「ミッドナイト・スペシャル」(15年・アメリカ/ギリシャ) 不思議な能力をもつ少年と彼の両親が織りなす、優しくて切ないSFミステリー!

ミッドナイト・スペシャル
「ミッドナイト・スペシャル」って、深夜テレビの安いバラエティ番組のタイトルみたいで、見ようか見まいか迷ったんだけど、TSUTAYAが出してるフリーの月刊マガジン3月号で、注目の話題作として取り上げていたので、それなら見てみようかとレンタルしたんよ。

ま、TSUTAYAマガジンのお勧め作品って、ちょうちん記事っぽいのもあり、記事にノセられて借りたらガックリクリクリ・クリクッリ!ってこともしばしば。
特に劇場未公開作の場合は、ネットでもあまり紹介記事を目にすることがないし、作品を見てみるまでは期待感と共に不安感もあるんよね。

そんな数少ない劇場未公開作の紹介記事サイトで、僕がけっこう参考にさせてもらっているのが、前にもこのブログで書いたけど、レンタル店で働いているらしい人が運営しているブログ「[SAMPLE]ビデオながら見日記」。
お客の立場を考えて、主観も交えながら作品を紹介しているところに好感が持てるんよ。

ま、それはさておき、この「ミッドナイト・スペシャッル」(原題も「MIDNIGHT SPECIAL」とまんまだった)、
今どきのSFものにしては、CGを多用することもなく、ドラマ要素に重点を置いた作りで、
じんわりと心におだやかな余韻を残す、実に気持ちの良い作品だった。

カルト教団の師カルヴィンの養子である不思議な能力を持つ8歳の少年アルトンは、
実の父ロイと彼の親友ルーカスと共に、教団から脱出し、ある目的地に向かうため、逃亡を続けていた。
アルトンの能力を救世主として利用していたカルト教団は、彼を取り戻そうと追っ手を差し向け、
また、アルトンの発する言葉が国家の機密情報に触れたことから、政府もアルトンの行方を追っていた。
逃亡の途中、実の母サラも合流し、目的地に近づきつつあったとき、
アルトンはなぜか衰弱していき、追っ手もすごそばまで近づいてきていた…。

物語の背景がかなり端折られていて、
ストーリーが少々解りづらいところがあり、最初はちょっと戸惑ってしまうんだけど、
やがて、不思議な能力もつ少年と父と母の家族の絆に焦点が絞られていき、
いつの間にか、愛する息子へそそぐ揺るぎない愛の姿が、じんわりと浮かび上がってくるんだ。

未見の人のために、ネタバレになるから、あまり詳しくは書かないけど、
アルトンが、なぜゴーグルで目を隠し、夜にしか行動できないのか?
彼の持つ能力は、どこから授かったものなのか?
アルトンたちが向かう目的地には何があるのか?
様々な?がクライマックスで明らかになるところは、なるほどそうだったのねぇと納得、納得。

監督・脚本のジェフ・ニコルズは、インディペンデント系の作家らしいんだけど、
エンタメ要素をちょろちょろっと散りばめながら、人間ドラマを軸に据えた作品を目指したみたい。
だから、今どきのSFと言っても、派手な見せ場連発ってことはない。
それゆえに劇場未公開となったのかもしれない。
特典映像で、監督は1980年代のSF映画チックなものを目指したって言ってるけど、
クライマックスは、確かにそんなテイストを感じとれるな。
また、主要な登場人物の心理描写に無駄がなく、
さりげない言葉や行動の端々から、それぞれの心情がくみ取れるような演出はなかなか。
あまり説明過多にならず、映画を見ている者に、
いろいろと想像する余地を残しているのも、個人的にはナイス。

ロイ役のマイケル・シャノンは、ニコルズ作品「テイク・シェルター」(11)「MUD マッド」(12)と、
ニコルズ作品の常連アクターだけど、目力(めじから)が強くって、少々アクの強い顔立ちだが、
息子のために、何が何でも突き進でいく愛情あふれる父親を、説得力たっぷりに好演。
ときおり垣間見せる優しい笑顔が、またいいんだ。

親友のルーカス役は、「ブラック・スキャンダル」「エクソダス:神と王」のジヨエル・エドガートン。
彼、15年にスリラー「ザ・ギフト」で監督デビュー(脚本も兼ねてる)を果たしているけど、
演出手腕もなかなかで、物語の肝となる主人公の幼馴染を不穏な不気味さを漂わせ、
淡々と演じていて、結構面白かった。

