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「ワイルド・ウエスト 復讐のバラード」(17年・アメリカ) ヘタレな初老親父が、殺された相棒の復讐を果たそうと頑張っちゃう西部劇でおます!

ワイルド・ウエスト 腐臭のバラード
日本じゃ、最近はあんまりリリースされていない映画ジャンルの一つ、西部劇。
レンタル店でも、ホラーやSFジャンルの作品は結構並んでいるけど、西部劇はほんのちょびっと。
まあ、西部劇を好んで観る映画ファンが減少しているせいもあるんだろうな。

僕も、西部劇って大好きなジャンルってわけでもないけど、たまに気になる作品がリリースされるとレンタルしてしまう。

この「ワイルド・ウエスト 復讐のバラード」も、「インデペンデント・デイ」で大統領を演じていたビル・プルマンが主演で、彼に似合いそうにもない西部劇に出ているってのが妙に気になりレンタルしてみたんよね。

しかし、ジャケット写真の、白い髭を蓄えたモロに爺さん風情のプルマンが銃を構えている姿は、
ちっともカッコ良いとは思えないし、こんな初老親父が主演の西部劇って、
僕以外に誰がレンタルするんやろ?と思ってしまいましたわさ。

で、観た感想だけど、人望の欠片もないヘタレな爺さんカウボーイが、
周りの誰も彼に期待していないのに、彼なりに懸命に相棒を殺した相手を探し出そうとする姿に、
歳をほどほどに食ってる僕にとっちゃ、じんわりと共感させられるアメリカン・ウエスタンやった。

時は1889年のモンタナ。
モンタナ州の次期上院議員に指名されたエディーは、
妻のローラと共に街に移るため、自分の牧場を40年来の相棒ラフティに任せようとした。
しかし、牧場の仲間からもバカにされる能無しのラフティに任せることにローラは大反対。
そんなある日、馬泥棒を追いかけたエディーが、ラフティの目の前で撃ち殺されてしまった。
夫の死体を前に、ローラから「あんたが死ねばよかったのに」と言われ黙り込むラフティ。
そして、ラフティは誰にも告げず一人で犯人探しの旅に出た。
エディーの訃報を聞きつけ、エディーの旧友で今はモンタナ州知事のジミーや
連邦保安官のトムがローラの元を訪れ、自分達も犯人探しに協力すると申し出る。
トムは、早速ラフティのあとを追いかけ、彼に追いついたが…。

主人公が、ちっとも颯爽としていない初老カウボーイってのが、面白い。
牧場では、杭を打つのもなかなかできないヘタレな爺さんなのに、
相棒を思いやる気持ちは人一倍強く、それゆえに殺人犯を探そうと旅に出るんだけど、
案の定、トムに追いつかれて、お前は邪魔だとばかり追い返されようとする。
でも、偶然知り合った小生意気でイキがってる若者ジェレマイアの助けを借り、
ラフティはトムを縄で縛ってしまう。
トムをそのまま置き去りにしようとしたラフティだったが、気のいい彼はそれも出来ず、
結局三人で旅を続けることに。

やがて、殺人犯が潜む家を見つけたラフティとトムは
二手に分かれて犯人を追い詰めようとするが…。

ラフティはもちろん、トムやジェレマイア、ローラなどの登場キャラの描写が実に丁寧で、
人間ドラマとしての奥行きを感じさせるな。

ヘタレなラフティが、少しずつ頼もしく見える存在になっていく展開も無理がない。

監督のジャレット・モシェは、
日本未公開だけど、監督デビュー作「Dead Man's Burden」 (12年)も西部劇だったそうで、
西部劇に思い入れがあるみたい。
「ワイルド・ウエスト-」で感じたのは、古き良き時代の西部劇の匂いを残しながら、
現代に通じる感覚を漂わせているところ。
なぜエディーが殺されなければならなかったのか、
そして殺人犯の黒幕がな、な、なんとという展開も、シリアスでちょいシビア。

モシェ監督は本作の脚本も書いているけど、
主人公を若い人間にせず、あえてヘタレな年寄りを持ってくるところは、
人間、幾つになっても気の持ちようで前向きに生きていけるという
メッセージを投げかけているようにも感じられたやん。

また、広大な西部の風景描写がなんとも雄大で美しいな。
ガンアクションも、結構派手で抜かりないしね。
西部劇ならではのオイシイ部分も、ちゃんと盛り込んでいるとこもベリーナイス。

