「SPY/スパイ」(15年・アメリカ) チビデブ・エージェント・ウーマンが大活躍しちゃう、上出来のスパイ・アクション・コメディやん! 

SPY/スパイ
ハゲのアクションスター、ジェイソン・ステイサムとハンサムガイ、ジュード・ロウと日本でも知名度ある二人が出ているのに、主演が日本じゃ知名度がほとんどないチビデブ女優メリッサ・マッカーシーってことで、あえなくソフトスルーとなっちっちのスパイ・アクション・コメディがこの「SPY/スパイ」。

スパイ系の映画って好きだから見たんだけど、これがめっちゃ良くできた娯楽作で、劇場の大きなスクリーンで見たかったやんと思いましたわさ。

メリッサさん、僕は未見だけど、アメリカでヒットしたドタバタコメディ「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(11)でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、一躍注目の女優になったみたいで、日本でも今公開中のリプート版「ゴーストバスターズ」にも主人公の一人として登場。旬のアメリカン・アクトレスなんよね。

CIAの分析官スーザンは、現場で活躍するエージェントを本部からバックアップするのが仕事。
衛星回路を駆使して、パートナーの凄腕エージェント、ブラッドリーの目となり耳となり、
素早い誘導で彼をサポート、なんとか武器商人の核爆弾密売を阻止した。
だが、ブラッドリーが、武器商人の娘レイナに殺されてしまった…。
そして、レイナが核爆弾をテロ組織に売ろうしていることをCIAが察知すると、
パートナーの仇討ちとばかり、スーザンはエージェントに志願。
初めて、現場に出ることとなったが…。

ブラッドリーとスーザンの息の合った活躍ぶりを派手なアクションを交えて見せるアバンタイトルに続き、
オープニングタイトルとなるんだけど、これがまんま「007」もどき。
タイトルバックの凝った映像や音楽も、確信犯的に「007」シリーズに限りなく近づけてるみたい。
でも、「007」のパロディじゃなく、オマージュっぽい印象で、
007シリーズが好きな僕としちゃニンマリさせられるやん。

現場に出ることを許可されたスーザンが、秘密兵器開発部門に赴き、
特殊な兵器を与えられるところも、まんま「007」のQ(開発課長)もどき。
でも、ジェームズ・ボンドと違って、スーザンが受け取るうのは、
「流せるお尻拭き」(クロロホルム入り)や「陰菌スプレー」(催涙スプレー)と、
役には立つけど、いちいちアホくさいアイテムばっかり。

どうも、本作の脚本も書いてる監督ポール・フェイグは、
「007」シリーズの大ファンみたいで、「007」でお決まりのシーンを、
ちょい下品なギャグをまぶして、入れ込もうとしているみたい。
でも無理矢理感は全くないし、好感が持ててくるなぁ。

現場であるヨーロッパじゃ、身分を隠すためとばかり、
スーザンはお上りさんチックにダサイいファッション姿で現れるんだけど、
これがチビデブのスーザンにぴったりというか、実に様になって妙に笑えてしまう。

ヒロインが主人公のスパイアクションと言えば、
お色気みたいなものをイメージしがちだけど、メッリサさんだけにエロい要素は皆無。
そのぶん、アクションは頑張ってて、
敵の女との肉弾バトルやカーチェイスなど、男顔負けの活躍を見せよる。
それも、敵の女と戦う場面じゃ、相手の手を包丁でズブリッと刺し抜いたり、結構ハード。

チビデブ・オバサンが主人公だからって、ギャグ一辺倒のユル~イ、スパイ映画にはせず、
アクションしっかり、笑いもたっぷり、派手な見せ場も用意して、
メリハリの利いた展開で、ほんま痛快このうえない。
ポール・フェイグ監督、なかなかお上手!

