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「魔界探偵ゴーゴリ2 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」(18年・ロシア) 闇の世界と通じる作家ゴーゴリが謎の“黒騎士”の秘密を暴こうとするロシアン・ダークホラー・ファンタジーやん!

魔界探偵ゴーゴリ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚
ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリ原作と言えば、幻想怪奇映画「妖婆・死棺の呪い」(67)がカルトな人気で知られているけど、そんなゴーゴリ自身を主人公にしたのが、この「魔界探偵ゴーゴリ」シリーズ。

シリーズというのは、日本でも劇場公開された1作目の「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち」(17)に続いて計3本作られていて、3本で一つの物語が完結する三部作からなんよね。

2本目が「魔界探偵ゴーゴリ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」、完結編となる3本目が「魔界探偵ゴーゴリ 蘇りし者たちと最後の戦い」(18)で、2と3は劇場未公開でDVDスルーとなっちっち。WOWWOWで放映されたらしいけど。

なんでもロシアじゃ3本とも初登場1位のヒットシリーズ。
なのに、ロシア製ってことなのか、あまり話題にならずじまい。

幻想怪奇ジャンルが好きな僕は、
最近のロシアのこの種の映画ってどんなもんじゃろ?と思い、レンタルしてみたんよね。

ニコライ・ゴーゴリの著作「ディカーニカ近郊夜話」に基づき、
闇の世界と通じるゴーゴリ自身を主人公にした物語で、個性的なキャラを配し、
それなりに楽しめるロシアン・ダークファンタジーやったわ。

なぜゴーゴリが闇の世界と繋がる特殊な能力を持っているかの出生の秘密が、
邪悪な黒騎士征伐と並行して小出しにしながら描かれ、
物語に膨らみを持たせているのもナイスだったしね。

三部作だけに、3本目でそれまでの様々な謎が解き明かされ一段落となる展開だけに、
もし見ようとするなら3本続けて見なきゃダメよ、ダメダメ・ダメなのよ~!

劇場公開された「暗黒の騎士と生け贄の美女たち」は、物語のオープニングとなり、
作家志望のゴーゴリが生活のために秘密警察の書記官の仕事に就いていて、
あるきっかけで彼の特殊な能力を捜査官のグローに認められ、
ウクライナの小さな村ディカーニカで発生した、
若い美女だけが狙われる邪悪な黒騎士による連続猟奇殺人事件の捜査に赴く話が描かれる。

ゴーゴリは召使のヤキムを伴い、グローと共にディカーニカを訪れ、
村はずれに棲む貴族階級のリザと知り合い、ほのかな恋心を抱く。
また、森で美人のオクサーナと出会うが、彼女は数十年前に死んだ亡霊だった。
捜査の過程で、宿屋の女が黒騎士と通じていると睨んだゴーゴリとグローは彼女を追いつめるが…。

突如現れた黒騎士とグローが、燃え盛る小屋の中で剣を交えるが、
ゴーゴリの目の前でグローはあえなく倒され炎に包まれてしまう…。

グローを失い、ゴーゴリは一度は村を去ろうとするが、このままではダメだと村に残り、
黒騎士の正体を暴こうと村で信頼できそうな仲間を集め、解決に乗りだしていく!

2本目の「魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」では、
「妖婆・死棺の呪い」の名シーンが、アレンジを加えて再現され、
なかなかスリリングで見ごたえがあったなぁ。

3本目「蘇りし者たちと最後の戦い」で、
黒騎士の呪われた過去の出来事が明らかになり、
意外な人物が現れるなど、物語の締めくくりに相応しい展開となり、
いい感じでエンディングを迎える。

ゴーゴリを慕い世話を焼く召使の初老親父ヤキム、
有能だが過去の手術の失敗で生きている人間にメスを入れられない医師ボンガート、
絵がうまい鍛冶屋ヴァクーラと、彼の幼い娘ヴァシリナ。
彼らが、ゴーゴリの捜査に協力するんだけど、各々人間味があって、物語に弾みをつけている。

