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「LOVE,サイモン 17歳の告白」(18年・アメリカ) 隠れゲイのハイティーンの日常を軽やかに描いたグッド・ムービーやん!

Love,サイモン 17歳の告白
自分がゲイであることを隠して家族と暮らす平凡な高校生の日々を軽やか&爽やかに描いた青春ムービーが、この「LOVE,サイモン」。
ベッキー・アルバータリの小説「サイモンvs人類平等化計画」を映画化したもので、日本でも岩波書店から翻訳本が出版されているみたい。

ゲイを扱った作品て、シリアス・タッチになるかコメディ・タッチなるものが多かったけど、本作は青春真っ只中の主人公サイモンの心情を、実にナチュラルなタッチでサラリッと描いていて、なんとも初々しいドラマに仕上がってる。
高校生のサイモンは、自分がゲイであることに後ろめたさはなく、さほど悩んでいるわけでもなく、ただ自分の性癖をカミングアウトすると今までの家族関係や友人関係が壊れてしまうんじゃないかと思い、それが恐くてなかなか言い出せないって感じなんよ。

そんな彼がカミングアウトし、ついでに恋を成就させるまでが綴られるんだけど、
あくまで一人の思春期のゲイの少年の心模様を、特別なものでなく
普遍性をもって優しい視線で描いているところに好感がもてるなぁ。

サイモンは、仲の良い両親と料理好きの妹と暮らす、ごく普通の高校生。
彼はゲイなんだけど、それは家族にも友人にも秘密にしていた。
ある日、友人のリアから連絡が入り、
彼女がネットでブルーと名乗る匿名の人物を見つけ、
彼は同じ学校の生徒で、ゲイであることを隠しているらしいと教えられる。
気になったサイモンは、思い切ってブルーにメールを送る。
返事を心待ちにしていたが、なかなか返事のメールは来なかった。
でも、数日してブルーからのメールやっとが届き、
喜んだサイモンは自分もゲイだと返事をし、ブルーとのメールの交換が始まった。
そして、いつしかブルーに恋心を抱いていくサイモン。
だが、学校のパソコンを使ってブルーにメール送った履歴を同級生に見られてしまい、
ゲイであることを学校でバラされたくなければ、
サイモンの女友達アビーとの仲を取り持ってくれと彼から脅迫される。
仕方なくサイモンは協力するハメになるが…。

監督は、自らゲイであることを公表しているグレッグ・バーランディ。
監督作に、ソフトボールチームを結成しているゲイ達の恋や友情を穏やかに描いた
「ブロークン・ハーツ・クラブ」(00)があり、それのハイティーン版とも言えるのが本作かな。
演出タッチが実に軽やかで、ゲイを誇張して描くわけでもなく、
サイモンの家族や高校生達の普通の日常をサラリと描いて見せる。
サイモンが両親にカミングアウトする場面でも、ここぞとばかりドラマ的に盛り上げようともせず、
両親の反応も実にあっさりと描き、息子がゲイであっても、
それを理解し、なんら愛情が薄れることはなく愛する我が子として普通に接していくって感じだ。
母がサイモンに「もっとアナタらしくなさい。今までよりも」と語りかけ、
父もサイモンに「気付いてやれなくて、すまなかった」と言うところは、
ちょいウルッときてしまったわ。
しかし、理解と愛情のあり過ぎる両親だなぁ、ほんまに。
自分の子供がどんな性向を持っていようと、
一人の人間として愛情を持って素直に認め受け入れるんだもんあぁ。
日本でなら、親子間で気まずくなってし、いろいろトラブってしまいそうな、
そんな気がするけどさぁ。

サイモンを演じたのは「ジュラシック・ワールド」に出ていたニック・ロビンソン。
ゲイであることを隠している、ごく普通の17歳の少年を、
大袈裟にならず、自然体で軽やかに演じているな。
彼の友人達、リア役キャサリン・ラングフォード、アビー役アレクサンドラ・シップ、
ニック役ジョージ・レンデボーグ・なども普通の高校生を好演。