ビル・プルマンは、「インデペンデント・デイ」の大統領と真逆の
初老のヘタレ・カウボーイをものの見事に演じきってる。
見た目も動きも頼りなげなオヤジそのものを見事に体現してるんよ。
ラストの、一人で馬に乗って去っていくところも、カッコええやんかいさぁ。

連邦保安官トムを演じたトミー・フラナガンもなかなか渋い。
暗い過去を背負って生きてきて、酒を断った日々を送っていたのに、
殺人犯の言葉に苦い過去を思い出し、また酒浸りの生活に戻る男を、
切なさをにじませ、グッとこさせるやん。

ローラ役は、吉本新喜劇の浅香あき恵に似てるキャシー・ベイツ。
テレビ・ドラマ「ピケット・フェンス ブロック捜査メモ」で
トム・スケリット演じる警察署長の奥さん役が印象深かった女優さんだけど、
愛する夫エディーを殺害したのはレフティという手紙を受け取り、
本気で彼を殺そうとする勝ち気な妻を、ベテランらしく気負わず演じてる。
美人じゃないけど、味のあるアクトレスだ。

他に、知事役にジム・カヴィーゼル、小生意気な若者にディエゴ・ジョセフと、
キャストはなかなかの充実ぶり。

この前亡くなったピーター・フォンダが、エディー役で、
最初にちょろと顔を出すところもニクイやんかいさぁ。
白髭たっぷりの顔だったから、最初は誰か分からなかったけど。

本作は、第9回京都ヒストリカ国際映画祭で原題の「レフティ・ブラウンのバラード」の題で
上映されたらしいけど、出演者が60歳半ばの渋めの俳優ばかりってことで
劇場公開までには至らなかったのね。

とにかくシルバー世代が活躍する西部劇って、ある意味現代的だし、
それなりに見応えがあるウエスタンでおまんにやわ~!


トランスフォーマー 2019年9月6日レンタルリリース



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「ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者」(18年・ロシア) 生々しい剣と肉体の豪快バトルにワックワクなロシアン・アクションやん!

ラスト・ウォリアー 最強騎馬民族スキタイを継ぐ者
劇場未公開のロアシの娯楽映画って、僕が見たものはたいがいが大味でストーリーもいまいちってのが多かったので、この「ラスト・ウォリアー-」も最初はあまり見る気がしなかったんだけど、他の作品と勘違いしたのか宅配のDISCASにレンタル予約を入れてしまっていて、届いたので仕方なく見たんだけど、これが実に豪快でパンチの利いたバトル・アクションだった。
間違ってレンタルして良かったやんと思ってしまいましたわさ。

時は11世紀のユーラシア大陸のどこか。
オレグ公に仕える戦士リュトボルの住まいを得体のしれない男たちが襲い、彼の妻と生まれたばかりの息子が誘拐されてしまった。
そして、妻子を返して欲しければオレグ公を殺せというメッセージが残されていた。
リュトボルは、密かに公の命を狙う者を探し出すのと妻子を救出するため、住まいを襲われた時に捕虜にした男クニーツァを案内役にして旅に出た。
味方をも欺くために、オレグ公の考えで国を裏切ったことにしたが、それゆえ味方からも追われる身となった。
クニーツァは、遊牧騎馬民族スキタイ族の人間で、傭兵として報酬目当てに様々な暗殺を請け負っていた。
リュトボルとクニーツァは、最初は互いに気を許さず用心していたが、旅を続け、様々な危機を乗り越える中で次第に心を通い合わせるようになった。
そして、スキタイ族の集落に辿り着き、リュトボルは妻子と再会を果たすが、族長は妻たちを誘拐した人物の名は明かそうとはせず、妻たちを引き渡すことも拒否した…。

オープニングは、
クニーツァがスキタイの仲間達と、
荒野の中にポツンとある酒場のようなところで暗殺を繰り広げるんだけど、
手持ちカメラで、ほとんどカットを変えず殺戮シーンを生々しく見せ、
一気に映像に惹きこまれてしまう。
クニーツァの動きも実にシャープで、凄腕暗殺者としての説得力たっぷり。
酒場の従業員を装うために、暗殺ターゲットが来る前に店で働いていた人間達を先に殺すんだが、
暗殺が無事終わった後、クニーツァが店の若者がまだ息があると知った時、
生きていると判ったら自分の仲間に殺されると思い、声を出すなと唇に指をあてるところなど、
暗殺者ながら、どこか心の優しさを滲ませる描写をチラリと差し挟むなど、ニクイやん。