ディカーニカの地元警察の署長ビンフは、融通があまり利かない男で、
ゴーゴリを黒騎士の仲間だと勝手に判断するなど、思い込みの激しいところはあるが、
最後に良いところを見せよる。

亡霊ながらゴーゴリに淡い恋心を抱くオクサーナも存在感があるし、
ゴーゴリだけでなく、彼を取り巻くキャラをそこそこ丁寧に描いているのが良いなぁ。
物語にすっぽりとハマってしまえるのよねぇ。

監督イゴール・パラノフは、
劇場未公開のエロティックサスペンス「愛の囚人」(僕は未見)を
撮ったことしか分からない人だけど、無駄なくテンポ良く物語を紡ぎ、
幻想怪奇な世界に上手く人間臭さを加味した娯楽作に仕上げていると思ったやん。

VFXもむやみやたらと多様せず、ちょい牧歌的で幻想怪奇なムードをうまく醸し出しているし。

ゴーゴリ役は、ふかわりょうに顔立ちが似ているアレクサンダー・ペトロフ。
知的だが、どこか神経症的で感受性が強うそうなキャラを好演してるな。

捜査官グローを演じるのは、
ニキータ・ミハルコフ監督作「太陽に灼かれて」の主役で知られる
ベテラン俳優オレグ・メンシコフ。
出番は少ないのに、実に美味しい役どころで、
彼が登場するだけで画面がギュッと引き締まるやん。

名前は分からないけど、ヴァクーラの娘ヴァシリナを演じた可憐な少女も、
実は○○○であることを隠しているキャラを精いっぱい演じていて好きになってしもたわ。

ラストに、詩人プーシキンまで出てきて新しい物語が始まる予感を抱かせながら終わるけど、
ゴーゴリが活躍する別の物語が作られるんやろか?

もし作られるんなら、見てみたいやんかいさぁ!


「魔界探偵ゴーゴリ2 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」
アットエンタテインメント 2019年11月6日レンタルリリース
「魔界探偵ゴーゴリ3 蘇りし者たちと最後の戦い」
アットエンタテインメント 2019年12月4日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「ホテル・アルテミス~犯罪者専門闇病院~」(18年・英/米) 豪華キャストがなんかもったいない近未来SFクライム・ムービーやん!

ホテル・アルテミス~犯罪者専門闇病院
最近、出演作がほとんどないな~と思っていたジョディー・フォスターが5年ぶりに映画に復帰したのが、この「ホテル・アルテミス-」。

久しぶりの映画主演なのに、日本じゃあえなく劇場未公開でソフトスルーとなっちっち。

アメリカ本国でも話題にならなかったみたいだし、よっぽど映画の出来が悪いのかな~、でもどれほど悪いんだろう?と興味本位でレンタルしてみたんよね。

で、鑑賞した感想だけど、キャストが豪華なわりに、話が膨らみそこねているというか、実にもったいない出来やなあと思わせる作品でおましたわ。

老け役メイクで主演をはってるジョディ・フォスターをはじめ、
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のドラッグス役で知られるディヴ・バウティスタ、
「キングスマン」「ザ・マミー/呪われた砂漠の女王」のソフィア・ブラテ、
「ジュラシック・パーク」のジェフ・ゴールドブラム他、実力派から個性派まで揃っているのにね。

監督は、イギリス出身で「アイアンマン3」などの脚本を手がけたドリュー・ピアースで、
彼の監督デビュー作になるんだけど、脚本家上がりにしてはキャラ説明があいまいで、
物語の骨格ももろいんよねぇ。

物語の舞台は西暦2028年のロサンゼルス。
街は水道民営化に反対する市民が暴動を起こし、大混乱に陥っていた。
そんな街のビルの最上階にホテル・アルテミスがあった。

アルテミスは大金を払って会員になった者だけが利用できる犯罪者専門の闇病院だった。
病院を取り仕切るのは年老いた女性看護師ジーンと、彼女の助手兼ガードマンのエヴェレスト。
銀行強盗にしくじり大怪我を負った弟と兄は、アルテミスに駆け込んだ。
ジーンは、早速、弟に治療にとりかかった。
病院には、他に患者として武器商人の男、美人だが凄腕の殺し屋がいた。