意外だったのが、国家安全保障局の局員ポール役で、
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(15)でカイロ・レンに扮したアダム・ドライバーが
ちょいユーモラスで味のある演技を見せていたこと。
「スター・ウォーズ・フォース-」のときはいまいち好感を持てなかったけど、
このポールは、なんか親しみが湧いたなあ。

他に、母サラにキルステン・ダンスト、カルト教団・教祖にサム・シェパード。

そして、物語のキーとなるアルトン役ジェイデン・リーベラー。
ごく普通のあどけない少年のようでいて、どこか人間離れした存在を、
とてもナチュラルに演じていて、彼なくしては、この映画が成立しなかったんじゃないと思うくらい。

とにかく、派手なSF映画を期待するとサービス不足で肩すかしを食っちゃう作品で、
見た人の好き嫌いが分かれそうだけど、僕は、なかなか気にいったし、
また見直したいと思ってしまったやん、ほんまに。

ちょっと気になったのが、エンドクレジットで流れるカントリー曲。
意外な選曲やないのと思ったけど、歌詞に意味があるんかなぁ。
訳詞の字幕が出なかったので、ちょっとモヤモヤしてしまいましたわさ。


ワーナーブラザース ホームエンターテイメント 2017年3月8日リリース



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「DRAGON ドラゴン」(15年・ロシア) 可憐な花嫁と謎めいた青年、そして“ドラゴン”のピュアなラブ・ファンタジーやん!

DRAGONドラゴン
モンスターが登場するSF映画やファンタジー映画が好きでよく見るんだけど、CG技術で楽チンにモンスターをクリエイトできる昨今、劇場未公開のモンスター登場作品も増えているみたい。
でも、未公開作の場合、基本的に低予算の作品が多いせいか、しょぼいCGで作られたモンスターは下手くそな演出も相まって、迫力不足もいいところだし、薄っぺらくてガックリクリクリ・クリックリってのがほとんど。
話も、人間たちがそんなモンスターたちに襲われ、逃げまどい、最後は反撃に出るという、ありがちな展開。
だから、劇場未公開のモンスター登場系作品って、ここのところ避けてきたんだけど、このロシア映画「DRAGON ドラゴン」は、近くのTSUTAYAの店じゃ、ファンタジー・ジャンルでずっと上位の人気だったので、レンタル・リリースが去年の9月だったけど、ちょっと気になりレンタルしたんよ。

で、これが良い意味で予想を裏切る、なんともファンタジック&ビューティフル、
フォークロアな味付けもベリーグッドな上出来のロシアン・ムービーだったやん。

昔々の物語。
ロシア辺境の小さな国の侯爵の娘ミラは、
ドラゴン退治をした英雄の孫イーゴリの花嫁になろうという日に
いなくなったと思われていたドラゴンが突如現れ、さらわれてしまった。
そして遠い海の孤島の穴倉に閉じ込められるが、
そこで彼女と同じように囚われの身だという謎めいた青年に出合う。
なんとか穴倉から脱出したミラは、青年の行動に怪しさを感じ取り、
彼から逃げようとして、崖から真っ逆さまに落ちてしまう。
だが、青年がとっさに飛び降り、人間からドラゴンの姿となって…。

真の姿はドラゴンだが、人間になりたいと願う青年。
そんな彼に、最初は恐怖を覚え、孤島からの脱出を必死に試みるミラが、
徐々に青年と心を通わせ、彼に“夢”という意味のアルマンと名前を与えるなど、
2人が親密になっていく様子が丁寧に描かれてるな。

舞台が孤島に移ってからは、
青年=ドラゴンとミラの二人だけの話になるんだけど、
ミラを演じるアリョーナ・チェーホフの可憐にしてキュートな魅力と、
柔軟な演出センスでちっともダレることはない。

監督は、アメリカ映画界に進出し「ウォンテッド」などを撮った「ナイト・ウォッチ」の
ティムール・ベクマンベトフの作品に携わったインダル・ドジェンドゥバヴ。
タイの伝統的な影絵チックなもので英雄のドラゴン退治の様を見せたり、
どこか民話風なニュアンスを漂わせながら、ドラゴンや奇抜な孤島の景観など、
CG映像のレベルも高く、すんなりとファンジーの世界にいざなってくれるやん。
ロシアの民族衣装も美しいし、どこか牧歌的でロマンティックな音楽もグッド・グッドよ。