コメディリリーフとしてちょこちょこ顔を出す学校のワース先生役トニーヘイルも、
イヤミなキャラと思いきや好人物で物語にメリハリをつけててベリーナイスやん。

サイモンの父ジャックに扮したのは、バーランティ監督の「かぞくはじめました」に
出ていたジョシュ・デュアメル。
母エミリーに「JUNO/ジュノ」「デアデビル」のジェニファー・ガーナー。
出番は少ないながら、いい味出してる。

この作品、キャスティングがなかなかバランス良いな。
出番が少なくても、それぞれのキャラが物語に埋もれることなく、
それぞれの持ち味を上手に出しているんだよね。
原作のエッセンスを巧みにアレンジした脚本と監督のおかげかな。

サイモンが恋心が通じ、愛する彼や友人たちと一緒に車で登校するラストシーン、
なんだか心地よい春のそよ風に浸っているような、温かい気分にさせられちゃったや~ん!


20世紀フォックス・ホームエンターテイメントジャパン 2018年10月24日レンタルリリース



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「ぼくとアールと彼女のさよなら」(15年・アメリカ) 冴えない男子高校生と難病の女の子の交流を軽やかに描いた、ユーモラスでちょっぴりホロリの青春ドラマやん!

ぼくとアールと彼女のさよなら
重い病気を抱えた女の子が男の子と出会う物語と言ったら、二人の間に恋が芽生えて、男の子が愛する彼女を悲しみをこらえて最後まで看取るってな、涙腺ユルユルにしまくりチヨコな、お涙頂戴ストーリーを思い浮かべてしまい、その手の映画は苦手だし、今まであまり見なかった。

でも、「ぼくとアールと彼女のさよなら」は、主人公の男子高校生が映画オタクってところに、映画好きな僕としちゃ興味をそそられ、去年のサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をゲットしたと知り、見てみることにしたんよね。

で、これが、ごく普通の男子高校生が、難病を抱えた女の子との交流を通して、ほんの少し心の成長を遂げていく姿を、ユーモラスかつビビッドに描いた、なんとも気持ちの良い、上出来の青春ムービーやったやん。
ヘンに泣かせにはしらず、難病ものにありがちな展開にならないところも好印象よ。

目立たず出しゃばらず、無難に学校生活を送るのが信条の男子高校生のグレッグ。
趣味と言えば、幼い頃から社会学の教授である父からアート系の映画をいろいろ見せられ、
外国映画好きとなり、友人のアールとともに、名作をもじった映画作りをすること。
ある日、幼馴染みだけど今は疎遠になっている同じ学校に通うレイチェルが白血病となり、
グレッグの母は、彼にレイチェルの話し相手になるよう無理強いし、仕方なく彼女に会うこととなった。
最初は形だけの付き合いだったが、話を交わすうちに打ち解けていき…。

グレッグとアールが作った、好きな映画の題名をバカっぽく変えた作品ってのが、
ゴダール作品をもじった「軽蔑できない」「勝手に走りやがれ」、
ニコラス・ローグ作品のもじり「赤い影/キモいドワーフに殺されるぞ」、
ベルイマン作品のもじり「第七の強引」、ビスコンティ作品のもじり「テニスに死す」、
キューブリック作品のもじり「木綿仕立てとオレンジ」、M・パウエル作品のもじり「クソを吸うカレら」、
J・シュレシンジャー作品のもじり「午後2時48分のカーボーイ」、
H・アシュビー作品のもじり「オールドとモード/老人は髪をさわる」
と、なかなかにアート路線まっしぐらで、グレッグ&アール版映画のワンシーンもちょこっと映るんだけど、
映画好きとしちゃニンマリさせられてしまったやん。

グレッグの父が息子に見せていた映画ってのが、
確かヴェルナー・ヘルツォークの「フィッツカラルド」か「アギーレ/神の怒り」。
そんな映画を幼い頃に見せられていたら、まあ、そうなってしまうのも当然か。