そんな時、傷ついた女性警官がホテル・アルテミスのやってきた。
ジーンは、彼女の名前を聞くやいなや、アルテミスに収容することに決めた。
エヴェレストは、病院の規則に反し、自分達の命がヤバくなるかもと反対したが…。

ホテル・アルテミスは、ギャングの大ボス、ウルフ・キングが資金を出し、
ジーンが運営を任されている闇病院。
ジーンは、以前は優秀な医者だったようだが、愛する息子が麻薬中毒で亡くなり、
その悲しみから酒におぼれ、医師免許を取り消された過去があり、
それにウルフ・キングがつけ込んで、アルテミス運営を持ちかけたようである。

銀行強盗の兄は、美徳の女殺し屋と過去に恋愛関係にあったらしいとか、
女性警官とジーンや彼女の息子との関係、それに女殺し屋の標的は誰?など、
いろいろエピソードが並べられるんだけど、どれも食い足りないんよ。

ひょっとして脚本にはもっと各々のキャラが突っ込んで書かれていたのに、
プロデューサーにでも文句を言われてスパスパ削ぎ落としていったんやろか。

SFチックな治療用具などアイテムもいろいろ登場するけど、
あまり近未来的ニュアンスは感じられないし、
別に近未来を舞台にしなくても良かったんとちゃう?とも思ってしまう。

ジョディ・フォスターは、老けメイクでヨボヨボ歩きながら、
昔取った杵柄とばかり、テキパキと犯罪者の治療をこなす老看護師をソツなく演じている。
でも、なんていうか彼女ならでは役柄って気はしないし、
なんで久しぶりの映画出演にこの役柄を選んだんやろ?と疑問に持ってしまったわ。

ラスト近くに登場するウルフ・キング役のジェフ・ゴールドブラムは、
いかにもギャングの大ボスって雰囲気漂ってて、こちらは役柄に合ってる気がしたけど。

映画で目立っているのが、女殺し屋のソフィア・ブラテと、
ガードマンのディヴ・バウティスタ。
2人ともギャング相手に大立ち回りを見せるんだけど、
ブラテのしなやかな身のこなしがベリーナイス。めちゃカッコイイのよ。
スレンダーなプロポ-ションも文句ないし、魅力あるわぁ、彼女。
彼女主演の女殺し屋映画を見てみたいと思ったやん。

ディヴ・バウティスタも強靭な体をフルに発揮して暴れまくりよるし。

しかし、2人が大暴れした後どうなったかは描かれていない。

ひょっとしてピアース監督は本作が当たれば続編を作り、
ブラテとバウティスタを再登場させるつもりやったんやろか?

ほかに、「スター・トレック」シリーズのスポック役のザカリー・クイントが
ウルフ・キングの見栄っ張りの息子役、
「ブラックパンサー」のスターリング・K・ブラウンが、女殺し屋の元恋人で
銀行強盗の兄役で出ていたな。

とにかく、キャストは豪華なのに、各々のキャラを生かしそこなった、
なんとも残念な作品であ~りましたわさ。


ギャガ 2019年11月22日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「ナポリ、熟れた情事」(17年・イタリア) ミステリアスでアーティスティックで、ちょいエロいマカロニ・ドラマやん!

ナポリ、熟れた情事
イタリア映画「あしたのパスタはアルデンテ」(10)「カプチーノはお熱いうちに」(13)の監督フェルザン・オズペテクが撮った、ミステリアスでアーティスティック、官能的でちょい幻想的な、なんとも不思議な味わいの作品だ。

本作は、2018年度イタリア・アカデミー賞に9部門にノミネートされ2部門を受賞したらしいけど、いくら賞を取った作品だって日本じゃあえなくソフトスルー!

