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「ナポリ、熟れた情事」(17年・イタリア) ミステリアスでアーティスティックで、ちょいエロいマカロニ・ドラマやん!

ナポリ、熟れた情事
イタリア映画「あしたのパスタはアルデンテ」(10)「カプチーノはお熱いうちに」(13)の監督フェルザン・オズペテクが撮った、ミステリアスでアーティスティック、官能的でちょい幻想的な、なんとも不思議な味わいの作品だ。

本作は、2018年度イタリア・アカデミー賞に9部門にノミネートされ2部門を受賞したらしいけど、いくら賞を取った作品だって日本じゃあえなくソフトスルー!

しかし、「ナポリ、熟れた情事」って邦題、一昔前のロマンポルノみたいで、アートの香りの欠片もないチッチ!
商売上、エロい邦題にしないとレンタルしてもらえないとソフト会社が考えたんだろうね。

僕は、オズペテク監督の、イタリア映画祭2013で地味に上映され、
劇場未公開のままソフトリリースされた「異人達の棲む館」(13)が
お気に入りの作品だったので、レンタルしたんよね。

映画は、オープニングで部屋から男が飛び出してきて階段を駆け下りようとしたところで、
追いかけてきた女がピストルで彼を撃ち殺す場面から始まる。
女の後ろで倒れた男を見下ろす少女が映し出され、フェードアウト。

そして、現代の演劇会の場面に移る。
演劇を見に来た中年のヒロイン、アドリアーナは、
会場にいた若くてハンサムな青年アンドレアに魅かれる。
彼も彼女を誘惑するような瞳で見つめ、欲望に疼いた彼女は
彼を自宅に引き入れ、互いを貪りつくさんばかりのセックスに溺れる。
翌朝、次に美術館で会う約束をして分かれるが、約束の場所に彼は現れなかった。
かってないほどの極上の快楽を味わった後だけに、がっくりと落ち込むアドリアーナ。
彼女の職業は監察医。
重い心を引きずりながら検死の仕事を始めようとしたが、
目の前に現れた死体は両目をくり抜かれたアンドレアだった…。

冒頭のフェデリコ・フェリーニの「サティリコン」を思わせる演劇といい、
美術館の彫刻や父の形見の目をデザインした置物など、
作品全体にどこかアート風味が漂ってるな。
アドリアーナとアンドレアのセックス・シーンも生々しくも、なんか美的だし。

アンドレアの死体を見たことでショックを受けるアドリアーナは、
偶然、街で彼と瓜二つの青年を見かける。
青年に詰め寄って問いただすと、彼はアンドレアの双子の弟ルカと名乗った。
警察がアンドレア殺害事件を追っているのを知るアドリアーナは、
ルカに疑いがかかるかもしれないと言い、彼を自宅に匿うことにする。
そして、ルカとも、アンドレアの時と同様に関係を持つが…。

物語は、ミステリー要素とヒロインのラブロマン要素、それに彼女の両親の話が、
折り重なるように綴られ、主人公の揺れ動く心模様を描いていくな。
年老いた霊媒師が登場したりするところは、なんか幻想じみてもいるし。

やがて、アンドレアが美術品を盗んで密売する一味の一人だと分かる。

結局、アンドレアを殺した犯人は誰かは明確に描かれないし、
ルカも実は…というところも納得できるような出来ないような。

事件を追う下町に住むやもめの中年警官が、アドリアーナに好意を持ち、
彼女もまんざらでもないという態度を示すところは現実感があったけど、
それ以外の登場人物の誰もが、胡散臭く謎めいていて、
監督は、あえてリアリスティックには描こうとしなかったみたい。

しかし、物語としては何とも中途半端というか、
あいまいなままでエンディングを迎えるんだけど、不思議に映像に見とれてしまい、
このあいまいさに心地よささえ覚えてしまう。

撮影は、オズペテク監督の「向かいの窓」「カプチーノ-」のジャンフィリッポ・コルチチェッリで、
ナポリの街をクラシカルな重厚味を滲ませながら、モダンな感覚も忘れず、
見事にフィルムに映しとっているやん。
ナポリに行ってみたくなったやんかいさぁ!