他のバトル・アクション・シーンもそうだけど、
撮り方が実に柔軟で、手持ちカメラによるワンカットで見せる時もあれば、
上から見下ろすような俯角と真横からのアングルで撮ったり、
人物の動きやバトルの様子かがはっきりと判るような撮り方がされていて、実にリアル。
相手の腕を刀剣で切り落とすところも、カットを変えていないような巧妙な編集がなされていて、
ほんまに切り落としたと錯覚させられちゃんちゃこ。
最近の映画に登場するバトルアクションは、細かいカットを繋いで何が何だか分からないまま、
相手を倒しちゃってるてのを目にすることが多いけど、それだけに妙に新鮮と言うか、
ガツンッと手ごたえみたいなもんを感じさせてくれたな。
香港映画みたいにワイヤー・アクションもほとんどないし。
CGもラストでチラリと使うだけというのも好感が持てるわさ。

また、ロシアならではの広大で荒々しい大自然の風景が、
物語にどこか土着的かつ神話的なムードを漂わせていて、これまたナイス。
オレグ公やスキタイの族長が、顔に黄金を塗りたくっていたり、
白塗りの野蛮で奇妙な部族が現れたりするのも、映画の味付けとして面白い。

オレグ公に忠誠を尽くすリュトボルが、
最後に、スキタイ族に暗殺を依頼した人物の正体を突き止め、
そいつをオレグ公の前に差し出すんだけど、その後の展開は、
日本の戦国時代さながら、肉親であろうが裏切りあうというか、なんとも血なまぐさい。
リュトボルがスキタイ族と交わした約束もオレグ公によって…。

監督は、脚本も書いてるラスタム・モサフィールって人だが、
骨太な演出で、ダレルことなくタイトかつシャープに物語を語れるみたい。
キャラ描写も抜かりないし、ちょい注目しておいてもいい監督かも~ん。
そのうちアメリカに招かれて映画を撮ってたりして。

男気あふれるマッチョなリュトボルに扮したアレクシー・ファッジェーフは、
逞しい体つきでいかにも力強い武骨な戦士そのものって感じで、役にぴったり。
ラストに一人で死を覚悟して刀剣を振り上げ
馬に乗って向かってくる相手に立ち向かう姿が、ヒーロー然としていて拍手したくなるやん。

スキタイ族の暗殺者クニーツァに扮した細身で甘いマスクのアレクサンドル・クズネツォフも、
しなやかで見事な立ち回りを見せ、実にカッコイイ。
DVDジャケットの表で、一番前に短刀を構えた姿で出ているのも当然って感じ。
ターゲットを確実に仕留める冷淡さと、時折見せる優しさがミックスされて、
主人公を食ってしまうほどの存在感を見せるな。
スキタイ族の次の族長を決める戦いで、ちょっと油断したばっかりに、あんな最期を…。

出番は少ないが、
リュトボルの妻タチアナを演じたIzmaylova Vasilisa(イズマロバ・ヴァイシリサと読むのかな)は、
気丈な美熟女を控えめに演じていて、なかなか魅力的。

オレグ公に、
アレクセイ・ゲルマンの「フルスタリョフ、車を!」「神々のたそがれ」に出ていたユーリー・ツリーロ。
一癖ある王を、憎々しげに演じてる。

とにかく、久しぶりに面白いロシアの娯楽アクション映画を観れたな~と思える、
個人的には満々満足やんかいさ~な作品であ~りました。


アメイジングDC 2018年6月2日レンタル&セル・リリース



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「サラリーマン・バトル・ロワイアル」(16年・アメリカ/コロンビア) 社員のみなさん、生き残りたいなら殺し合いを始めましょうってか!

