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「殺し屋とセールスマン」(73年・フランス) 凄腕殺し屋がセールスマンにワヤクチャにされまくるフレンチ・コメディやん!

「殺し屋とセールスマン」
去年、復刻シネマライブラリーの1本として発売され、今年の1月にTSUTAYAでレンタルとなったのが、この「殺し屋とセールスマン」。
復刻シネマライブラリーのリリース作品には見たいものが結構あるけど、セルオンリーだし廉価版も出ないし、なかなか見ることができないんよねぇ。
お金の余裕がないしさぁ。

ところで、この作品は日本劇場未公開だけど、ビリー・ワイルダー監督が81年に本作をリメイクしていて、邦題が「新・おかしな二人/バディ・バディ」(81年)。
主演がジャック・レモンとウォルター・マッソーだから、こんな邦題になったみたいだけど、出来がいまいちなのか、こちらも日本劇場未公開でビデオスルー。
ビリー・ワイルダーの遺作というのにね。

僕は、リノ・ヴァンチェラのファンなんで、ちょっと気になってDISCASでレンタルしたんよ。
監督がエドゥアール・モリナロ、脚本がフランシス・ヴェベールと
「Mr.レディMr.マダム」のコンビだし、そんなにハズレじゃないだろうと思ったのもあるしさ。

でこれが、テンポがいい、どこかスットボケタ、なかなか楽しめるクライム・コメディやった。
とにかく、殺し屋に扮するヴァンチュラが、
おとぼけセールスマン役ジャック・ブレルに仕事の邪魔をされまくり、
苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべるところが、
なんともおかしくってケラケラ笑っちゃうんよね。
90分弱と短い作品で、無駄なくスムーズに物語が展開するのもナイスやったわぁ。

政治事件の重要参考人を消す仕事を請け負った殺し屋ミラン。
参考人が出廷する裁判所の前のホテルの部屋を借り、ライフルを取り出し準備を始めた。
同時刻、隣室を借りたセールスマンのピニョンが、妻が他の男のもとに行ったことに絶望し、
首つり自殺を図ったが、細い水道管にロープをかけたばっかりに管を破裂させ、
部屋を水浸しにしてしまった。
隣室の異変に気付いたミランは、ホテルのボーイに調べさせ、ピニョンの自殺未遂を知った。
警察沙汰になってはまずいと、警察に知らせようとするボーイを言いくるめた。
そして、なんとかピニョンの気を落ち着かせようと話を聞き、
厄介払いのために、ピニョンを車で妻のところに送り届け、ホテルに戻った。
だが、妻はそっけなくピニョンを追い返してしまい、彼はまたもや隣室に戻ってきた…。

重要参考人が乗るはずだった車が何者かに爆破され、
間違って管理人が死に、重要参考人が無事だったことから、
殺しを請け負った男を、殺し屋ミランが一発で撃つ殺すところから始まる。
いかにもサスペンスタッチの導入部。
だが、ホテルに移って、ピニョンが登場してからはコミカルな展開となる。
ミランが仕事の邪魔をされたくないばっかりに、ピニョンを追い払おうとするんだけど、
それがいちいち裏目に出て、ミランがドツボにはまっていくところは、
フランシス・ヴェベールのアイデアを凝らした脚本のおかげか、
ベタなギャグに走ることなく、突拍子もない展開となり、ついついゲラゲラッと笑ってしまう。
部屋のブラインドを使ったギャグは傑作やった!
エドゥアール・モリナロのツボを押さえた演出テンポも実にナイスでおまんにやわ。

リノ・ヴァンチュラは、スーツをバッチリ着こなし、
風貌からして、いかにもクールで凄腕の殺し屋ミランにピッタリのハマリ役。
終始、仏頂面で笑顔ひとつ見せないんだけど、
疫病神ピニョンのおかげで、げんなりしてしまう感じを上手に漂わせていて、
なんか彼が可哀そうにもなってきてしまう、ほんまに。
なにせ、ピニョンがホテルの壁際から飛び降りようとするのを止めるために
ミランが外に出たばっかりに1階下のベランダに落ちてメッチャ痛い打撲したり、
ピニョンと勘違いされて精神安定剤の注射を打たれてしまったり、
あげくは拘束帯を付けられて病室に閉じ込められたり、
ボロボロにさせられてまくるんよね。