監督は、「glee/グリー」「アメリカン・ホラー・シトーリー」など、
もっぱらTVドラマで活躍していたアルフォンソ・ゴメス・レホン。
劇場映画はお初かもしれないけど、シャープかつ柔軟な映像センスで、
登場人物や背景を、鮮やかに映像に描きこんで見せてる。
登場キャラそれぞれの存在感を上手に際立たせているというか。

また、レイチエルの部屋のクッションや本なかの細工など、小道具の使い方もニクイ。

グレッグの心の内を、パペットアニメで見せたり、学園風景も、どこかポップなタッチで描いたり、
難病ドラマにありがちな湿っぽさを、極力画面に漂わせないように心掛けてるってところもいい感じ。

あくまでグレッグの心の成長が物語の芯であり、そこからブレないんよね。

原作のジェシー・アンドリュースが、映画の脚本も担当しているせいもあるんだろうね、多分。

グレッグに扮したトーマス・マンは、初めてお目にかかった若手俳優だけど、
ちょいオタク気味のごく普通の高校生を、とても自然体で演じている。
病状が悪化したレイチエルを励ますためにオリジナル映画を作って見せることになるんだけど、
最初は成り行きで仕方なく撮影していたものが、
やがて、本気で彼女のためを思い、時間をかけて作っていくところなど、
微妙な心の揺らぎを、ニュアンス豊かに演じていて、なかなかうまいやん。

レイチエル役のオリヴィア・クックは、どこかナタリー・ポートマンに似た顔立ちのイギリスの女優さんだけど、
僕が彼女を初めて見たのが、劇場未公開のホラー「呪い襲い殺す」(14)。
可愛い娘だなあとは思ったけど、あまり強い印象はなかった。
でも「ぼくとアールと-」じゃ、役柄のせいもあるけど、なんとも印象深い。
病気に侵された自分を悲しんだり、嫌いになったり、でも明るく振舞おうとしたり、
オーバーアクトにならず、これまたナチュラルかつ繊細に演じて見せるんよ。
役柄上スキンヘッドにもなるし、めっちゃファンになってしもたやん。
なんでも、S・スピルバーグ監督のSF大作「ゲームウォーズ」(17年公開予定)のヒロインに選ばれたそうで、
今後、注目を浴びること必至。
なんでも、「スターウォーズ8」のヒロイン候補としても名前があがっているんだとか。

アール役のRJ・サイラーは、ネットで調べても詳細データが全く見当たらず、
TVで活躍しているか、または新人俳優なのかもしれないけど、
親友とまではいかないけど、グレッグとつかず離れずの友人ポジションを、さらりと好演。

もう一人、全身タトゥーを入れた風変わりなマッカシー先生に扮したジョン・バーンサル。
グレッグたちは、彼の部屋にいつも入り浸っていて、ダチみたいな感じなんだけど、
その彼が、自分の亡くなった父のことをグレッグ話すところ、味わい深いやん。
これがラストシーンにつながる深みのあるセリフで、脇キャラなのに、オイシイやないの。

ところで、レイチェルの部屋に「X-MEN」のウルヴァリンのポスターが貼ってあって、
そのポスターのウルヴァリンがしゃべるシーンで、
映画のウルヴァリン役ヒュー・ジャックマンが声の出演をしてるらしいのね。
それがどないしたんや?と言われるかもしれないけど、
なんかジャックマンの律義さがうかがい知れるエピソードじゃあ~りませんか!ほんまに。


20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン 2016年8月3日リリース



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「ミニー・ゲッツの秘密」(14年・アメリカ) セックスへの好奇心ビンビンのティーン・ギャルの成長ドラマでおまんにやわ!