最初に「ナポリに捧ぐ」って言葉が現れるけど、
この映画は、オズベテク監督独自の、
アートに彩られ魅惑的に満ちた街ナポリ賛歌なんだなと思ってしまったわ。

とにかくナポリの街の様々な風景をとらえた映像が魅力的。
哀愁味がありながらイタリアン歌謡を思わせる音楽の使い方もナイスだし。
オズペテク監督の他の作品でもそうだけど、音楽の選び方がじつに上手いと思うな、

アドリアーナを演じるジョヴァンナ・メッゾジョルノは、中年期の岡田茉莉子に似た
程よく熟した女優さんで、熟れたボディを丸出しにして力演。
オズペテク監督の「向かいの窓」(03)でもヒロインを演じた人で、
イタリアでは多分ベテランの演技派なんだと思うけど、存在感のある女優さんだ。

アンドレアとルカの二役を演じたアレッサンドロ・ボルギは、
チンチン丸出し(ぼかし入り)で謎めいた青年を演じてるけど、
クールなたたずまいが、物語にピッタンコ。

共演は、中年女性や中年男性ばかりで、若い俳優と言えば、少女ぐらい。
いかにも歴史ある街ナポリって雰囲気が漂うのはそのせいかも!

この映画、誰もが面白がれる作品とは思わないけれど、
僕個人としては、それなりに楽しめたミステリー&ラブロマンスな作品であったかナポリ!


アット・エンタテインメント 2019年7月3日レンタルリリース



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「ナタリー」(11年・フランス) 最愛の人を失った女とサエない男の、ほっこり優しいラブストーリーにグッときたやんかいさぁ!

ナタリー
フランスで25万部のベストセラーになった恋愛小説を、原作者のダヴィド・フェンキノスと彼の兄ステファン・フェンキノスが共同監督した、ちょいユーモラスで、ほっこりと温かいラブストーリーでおます。
去年の第20回・大阪ヨーロッパ映画祭でされたんだけど、主演が「アメリ」のオドレィ・トトゥにもかかわらず、劇場未公開、DVDVスルーとなってしもたんよね。
いくらフランスのベストセラーの映画化と言ったって、美女と平凡でサエない男の恋物語って、日本じゃウケないと映画配給会社が判断したんかしらね。

監督が、原作者とその兄で、2人にとって初の劇場作品ってことだし、ひょっとしたら頭でっかちで、ひとりよがりな映画になってるかもとも思ったんだけど、ま、初監督の兄弟のお手並み拝見とばかり、レンタルしてみやした。

で、見終わったら、心がうららかな春の陽射しに包まれるような、
なんとも心地よい気分に浸らせてくれる作品であ~りました。

ナタリーは、3年前に最愛の夫を事故で亡くして以来、仕事一筋の生活を送っていた。
彼女が勤める会社の社長は、彼女に気があり、言い寄るんだけど、
もう誰も好きになれないと思っているナタリーは、それをすげなく拒否。
ある日、亡き夫を想っていたのか、うわの空状態のとき、
自分のオフィスにやって来た、同僚でサエない風貌のスウェーデン人マーカスに、突然キスをしてしまう。
自分でもモテないと自覚しているマーカスにとっちゃ青天の霹靂(へきれき)、
今度は自分からナタリーにアタックしようとするが、彼女はキスのことを覚えていなかった。
そして、いいお友達、いい同僚でいましょうと言われ、それを素直に受け入れるマーカス。
そんな素朴で心優しいマーカスに、ナタリーはいつしか惹かれ始めていく‥。

まず、オープニンの喫茶店のシーンがニクイやん。
若い頃のナタリーが喫茶店に入ると、ハンサムな若い男フランソワが彼女が何を注文するか考え、
もしアプリコットなら声をかけてみようと思っていたら、彼女がその通り注文。
店から2人が揃って出た時、彼が突然、彼女を抱き寄せてキス!
初対面なのに、なんで唐突にキスを?なんでナタリーは驚きもせず、それを受け入れたん?
と思ったら、2人はとっくに恋人同士で、初めての出会いの場を再び訪れていたんだと判る。

フランソワがナタリーに求婚する場面も、雪降る夜の町中で、手をつないだカジュアルな服装の2人を、
カメラがぐるりと一回りする間に、服が白のウエディングとスーツに変わっていき、
それで、結婚したことが、こっちに伝わってくる。
なんかセンスのいい省略の仕方というか、語り口だな。