ミランを翻弄しまくるピニョンに扮したジャック・ブレルは、
馬面で、どこかボヨヨ~ンとした風貌で、本職はシャンソン歌手。
リノ・ヴァンチュラとはクロード・ルルーシュ監督「冒険また冒険」(72年)で共演したみたい。
その映画で気が合って、再共演したのかもしれないな。
なんか、全くタイプが違うのに、妙に相性がバッチリって気もするし。
僕は知らなかったけど、彼はベルギー生まれだけど、フランスで歌手として成功したそうで、
彼の曲を、デヴィッド・ボウイやスティングなど多くのミュージシャンがカバーしているんだとか。
お人好しで生真面目な性格ゆえ、彼といると退屈すぎると去っていた妻なのに、
彼女がいないと人生お仕舞だと絶望し、自殺未遂をはかる男を、飄々と演じてる。
ミランが嫌がっているのに、空気を読めず、最後の最後まで彼に付きまとおうとする姿は、
なんか気が良いキャラだけに微笑ましくなってくるなぁ。

ホテルのボーイ役は、どこかで見たことある俳優やなぁとキャストを調べたら、
「シェルブールの雨傘」(63年)でカトリーヌ・ドヌーヴの恋人を演じた
ニーノ・カステルヌオーヴォやった。
彼、あまりコミカルな演技は苦手なのか、
いまいちこの映画に溶け込んでないように思えたな。

ところで、リノ・ヴァンチュラ主演の僕の好きな映画
「女王陛下のダイナマイト」(監督=ジョルジュ・ロートネル 66年)と
「ギャング」(監督=ジャン・ピエール・メルヴィル 66年)が、
未だにDVDリリースされていないんよね。確かVHS(ビデオ)は出たけど。
復刻シネマライブラリーでDVDリリースされへんやろか。お願いしたいやんかいさぁ。

復刻シネマライブラリー 2019年1月9日レンタルリリース



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「シドニー・ホールの失踪」(17年・アメリカ) 失踪したベストセラー作家の切ない心模様を巧み描く佳作やん!

シドニー・ホールの失踪
ミュージシャンが撮った映画ったら、日本ならサザンオールスターズの桑田圭祐が撮った「稲村ジェーン」(90)、米米CLUBのカールスモーキー石井こと石井竜也が撮った「河童 KAPPA」(94)を思い出すけど、海外にも映画監督もこなしてるミュージシャンといったら、リメイク版の「ハロウィン」「ハロウィンⅡ」を撮ったロブ・ゾンビがいる。

本作の監督もポップ・ロックバンド、ステラスターのボーカル&ギターを担当していたショーン・クリステンセンの長編映画。何でも、バンド活動休止中に撮った短編映画「リッチーとの一日(curfew)」が2012年度のアカデミー賞実写短編賞を受賞したそうで、その後、この短編を長編化した作品「Before I disappearBefore」を14年に撮っている。
どちらも日本じゃ劇場公開もソフトリリースもされなかったみたいだけど、そんな彼の監督・脚本作がこの「シドニー・ホールの失踪」。

タイトル通りベストセラー作家の失踪をめぐる物語で、作家の高校時代と人気作家時代、そして現在の姿の3つの時間軸を交差させながら描き、なぜ彼が失踪したかを紐解いていくんだけど、何とも物悲しく切なく、でもって胸にジーンをきてしまう、なかなか手ごたえのある作品だったやん。