しかし、「ナポリ、熟れた情事」って邦題、一昔前のロマンポルノみたいで、アートの香りの欠片もないチッチ!
商売上、エロい邦題にしないとレンタルしてもらえないとソフト会社が考えたんだろうね。

僕は、オズペテク監督の、イタリア映画祭2013で地味に上映され、
劇場未公開のままソフトリリースされた「異人達の棲む館」(13)が
お気に入りの作品だったので、レンタルしたんよね。

映画は、オープニングで部屋から男が飛び出してきて階段を駆け下りようとしたところで、
追いかけてきた女がピストルで彼を撃ち殺す場面から始まる。
女の後ろで倒れた男を見下ろす少女が映し出され、フェードアウト。

そして、現代の演劇会の場面に移る。
演劇を見に来た中年のヒロイン、アドリアーナは、
会場にいた若くてハンサムな青年アンドレアに魅かれる。
彼も彼女を誘惑するような瞳で見つめ、欲望に疼いた彼女は
彼を自宅に引き入れ、互いを貪りつくさんばかりのセックスに溺れる。
翌朝、次に美術館で会う約束をして分かれるが、約束の場所に彼は現れなかった。
かってないほどの極上の快楽を味わった後だけに、がっくりと落ち込むアドリアーナ。
彼女の職業は監察医。
重い心を引きずりながら検死の仕事を始めようとしたが、
目の前に現れた死体は両目をくり抜かれたアンドレアだった…。

冒頭のフェデリコ・フェリーニの「サティリコン」を思わせる演劇といい、
美術館の彫刻や父の形見の目をデザインした置物など、
作品全体にどこかアート風味が漂ってるな。
アドリアーナとアンドレアのセックス・シーンも生々しくも、なんか美的だし。

アンドレアの死体を見たことでショックを受けるアドリアーナは、
偶然、街で彼と瓜二つの青年を見かける。
青年に詰め寄って問いただすと、彼はアンドレアの双子の弟ルカと名乗った。
警察がアンドレア殺害事件を追っているのを知るアドリアーナは、
ルカに疑いがかかるかもしれないと言い、彼を自宅に匿うことにする。
そして、ルカとも、アンドレアの時と同様に関係を持つが…。

物語は、ミステリー要素とヒロインのラブロマン要素、それに彼女の両親の話が、
折り重なるように綴られ、主人公の揺れ動く心模様を描いていくな。
年老いた霊媒師が登場したりするところは、なんか幻想じみてもいるし。

やがて、アンドレアが美術品を盗んで密売する一味の一人だと分かる。

結局、アンドレアを殺した犯人は誰かは明確に描かれないし、
ルカも実は…というところも納得できるような出来ないような。

事件を追う下町に住むやもめの中年警官が、アドリアーナに好意を持ち、
彼女もまんざらでもないという態度を示すところは現実感があったけど、
それ以外の登場人物の誰もが、胡散臭く謎めいていて、
監督は、あえてリアリスティックには描こうとしなかったみたい。

しかし、物語としては何とも中途半端というか、
あいまいなままでエンディングを迎えるんだけど、不思議に映像に見とれてしまい、
このあいまいさに心地よささえ覚えてしまう。

撮影は、オズペテク監督の「向かいの窓」「カプチーノ-」のジャンフィリッポ・コルチチェッリで、
ナポリの街をクラシカルな重厚味を滲ませながら、モダンな感覚も忘れず、
見事にフィルムに映しとっているやん。
ナポリに行ってみたくなったやんかいさぁ!

最初に「ナポリに捧ぐ」って言葉が現れるけど、
この映画は、オズベテク監督独自の、
アートに彩られ魅惑的に満ちた街ナポリ賛歌なんだなと思ってしまったわ。

とにかくナポリの街の様々な風景をとらえた映像が魅力的。
哀愁味がありながらイタリアン歌謡を思わせる音楽の使い方もナイスだし。
オズペテク監督の他の作品でもそうだけど、音楽の選び方がじつに上手いと思うな、

アドリアーナを演じるジョヴァンナ・メッゾジョルノは、中年期の岡田茉莉子に似た
程よく熟した女優さんで、熟れたボディを丸出しにして力演。
オズペテク監督の「向かいの窓」(03)でもヒロインを演じた人で、
イタリアでは多分ベテランの演技派なんだと思うけど、存在感のある女優さんだ。

アンドレアとルカの二役を演じたアレッサンドロ・ボルギは、
チンチン丸出し(ぼかし入り)で謎めいた青年を演じてるけど、
クールなたたずまいが、物語にピッタンコ。

共演は、中年女性や中年男性ばかりで、若い俳優と言えば、少女ぐらい。
いかにも歴史ある街ナポリって雰囲気が漂うのはそのせいかも!

