで、
たいして活躍もしないけど、出しゃばらず控えめに、そつなく役柄をこなしてるって感じかな。

本作は、ユニバーサル絶叫シリーズの1本としてリリースされたんだけど、
絶叫とはいかないけど、娯楽作としちゃ充分に楽しめる作品であ~りました、ほんまにね。

NBCユニバーサル 2016年10月5日レンタル&セル・リリース



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「ソムニア -悪夢の少年-」(16年・アメリカ) ちょい切なくて温かい、ホラー風味のダーク・ファンタジーでおまんにやわ!

ソムニア -悪夢の少年-
悪夢を扱ったホラー映画と言えば、眠ると殺人鬼フレディに襲われる悪夢世界におちいり、夢の中なのに本当に殺されてしまう「エルム街の悪夢」をまず思い浮かべてしまうけど、はたしてこの未公開ホラーじゃどんな悪夢が登場するのか!

「ソムニア -悪夢の少年-」って邦題から、少年が恐怖の悪夢体験をする話かなと思って見たんだけど、意外や意外、ちょい切なくてヒューマンな味わいもあるダーク・ファンタジーで、ラストじゃちょいウルッときてしもたやん。

愛する息子ショーンを亡くしたジェシーとマークの夫婦。
二人は悲しみから立ち直ろうと、8歳の少年コーディを里子として迎え入れることにした。
おとなしくて礼儀正しいコーディだったが、
彼は、なぜか眠りにつこうとせす、蝶の図鑑を眺めて夜を過ごすのだった。
そんなある夜、ジェシーとマークがリビングでくつろいでいると、
突然目の前に、色鮮やかな蝶たちが現れ、二人の周囲を飛び交った。
次の夜には亡くなったはずのショーンまで現れた。
驚きよりは嬉しさのあまり息子を抱きしめるジェシーだったが、
その姿はカスミのようにすぐに消えてしまった。
そして、起きてきたコーディが「ごめんなさい、僕が夢を見たから」と二人に告げた…。

冒頭、スヤスヤと眠る少年コーディの前に男が凶器を持って現れ、彼を手にかけようとするが…
ってな、いかにもホラー映画のオープニングっぽい場面で始まり、
いったい少年にどんな邪悪な魂が潜んでいるのかと興味をわかせ、ツカミはOK。

そしてジェシーたちの家で起こる不可思議な現象が描かれていくんだけど、
どうもホラーじみたエグイ描写は避けているみたいで、飛びかう蝶や死んだ少年の愛くるしい笑顔など、
なんとも幻想的でファンタジック。

と思って見ていたら、突如、不気味で禍々しい怪物らしきものが現れ、ジェシーの夫マークを…。

適度にホラーっぽい描写を交えながら、
物語は、特別な能力を持つがゆえの少年の心の闇と哀しみを、
じんわりと描き出していくんよ。

コーディが、怪物をキャンカーマンと呼ぶんだけど、
その名前にも、切ない理由があったりして…。
また、蝶が現れる理由も。

映画「シックス・センス」じゃ、
8歳の少年コールは、死んだ人間を見ることができる能力に悩んでいたけど、
本作のコーディもコール同様、ある能力を持ったゆえに悩んでいる。

監督・脚本のマイク・フラナガンは、
「人喰いトンネル」(10)「オキュラス/怨霊鏡」(13)と、ホラー中心に撮ってる人みたいだけど、
「ソムニア-」じゃ、ホラー要素は控えめに、ジェシーとコーディの心情にスポットをあて、
肉親を失ってしまった人間の悲しみゆえの行動を、
最後に心温まる(!?)ダーク・ファンタジーとして、手際よく描いて見せてるな。
ただ、里子を紹介するソーシャルワーカーの女性や学校のイジメっ子など、
多少描写不足気味なところもあるけど。

コーディに扮しているのが、第88回アカデミー賞で作品賞などにノミネートされた「エール」で、
ヒロインの息子を演じていたジェイコブ・トレンブレイ。
自分の特別な能力に悩み怖れながらも、誰かを傷つけてしまう少年を、
とてもナチュラルに演じていて、物語に説得力を与えているなあ。
放送映画批評家協会賞で若手俳優賞をゲットしたのも納得の演技よ、ほんまに。

ジェシー役ケイト・ボズワースは、
最初は少年コーディの能力を身勝手な理由で使おうとするけど、
その過ちに気付き、彼の出生の秘密を探り、心の闇を解きほぐしていこうとするヒロインを好演。
「スーパーマン・リターンズ」(06)じゃロイス・レインを演じるなどスター女優になりそうなのに、
なんかいまいち地味な感じ。演技力はあるんだけど、華に欠けるのかなぁ。

ところでジェイコブ君は、「エール」で、アメリカじゃ天才子役なんて言われて、
今後も出演作が続々あるみたいだけど、誰かさんみたいにヒン曲がったり落ちぶれたりせず、
俳優として順調に成長していって欲しいな、なんて老婆心ながら、思ってしまいましたわさ。

ギャガ 2016年9月16日レンタル&セル・リリース



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「ザ・サムライ/荒野の珍道中」(74年・イタリア) 詐欺師と保安官と日米ハーフ足軽トリオが繰り広げるオバカ・マカロニ・ウエスタンやんかいさぁ!

マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション・12   ザ・サムライ 荒野の珍道中

今年の4月から朝日新聞出版が発売開始した分冊百科のひとつ、
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」シリーズ。
隔週で2作品セットで発売されていて、気になる作品があったら購入しているんだけど、
先週買ったのが「ザ・サムライ/荒野の珍道中」「帰って来たガンマン」の2作品収録の12号。

僕の好きな「続・荒野の用心棒」(66年)「殺しが静かにやって来る」(68年)のセルジオ・コルブッチが
最後に撮ったマロニ・ウエスタンが「ザ・サムライ/荒野の珍道中」で、
それも「続・荒野-」や「殺しが静かに-」と違ってオバカ・コメディ・ウエスタン。

日本じゃ劇場未公開となり、80年代にビデオが発売されたらしいけど、
それが今年、HDリマスター版でDVDリリース。
めっちゃ笑える、チョー・オモシロ・バカ・ウエスタンって記事をいろんなネット・ブログで目にし、
見たいなあと思っていたけど、DISCASでもレンタルされていないし、買うのもなあと思っていたら、
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」シリーズの1本として発売。
2作品で1900円ちょっとと安いし、迷わず買ってしもたんよね。

で、見たんだけど、名作・傑作とは言えないけど、
ほんまに底抜けにノーテンキでオバカこのうえない、楽しさ満々の作品だった。
とにかく日米ハーフの足軽・サクラのアホ・キャラがサイコーに笑わしよるんよ。

日本人移民のため、アメリカ大統領に神聖な仔馬シン・ミを献上するため、
列車で運んでいたサムライとシン・ミのフンの世話役(足軽)のサクラ。
だが、アパッチに襲撃され、サムライは命を落とし、シン・ミが誘拐されてしまった。
そして、アパッチたちは、仔馬の身代金100万ドルを要求してきた。
保安官ブラック・ジャックが身代金を運ぶ役目についたが、
たまたま列車に乗り合わせていた詐欺師スイス・チーズは、
ブラックに逮捕されるが、身代金をせしめようと脱出し、彼の後を追った。
サクラも、命より大事なシン・ミ様を取り戻すべく、ブラックと合流した。
そして、いろいろあって3人の珍道中が始まった…。

本作、なんでも三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンが共演した
西部劇「レッド・サン」(71年)のパロディとして作られたんだそう。
「レッド・サン」じゃ、合衆国大統領に贈るのは「宝刀」だったけど、
有難みがあるのかどうか、こっちは「仔馬」(ポニー)。
頭の毛をちょこんと結んで立ててるのが、ちっとも神聖ぽくないのね。

サクラは、米国兵士と日本の遊女の間に生まれたハーフなんだけど、
口の上の両端にチョコンと髭をたくわえ、雑なオカッパに団子を乗っけたような珍妙なヘアスタイルで、
風貌からして、どうにもこうにもヘンテコリン。
武士に憧れ、日本にいるときは「東京のサムライ学校に行きたかった」と
ワケのわからんこと言いよる。
とにかく、この映画の侍(さむらい)のイメージは、時代背景もそうだけど、かなりデタラメ。
でも、助けられた相手に対する恩義を重んじるなど、武士道精神はそこそこある。
演じるは、「ガンマン大連合」の陽気なキャラから、「情無用のジャンゴ」のニヒル・キャラまで、
マカロニ・ウエスタンじゃ、なんでもこなすトーマス・ミリアン。
ハンサムなのに、ほとんど本人とは分からないメイクで、ケッタイな日米ハーフを珍演。
こんな日本人キャラは日本じゃ絶対に受けないと劇場未公開になったのかもね。

詐欺師スイス・チーズに扮するは、
マカロニ・ウエスタンの貴公子なんて称されてるジュリアーノ・ジェンマ。
僕は、あまり好きな俳優じゃなかったんだけど、
本作じゃ、ニクメないヒョウキンな詐欺師を軽やかに演じていて、ちょい好感が持てたな。

そして、堅物の保安官ブラック・ジャック役は、「続・夕陽のガンマン/地獄の決闘」(66)で
ずる賢い悪党を演じて強い印象を残した、ちょいシブ親父、アメリカ俳優イーライ・ウォラック。
本作じゃ、どう見てもブサイクな女装姿を楽しくなさげに披露してる。

とにかく、それぞれのキャラが際立ち、
互いに出し抜きあう3人のヘンなトリオっぷりが、実に楽しい。

コルブッチは今までのマカロニ・ウエスタンに飽き飽きしたのか、
オバカ路線を突っ走り、次から次とアホなギャグを連発しまくりチヨコ。
ベタなものから突拍子もないものまで、ギャグはてんこ盛りだけど、
本作を未見のひとのために、あまりギャグのことは言わないでおこうかな。
ただ、ストーリーは意外にキッチリしていて、
シン・ミ誘拐のアパッチたちが実は…、誘拐事件の裏に隠された企みとは…など、
最初は、行き当たりばったり的展開に見えて、後半に意外な事実が明るみになり、
なるほど、そういう事だったのかと納得させられるやん。

単なるオバカ・ウエスタンに見えて、
さすがコルブッチ、押さえるところはキッチリ押さえている。

ただ悪党キャラが少々弱いかな。なんか安っぽいんよね。

それと、収録されているのがアメリカ版で、
イタリア版オープニングがカットされているらしく、
カット部分が、唐突なラストの伏線となっているらしいのね。
ま、なくっても、あまり気にならないような気がするけど。

しかし、このサクラは、何度でも見たくなってくるなぁ。
僕の好きな映画の中の個性キャラのうちでもナンバー3に入るくらい強烈やったわぁ!

朝日新聞出版 2016年9月15日発売 1843円(税別)



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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