シドニー・ホールは文章を書くのが好きな高校生。
教師に勧められて初めて書いた長編小説「郊外の悲劇」が出版社に気に入られ、
発売するやベストセラーとなり、たちまち人気作家の道を歩み始めるシドニー。
数年後、高校時代の時に愛しあったメロディと結婚していたが、
今では夫婦仲は破たんし、彼女はシドニーの元から去っていた。
ある時、シドニーのサイン会に来た熱心なファン青年が、自殺したニュースを耳にした。
マスコミで、彼の小説が若者に悪い影響を与えるとの声が上がった。
そして、しばらくしてシドニーはすべてを捨てて失踪した。
時が経ち、書店や図書館でシドニーの小説が燃やされる事件が相次いだ。
中年の刑事が捜査に当たり、事件の真相を探るなかで、
シドニー・ホールの身に起こった、運命を狂わせてしまう出来事を知ることとなるが…。

シドニー・ホールの3つの時代が折り重なるように描かれるけど、
脚本がよく練られているのか、混乱することはなく、
とてもスムーズなストーリー展開で、ミステリー要素も含みつつ、
少しずつ、なぜシドニーが失踪することになったのかが描かれていく。
クリステンセン監督の巧みな演出センスのおかげもあると思うけど、
“ほんの一瞬で人生が変わってしまった”主人公を、
寄り添うのでもなく、突き放すのではなく、微妙な距離加減で見据えているな。
自分のせいでもないが自害してしまう高校時代の友人、
また嘘をついたせいで妻だけでなく誕生する子供まで…。
そして、刑事と思わせていた男が実は…。
最初は曖昧だった輪郭が、少しずつ形を整えていき、
最後にはっきりとした造形物が出来上がるみたいな構成がベリーナイスやん。
クリステンセンは、「ミッシング ID」(11年)「トランス・ワールド」(11年)などの
脚本も書いているけど、脚本家としての腕前もなかなかみたい。

シドニー・ホールに扮したのは、
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(10年)「ウォールフラワー」(10年)のローガン・ラーマン。
高校生時代、人気作家時代、そして失踪後の放浪時代を、
童顔ながら髪型や髭などで変化をつけ、巧みに演じてるな。

メロディ役は、「ネオン・デーモン」(16年)のエル・ファニング。
僕には、彼女は透明感があってピュアで、どこか不思議ちゃん的なイメージが強いんだけど、
結婚後の妻としての立ち居振る舞いも嘘くさくなく、演技派なんやと実感したわ。

そして刑事(?)役のカイル・チャンドラー。
ジョージ・クルーニーとアレック・ボールドウィンを足して2で割ったような顔立ちで、
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(16年)など、脇で渋いところを見せる俳優みたいだけど、
今回も、なかなか渋くて、美味しい役柄やないの。ちょい華がないけど。

他にも、シドニーの母に
「ミッション・インポッシブル/フォールアウト」に出ていたミシェル・モナハン、
シドニーの父に、「オー・ブラザー!」(01年)の個性派ティム・ブレイク・ネルソン、
出版社の社長にネイサン・レインなど、脇役も充実しているな。
もう一人、高校教師ジョーンズ役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世も印象的だ。
彼、「グレイテスト・ショーマン」(17年)に出ていたのね。

とにかく、ショーン・クリステンセンには注目しておいてもいいんじゃな~いと思わせられる、
次作が気になる監督の一人になったやん。


ソニー・ピクチャーズ 2018年10月3日レンタルリリース



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「海へのオデッセイ ジャック・クストー物語」(16年・フランス・ベルギー) 海中撮影が見事な、海に魅入られたクストー親子の伝記ドラマやん。

海へのオデッセイ ジャック・クストー物語
アクアラング(潜水用高級装置“スクーバ”)を開発したことでも知られるフランスの海洋学者ジャック・クストーの人生を描いた伝記ムービーが、この「海へのオデッセイ ジャック・クストー物語」。

映画ファンなら、カンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞した、クストーがルイ・マルと共同監督した海洋ドキュメンタリー映画「沈黙の世界」(56)やアカデミー・ドキュメンタリー長編賞を受賞した「太陽のとどかぬ世界」(64)を知っている人もいると思うけど。