ミニー・ゲッツの秘密
女の子が主役の青春映画って、いまいち興味が持てず、あまり見ることはない。
僕が、年を食ってるせいもあるけど、なんか、その手の作品に青臭さを感じて、拒否反応してしまうんよね。
だから、この「ミニー・ゲッツの秘密」も、最初は見る気がなかったんだ。

だけど、ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭などで注目を浴びたってのを知り、ちょっと見てみたくなりレンタルしたんよね。
アメリカのグラフィックノベル(コミック・マンガみたいなもの)をベースに映画化したってのも、興味をそそったし。

で、これが青臭いどころか、15歳の女の子の性的欲望をズバッとリアルに描いていて、セックスを通して精神的にも成長していく、
若干ロマンポルノ風味もある、なかなかにアダルトなドラマ。
なにせ、映画が始まるやいなや、
主人公の女の子が「今日、セックスをした」ってセリフを嬉しげにつぶやきよるんやから。

でもまあ、思春期の頃って、セックスへの憧れや欲望って、
男女を問わず、普通に誰でもあるんだし、それが、実にナチュラルかつ、
どこかノスタルジックな匂いを放ちながら描かれていて、
僕も10代の頃って、そういう部分ってあったな~なんて思わせられる、
胸の奥をキュンと優しく小突かれたような、そんな気分にさせてくれる作品でおましたわ。

舞台は、1976年のサンフランシスコ。
自分の容姿に自信がない少女ミニー・ゲッツは、母と妹との3人暮らし。
絵を描くのが好きで、日記代わりにテープレコーダーに
自分の思いや行動を吹き込んでいた。
ミニーは、まだバージンだけど、セックスへの好奇心がとっても強く、
母の恋人モンローと運よく二人っきりになったとき、
自分から彼にせまり、まんまとセックスにこぎつけ、バージンとおさらば。
ウキウキ気分のミニーは、モンローとの性的関係を続けながら、
そのことも、テープに包み隠さず吹き込んだ。
だが、そのテープを…。

ミニーの心模様が、彼女の描いた絵が動き出すアニメで表現されたり、
コミックが原作ってこともあるんだろうけど、
作品にポップなニュアンスが漂い、ヒロインのセックスライフに、あまり生々しさを感じさせないな。
ミニーの様々なセックス体験が描かれるには描かれるんだけど。
いったい私ってなんなの?ってなヒロインの自分探しの物語が、あくまで主軸にあり、
そこからブレることなく、ヒロインがエロエロな体験を通して、
自分の生きる道を見つけていく姿に、なんだか清々しさせ感じてしまえる。

監督・脚本は、本作で長編映画デビューをはたしたマリエル・ヘラー。
経歴は不明だけど、セックスの側面からティーンの女の子の心模様を、
ちょいユーラスに、かつビビッドに映し出す映像&演出センスは、なかなか。
女性監督ならではの繊細な心遣いが、うまく機能してるせいもあるかも。

作品の時代設定が、1976年(今から40年前)ということで、
ファッションやインテリアなど美術が、ノスタルジックなムード満々、
映像も、どこかセピアっぽいイメージを漂わせてるのも、なんか良い。
音楽も、70年代にぴったりの曲が流れるし。

ミニー役ベル・バウリーは、僕にはお初の女優さんだけど、
どう見たって15歳の女の子にしか見えない、ちょいタヌキ・フェースの小柄アクトレス。
美人じゃないけど、セックスへの好奇心ビンビンのティーンを、
実にナチュラルに演じていて、物語に説得力を持たせてるな。
しっかりヌードも披露するし、セックスシーンも臆せず、堂々とこなしてるし。
キョロキョロ動く大きな瞳が、チャーミングやん。

ミニーの初体験のお相手となる、
ちょいグータラな男モンロー役は、アレキサンダー・スカルスガルド。
アメリカ映画でも活躍している、僕の好きなスウェーデンの名優ステラン・スカルスガルドの息子だけど、
恋人の娘ともためらいなくエッチしちゃう、少々だらしない男を、気張らず、柔軟に演じてる。
ミニーとLSDをやってバッドトリップしてしまい、
涙ポタポタ泣き言を叫んじゃうところなんか、けっこう上手い役者さんだなって気もしたやん。