見ていて、メリッサさんに好感がもててくるというか、
ステイサムやロウと互角の存在感で、
映画をグイグイ引っ張っていく、見事な主演ぶりじゃあ~りませんか。

ロウは、タフでダンディでカッコイイのに、肝心のところでミスしよるし、
ステイサムに至っちゃ、いちいち間抜けな行動で、メリッサに助けられてばかり。
でもって最後には…。

ラストのスーザンが危機一髪の時も、彼女を助けるのはロウやステイサムじゃなく…。

スーザンの職場の同僚、ノッポのナンシー(ローズ・バーン)が中盤から彼女を手助けするんだけど、
チビとノッポのデコボコ・コンビってのも、なんか楽しい。

もう一人、ヨーロッパ支部のエージェント、女大好きなチャラいイタリア男アルドが現れ、
いちいちスーザンにモーションをかけるのも、へんに笑える。
演じるピーター・セラフィノウィッツは、イギリス俳優。
微妙なハンサム・フェースで、彼のニヤケ顔が、映画のちょっとしたアクセントにもなってるやん。

フェミニズムとは言わないけど、男たちに助けられることなく、
女らしさを失うことなく、知恵と度胸で危険を乗り越え、世界を救うヒロイン。
監督のフェイグは、そんな逞しく強い、でも愛らしい女性像が好きなのかもね。
確か、メリッサ・マーカーシーとサンド・ラブロック共演の、
デコボコ女性刑事コンビが麻薬組織に立ち向かうアクション・コメディ
「デンジャラス・バディ」(13年)も撮ってるし。

「ゴーストバスターズ」は、監督ヘイグで、メッリサ出演、なんかすごく見たくなってきたやんかいさぁ。

それと、「SPY/スパイ」の続編も、ヘイグ&メリッサで作られるなら見たいやん、ほんまに。

20世紀フォックスホームエンターテインメント・ジャパン 2016年8月3日レンタルリリース



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「キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!」(15年・スペイン) ボーイ&ガール、そして頑固ジイサンとトカゲ君大活躍のスペースアドベンチャーやんかいさぁ!

キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!
アメリカを舞台に、宇宙飛行士一家の少年と彼の仲間、それに少年の祖父の話だから、てっきりアメリカ製アニメだと思っていたら、な、なんとスペイン製のCGアニメ。
なんでも、スペインのアカデミー賞と呼ばれるゴヤ賞の長編アニメーション賞を受賞した作品なんよね。

日本じゃ、ディズニーやアメリカ・メジャー映画会社のアニメばっかり劇場公開されて、それ以外の国のアニメ作品って、あまりお目にかかる機会が少ないし、スペイン・アニメってどんなもんじゃろ?と見てみることにしたんよ。

で、これが大人だって充分に楽しめる、
なかなか良くできたアニメだった。

登場キャラそれぞれに愛着がわいてくるし、アドベンチャー要素も満々、
でもって”家族が何よりも大事”というメッセージが無理なく、しっかりと描かれていて、
独り者の僕だって、家族っていいなぁなんて思わされ、じんわり心温まったじゃあ~りませんか!

タイトルの「キャプチャー・ザ・フラッグ」というのは、
互いに相手陣地の旗を奪い合う騎馬戦や棒倒しに似た野外ゲームのことで、
宇宙や月とあんまり関係なさそうな題名だなと思っていたら、
月に立てたアメリカ国旗を巡る分争奪戦がクライマックスとなり、なるほどなぁと納得。

12歳の少年マイクの父は宇宙飛行士で、祖父のフランクも元宇宙飛行士だったが、
父と祖父はなぜか絶縁状態で、祖父はマイクの家族に近づこうとしなかった。
ある日、億万長者カーソンが、大衆を前に「アポロの月面着陸はねつ造で、NASAの大ウソだ」とぶちまけ、
それの証拠映像を放映し、自分が月に行ってくると宣言した。
それを聞いた大統領は、カーソンに先んじてスペースシャトルで月に行くことを決定したが、
カーソンの悪巧みにより、そのシャトルに偶然入り込んでいたマイクと仲間のエイミー、
それにフランクを乗せたまま唐突に発射されてしまった。
実は、カーソンは、月にある最強エネルギー、ヘリウム3を独り占めにして、大儲けを企んでいたんだ!
そのために、月に立てられたアメリカ国旗を自分の会社の旗にすげ替えようとしていた…!