サラリーマン・バトル・ロワイヤル
僕の好きな映画「スリザー」(06年)「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ(14・17年)の監督ジェームズ・ガンが脚本&製作したってので、見ようかなと思ったのが、この「サラリーマン・バトル・ロワイアル」。

邦題もそうだけど、ガンの脚本だから彼の作品に見られるユーモラスでちょいレトロなアクション・ムービーだろうと考えていたら、いやはや何とも、お笑い一切なしで、ひたすら社員たちが殺し合いまくる作品だったやん。

でも殺伐としているかというとそうでもなく、カラッと乾いたタッチでバコバコ展開するので、なかなか楽しめる娯楽作に仕上がっていたやん。
ガン作品でお馴染みのマイケル・ルーカー(「スリザー」じゃ、エイリアンに体を乗っ取られてグロいモンスターになってしまうエロ親父を怪演しとった)や、ガンの弟ショーン・ガン(「ガーデアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス」じゃ、ルーカーの手下を演じとった)が顔を出してるのも、ニヤリとさせられたしね。

舞台はコロンビアのボコタ。
アメリカ政府がバックについているらしい会社ベルコ・インダストリーズに出社した社員たちが
仕事を始めようとした時、突然、奇妙なアナウンスが流れる。
「8時間後にほぼ皆死ぬ。30分以内に同僚2人を殺せば生き残る確率がある」と。
何かの冗談だと笑っていたら、突如ビルのすべての窓に頑丈なシャッターが降ろされ、
80人の社員は閉じ込められてしまった。
慌てふためきながら状況を把握しようとロビーに集まった時、数人の社員の頭が吹き飛んだ。
入社時に、危険な国だから用心のためにと頭に埋め込まれた追跡装置と言われていたものが、
爆発して殺されたのだ。
このままでは死ぬと悟った社員たちは、外部へ助けを求める者、保身のために仲間の社員を殺す者など、
それぞれが生き残るために必死の行動をとるが…。

90分弱と短い尺ながら、数多くの社員たちのキャラが手際よく描写され、
見ていて、混乱することなくストーリーを上手に運んでいるな。
下手くそな監督なら、数多い登場人物をさばききれずグチャグチャになりそうなところを、
キビキビしたタッチでスピーディに見せたのは、オーストラリア出身の監督グレッグ・マクリーン。
「悪魔のはらわた」のオーストラリア版とも言える「ウルフクリーク 猟奇殺人谷」(05)や
ワニが人を襲う「マンイーター」(07)を撮った監督だけど、
この2作は、ちょい不気味ムードが漂っていたかなと思うくらいで、
僕にはさほど面白かったって印象はなかった。
それが、「サラリーマン - 」じゃ、畳み込むようなメリハリの利いた演出センスを発揮し、
社員たちに殺し合いをさせる目的が明らかになるラストまで、一気に見せきってくれるやないの。
エグい殺しもチラッと見せるだけで、露骨に残虐な殺戮を見せびらかそうとしないところもナイス。
ま、この監督なら作品にユーモラスな味を加えないのも納得できるな。
ただ一か所だけ、トイレの殺戮場面での「トイレは清潔に使おう」って張り紙だけはベタだけどクスリツ!

低予算の作品のようだが、スター級の俳優が出ないだけに、
誰が何時死んでしまうかの予想がつかないところもグッド・グッド。

主人公マイク役のジョン・ギャラガー・Jrは「10クローバー・フィールド・レーン」(16)に出ていたらしいが、
僕には、ほとんどお初の俳優だ。
さほどハンサムでもなくタフガイって感じでもなく、ちっともヒーローらしさはないんだけど、
それが、切羽詰まった状況ゆえに、いやでも強くなっていくところを説得力を持って好演してる。

マイクの恋人リアンドラ役のアドリア・アルホナは、ちょいエキゾチックな美人で魅力あったなぁ。
最後には自分にちょっかいを出そうとした同僚のイヤミな男の顔面に思いっきり斧を振り下ろしたり、
パワフルで気丈なところもベリー・ナイスよ。

ジュン・ギャラガー・Jrやアドリア・アルホナもそうだけど、
ネットで調べていたら、本作のキャストには、どうもテレビドラマで活躍している俳優が多いみたい。

マイクと対立する上司のバリー役トニー・ゴールドウィンは、
往年の名プロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンの孫で、監督作もあるベテラン俳優。
保身のために片っ端から部下を殺しまくる身勝手な上司を、
品の良いニヒルさみたいなもんを漂わせながら演じてる。
リアンドラに色目を使うイヤミ男ウェンデル役のジョン・C・マッキンリーは、
数々の作品に顔を出してるベテラン脇役俳優だけど、
本作じゃ憎たらしくて冷酷なスケベ親父を実に厭らしさ満々演じてる。
他にも、デブの警備員役ジェームズ・アール、新人社員役メロニー・ディアス、
ズングリ相撲取り体型の上司役ブレント・セクストン、お茶目なメガネ社員役ジョシュ・ブレナーなど、
登場キャラそれぞれが、物語に埋もれることなく存在感を示している。
ジェームズ・ガン監督「スリザー」に町長役で出ていたグレッグ・ヘンリーも、
今回の計画の黒幕として最後に顔を出しよる。