そんな彼と彼の妻や息子たちの数十年に渡る日々が、美しい海中撮影映像を織り交ぜながら綴られるんだけど、クストーの浮気が原因の夫婦の不和や父クストーと仲違いする息子など、人間臭いドラマが展開し、個人的にはなかなか興味深く見ることが出来たし、ラストじゃホロリッとさせられて、ちょい胸があつくなってきてしもたやん。
原作は、クストーの息子ジャン=ミシェルとアルベルト・ファルコ。

1949年、ジャック・クストーは、妻シモーヌ、二人の息子ジャン=ミシェル、フィリップと
地中海の海のそばの家に住み、家族とダイビングを楽しむ日々を送っていた。
ある日、クストーは調査船カリプソ号を妻の援助で手に入れ、
世界の海を探検する海洋調査の旅に出た。
幼いフィリップは、一緒に行きたがったが寄宿舎に入れられ成人するまでそこで成長した。
ジャックは、映画「沈黙の世界」が好評を博すなど、世界的な有名人になり、
海底調査のための技術開発のための会社を起こし、海底撮影に余念がなかった。
大人になったフィリップは、尊敬する父の仕事を手伝い、自身も海底撮影を行った。
だが、父の海の動物の扱いや海が汚染されていくのを見逃せなくなり、
やがて父と対立し、船を降りて環境保護運動に力を入れるようになった。
あるとき、ニュースでジャックの会社が破産状態だと知ったフィリップは、
父が起死回生の策として、カリプソ号で無謀な南極探検の旅に出ると知り、
父を助けよと思ったのか、彼も船に乗り込み旅に同行した…。

海に魅入られたジャックの物語だけに、
幼いフィリップと兄のジャン・ミシゼル、そしてジャックとシモーヌが、
海中散歩をするシーンに始まり、とにかく海中シーンがため息が出るほど美しい。
成人したフィリップが海中でサメの群れに取り囲まれるところや、
南極の海中を泳ぐアザラシなど、どこか神秘的かつ幻想的な雰囲気も漂い、
うっとりこ~んと見とれてしまう。

監督のジェローム・サルは、脚本にも参加しているけど、
ジャックとフィリップの父子の関係を軸に、浮気に走るジャックに苛立つ妻シモーヌ、
フィリップと美人モデルのジャンとの恋など、物語に膨らみを持たせ、
あまりシリアスにならず、キレの良い演出タッチで物語を展開して見せるな。
元飛行機パイロットだったジャックのゴーグルの使い方もニクイ。
幼いフィリップが父から譲り受けるんだけど、それがラストに…。
幼い息子たちに読み聞かせる本が「海底二万哩」というのもムフッとさせる。
物語は、実在の人物を描くだけに、遠慮してか、あっさり描き過ぎやんと思う箇所もあるけど、
とにかく海中撮影の見事な映像のおかげで、かめへんかめへんって気にさせられる。
海中映像に流れる音楽がまたいいのよ。
作曲は、「シェイプ・オブ・ウォーター」「ヴァレリアン 千の惑星と救世主」を
担当していたアレクサンドル・デスプラ。

ジャック・クストーに扮したのは「マトリック」シリーズに出ていたランペール・ウィルソン。
海に魅入られた冒険家だが、ちょい誇大妄想的で、
家族や周囲の人間を傷つけてしまう主人公をベテランらしく柔軟な演技で見せる。

成人したフィリップ役に、「イヴ・サンローラン」(14)でサンローランを演じたピエール・ニネ。
どこかのっぺりした顔立ちながら、繊細にしてジャック同様に冒険心もある役柄を好演し、
なかなか上手い俳優やんと思ってしまったわ。後半じゃアゴ髭を蓄え、男くささも匂わせるしね。