カーソンが見せる証拠映像というのが、
ルパート・グリント主演の「ムーン・ウォーカーズ」(15年)でも描かれた、
都市伝説にもなってる、スタンリー・キューブリック監督による月着陸ねつ造映像ってのがニンマリよ。
その映像に現れるキューブリックを、カーソンの会社の掃除婦夫が演じてるってところがムフフッやん。

監督のエンリケ・ガトは、13年に作った「タデオ・ジョーンズの冒険」でも、
ゴヤ賞長編アニメーション賞、新人監督賞をゲットし、大ヒットを飛ばしたらしいけど、
「キャプチャー・-」は、ストーリーが決してお子様向けだけではなく、
祖父が家を出て、父たちと絶縁した理由、そして健気に夫と義父を気づかうマイクの母など、
ドラマ的にも、ちょっぴり深みをプラスしていて、物語に豊かなのがいいんだなぁ。
90分少しの作品だけど、アニメならでは柔軟な映像展開に、メリハリの利いた演出テンポ。
スリルとユーモアの配分も文句ないし、娯楽のツボをしっかり押さえてるやん。

父と祖父の仲を何とか取り持とうとするマイク、少々お転婆なエイミー、
発明家の太っちょマーティ、それにマーティのペットで愛嬌たっぷりのトカゲのゴーグル。
各々のキャラが際立ち、それぞれにしっかり見せ場が用意されているのもいいやん。
特に、ゴーグルの活躍ぶりったら、ほんま拍手拍手よ!

しかしペットにトカゲをもってくるなんて、
アメリカン・アニメなら犬や猫が出てくるところだけに、
スペインならではって気がしたな。でもないか。

悪役カーソンは、極悪人ってところまではいかないけど、
金儲けしか頭にない、ちょい無慈悲で身勝手なワル・キャラが、
マンガチックに描写されていて、マイケルたちの敵としては、丁度いい感じ。

祖父フランクが、息子であるマイクの父を嫌う理由、
それをマイクに話して聞かせるところは、なんだか、ちょい共感させられたわぁ。
僕だって、もしそういう立場になったら、せっかくの宇宙飛行の夢が夢のまま終わってしまうのだから…。

製作には、NASAの宇宙飛行士が技術顧問として参加しているそうで、
スペースシャトルの細部や月の描写など、そこそこリアリティを感じさせるところもナイスやん。

ただ、この作品、アメリカを舞台にしているせいかスペイン色が、あまり感じられない。
アメリカ製アニメと言われたら、それを鵜呑みにしてしそう。
ちょい、スペイン色みたいなもんが漂っていたらなぁとも思ってしまいましたわさ。
ま、ガト監督が、インターナショナルな作品にしようと、
あえてスペイン色を出さなかったのかしれないけど。

いずれにしろ、個人的には満足満足のアニメーションであ~りました。
ガト監督の前作、インディ・ジョーンズを意識したような「タデオ・ジョーンズの冒険」も
見てみたいやんかいさぁ。

パラマウント 2016年7月6日レンタルリリース



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「カットバンク」(14年・アメリカ) 一つの殺人(?)事件が、次々と新たな犠牲者を生んでしまう、ド田舎スリラーやん!