ところで原題が「THE BELKO EXPERIMENT(ザ・ベルコ・エクスペリメント)」。
ベルコと言ったら冠婚葬祭の会社を思い浮かべるけど、
なんだか妙に作品に相応しい原題やなあと思ってしまいましたわさ。


20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2017年12月2日リリース



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「バレー・オブ・バイオレンス」(16年・アメリカ) 流れ者が、殺された愛犬の復讐に燃えるヘンテコリンなウエスタンでおます!

バレー・オブ・バイオレンス
僕のお気に入りのホラー映画の1本「インキーパーズ」(11)の監督タイ・ウエストが、制作・脚本・編集・監督の4役を兼任し、西部劇にチャレンジしたのが、この「バレー・オブ・バイオレンス」。
主演が、タイム・パラドックス・ムービーの佳作「プリデスティネーション」のイーサン・ホークで、共演が「パルプ・フィクション」「ミッドナイトクロス」のジョン・トラボルタとスターが揃っているのに劇場未公開とはこれいかに?
よほど映画の出来が悪いんとちがうかと思ったんだけど、ウエスト監督が西部劇をどう料理するのか気になって、眉に唾つけて見てみることにしたんよね。

で、これが正統派ウエスタンのようでいて、どこかズているというか、微妙にシリアスで微妙にユーモラス、でもって微妙にエンタテイメントしている、なんともヘンテコリンな印象だったな。
出そうで出ない便秘気味のウンチってところまではいかないけど、なんかスッキリしないとうかね。

愛犬アビーを相棒にメキシコを目指す流れ者ポールは、
荒野にぽつんある小さな町デントンにたどり着いた。
街の酒場で、ポールは保安官代理のギリーと些細なことでトラブルとなり、
彼を殴り倒したことから、ギリーの父で町を牛耳る保安官マーティンが現れ、
このまま町を出て行くなら逮捕しないでおこうと言われ、ポールはそれに従った。
だが、荒野で眠っているときに、根に持ったギリーが仲間を連れて現れ、
愛犬を殺され、ポール自身も崖から突き落とされた。
なんとか一命を取り留めたポールは、
痛む体もなんのその、愛犬の復讐のため、
ポールは再び町に舞い戻ろうとするが…。

オープニングタイトルが、一昔前のマカロニウエスタン・チックなアニメ風で、
題名通りバイオレンスがさく裂するガン・アクションを期待させるんだけど、
なかなかそうは問屋が卸さない。
ポールと愛犬アビーの仲睦まじいところを丁寧に描いたりして、
それゆえにアビーが無残に殺されたことで、
復讐に燃えるポールの心情に説得力を与えているんだけど、
マカロニ・ウエスタンみたいな派手な残酷描写は抑え気味で、アッサリ風味。

町に戻る道すがら、ポールに淡い恋心を抱いた宿屋の少女メイと再会するんだけど、
復讐のことで頭がいっぱいのポールは、つれない態度。
メイは16歳ながら人妻で、夫は遠くに出かけたままらしく、姉のエレンと共に、
病気の父に代わり、宿屋を切り盛りしている。
どうも、夫への愛情はとっくに失ってるようで、
ポールに新しい人生の夢を託そうとしている節があるようだ。

ポールは、元軍人で、軍隊に入るために妻子を捨てたという後ろめたい過去があり、
いまだに捨てた家族のことが気になっているようで、メキシコを目指しているのも、
そこに家族がまだ待っていてくれるのではないかと淡い期待を持っているからだ。
だから、メイが自分に言い寄ってきても、自分の娘と同じ年頃の彼女に
愛なんてものを感じられないわけよ。

ギリーってのは、親の権威をかさに着た、卑劣なバカムスコで、
父に内緒で、自分に恥をかかせたポールが許せず、彼を追いかけ、犬をナイフで刺し殺し、
彼を亡き者にしようとするんだが、凶悪さは希薄で小粒感たっぷり。