ジャックの妻シモーヌ役は、「アメリ」のオドレイ・トトゥ。
すっかり成熟した中年女性から髪が白くなった酒浸りの老女まで、見事な演技派っぷりだ。

ラストに、ジャックが幼い息子たちに話す言葉が出てくるんだけど、
これが個人的には胸に刺さったなぁ。
「悲しいことがあったら、人間はただの塵(ちり)と思え。星のかけらに過ぎない。
はかない存在なんだ。宇宙にすれば一瞬の命だ。だから精一杯生きる。」

しかしこの作品、劇場の大きいスクリーンで見たかったなって気にさせられたわ。
大スクリーンなら、海中シーンの美しさをもっと実感できるように思うからさ。

オンリーハーツ 2018年11月2日レンタルリリース



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「LOVE,サイモン 17歳の告白」(18年・アメリカ) 隠れゲイのハイティーンの日常を軽やかに描いたグッド・ムービーやん!

Love,サイモン 17歳の告白
自分がゲイであることを隠して家族と暮らす平凡な高校生の日々を軽やか&爽やかに描いた青春ムービーが、この「LOVE,サイモン」。
ベッキー・アルバータリの小説「サイモンvs人類平等化計画」を映画化したもので、日本でも岩波書店から翻訳本が出版されているみたい。

ゲイを扱った作品て、シリアス・タッチになるかコメディ・タッチなるものが多かったけど、本作は青春真っ只中の主人公サイモンの心情を、実にナチュラルなタッチでサラリッと描いていて、なんとも初々しいドラマに仕上がってる。
高校生のサイモンは、自分がゲイであることに後ろめたさはなく、さほど悩んでいるわけでもなく、ただ自分の性癖をカミングアウトすると今までの家族関係や友人関係が壊れてしまうんじゃないかと思い、それが恐くてなかなか言い出せないって感じなんよ。

そんな彼がカミングアウトし、ついでに恋を成就させるまでが綴られるんだけど、
あくまで一人の思春期のゲイの少年の心模様を、特別なものでなく
普遍性をもって優しい視線で描いているところに好感がもてるなぁ。

サイモンは、仲の良い両親と料理好きの妹と暮らす、ごく普通の高校生。
彼はゲイなんだけど、それは家族にも友人にも秘密にしていた。
ある日、友人のリアから連絡が入り、
彼女がネットでブルーと名乗る匿名の人物を見つけ、
彼は同じ学校の生徒で、ゲイであることを隠しているらしいと教えられる。
気になったサイモンは、思い切ってブルーにメールを送る。
返事を心待ちにしていたが、なかなか返事のメールは来なかった。
でも、数日してブルーからのメールやっとが届き、
喜んだサイモンは自分もゲイだと返事をし、ブルーとのメールの交換が始まった。
そして、いつしかブルーに恋心を抱いていくサイモン。
だが、学校のパソコンを使ってブルーにメール送った履歴を同級生に見られてしまい、
ゲイであることを学校でバラされたくなければ、
サイモンの女友達アビーとの仲を取り持ってくれと彼から脅迫される。
仕方なくサイモンは協力するハメになるが…。

監督は、自らゲイであることを公表しているグレッグ・バーランディ。
監督作に、ソフトボールチームを結成しているゲイ達の恋や友情を穏やかに描いた
「ブロークン・ハーツ・クラブ」(00)があり、それのハイティーン版とも言えるのが本作かな。
演出タッチが実に軽やかで、ゲイを誇張して描くわけでもなく、
サイモンの家族や高校生達の普通の日常をサラリと描いて見せる。
サイモンが両親にカミングアウトする場面でも、ここぞとばかりドラマ的に盛り上げようともせず、
両親の反応も実にあっさりと描き、息子がゲイであっても、
それを理解し、なんら愛情が薄れることはなく愛する我が子として普通に接していくって感じだ。
母がサイモンに「もっとアナタらしくなさい。今までよりも」と語りかけ、
父もサイモンに「気付いてやれなくて、すまなかった」と言うところは、
ちょいウルッときてしまったわ。
しかし、理解と愛情のあり過ぎる両親だなぁ、ほんまに。
自分の子供がどんな性向を持っていようと、
一人の人間として愛情を持って素直に認め受け入れるんだもんあぁ。
日本でなら、親子間で気まずくなってし、いろいろトラブってしまいそうな、
そんな気がするけどさぁ。