カットバンク
「カットバンク」ってタイトルから銀行に絡んだ犯罪ドラマと思っていたら、”カットバンク”ってのは、アメリカで最も寒い街と言われているらしい、カナダに接したモンタナ州の小さな町の名前で、そこで起こる偽装殺人事件が発端のサスペンス映画だったやん。

主演が、話題のSF大作「インディペンデンスデイ:リサージェンス」のリアム・ヘイムズワース、脇を「RED」のジョン・マルコヴィッチ、「チョコレート」のビリー・ボブ・ソーントン、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のブルース・ダーンと、ベテラン名優が固めているのに、劇場未公開&ソフトスルーとはこれいかに?

なんでかな~と気になって見たんだけど、ヒネリの利いたストーリー展開で、それなりに楽しめる作品であ~りました。

何の刺激もない人口3000人の小さな町カットバンク。
そ町に住む若者ドゥエインは、恋人で町のミスコンにでるカサンドラを撮影していて、
偶然、郵便配達人ジョージーが何者かに射殺されるところを撮ってしまった。
そして、なぜかジョージーの死体と配達トラックが消えた。
ドゥエインは、警察官ボーゲルに証拠としてビデオを差し出すが、
実は、情報提供の懸賞金をあてにした、ドゥエインが企てた偽装殺人だった。
しかし、町一番の変人ダービーが、是が非でも受け取りたい小包を探し出そうとしたことから、
事態はとんでもないことに…。

オープニングに、ジョージーが配達する小包の一つ、
青いバッグが意味ありげに映し出されるんだけど、
最初はそのバッグの意味するところが明かされない。
やがて、ダービーの登場により、彼が必死で探していたものが、
そのバッグらしいと見ている側が気づかされる。でも、なぜそのバッグが必要なのか…。

監督は、テレビ畑で活躍していたマット・ジャクソンの劇場映画デビュー作だそうだけど、
なんていうか、ソツはないけど、味わい不足気味で、緊張感も薄いし、
いまいち、見ていてグッとくるものがないんよね。
物語のどこにポイントを置くか、途中でまごついてしまったみたいな感じ。

マルコヴィッチは、のんびりした平穏な街で起こった殺人現場のビデオを見て、
すぐ吐き気をもよおし、トイレでゲーゲー吐いてしまう、
誠実だが気弱な田舎警官を、微妙なさじ加減でサラリと演じているし、
ブルース・ダーンは、少々ぐうたらな喘息気味の郵便配達オヤジを、これまた、
ベテランらしく、力まず演じて見せてる。

でも、結局のところ、ダービーに扮したマイケル・スタールバーグが、一番印象深いのね。
めっちゃ度のきつい瓶底メガネをかけてて、全身から変人オーラを発散しまくりチヨコ。
「森で拾われた頭の足りない子」って町の人間に言われ、
ほとんど誰とも付き合わず、どこかに消えてしまったなんて思われてる男を、
スタールバーグは、軽いサイコ風味を匂わせつつ、実に陰気くささ満々に演じてる。
彼、コーエン兄弟のアカデミー作品賞にノミネートされた「シリアスマン」の主演で注目され、
「ブルージャスミン」「ヒューゴの不思議な発明」など話題作に出ていたらしいけど、
いままでは、そんなに印象に残らなかったな。
「カットバンク」じゃ、物語を引っ掻き回す重要な役柄ってのもあるけど、なかなか目立つやん。
これからは、彼の出演作、チェックしようかな。
「シリアスマン」も、見てみたいなぁ。ソフトが出ないやろか。

周囲を演技派やベテランに囲まれ、
ヘイムズワースは、主役のはずなのに、なんだかあまり目立たない。
寝たきりの父の世話をし、うだつのあがらない日々に、やりきれなさを感じ、
都会に憧れている男を、控えめに演じているって感じ。

カサンドラ役テリーサ・パーマーも、ミスコンで下手くそな歌を披露して優勝してしまうんだけど、
取り立てて見せ場がなく、ちょいもったいない扱い。

物語は、次々と犠牲者が出てしまい、どういう結末に持っていくのかなと見ていたら、
なんかな~、僕には、どうにも納得しかねるエンディング。
その結末に持っていくなら、カサンドラの頑固おやじ(ビリー・ボブ・ソーントン)と、
警官ボーゲルの関係や過去を、もう少し描くとかしなきゃダメよ、ダメよ、ダメなのよ~、
と思ってしまいましたわさ。