最初は、ドラゴンvs乙女のバトル・ムービーかと思っていたら、
「美女と野獣」チックなピュアなラブ・ストーリー。
女性に触れると、ドラゴンの性(さが)から逃れることができず、
愛しはじめたサラを襲い殺してしまいそうと悩むアルマン。
そんな彼を心から愛しく思うミラは、彼の気持ちを察し、
一人小舟に乗って孤島から離れていく。
そして、無事、国に戻ったミラは、再度イーゴリと結婚式をあげようとするが…。

人間は、愛する人には花を贈るのが普通とか、
アルマンがミラを喜ばせようと夜空に花火を打ち上げたり、
オッサンが見るには、少々こっつ恥ずかしいような場面もあるけど、
不思議に、すんなりとヒロインに感情移入してしまうし、
心地よいエンディングには、めっちゃ心が和んでしもたわぁ。

ミラ役のアリョーナさんは、
ロシア国内でも人気上昇中の女優だそうだけど、
見た目が可憐なのに少々勝ち気で、自分の運命を自分で切り開いていくヒロインを、
存在感たっぷりに演じ、現代感覚もあり、作品にちょいモダンな味わいをプラスしているかな。
だから、いにしえの民話風ファンタジーなのに、あまり古臭いって印象はないな。
ファンになってしもたわ。彼女の出演作、他にあるなら見たいやんかいさぁ。
ドラゴンの化身・アルマン役も、
ニューヨークで一流誌のモデル経験もあるマドヴェイ・ルィコヴってのも、
モダン風味に貢献してるやん。

ただ、ちょっと残念に思ったのが、
アルマンの孤島でのお友達、アライグマとネズミを掛け合わせたようなミニ・モンスターが、
添え物的で、主人公たちにあまり絡まず、
せっかく登場させたのにもったいないやんと思ったこと。
これがアメリカ映画、とくにディズニー映画なら、もう少し目立つ活躍をさせて、
物語に弾みをつけるところだけどね。

いずれにしろ、モンスターであるドラゴン系作品の異色ラブ・ファンタジーとしちゃ、
充分楽しめる作品であ~りました、ほんまに。

KANの歌じゃないけど、最後に愛勝つのよねぇ~。


インターフィルム 2016年9月2日リリース



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「イーグル・ジャンプ」(16年・イギリス/ドイツ/アメリカ) オリンピック選手を夢見る近眼&運動能力ペケポンの青年の熱意にフレー、フレーしてしもたやん!

イーグル・ジャンプ
僕はスポーツがあまり得意でないせいもあり、スポーツ映画ってのにあまり興味をもてないんよね。
だから、スポーツがテーマの作品って、そんなに食指が動かないんだけど、この「イーグル・ジャンプ」は、僕の好きな映画「キック・アス」の監督マシュー・ボーンが製作を務めたってのにちょい興味を抱き、宅配レンタル・DISCASになんとなく予約してしまい見てしまった。

で、これがなかなかのヒット!
よくあるスぽ根ドラマと思いきや、ケラケラ笑えて、でもって元気がもらえるナイス・ムービーだった!

イギリス史上初のオリンピック・スキージャンプ選手、エディ・エドワーズの実話をベースにした作品なんだけど、とにかく主人公のメゲないコリないアキラメない前向きな心意気にググッと来てしまったわさぁ!

幼い頃からオリンピック選手に憧れ、いろいろな競技にチャレンジしまくる左官職人の息子エディ。
でも、近眼で運動神経いまいちの彼にとっちゃ、五輪選手は夢のまた夢。
そんな彼を母は何かと応援してくれるが、父は夢を諦めて親の仕事を継げとそっけない。
ある日、エディは88年・冬季オリンピックのイギリス代表のスキージャンプ選手が
一人もいないことを知り、それなら自分がなってやると単身でドイツの雪山の強化合宿所に向かう。
そこで、元オリンピック選手だったが、今は飲んだくれのスキー場の整備係ブロンソンと出会う…。

バスタブの中で“息止め耐久”に挑む幼いエディの描写から始まるオープニングからして、
なんともユーモラス。そんなのオリンピック競技にないのにね。
高跳びや様々な競技に挑むんだが、運動能力に恵まれないばっかりに失敗続きで、
そのたびにメガネが壊れ、缶の中に壊れたメガネがどんどん溜まっていくのが笑わせよる。
やがて、成人しても夢を捨てきれないエディは、スキージャンプに目をつけ、
なんとか選手代表になろうと雪山の強化練習所に乗り込むが、周りの選手からは無視されまりんこ。