だから、ラストは、てっきりトラボルタ扮するギリーの父マーティンと、
ホーク演じるポールの一対一の決闘となると思いきや…。

ウエスト監督は、従来のアメリカン西部劇に彼なりのヒネリを利かせ、
ちょっと毛色の変わったウエスタンを目指したんだろうかな。
マーティンは、町を牛耳ってる割には、顔に威圧感はそこそこあるけど、
憎たらしいまでの極悪人って風情はないし、片足が義足なだけに歩く姿も少々よぼよぼ。
息子のしでかしたことなのに、親として彼が殺されるのは見過ごせないと、
老体ながら銃を構えてポールに立ち向かおうとしたり、妙に人間臭いんよね。

ギリーの恋人がエレンで、彼がポールと撃ちあいを始めようとしたとき、
彼に死なれては困ると思ったのか、突然、あなたの子供を宿したと告白しよる。
これまた、妙に人間臭い。

人間臭いと言えば、ギリーの仲間たちも、
一人は、ポールに銃を向けられ、
もう自分の娘に会うこともできず死ぬのが心残りだなんてつぶやいて殺されよるし、
タビー(デブの意味らしい)と呼ばれる一人は、ギリーのせいで自分が死ぬのがイヤだとほざき、
マーティンからタビーと呼ばれて、「俺の名はローレンスだ」と言い返し、
銃を捨てて立ち去ろうとして、これまたアッサリ殺されよる。

最初にポールに殺されるギリーの仲間のシーンは、
なぜか、ナイフで首をざっくりと切られ、血がドババッと溢れ出て、
ここだけ、ちょいマカロニ残酷テイスト。

どうも監督に、いろいろ迷いがあって試行錯誤した結局、
ヘンなウエスタンが出来上がってしっまたんと違うかな。
どうせなら、マカロニ・ウエスタンへのオマージュ全開の
残酷描写バリバリ、スカッと豪快な作品にしてほしかった気もするやんかいさぁ。

イーサン・ホークは、監督もこなすベテラン俳優だけど、髭を蓄え、なかなか渋かった。
ジョン・トラボルタは、出番が少ないうえに大して見せ場もなく、ゲスト出演って感じ。
ま、さすがに体からスター・オーラを放っていたけどね。

メイ役は、「記憶探偵と鍵のかかった少女」のタイッサ・ファミーガ。
色白で透明感があって、古風なのにどこか現代的ニュアンスが漂い、
このヘンなウエスタンには、不思議にハマっているかな。
ラストじゃ、なかなか美味しい見せ場が用意されていて、オオッと思わせちゃってくれるし。

それから愛犬アビーを演じたワンちゃん。
荒野で夜、ポールから寒くないかと声を掛けられると、
くるりと毛布を自分の体に巻きつけたり、実に達者な演技を披露しよる。
このメッチャ賢いワン公の演技、もっと見たかったなぁ、ほんまにね。

それからもう一人、オープニングタイトルの前のちょっとしたエピソードで
神父を演じたバーン・ゴーマン。
ちょいヒネくれた個性的な顔立ちの若手俳優だけど、SFアクション「パシフィック・リム」じゃ、
少々オタクな科学者をユーモラスに演じていて、印象深かったな。
本作でも、作品同様にケッタイな味を出していて、映画にピタッとマッチしていたやん。


NBCユニバーサル 2017年4月21日リリース



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「ライズ・オブ・ザ・レジェンド~炎虎乱舞~」(14年・香港/中国) 実在の英雄フェイフォンの若き日の活躍を描く痛快武侠アクションやん!

ライズ・オブ・ザ・レジェンド~炎虎乱舞~
先日、TSUTAYAで発掘良品シリーズとして、前から気になって見たかった劇場未公開のサスペンス「ナイトビジター」(70)が出たのでレンタルしたんよ。主演が、ベルイマン作品によく出ていたマックス・フォン・シドー。
47年前の映画にしては、緊迫感もそこそこ、まとまりのある脱獄&復讐ドラマだったけど、あの結末、ジュールス・ダッシンの泥棒映画「トプカピ」(64)を思い出してしまったやん。で、ニンマリしてしもた。

それはともかく、この「ライズ・オブ・ザ・レジェンド~炎虎乱舞~」は、ジェット・リーが主演した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズなどで描かれた実在の人物ウォン・フェイフォン(黄飛鴻)の若き日の活躍を描いた武侠アクション大作。
3年前の作品だけど、アクション、恋愛、父と子の絆など、いろんな要素を上手にブレンドした上出来の作品で、めっちゃ楽しめた。
なんで劇場公開しなかったのか不思議に思うくらいよ。