監督は、どうも、登場人物それぞれの背景を、すっ飛ばし過ぎたような、そんな気がするな。

残念とまではいかないけど、良い役者を揃えたまではいいが、
素材は良いのに、料理の味付けを微妙にしそこなった、そんな映画であ~りました。
退屈はしないんだけどね。

ミッドシップ 2016年7月2日レンタルリリース



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「クライム・サスペンス」(14年・アメリカ)  じんわりシビれまくる、上出来のアメリカン・クライム・ムービーやん!

クライム・ヒート
「マッドマックス 怒りのデスロード」の主役で一気に知名度がアップしたトム・ハーディが主演しているのにもかかわらず、劇場未公開DVD&ブルーレイ・スルーとなったのが、この「クライム・ヒート」。

スター俳優が出演しているのに劇場公開されずソフトスルーになる作品って結構あるけど、それは作品の出来がひどかったり、本国で大コケしたりってケースがほとんど。
本作も出来の悪い映画だったらイヤやな~と思ったんだけど、原作が、「ミスティック・リバー」のデニス・ルヘインの短編で、彼自身が脚本も担当しているって知り、見ることにしたんよね。

で、これが、メチャ渋の、
上出来のクライム・ムービーやったやん。

確かに、派手な銃撃戦などバイオレンスがあるわけではなく、
地味は地味なんだけど(それゆえに劇場未公開となっちっち~だろうね)。
俳優達の味のある演技と、監督のムダのないダーク・タッチの演出で、
じっくりと見せきってくれる作品なんだ。
でもってクライマックス・シーンに唸らされてしまったやん、ほんまに!

舞台はアメリカ・ニューヨークのブルックリン。
マフィアの金を一時的に預かる”闇銀行”でもあるバーを営むマーブと、バーテンダーのボブ。
店は、元々マーブのものだったが、マフィアに買収され、彼は雇われマスターだった。
ボブは、ある夜、傷ついた子犬を拾ったことで、ウエイトレスのナディアと知り合う。
同じころ、店に強盗が押し入り、売り上げを強奪されてしまった。
マーブとボブは、マイフィアのボスから犯人探しを命じられるが…。

教会に通い、捨て犬を飼おうとする、心優しげな主人公ボブを、
トム・ハーディが演じているんだけど、彼なら、そんな良い人だけで終わるはずはなく、
強奪犯人の切り取られた片腕を、表情も変えず淡々とラップで包みこんで、
犬の散歩がてら、それを海に投げ捨てたり、どこか危な気な雰囲気を漂わせよる。
優しさと、それに相反する凶暴性を併せ持つ男を、ハーディは巧みに演じ、実に印象深いやん。
少々感情移入しにくいキャラなのに、ハーディが演じることで、不思議に説得力があり、
ちょい、惹かれてしまうというか、ボブとお友達になってもいいかなって思わされてしまったわ。

マーブ役は、本作が遺作となったジェームズ・ガンドルフィーニ。
テレビドラマ「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」で知られる彼だけど、
僕は、彼が、事故で娘を亡くした男が、娘の面影を持つストリッパーの少女と出会い、
彼女の面倒を見ようとするヒューマン・ドラマ「ロストガール」(10)の
包容力のある演技が心に残っているな。
「クライム・ヒート」じゃ、店を乗っ取ったマフィアへの恨みを持ち続けている男の役柄で、
女に縁がないのか、姉と二人暮らしという設定が、なんだか面白かった。