監督は、マシュー・ボーンの「キック・アス」に出演していたデクスター・フレッチャーで、
「レイヤー・ケーキ」「スターダスト」などに出ているベテラン・イギリス俳優。
監督作にイギリスで大ヒットしたらしい80年代のヒット曲を散りばめたミュージカルの
映画化作品「サンシャイン/歌声が響く街」(13)がある。

本作じゃ、監督はクセのない歯切れ良い演出で、
ジャンプに失敗して大怪我しても、ちっともくじけない前向き過ぎる主人公を、
穏やかなタッチでサラリと描いて見せてる。
嫌味なオリンピック選考委員長や同じイギリス選手たちのイジワルも、ちょろっと描写するだけで、
あくまでエディと彼のコートを務めるブロンソンの姿に焦点を絞り、
師弟愛とまではいかないけど、深い絆な生まれ、
お互いに一皮むけていくというか、心の成長をとげていく様を丁寧に描いてみせてる。

エディがブロンソンの指導のもと、ジャンプの訓練をするときに、
お相手したい好きな女優を思い浮かべて飛んでみろと言われ、
彼がボー・デレクと答えたのには笑ってしもたわ。
ブレーク・エドワーズ監督「テン」で10点満点美女を演じて注目を浴びた懐かしの女優で、
「類人猿ターザン」(81)とか、演技より見事なプロポーションしか取り柄のない女性だったけど、
確かに80年代のセックスシンボルの一人だったかも知れないな。

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「Two Tribes/トゥー・トライブス 」や
ヴァン・ヘイレンの「JUNP/ジャンプ」など、80年代のヒット曲の使い方もニクイやん。
「JUNP/ジャンプ」はまんま過ぎな気もするけど、とにかく盛り上がらせてくれるんよねぇ。

エディ役は、「キングスマン」のタロン・エガートン。
ちょいズングリ気味の陽気でネバー・ギブアップ精神の主人公を、
気張らずにフンワリ&おおらかに好演。
「キングスマン」の時は、そんなに印象に残らなったけど、今作の彼を見て、
好感度増したやないの、ほんまに。
ブロンソン役のヒュー・ジャックマンも、やさぐれながらも、
エディによって立ち直っていく男を力まず、これまた好演。
エディの両親を演じた母役ジョー・ハートリーと父キース・アレンのも味わい深かったな。
BBCコメンテイターにイギリスの名優ジム・ブロードベントが出ていたり、
ブロンソンの元コーチにクリストファー・ウォーケンが顔を見せていたり、
キャスティングがなかなかの充実ぶり。

しかし、映画でも言われるけど、今更ながら近代オリンピックの父と言われるクーベルタンの言葉、
「オリンピックは、勝つことではなく参加することにこそ意義がある」の重みを感じたなぁ。
そうやそうやそうなんや、それをエディは体現しているんや、
メダル取りに必死になるなんてオカシイんと違う、と思ってしまいましたわさ。


20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン 2017年2月3日リリース



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「超人X.」(14年・ベトナム) わけあって超人ヒーローやってるゲイで~す!何か問題でも?

超人X.
ヒーロー・アクション映画って様々な国で作られてるけど、この「超人X.」は、ベトナム製のヒーロー・ムービー。
なんでも“アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015”や“大阪アジアン映画祭(16年)”で上映されたらしんだけど、劇場公開とまではいかずDVDソフトスルーとなっちっち。

ベトナム映画って、ほとんど見たことないんだけど、ヒーローものって好きだし、日本でも映画祭で上映されるくらいだから、そんなにハズレではないだろうと見てみることにしたんよね。

で、これがなかなかに楽しくて、アクションもバリバリ、ユーモラスでノリの良いネアカな娯楽映画やったやん。

ごく平凡な青年が、怪しい科学者の実験台になったばかりに超人になってしまうという、一昔前のマンガにありそうな話だけど、主人公がゲイで自分のブティックを持つのが夢という、マイノリティ・ヒーローってのがなかなかユニーク。