この映画、誰もが面白がれる作品とは思わないけれど、
僕個人としては、それなりに楽しめたミステリー&ラブロマンスな作品であったかナポリ!


アット・エンタテインメント 2019年7月3日レンタルリリース



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「ワイルド・ウエスト 復讐のバラード」(17年・アメリカ) ヘタレな初老親父が、殺された相棒の復讐を果たそうと頑張っちゃう西部劇でおます!

ワイルド・ウエスト 腐臭のバラード
日本じゃ、最近はあんまりリリースされていない映画ジャンルの一つ、西部劇。
レンタル店でも、ホラーやSFジャンルの作品は結構並んでいるけど、西部劇はほんのちょびっと。
まあ、西部劇を好んで観る映画ファンが減少しているせいもあるんだろうな。

僕も、西部劇って大好きなジャンルってわけでもないけど、たまに気になる作品がリリースされるとレンタルしてしまう。

この「ワイルド・ウエスト 復讐のバラード」も、「インデペンデント・デイ」で大統領を演じていたビル・プルマンが主演で、彼に似合いそうにもない西部劇に出ているってのが妙に気になりレンタルしてみたんよね。

しかし、ジャケット写真の、白い髭を蓄えたモロに爺さん風情のプルマンが銃を構えている姿は、
ちっともカッコ良いとは思えないし、こんな初老親父が主演の西部劇って、
僕以外に誰がレンタルするんやろ?と思ってしまいましたわさ。

で、観た感想だけど、人望の欠片もないヘタレな爺さんカウボーイが、
周りの誰も彼に期待していないのに、彼なりに懸命に相棒を殺した相手を探し出そうとする姿に、
歳をほどほどに食ってる僕にとっちゃ、じんわりと共感させられるアメリカン・ウエスタンやった。

時は1889年のモンタナ。
モンタナ州の次期上院議員に指名されたエディーは、
妻のローラと共に街に移るため、自分の牧場を40年来の相棒ラフティに任せようとした。
しかし、牧場の仲間からもバカにされる能無しのラフティに任せることにローラは大反対。
そんなある日、馬泥棒を追いかけたエディーが、ラフティの目の前で撃ち殺されてしまった。
夫の死体を前に、ローラから「あんたが死ねばよかったのに」と言われ黙り込むラフティ。
そして、ラフティは誰にも告げず一人で犯人探しの旅に出た。
エディーの訃報を聞きつけ、エディーの旧友で今はモンタナ州知事のジミーや
連邦保安官のトムがローラの元を訪れ、自分達も犯人探しに協力すると申し出る。
トムは、早速ラフティのあとを追いかけ、彼に追いついたが…。

主人公が、ちっとも颯爽としていない初老カウボーイってのが、面白い。
牧場では、杭を打つのもなかなかできないヘタレな爺さんなのに、
相棒を思いやる気持ちは人一倍強く、それゆえに殺人犯を探そうと旅に出るんだけど、
案の定、トムに追いつかれて、お前は邪魔だとばかり追い返されようとする。
でも、偶然知り合った小生意気でイキがってる若者ジェレマイアの助けを借り、
ラフティはトムを縄で縛ってしまう。
トムをそのまま置き去りにしようとしたラフティだったが、気のいい彼はそれも出来ず、
結局三人で旅を続けることに。

やがて、殺人犯が潜む家を見つけたラフティとトムは
二手に分かれて犯人を追い詰めようとするが…。

ラフティはもちろん、トムやジェレマイア、ローラなどの登場キャラの描写が実に丁寧で、
人間ドラマとしての奥行きを感じさせるな。

ヘタレなラフティが、少しずつ頼もしく見える存在になっていく展開も無理がない。

監督のジャレット・モシェは、
日本未公開だけど、監督デビュー作「Dead Man's Burden」 (12年)も西部劇だったそうで、
西部劇に思い入れがあるみたい。
「ワイルド・ウエスト-」で感じたのは、古き良き時代の西部劇の匂いを残しながら、
現代に通じる感覚を漂わせているところ。
なぜエディーが殺されなければならなかったのか、
そして殺人犯の黒幕がな、な、なんとという展開も、シリアスでちょいシビア。