母親のシャーロットに扮したのは、前にこのブログで紹介した
「スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方」のクリステン・ウィグ。
70年代らしく、自由きままに生きてる女性をサラリと演じてる。

ところで、映画に登場するコミック・アニメは、原作者フィービー・グローエックナーの絵なんだろうか。
なんか、彼女のグラフィックノベルを読みたくなったやんかいさぁ。
映画化されたアメリカンコミックス「アメリカン・スプレンダー」のマンガの絵柄に近いものを感じたんでね。
ポール・ジアマッティ主演の映画「アメリカン・スプレンダー」(03)は、
実在のコミック作者の主人公ハービーと、コミックのなかのハービー(アニメ)が登場する、
なんとも風変わりなノホホンとした作品で、僕のお気に入りでおまんにやわ。

ソニー・ピクチャーズ 2016年3月23日リリース



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「プールサイド・デイズ」(13年・アメリカ) ちょいネクラな少年が、ひと夏の経験を通して、ほんの少し心の成長を遂げちゃう、ユーモラスな青春ドラマでおま!

プールサイド・デイズ
ちょっと面白そうだけど、ロードショー公開するには興行的にキツイやんと思われる作品を集めた特集上映ってのが、たまに行われるけど、この「プールサイド・デイズ」も、”カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2014”の中の一本として限定公開されたらしいのね。
だから、厳密には日本劇場未公開作とは言えないんだけど、限定公開だけに上映回数も限られてるし、ま、劇場未公開作として取りあげてもいいかなと思い、見てみることにしたんだ。
監督が、僕の好きな監督アレクサンダー・ペインの「ファミリー・ツリー」(11)の脚本を担当したナット・ファクソンとジム・ラッシュの二人で、その作品でアカデミー脚色賞を受賞しているだけに、ハズレってことはないだろうと思ったし。

離婚した母パムと暮らす14歳の少年ダンカンは、
母にできた恋人トレントと彼の娘ステフの4人で、
海辺の別荘でひと夏を過ごすことになった。
母やトレント親子は夏の開放感にひたって楽しんでいるのに、
ダンカンは、そんな雰囲気になじめず、一人街をぶらついていた。
そんな時、プール施設ウォーターパークで働いている、いい加減男オーウェンと知り合い、
なぜか彼に気に入られて、パークでバイトすることになった。
パークの仲間達と一緒に過ごすうち、ダンカンは少しずつ明るさを取り戻し、
毎日が楽しくなり始めた。
隣の別荘の女の子スザンナとも親しくなり、淡い恋心を抱くようになっちゃう。
だが、ある事件が起き…。

ネクラ少年が、ひと夏の体験を通して、ちょっぴりネアカな性格に変わっていく姿を、
ほっこりとした優しい視線で見つめていて、なんとも気持ちの良い作品に仕上がってるな。
大人達の身勝手さやズルい世界も、ダンカンの視点から描かれていて、
彼の心情に、すんなりと入っていけるし、あまりシリアスっぽくならないのもいい。

監督二人は、本作の脚本も書いてて、
さすが、アカデミー脚色賞を受賞しているだけに、
多彩な登場キャラそれぞれを上手に描き分け、
ユーモアたっぷり、物語に豊かな膨らみを感じさせるやん。
演出テンポも、サクサク展開させて、タルまないし。

深~い感動ってのはないけど、見終わったら、
なんだか、とても、ほんわかと温かな気持ちになれる、そんな作品だ。

いろんな人と出会い、そして別れ、
思うようにいかないことも多いけど、良いこともあるし、
人生、山あり谷あり、なんとか日々をのりきって生きてくんだ。
それは子供だって同じ。

でも大人になると、ズルさが身に付いてしまいがち。
トレントのある行動に傷ついた母親のパムが、
それでも彼と暮らすこと、家族になることを選択しようとした時、
ダンカンに言うセリフがある。
「大人は時に心にフタをする。自分を守るためにね。恐いから」