バクチ好きの母親の世話をしている青年スンは、
友人フィーのマネジメントで、仮面をかぶり、偶然身につけた超人パワーを使って
悪者たちをやっつけるヒーロー業を副業としてこなしていた。
あるとき、ダイヤ会社を経営する超高慢ちきな女キキが強盗団に誘拐され、
彼女を救いだしたことから、超人X.ラブラブラ~ブな猛アタックを受けてしまう。
女性に全く興味のないゲイのスンは、ハンサムで人気歌手のトウアンへの想いでいっぱいだった。
なんとか超人X.を自分に振り向かせたいキキは、狂言誘拐を計画。
彼女の計画はうまくいくかに見えたが、強盗団がスンと同様の超人パワーを身につけ、
キキや超人X.の前に立ちはだかった…。

主人公スンは、正義感というのが少々希薄で、
あくまで副業のお仕事として、悪党どもに立ち向かうのであって、
フィーの作った仮面や衣装にも文句たらたら。
恋するトウアンがビルの屋上で歌とダンスの練習をしていると、
超人X.の恰好で近づき、同じように踊ってみたり、なんともウブっぽく、
自分がゲイであることを彼にカミングアウトできないでいる。
マイノリティゆえの切なさみたいなもんが、ちょろっと描かれる。

しかし、科学者に注射一本打たれるだけで超人になるって設定、アバウト過ぎるやないの。
それも、スンの場合、打たれたときに、ゴキブリを飲み込んでしまったことから、
ゴキブリが大の苦手で、それが弱点となり、ラストじゃ…。
また、スンだけが超人パワーが持続し、
同じように注射された強盗団たちのパワーの有効時間が限られてるってのもさぁ。

ま、作品を見ている間は、とにかくテンポが良くって展開が早いし、
(いつの間にか母やトウアンが強盗団に捕まっていたり、部分カットした縮尺版と違うかと思うくらい)
スパスパ物語が進み、いつのまにやらエンディング。なにせ映画の尺が81分。

アクションは、香港チックにワイヤーアクション駆使しまくりで、
パルクールやムエタイも出てくるし、見せ方も上手で、痛快・爽快・まだやるかい!って感じ。
強盗団の紅一点の女性がパワフルで、動きのキレも抜群やったわ。
そのぶん強盗団のボスに精彩がないというか。
彼女をボスにして大暴れさせたらよかったのにとも思ってしまったわさ。

いまどきのKポップっぽいラブソングがやたら流れたり、
キキの衣装がセンスが良いのか悪いのかヘンにゴージャスだったり、
彼女の付き人みたいなヒエンがオネエ丸出しのチャライ・キャラだったり、
科学者(どうみても飲み屋のオヤジな風貌)が誰でも超人にしたがったり、
とにかく、どこか普通ではない過剰さみたいなもんが作品全体を覆っている。

最後に「人は誰でも性別や出自に関係なく超人になり社会貢献できる」って、
きっちりメッセージも発せられ、そのために主人公をゲイの設定にしたのねと
それなりに納得、納得。

監督のグエン・クアン・ユンさん、本作の脚本も書いてるけど、
多少荒っぽいながら、いろいろな要素をビッシリ詰め込み、
パワービンビン・湿っぽさゼロの娯楽映画を作り上げようと頑張ったやん。

最後に超人X.が「また会おう」って言って、飛び去っていくけど、
続編があるならちょっと見てみたいなぁ、と思ってしまいましたわさ、ほんまに。


キュリオスコープ 2016年11月25日レンタル/12月2日セル



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「ガンスリンガーの復讐」(98年・イタリア) ほっこりユッタリ、心和むマカロニ・ウエスタンてか?!

ガンスリンガーの復讐
ロックスター、デヴィッド・ボウイが亡くなって早や1年とちょっと。ミニシアターじゃ、彼の主演作「地球に落ちてきた男」が追悼上映されているけど、そんな彼が出演したイタリア製西部劇がこの「ガンスリンガーの復讐」。
映画スターとしても「戦場のメリークリスマス」「ラビリンス/魔王の迷宮」「ハンガー」「プレステージ」など出演作は多いけど、この「ガンスリンガー-」は劇場未公開となっちっちで、2年前にソフトリリースされたんだけどセルオンリーだった。
それが、去年の秋、宅配レンタル・DISCASでレンタルされていたのを知り、未見の作品だし、ボウイの追悼をこめてみることにしたんよね。

カバージャケットじゃ、ボウイを真ん中に右にハーヴェイ・カイテル、左にイタリアのレオナルド・ピエラッチョーニが並んでいるから、てっきりボウイ主演の西部劇と思って見たら、彼は脇役だったやん。
主役はレオナルド・ピエラッチョーニなんだけど、
ボウイも脇役ながら、さすがスターオーラはビンビン、なかなか目立ってたわ。