フランソワが亡くなり、3年が経ったってのも、
普通なら字幕で何年後とかでるところを、
映像で上手に見せる(ナタリーの親友ソフィーの妊娠と2歳児)など、
初監督らしく、いろいろと映像展開に工夫を凝らしていて、
それも、あざとさを感じさせない、なんかナチュラルなタッチで描かれるところが好感もてるな。

ナタリーにキスされて、マーカスがダイい自分でもモテるんだと心躍らせながら町を歩くと、
すれ違う女性達が、彼に色目を使ってくる妄想にふけるところも、
T-rexの「ゲット・イット・オン」がバックに流れ、ウッキウキの彼の心情をさらりと見せるし。

兄のステファン監督は、本作の前に短編を数本撮っていたらしいけど、映像センスは、なかなかやん。
映画前半のフランソワが亡くなり、抜け殻のようになったナタリーのうつろな姿を、
ことさら悲劇的に描くこともせず、それでいて、彼女にすんなりと共感してしまえるような、
見せ方のさじ加減が、なかなか巧みだなって気がする。
こういうシーン、日本映画なら、どうもベッタベタのお涙頂戴になってしまうんよね。

また、音楽の使い方も、小粋だな。
「ゲット・イット・オン」もそうだけど、フレンチ・ポップスやヒット曲を、
主人公の心情を代弁もするように画面に流れ、映像が弾んでくるんだ。

オドレィ・トトゥは、もう誰も愛せないと思っていたのに、
マーカスに出会って、心が癒されていき、
少しずつ、新しい恋に踏み出していこうとするヒロインを、とても自然体で好演してる。
外見より中身で相手を見極めていくってのも、彼女が演じると、なんか説得力あるし。
ファッションも、生活感があるのに、どこかオシャレっぽいのもナイスやん。

そして、彼女と恋に落ちるマーカス役のフランソワ・ダミアン。
おつむの毛が寂しくて、お世辞にもハンサムとは言えない風貌で、服のセンスもダサダサ。
ナタリーに好意を寄せる社長や親友のソフィーも、
彼と初めて会ったとき、まさかナタリーが惹かれている彼だとは
これっぽちも思われず、無視されてしまうんよ。
ま、ナタリーの最愛の夫が、ハンサム(演じるはフランス期待の若手スターらしい、ビル・マルマイ)
だっただけに、仕方ないかも。

ナタリーから、良い友達のままでいましょと言われ、そうしようと心に決めたのに、
徐々に恋心がつのっていき、そんな自分をセーブしよと、
社内でもナタリーをわざと避けたり、心優しいだけに、
なんともいじらしいじゃあ~りませんか。
それでいて、ナタリーから彼女が子供時代に夢中になったお菓子ペッツのこと聞いたら、
それをプレゼントしたりしよるし。

そんなダサいけど心優しい人を、
ダミアンは、フランスじゃ人気コメディアンらしいけど、
オドレィ同様に、オーバーアクトにならず、自然体で演じてる。
ちょい気になる、良い俳優に出会ったなって感じ。

ラストの、ナタリーが子供の頃から青春時代を過ごした、
生まれ育った家の庭を見ながらマーカスがつぶやくモノローグ。
「彼女のすべてを知っているこの庭に、僕は隠れていよう」

見ていない人にはわからないかもしれないけど、
これから愛する人・ナタリーを、ずっと見守っていこうする意思表示みたいで、
グッきてしまったやんかいさあ。


カルチュア・パブリッシャーズ 2013年11月20日リリース



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「海の上のバルコニー」(10年・フランス) 幼い頃に愛した人と再会、でも彼女は突然消えた‥

海の上のバルコニー
アカデミー賞受賞作「アーティスト」で、日本でも名が知られるようになった(かな?)ジャン・デュシャルダン主演の、ちょいミステリー風味のフレンチ・ラブロマンスでおます。
今年の2月にWOWOWで放映されたらしいけど、劇場は未公開。
このブログで以前紹介した、僕の好きな映画「OSS117 私を愛したカフェオーレ」で、オバカで小粋なコメディ・センスを発揮したデュシャルダンだけど、ラブロマンスものはどうじゃろかい?と気になってレンタルすることにしたんよね。
で、感想だけど、もともとハンサム系の顔立ちだし、恋愛ものでも、なかなか良いところを見せてるやん!
でも、彼より、ヒロインを演じたマリ・ジョゼ・クローズの存在のほうが際立っていたけどさぁ。