ダンカンにとっちゃ受け入れがたい言葉だけど、
でも受け入れるしかないことも、理解する。

そんな彼女が、映画のラストでとった行動、グッときてしまったやん。

ダンカン役は、カナダ出身の子役リアム・ジェームズ。
いかにもネクラで、社交性ゼロ、ファッションセンス・ゼロ、友達ゼロ、
内にこもりがちな少年を、彼自身、ほんまにネクラと違うかと思えるほど、
ダサイ格好で、リアルに演じてる。

母親役は、僕の好きなオーストラリア映画「ミュリエルの結婚」や
「シックス・センス」のトニ・コレット。
離婚して貧乏暮らしの母を、生活感ビンビン、これまたリアル。
やっぱり巧い女優さんだ。

トレント役は、コメディ映画で良い人やお人好し役が多いスティーヴ・カレルが、
珍しく、好感度ゼロのイヤ~な大人を、ほんとにイヤっぽく演じてる。
意外に、演技の幅が広いんだ。

そして、ダンカンのネクラな心を解きほぐしていくオーウェンに、
「月に囚われた男」のサム・ロックウェル。
軽佻浮薄ないい加減男、でも心優しい大人を、軽やかに演じてみせる。

スザンナ役のアナソフィア・ロブは、そんなに美人ってわけじゃないけど、
ごく普通の10代の少女キャラに、無理なくハマってる。

監督のジム・ラッシュも、パークの売店従業員ルイス役で出ていて、
客のほとんど来ない売店の仕事を辞めて旅に出るってのが口癖で、
とうとう辞めることになり、送別会を開いたのに…。
なんかニクめない、味のあるキャラよ。
もう一人の監督ナット・ファクソンもパークの従業員ロディ役で登場。
ネットで調べたら、この二人、脚本も書くけど、コメディアンでもあるみたい。

とにかく、オーウェンと恋仲になる従業員ケイトリン役マーヤ・ルドルフほか、
ちょい役に至るまで、有名どころから、そうでない人まで、
多彩な俳優が顔を揃えていて、それぞれキャラにナイスマッチ。
監督二人の人脈が豊富なんだろうね、きっと。

ところでパークに水が流れる巨大すべり台、ウォータースライダーっていうのかな、
それが物語の重要なモチーフとしてでてくるんだけど、ちょっと滑ってみたくなったやん。
今年の夏は、どこかのプールで滑ってみようかな~!
年寄りの冷や水と言われそうだけど。

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2015年4月15日リリース



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「マフィアは夏にしか殺らない」(13年・イタリア) マフィアがはびこるシチリアで生まれ育った男の子の、コミカルで、ちょいシリアスな成長ドラマでおまんにやわ!

マフィアは夏にしか殺らない
「マフィアは夏にしか殺らない」ってタイトルから、ノワール風味のギャング映画かなっと最初は思ったんだけど、ジャケットに人なつっこそうな少年の顔のアップがデザインされているし、ちょいアート系の作品ぽくもあるみたいで、いったいどんな映画なんだろう?と気になって見てみたんだ。
去年のイタリア映画祭2014で日本で上映されていて、何でもイタリア・アカデミー賞やイタリア映画記者賞で、新人監督賞を受賞したらしく、本国でも大ヒットらしいのね。

で、これが、ケラケラ笑えて、でもってシニカルな要素もあり、胸がジンときちゃう秀作でありやんした。
風変わりな少年の恋物語と、マフィアにまつわる事件を巧みに絡み合わせ、娯楽要素も抜かりなく、
久しぶりに、面白くて、味わいのある、愛着の持てるイタリア映画を見たって感じよ。