サイモンを演じたのは「ジュラシック・ワールド」に出ていたニック・ロビンソン。
ゲイであることを隠している、ごく普通の17歳の少年を、
大袈裟にならず、自然体で軽やかに演じているな。
彼の友人達、リア役キャサリン・ラングフォード、アビー役アレクサンドラ・シップ、
ニック役ジョージ・レンデボーグ・なども普通の高校生を好演。

コメディリリーフとしてちょこちょこ顔を出す学校のワース先生役トニーヘイルも、
イヤミなキャラと思いきや好人物で物語にメリハリをつけててベリーナイスやん。

サイモンの父ジャックに扮したのは、バーランティ監督の「かぞくはじめました」に
出ていたジョシュ・デュアメル。
母エミリーに「JUNO/ジュノ」「デアデビル」のジェニファー・ガーナー。
出番は少ないながら、いい味出してる。

この作品、キャスティングがなかなかバランス良いな。
出番が少なくても、それぞれのキャラが物語に埋もれることなく、
それぞれの持ち味を上手に出しているんだよね。
原作のエッセンスを巧みにアレンジした脚本と監督のおかげかな。

サイモンが恋心が通じ、愛する彼や友人たちと一緒に車で登校するラストシーン、
なんだか心地よい春のそよ風に浸っているような、温かい気分にさせられちゃったや~ん!


20世紀フォックス・ホームエンターテイメントジャパン 2018年10月24日レンタルリリース



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「グッバイ・クリストファー・ロビン」(17年・イギリス) 「くまのプーさん」のせいで人生が明るくなったり暗くなったりするクリストファーってか?

グッバイ・クリストファー・ロビン
今年9月に、クマのプーさんと大人になったクリストファー・ロビンが主人公のディズニー映画「プーと大人になった僕」が公開されたが、この映画に便乗しれソフトリリースされたってわけでもないと思うけど、「くまのプーさん」の作者A・A・ミルンと彼の息子クリストファー・ロビン・ミルンの関係を描いたのが、この「グッバイ・クリストファー・ロビン」。

A・A・ミルンが、いかにして児童小説「くまのプーさん」を書くことになったかの作品誕生秘話とも言える作品だけど、父と息子の心がすれ違っていく様をクラシカルな映像の中に穏やかなタッチで描いていて、ちょっぴり胸にグッとくる、なかなか味わい深い作品だったやん。

第一次世界大戦から帰還したミルンは、
辛い戦争による心的外傷後ストレスに悩んでいた。
そんななか、妻のダフネが妊娠し、男の赤ちゃんクリストファー・ロビンが生まれた。
ミルンは、文筆業に復帰するため、反戦を訴える執筆に取りかかったが、
なかなか思うように書けず、思い切って気分転換しようと家族と共に田舎町に引っ越した。
クリストファーの面倒を見てもらうナニーとして独身のオリーヴも一緒だった。
派手好きのダフネは、引っ越しても夫がちっともペンを走らせないことにイラつき、
ロンドンに帰ってしまった。
オリーヴも病気の母の看病のため実家に帰ることになり、
ミルンとクリストファーの二人だけで暮らすことになった。
親子ながら、最初はなかなか打ち解けあえずにいたが、
二人で森に出かけて過ごすうち、心が通い合うようになった。
ある日、クリストファーがミルンに「僕のために本を書いてよ」と言った。
ミルンは、クリストファーがいつも手に持っているヌイグルミのクマを見てアイデアを思いつき、
息子のために物語を書き始めた…。

ミルンが、自分の詩に、
友人で挿画画家のアーネストにヌイグルミのクマとクリストファーの絵を描いてもらい、
ロンドンのダフネに送ったら、彼女がそれを雑誌ヴァニティフェアの編集者に見せ、
気に入られて掲載され、人気が出た。
そして、クリストファーが登場する物語「クマのプーさん」の児童小説が出版され、
彼も人気者になっていくが…。