ま、最近は、アジア系の娯楽アクションは、どんなに面白い作品でも、シネコンなどではあまり上映されず、単館系でひっそりと短期間公開のあと、すぐにソフト・リリースってのがほとんど。
この「レジェンド-」なんて、大作なんだけど劇場公開すらされずDVDソフト直行になっちっち。
ツタヤのフリーペーパー「TSUTAYA CLUB MAGAZINE」にも紹介されなかったし、カンフー・アクションって、日本じゃ、もう見向きされないジャンルになってるんかしらねぇ。
僕は、好きなんだけど。

時は19世紀半ばの清朝末期。舞台は中国・広州の港町。
ここでは、黒虎組(ヘイフー)と北海組(ペイハイ)の2大組織が港の利権争いを繰り広げ、
労働者たちは、貧しい暮らしを強いられていた。
そんななか、黒虎組のボス雷公は、若い手下達に、北海組のボス殺害の命令を下す。
そして見事ボスの首を取って持ち帰った者は、雷公の4番目の義息子にするという。
手下の一人フェイは、深手を負いながらも、
鍛え抜かれた武術で、命令通り北海組のボスの首を取り、
義息子となって、黒虎組の幹部にのし上がっていく。
その裏で、フェイは組織の内情を、親友フオやチュンらが率いる仲間に密かに伝えていた。
実は、フェイも組織壊滅が目的で、黒虎組を内側から崩していこうと潜り込んでいたのだ…。

映画は、いきなり、フェイが大勢の北海組の手下たち相手に
派手なアクションを繰り広げる場面から始まる。
光速度撮影によるスローモーション映像やアクロバチックなワイヤーワークを織り込みながら、
シャープでキレッキレのカンフー・アクションが展開し、一気に映画世界にどっぷり浸されちゃんちゃこ。

なんでも監督のロイ・チョウは
「伝統的なカンフーを最新技術を駆使して撮った」とDVDの特典で語っているけど、
まさに、その通りで、どこか現代感覚みたいなものが映像に漂っていて、妙に新鮮な感じがするな。

物語は、フェイことウォン・フェイフォンの子供時代が時折差し挟まれ、
医者にして武術の達人だった父の教えや親友となるフオ、チュンとの交流が描かれる。
社会的弱者を助け、彼らのために無償の施しを続けた父、
そんな父の影響を受け、弱者のために立ち上がったフェィ。

また、フェィやフオ、チュン、それに廓(くるわ)の遊女シンラン、それぞれの恋模様も、
さりげなく、ちょい切なくロマンティックに描かれ、豊かな映画世界を作り上げてるな。

脚本担当が女性トー・ローチンのおかげかもしれないけど、
単純明快なアクション映画にならず、登場人物それぞれの心情をさらりとすくい上げ、
映画に深みを与えているような気がするやん。

フェイに扮したのは、イケメン俳優エディ・ポン。
カンフーは未経験だったそうだけど、雷公役サモ・ハン・キンポーの直接指導を受けたおかげで、
バッチリ武術の達人になりきってる。
爽やか系の顔立ちにシュッとした容姿だし、こういう若手を主役にもってきたことで、
作品にフレッシュ感が出てくるな。

サモ・ハンは、カンフー界のレジェンドと言われているだけに、
デブいのに動きは今だもってキレがあり、クライマックスのフェイと雷公の一騎打ちじゃ、
豪快なアクションをたっぷりと見せつけよる。

フェイの父に扮したベテラン、レオン・カーフェイもいい歳の取り方をしていて、
出番は少ないが渋いしなぁ。

チュン役の清楚なワン・ルオダイ、ある秘密を隠し持つシンラン役の色っぽいアンジェラベイビーなど、
女優達も、ちゃんと見せ場が用意されていし、
雷公の幹部たち、北殺(ペイジャー)、黒鴉(カラス)、老蛇(ヘビ)の3人、
それに雷公への復讐に燃える北海組のボスの息子など、キャラにピッタリな俳優が揃ってるし、
とにかくキャスティングは文句なしよ。

この映画、劇場の大画面で見たかったなぁと思ったやん。

しかし、DVDジャケットのエディ・ポンの顔はコワ過ぎやん。爽やかさの欠片もあれへん、ほんまにね。
ジャケットのデザイン次第では、女性にも興味を持たれる可能性だってあると思うだけにさ。

NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン 2017年4月12日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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