物語の舞台は、シチリア島の州都パレルモ。
コッポラ作品「ゴッドファーザー3」にも登場した、マフィアがはびこってる土地。
1970年代、そんなパレルモで生まれ育った少年アルトゥーロ。
ある日、転校生のフローラを一目見たその時から、恋の炎がメラメ~ラ。
でも、なかなか思いを告げられず悩んでいた時、
偶然、テレビ番組に登場したアンドレオッティ首相の、
奥さんへのプロポーズの話を聞いて、
成る程、そうすればいいんだ、僕の告白のアドバイスをしてくれたと、
首相が大好きになってしまうアルトゥーロ。
部屋に彼の写真を飾り、学校の仮装大会でも、首相の扮装をするくらい。
(DVDジャケットの写真は、アンドレオッティに扮したときの姿)
でも、首相の言った方法でフローラに恋心を伝えようとした矢先、
彼女は銀行家の父と共にスイスに引っ越してしまった…。
そして、大人になったアルトゥーロは、小さな放送局で働いていたが、
代議士の秘書となってパレルモに戻ってきたフローラと偶然再会。
彼女の後押しで、代議士への取材記者に選ばれ、
今度こそ、彼女に思いを告げようとするが…。

監督・脚本は、大人になったアルトゥーロを演じている、ピエルフランチェスコ・ディリベルト。
俳優の時はピフと名乗ってるそうで、彼自身、パレルモの出身らしい。
本作は、彼の初監督だけど、
マフィアの存在を感じつつ生活する中での、少年の甘酸っぱい恋心を、
ほっこりとしたユーモアをまぶして、リズムを刻むようなキビキビしたタッチで描いている。
アルトゥーロの誕生なんて、卵子に精子がドドッと押し寄せるCGアニメにしたり、
卵子にひとつの精子が突入するのと、マフィア同士の抗争をカットバックで見せたり、
どこかポップな感覚が見られるのも、なんかナイスやん。

彼に、パレルモ特有のお菓子・イリスを教えてくれた警部や、
将来は記者になると決めたアルトゥーロがアポナシ・インタビューを敢行した議員、
それに、彼のフローラへの幼い恋を優しく見つめる検事が、
次々と、マフィアによって無惨に殺されていくって、暗いエピソードも、
あまりシリアスにならず、そんな事件が日常茶飯事のパレルモの状況を見せつつ、
あくまで主人公のラブストーリーから物語はぶれない。

マフィアにまつわる犯罪事件は、テレビニュースなど実写が挿入され、
物語にリアリティを与えているけど、反マフィアを声高にメッセージするってことはない。
でも、ラストに、アルトゥーロが自分の息子に、マフィア撲滅に立ち上がり、
命を落としていった議員、警官たちのモニュメントを一つ一つ優しく教えていくところは、
反マフィアへの主張が、穏やかだけど、真摯に見ている側に語りかけてくるようで、
なんだか、ちょい胸がジーンときてしまったな。

子供時代のアルトゥーロを演じたアレックス・ビスコンティ少年が、実に良いなあ。
マフィアの抗争や暗殺が日常的なパレルモで、
大人達が、殺したのはマフィアじゃなく女だってウワサ話を耳にすると
それを本気にして、死ぬのはイヤだから、女の子に近寄ろうとしなかったり、
でも、牧師にそんなことはないと言われて、女の子へのアタックを始めたり、
いじらしいじゃあ~りませんか!

そんな、少々多感な少年を、アレックス君、とても等身大に自然体で演じてるのよ。
少年時代のエピソードをもっと見たいって気もしたわ。
少女時代のフローラ役、ジネヴラ・アントーンも、
アレックス君をやきもきさせる女の子を、とてもナチュラルに演じていて、これまたベリーナイス。
大人になったフローラには、クリスティアーナ・カポトンディ。
ちょっと「マッサン」のエリー役シャーロット・ケイオ・フォックスにちょい面影が似ている女優さんだけど、
ピフとはお似合いのカップルみたい。

いずれにしろ、次作が楽しみなイタリアの監督さんだな。
ま、次作が撮れても、日本じゃ特別映画祭の上映止まりで、
DVDリリースもままならないかもしれないけど。

オンリー・ハーツ 2015年3月6日レンタル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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