南フランスのプロヴァンスで、妻子と暮らし、妻の父の不動産会社で働いているマルク。
ある日、取り扱い物件の別荘案内のために、義父に同行したマルクは、
購入業者の代理の金髪女性を見て、見覚えが有ることに気付く。
そして彼女が、紛争中のアルジェリアに住んでいた少年時代に、猛烈に恋したキャティだと気付く。
彼女の宿泊先を訪れると、キャティのほうから誘うように体を引き寄せられ、
この瞬間を待ってましたとばかりに、情熱的な愛のひとときを過ごしてしまうマルク。
だが彼女は、突然、彼の前から姿を消した。
それどころか、母から、キャティは紛争中に亡くなったと聞かされる。
はたして、マルクと過ごしたキャティは誰だったのか‥。

監督は、「愛と哀しみのボレロ」などに出演した女優で、
監督作にカトリーヌ・ドヌーヴ主演「ヴァンドーム広場」(98)がある、ニコール・ガルシア。
脚本も共同で書いていて、アルジェリアでの少年時代の描写をちょこちょこ差し挟みながら、
前半はマルクの視点で物語が進み、後半から、キャティと名乗るヒロインの視点に移る構成。
そして、この後半で、幼い頃のいじらしい恋心を、ずっと胸の奥にしまっていたヒロインの心情が、
ググッとクローズアップされ、ヒロイン主体の作品だったんだと気付かされる。

女性監督らしく、マルクとキャティ、それぞれの視線や微妙な表情を、
とても繊細に映像に写し取っているって気がするな。
ただ、ヒロインに比べ、マルクや彼の家族の描写は、ちょい不足気味で、あいまいな部分もあるけど。

どこかメランコリックで叙情的な、「リトル・ダンサー」のスティーブン・ウォーベックの音楽が
作品のラブロマンス・ムードを盛り上げてる。
南フランスの海沿いの街をとらえたジャン・マルク・ファーブルの撮影もベリーグッド。
オープニング・クレジットの、夜明け近くのプロヴァンス(と思うんだけど)の
青みがったか街の風景、どこか幻想的で、引き込まれるような美しさやんかいさぁ。

未見の人のために、ネタバレになるんで、あまりストーリーは書けないけど、
ヒロインの恋は、はたして成就するのか否か‥。

一応デュシャルダンがクレジットでもトップにきていて、彼なりに好演しているけれど、
最初に書いたように、マリ・ジョゼ・クローズの存在感でがとにかく大きいわ。
そんなに美人ってわけでもないんだけど、その分、親しみがわくってところもあるし、
謎めいているように見せていても、どこか人間くさくって、
だからこそ、僕は彼女にすんなり感情移入してしまったというか。

前に何かの映画で見たような気がして、なんだったかなぁと考えていて、
フランソワ・クリュゼ主演のミステリーの佳作「唇を閉ざせ」(06)に出ていたんだと判った。
「唇を-」では、主人公の妻の役で、死んだはずなのに、実は生きていたって役だったな。

マルクの会社のイタリア人の同僚セルジオ役に、「ゴモラ」 「穏やかな暮らし」の名優トニ・セルヴィッロ。
ジャケットに、彼の名前なんてなかったので、ゲスト出演かなと思っていたら、意外や重要な役柄。

そして、イタリアの往年の人気女優、CCことクラウディア・カルディナーレが、
マルクの母役で登場。1938年生まれだから、本作出演は75歳。
昔の面影は、さすがにないし、声もしわしわだけど、まだ健在だったんだ。

ラブロマンス系の作品って、僕はあんまり見ないんだけど、
久しぶりに、その手の作品を目にして、たまには見るのもいいもんだと思いましたわさ。

余談だけど、ヒロインの部屋に、スティーブ・マックイーン主演作「ブリット」のポスターが貼ってあった。
監督の趣味なのか、美術スタッフの趣味なのか、ちょっと気になった、こともないか。

ミッドシップ 2013年5月24日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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