モシェ監督は本作の脚本も書いているけど、
主人公を若い人間にせず、あえてヘタレな年寄りを持ってくるところは、
人間、幾つになっても気の持ちようで前向きに生きていけるという
メッセージを投げかけているようにも感じられたやん。

また、広大な西部の風景描写がなんとも雄大で美しいな。
ガンアクションも、結構派手で抜かりないしね。
西部劇ならではのオイシイ部分も、ちゃんと盛り込んでいるとこもベリーナイス。

ビル・プルマンは、「インデペンデント・デイ」の大統領と真逆の
初老のヘタレ・カウボーイをものの見事に演じきってる。
見た目も動きも頼りなげなオヤジそのものを見事に体現してるんよ。
ラストの、一人で馬に乗って去っていくところも、カッコええやんかいさぁ。

連邦保安官トムを演じたトミー・フラナガンもなかなか渋い。
暗い過去を背負って生きてきて、酒を断った日々を送っていたのに、
殺人犯の言葉に苦い過去を思い出し、また酒浸りの生活に戻る男を、
切なさをにじませ、グッとこさせるやん。

ローラ役は、吉本新喜劇の浅香あき恵に似てるキャシー・ベイツ。
テレビ・ドラマ「ピケット・フェンス ブロック捜査メモ」で
トム・スケリット演じる警察署長の奥さん役が印象深かった女優さんだけど、
愛する夫エディーを殺害したのはレフティという手紙を受け取り、
本気で彼を殺そうとする勝ち気な妻を、ベテランらしく気負わず演じてる。
美人じゃないけど、味のあるアクトレスだ。

他に、知事役にジム・カヴィーゼル、小生意気な若者にディエゴ・ジョセフと、
キャストはなかなかの充実ぶり。

この前亡くなったピーター・フォンダが、エディー役で、
最初にちょろと顔を出すところもニクイやんかいさぁ。
白髭たっぷりの顔だったから、最初は誰か分からなかったけど。

本作は、第9回京都ヒストリカ国際映画祭で原題の「レフティ・ブラウンのバラード」の題で
上映されたらしいけど、出演者が60歳半ばの渋めの俳優ばかりってことで
劇場公開までには至らなかったのね。

とにかくシルバー世代が活躍する西部劇って、ある意味現代的だし、
それなりに見応えがあるウエスタンでおまんにやわ~!


トランスフォーマー 2019年9月6日レンタルリリース



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「ある女流作家の罪と罰」(18年・アメリカ) 落ちぶれた女流作家が有名人の手紙捏造に手を染める実録ドラマやん

ある女流作家の罪と罰
アカデミー賞にノミネートされた秀作だからって、日本で劇場公開されるとは限らないみたい。

この「ある女流作家の罪と罰」も、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の3部門でノミネートされ、批評家からも絶賛されたらしいのに、劇場未公開でソフトスルーとなっちっち。

ま、主演が女性版「ゴーストバスターズ」(16)のメリッサ・マッカーシーと日本じゃ知名度がいまいちなポッチャリ女優だし、実在した女性作家リー・イスラエルって人の自伝の映画化といっても作家自身を知らないしね。

最初は、あまりこの作品に興味がなかったんだけど、監督が「ミニー・ゲッツの秘密」のマリエル・ヘラーと知って、俄然見たくなりレンタルしたんよ。
「ミニー・ゲッツの秘密」(14)は、15歳の女の子のセックスへの好奇心と心の成長を
ユーモラスかつビビッとに描いた佳作で、僕のお気に入りの作品だったからね。