ピエラッチョーニは、本国イタリアで大ヒットし、
日本でも公開された「踊れトスカーナ!」(96)の監督・脚本・主演をこなした人物で、
「踊れ-」で脚本を共同で書いたのが「ガンスリンガー-」の監督ジョヴァンニ・ヴェロネージ。
ジョヴァンニ・ヴェロネージと言えば、
これまた本国で大ヒットを飛ばした「イタリア的、恋愛マニュアル」(05)が
日本でも公開されたので知っている人もいると思うけど。
4話オムニバスの恋愛にまつわるユーモラスなドラマで、僕のお気に入りの一本よ。

だから、ヴェロネージとピエラッチョーニと組んだ西部劇ときたら、
一昔前のマカロニ・ウエスタンになるわけないなあと思って見たら、
案の定、良い意味で裏切られるというか、
何ともホッコリとした、穏やかな春風を浴びているような作品やったやん。
西部劇だから銃撃シーンやアクション・シーンもあることにはあるんだけど、これが…。

西部の小さな町で暮らしているドック一家。
彼は町で唯一の医者で平和主義者。
妻は先住民の首領の娘パール。そして息子のジェレミア。
穏やかな日々を送っていたある日、20年ぶりにドックの父ジョニーが帰ってきた。
ジョニーは伝説のガンマンと呼ばれる拳銃の名手だったが、
彼を倒して名を上げようとするキザなガンマン、ジャックが現れ、
町が騒然とする中、ジョニーに対決を挑んできた…。

物語の語り部となるのが少年ジェレミアで、
彼の目を通して、彼自身や周囲の大人たちの様々な出来事を綴っていき、
おかげで、映画に温かくて穏やかな空気感みたいなものを漂わせているな。
朝は屋根の上でコケコッコーと叫び、夜はウォーと狼の遠吠えをまねる、
ドック一家に住み着いている変わり者ジョシュアの存在が、なんともユーモラス。

とにかく、一昔前のマカロニ・ウエスタンにありがちなシーンが、
次から次へとものの見事に予想を裏切る展開なんだけど、
それがちっともガックリこさせないというか、これもありやんと妙に納得させられてしまう。
なにせ、酒場でジャックの手下どもを撃ち殺すのは〇〇だし、
ジェレミアを救うのに活躍するのは〇〇だし、
ラストのジョニーとジャックの対決場面じゃ○○が…。

ヴェロネージ監督は、西部劇の形をとりながら、
父と息子、祖父と孫の心の絆を描こうとしたみたいで、
そこに、ガンマンの時代が終わり、新しい時代が始まるのを、
ちょっぴり詩情みたいなものを漂わせながら語ろうとしたみたい。

映画の冒頭に、「“ウエスト”で子供たちはカウボーイごっこをした」って言葉が出るけど、
ひょっとして、監督は好きなウエスタンを自分流の味付けをして、
カウボーイごっこをしようとこの作品を撮ったのかな。

デヴィッド・ボウイは、中盤に登場するんだけど、
その登場に仕方が、キザたらっしいというか、カッコつけまくり。
カウボーイハットには羽根飾りがついててオシャレだし、
手下には、女カメラマンもいて、いちいちボウイ指示にしたがって、
彼のナイスポーズを撮りまくらせたりするし。
ギターをつま弾きながら♪ハレルヤ~♪と歌うシーンまで用意されている。
いちおうニヒルでクールなんだけど、最後の決闘じゃ…。
彼も、カウボーイごっこをしたかったので、本作に出たんかしらね。

ハーヴェイ・カイテルは、さすが渋さ満々、ガンマンの暮らしに疲れ、
平穏な生活を送ろうと考えている初老の男を味わい深く好演。

そして主役でもあるレオナルド・ピエラッチョーニ。
医者として町の人たちから尊敬され、町のもめごとなども言葉によって丸く収める
心優しい主人公を、力まず軽やかに演じてる。
いまいち個性に乏しい気もするけど、この作品じゃビッタリコン。

とにかく一昔前のマカロニ・ウエスタンを期待して見ると、なんじゃこれは!と
文句垂れてしまうかもしれないけど、
僕は、好感が持てたし、西部を舞台にしたファミリー・ドラマとしちゃ、
なかなか愛すべき作品やんと思ってしまいましたわさ、ほんまに。

ピノ・ドナッジオの音楽もなかなかよかったしね。

映像文化社 2016年9月30日DISCAS・レンタル



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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