そして、ナディア役は、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のノオミ・ラパス。
ちょい骨ばった華のない顔立ちで、ちっとも美人じゃないのに、
なぜかリドリー・スコット監督「プロメテウス」、ブライアン・デ・パルマ監督「パッション」と、
ヒロインを演じることが多いのが、不思議なんだけど、ま、確かに演技力はあるんだけどね。
でも、この「クライム・ヒート」のクライムな世界にはうまくマッチしていて、ちょい好感が持てたな。
ボブの本性を知って、うろたえ戸惑いながらも…ってところも、なんか納得させちゃってくれるのよ。

監督はベルギーのミヒャエル・R・ロスカム。
アカデミー外国映画賞にノミネートされた「闇を生きる男」(11)で注目されたそうだけど、
僕は「闇に-」は未見で、この「クライム・ヒート」が彼の映画の初体験。
物語の骨子をきっちり押さえ、あまり饒舌にならず、見る側に想像する余地を残しながら、
ノワールの世界に生きる人間たちを上手に映像に映しとっているって気がしたな。
淡々としながらも、ヤバ~イ空気を画面に漂わせ、まさかのクライマックスの展開にオヨヨッ!
ニクイやんかいさあ!

俳優でもう一人、「闇に生きる男」で主役を演じたマテヒアス・スーナールが、
捨て犬の飼い主で、ナディアの元恋人でもある卑劣な男エリックを演じていて、
見事なゲス男っぷりを見せてる。

とにかく、久しぶりに、出来のいいアメリカン・ノワール・ムービーに出会ったやんかいさあ。
そして、さようなら、ジェームズ・ガンドルフィーニさん。

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2016年6月3日リリース



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「アノマリサ」(15年・アメリカ) めっちゃ人間くさい、アダルト&シリアスなストップモーションアニメやんかいさぁ!

アノマリサ
静止している人形などを一コマずつ撮り、連続再生することで動いているように見えるストップモーションアニメ。
最近作じゃ、「グランド・ブタベスト・ホテル」のウェス・アンダーソンが撮ったキツネが主人公の「ファンタスティックMr.FOX」(09)が僕のお気に入りだけど、この「アノマリサ」も、そんなストップモーションアニメの最新作。

なんでも、今年のアカデミー賞の最優秀長編アニメーション映画賞にノミネートされ、何かと話題を呼んだんだそうだけど、日本じゃ、「東京アニメアワードフェスティバル2016」で上映されたのみで、劇場公開はされずソフトスルーとなっちっち。

監督が、「マルコヴィッチの穴」の脚本や「脳内ニューヨーク」の脚本・監督など風変わりな作品で知られるチャーリー・カウフマンだし、成人指定(R-15)アニメってところにも興味をひかれ、いったいどんなアニメなんやろとレンタルして見たんよね。

で、これが何ともヘンテコリンというか、一筋縄ではいかないというか、
妙に生々しくって、でもって切なくて、エンタメ的なものから遠くかけ離れているんだけど、
妙に映像に惹きこまれる、なんとも不可思議な作品だったやん。

主人公は、顧客電話サービス(カスタマーサビス)の極意のビジネス書の著者マイケル。
人生にお疲れ気味のマイケルは、講演のためにシンシナティーを訪れた。
彼は、自分以外の人間の顔や声が、同じに見え、同じに聞こえるという問題(悩み)を抱えていた。
だが、彼の講演を聞きに来ていた、同じホテルに宿泊していた女性リサに出会い、
彼女だけが、彼女自身の声(別の声)に聞こえ、彼女に惹かれていく…。

元々、朗読劇として書かれたものを映像化したものらしいんだけど、
そのせいもあるんだろうけど、最初にこの映画を見たとき、
「私以外の人間の声が同じに聞こえる」ってな説明的なセリフがないこともあって、
マイケル以外の人間の声が、男に限らず女の人まで同じなのに、
なんか違和感を抱いてしまったやん。
リサの声が流れて初めて、なるほど、そういうことだったのかと気づかされたけど。
(気づくのが遅いか!)