で、「ある女流作家の罪と罰」は、孤独な主人公の心情を丁寧かつ「ミニー・ゲッツ-」同様ビビッとに描き、
なかなか見応えがあって面白い作品だった。
詐欺事件を起こしてしまうヒロインを弾劾するのでもなく、と言って同情するのでもなく、
生活のためにタフに生きようとするヒロインの姿を、そっと見つめているようなタッチで描いていて、
観終わってなんだか不思議に、ほっこりとした前向きな気分にさせられるんよね。
すっぴんで挑んだメリッサ・マッカーシーの演技力もあっぱれって感じで、
なるほど主演女優賞ノミネートも納得。
もし彼女が女優賞をゲットしていたら日本でも劇場公開されたかもしれない、
ってこともないか、やっぱり。

1991年、伝記作家として活躍していたリー・イスラエルは
今ではすっかり落ちぶれ、文筆業では生活できず、校正のアルバイトで食いつないでいた。
でも、そのアルバイトも首になり、困窮生活まっしぐら。
そんなとき、キャサリン・ヘップバーンが彼女宛てに書いた手紙があったことを思い出し、
書店に売りに行くと、思わぬ高値で買い取られた。
有名人の手紙、中でもセンセーショナルな内容のものが高く売れると知ったリーは、
有名人の手紙を捏造(ねつぞう)するビジネスを思い付いた。
書店が食いつきそうな有名人の裏話が書かれた手紙を次々と書いては、
金にしていくリーだったが、やがて捏造が疑われ、FBIに目を付けられてしまった…。

オープニングは、校正のアルバイトをクビになり、
作家やエージェントが集まるパーティに出向いてトイレットペーパーをくすねたり、
極貧状態に陥っていく主人公を手際よく見せる。
恰好も構わず、酒好きでズボラ、掃除もほとんどせず、
部屋に臭い匂いが充満していても平気な暮らしっぷりもなかなかリアル。
困窮生活に追い詰められネコのジャージーと共に孤独に暮らす主人公を、
適度な生々しさと軽さで、鮮やかに映像に切り取っていくな。

ゲイのジャックと知り合い、友情を深めていくところも、実にナチュラル。
リー自身、レスビアンらしいと思わせるところもあるけど、あえてそこには踏み込まない。
実在のリー自身がそうだったのかどうか分からないけどね。

出版業界をちょい皮肉っぽく描写するところは、ありがちな気もするけど、
主人公の追い詰められた心情を納得させられ、悪くはない。

結局、主人公は逮捕され、裁判にかけられるんだけど、
それでも心が折れないというか、自分の捏造事件をもとに自伝を書くと言う
なんともタフで前向きな精神に、ちょっと拍手を送りたくなってくる。

主人公を演じたコデブな体型のメリッサ・マッカーシーは、
コメディ系の女優さんだけど、微妙に表情を変化させて演技派としての実力を見せつけるな。
人当りが悪く性格ブスなところもある主人公を、監督の演出のおかげもあると思うけど、
あまりイヤミにならず、とても自然体で繊細かつ巧妙に演じてるのよ。

主人公の手紙捏造の相棒となるジャックを演じたのはリチャード・E・グラント。
心優しいがお調子者で遊び好き、ゲイライフの果てにエイズを発症する中年男を、
これまた自然体で、気張らずさらりと演じている。
やっぱり上手い俳優さんだと、改めて思ったわ。

捏造事件が発覚し、裁判が終わってリーとジャックが久しぶりに会うラストシーン、
互いを悪く思いながらも、心が良い感じで触れあっていくところは、
なんとも胸にぐっとくる名シーンやん。

脇役で印象に残ったのが、書店を営む女性アンを演じたドリー・ウェルズ。
リーにレスビアン的な思いを寄せている節もある少々控えめな女性で、
素人ながら短編小説を書いて、リーに読んでもらおうとするんよね。
で、リーも彼女と親しくはなっていくんだけど…。

1990年代を切り取ったニューヨークのどこかノスタルジックな風景もベリーグッド。

とにかくミニシアター向けって感じの映画だけど、
人間ドラマとして、適度な深刻さと明るさ、それにユーモアが交じりあった、
なかなかの佳作であ~りました。


20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン 2019年7月3日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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