物語を生み出したミルンより息子のクリストファーにばかり周囲が注目することに、
ちょっとジェラシーを覚える少々気弱な父や、
息子の気持ちも考えずに様々なマスコミに彼を引っ張り出そうとする母、
そして、それに振り回されるクリストファーを心配するオリーヴ。
それぞれの心情を、優しく穏やかな視線で軽やかに綴られていくな。

クリストファーが親元を離れて男子学校に入りイジメにあい続けたり、
オリーヴに愛する男性が出来てダフネに嫌味を言われるなど、
辛辣に描けそうな場面も、あまりそうにはならず、さらりと描写される。
実在の人物だから遠慮があったのかどうか分からないけど、
ちょっぴりほろ苦さを漂わせるだけに留めている。

監督は「黄金のアデーレ 名画の帰還」(15)「マリリン 7日間の恋」(11)のサイモン・カーティス。
ドラマ的に少々深みに欠けるきらいはあるけど、
父と息子の決別と和解のストーリを軸にして軽やかに物語を綴り、
ラストで、じんわりとハートフルな気分にさせちゃってくれるところはニクイやんかいさぁ。
木漏れ日が降り注ぐ森や清流が流れる小川など、美しい自然をとらえた映像が何とも美しい。
衣装や美術なども、レトロムード満点で実に丁寧に作り込まれている。

ミルン役は、
「スター・ウォーズ フォースの覚醒&最後のジェダイ」で、
ハックス将軍を演じたドーナル・グリーソン。
知的だが、ちょい神経質っぽい風情がキャラにマッチしていて、
心的外傷で悩んだり、息子への接し方に戸惑ったり、
ちょっと不器用な父親像を、力まず巧みに演じてる。

ダフネ役は、「スーサイド・スクワッド」でハーレイ・クインが印象的だったマーゴット・ロビー。
派手好きで勝ち気、ミルンを尻に敷いているような妻を、
ちょいイヤミな感じを滲ませ、それなりに演じてる。しかし彼女の顔立ちって、なんかケバイなぁ。

ロビーよりオリーヴを演じたケリー・マクドナルドの方が印象的だ。
気立てが良くて、おとなしく、控えめだが愛情にあふれる女性を見事に演じてる。
彼女が、成人したクリストファーと橋から小枝を川に流すシーンは、心がホッコリとしてしまう。

クリストファーの子供時代を演じたウィル・ティルストン。
劇映画初出演で、出演時は8歳だったそうだけど、
物語のカナメとなる役柄を表情豊かに好演。
あまり演技してますって感じはなく、自然体でノビノビと演じているって気がしたな。
成人になったクリストファー役は、アレックス・ロウザー。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」では、
主人公役ベネディクト・カンバーハッチの少年時代を演じていた俳優だ。
「くまのプーさん」に登場したおかげでイジメにあい続け、
それがもとで父と決別して軍隊に入るが、戦地で仲間が「くまのプーさん」の歌を口ずさむのを聞き、
父の生み出したキャラクターが人の心を慰め励ましているんだと知ったと父に話し
和解するところは、じんわりと胸が温まってくる。
ちょっとクセのある顔立ちで、ひ弱なイメージだけど、性格俳優として伸びるカモ~ン。

この映画を観終わって、なんだかクリストファー・ロビンのことが気になってしまったやん。
映画によると、彼はその後「くまのプーさん」の印税を一切受け取ろうとせず、
ロンドンで小さな書店を始めたらしい。
ディズニーの「プーと大人になった僕」は、全くのフィクションだけど、
クリストファー・ロビンをどんなふうに描いているか、ちょっと見てみたくなったやんかいさぁ。
DVDレンタルされたら借りてみようかなぁ。


20世紀フォックス・ホームエンターテイメントジャパン 2018年10月3日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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