マイケルが、ホテルの自分の部屋に入るなり、
トイレに駆け込み、オシッコをしたり、酒を飲もうと氷を撮りに廊下に出るシーンがあるんだけど、
誰もがやりそうなことを、人形ながら、実にリアルな動きで表現されている。
オシッコなんて、ちょろちょろ出ている感じや仕草まで見せるんよね。
なぜ、そこまで?と思ってしまうんだけど、人形の繊細な動きに、ついつい見入ってしまう。

リサは、同僚で美人のエミリーと一緒に来ていて、
エミリーじゃなく、美しくもなく、顔に傷をもつ自分の方に、なぜマイケルが好意を寄せてくれるのか、
初めは、疑ってかかり用心していた彼女だったが、
「君の声は魔法だ」とか言われ、彼の喜びに満ちた笑顔を見ているうちに、
彼に心を許し、打ち解けていき、ベッドで抱き合い、そして…。

ここから成人指定ともなったエッチシーンが展開されるんだけど、
マイケルがリサの下着を下して、両足の間に顔をうずめ、クチュクチュリ~ン!
リサは気持ち良さげアァ~ン・ウゥ~ン!
やがて、互いに着ているものを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になって…。

DVDの特典に、ベッドシーンのメイキング映像があったけど、
実際にポルノ俳優に実演してもらい、その映像をもとに人形を動かしたみたい。
それだけに、人形とは思えぬ、微妙にリアルな感じが伝わってくる。

どうも、このアニメ、マニアックなまでに細かい動きや造形にこだわっているような気がするな。
マイケルが、シャワーを浴びたあと、鏡に向かっていたとき、
通路を歩くリサの声を初めて聞いて、慌てて素っ裸のままバスルームから出て、
服を着ようとする場面でも、
マイケルのチンポコがブラブラリ~ン揺れるところまで、きっちり見せたりするしね。
マイケルの体も、くたびれた50男の体型そのものってのもね。
なんていうか、生活感が漂いまくってるのよ。

人生に虚しさを覚え、くたびれ気味のマイケルの心に一筋の輝くような光をさした存在がリサ。
でも、翌朝、ともに朝食をとっているとき、マイケルはリサのある仕草が気になり…。

結局、一筋の光は、つかの間の光だったのか、
それとも、それは、単にマイケルの錯覚だったのか、
ひょっとして、次の明るい人生の扉を開こうとするサキガケだったのに、
つまらないことで、それを棒に振ろうとしたのか…。

もの悲しくて、やりきれなくて、でも、どこかホッコリと優しくて、
なんとも言えない余韻に浸ってしまうエンディングやん。

ところで、子どもへの土産に、間違えて入ったアダルトショップで、
ケッタイな日本の芸者チックな人形を買ったり、
でもって、この人形が♪モモタロサ~ン♪と日本語で歌ったり、
ヘンなエピソードも出てくるんだけど、これは意味があるのかないのか。

タイトルの「アノマリサ」というのは、
他人とは違う、一般とは違うという意味の「アノマリー」と女性「リサ」をくっつけたもの。
ラストにリサが、「アノマリサ」を和英辞典で調べたら「天国の女神」と意味だったって言うんだけど、
ここんところは???。
日本のどこか地方の言葉にでもあるんやろか?
それとも、天照(アマテラス)かなにかの言葉を、聞き間違いして言うてるんやろか。

声は、マイケルに「ハリー・ポッター」シリーズのルービン先生で知られるデヴィッド・シューリス、
リサに「ヘイトフル・エイト」で久々に元気な姿を見せたジェニファー・ジェイソン・リー。
そして、その他の人間の声に「脳内ニューヨーク」に出ていたトム・ヌーナン。

とにかく、ちょい難解というか、解りずらい部分もある映画なんだけど、
でも、また見たくなってくる、
なんだか深いや~んと思わせる、異色作でアノマリサ!

NBCユニバーサル・エンターテイメント 2016年6月3日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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