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リノ・ヴァンチュラ (フランス) ゴツくて渋くて男くささマンマン男優

シシリアン

フランスの映画男優で、僕が一番好きなのは、リノ・ヴァンチュラ。
映画ファンなら、アラン・ドロン、ジョアンナ・シムカスと共演した「冒険者たち」が有名なだけに、
顔を知らない映画ファンはいないだろう。
男くささたっぷりのタフで頼れるオヤジって雰囲気の俳優さんだけど、
ほんのり優しさみたいなものが漂い、実に味わい深くって、なんか良いんだな~。
フランスの映画俳優だけど、出身はイタリア。

そんな彼が刑事を演じ、
アラン・ドロンとフランス映画界の大御所ジャン・ギャバンと共演した「シシリアン」(69)のDVDが、
大阪はナンバ、TSUTAYA戎橋店で、1000円で売っていたので、つい買ってしまった。
前から欲しかった作品で、そのうち廉価版で出るだろうなと待っていたんだけど、なかなか廉価版が出ず、
TSUTAYAでレンタルもされず、もう見られないんやろな~と諦めていただけに、
メッチャ嬉しかったやんかいさ~。

監督は、「地下室のメロディー」「太陽の下の10万ドル」などのベテラン、アンリ・ヴェルヌイユ。
音楽はイタリアのエンニオ・モリコーネ、撮影は「太陽がいっぱい」の名カメラマン、アンリ・ドカエ。
キャスト&スタッフ充実しまくりの作品だけに、中身も、個人的には文句なしに楽しめましたわさ。

ローマからニューヨークへ空輸される5000万ドルの宝石強奪を企むシシリア人ファミリーの顛末を
クールなタッチで描いたもので、ドロン、ギャバン、ヴァンチュラの役柄が、キャラにナイスマッチ。

話がシシリアン・ファミリー中心だけに、ファミリーのボス役ギャバンや、女癖の悪い泥棒役ドロンに比べ
刑事役のヴァンチュラの登場場面は少ないけど、それでも、要所要所に登場し、
ラストも、ギャバンと共にビシリッと締めるちゃってくれる、おいしい役だ。

航空機内で宝石強奪を実行し、航空機ごとハイウェーに着陸させるってな、
スケールはデカイが、ほんまにそんなに巧くいくんかいな?と多少の疑問も湧くけど、
フランス映画らしく、キャラ描写が丁寧で、俳優の魅力とあいまって、
フィルム・ノワール的雰囲気は、ぎりぎりそこなわれていないので、僕としては許してしまえるな。

ところでヴァンチュラ出演作って、ビデオ・ソフト化されているものは多いけど、
DVDソフト化となると、実に少ない。オモシロイ映画があるのにな~。
一番DVD化して欲しいのは、「女王陛下のダイナマイト」(66)。
カタギになっていた男が、昔のヤクザ仲間とイギリスの犯罪一味の争いに巻き込まれ、
ダイナマイト爆破合戦を繰り広げるって話で、ジョルジュ・ロートネル監督らしい、
すっとぼけたユーモアとアクションのバランスが、なんともグッドな快作。
これまた僕の好きなフランス女優ミレーユ・ダルクが花を添えているのもエエ感じでおまんにやわ。

もう1本、DVD化希望は「ギャング」。
フィルム・ノワールの名匠と言われるジャン・ピエール・メルヴィルの秀作。
題名通り、ギャングの非情な世界を、重く沈んだ、それでいてつややかにムーディーに描いた、
2時間半のリノ・ヴァンチュラの代表作のひとつ。
中古のビデオは持っているんだけど、画質が悪くって、プロローグの刑務所脱出シーンなんて、
画面が真っ黒けで、何をしているのか全く判れへん始末よ。
この作品、メルヴィルを敬愛するアラン・コルノー監督が、
ダニエル・オートトゥイユ主演でリメイク「マルセイユの決着(おとしまえ)」(07)したけど、
これはこれでフィルム・ノワール・ムード満々、悪い出来ではなかったけど、
やっぱり、「ギャング」に比べると、なんか物足りないところがあるんよね。

DVDで、僕が持っているヴァンチュラ出演作品は、「影の軍隊」と「ラムの大通り」。
「影の軍隊」は、ユニバーサルから1500円と廉価で出たのが嬉しかったわさ。

ラムの大通り

「ラムの大通り」(71)は、「冒険者たち」のロベール・アンリコ監督の、
ノスタルジックで切ない、でもってユーモラスな、胸がキュ~ンとくる大好きな作品。
確か6~7年前、ハピネットってソフト会社から2800円で出たのを買ったんだけど、
ネット・オークションで調べたら、今じゃ1万円以上で売られていた。

1920年を舞台に、密造酒運搬の男が、映画館で見たハリウッド女優に夢中になり、
映画館に通い詰めるんだけど、そんな時、その女優と偶然出会い、恋に落ちてしまうが…。

スクリーンの中の憧れの女優と、現実世界で愛し合うなんて、
映画ファンの心をくすぐりまくるストーリーに、ウレシカルカル・カルパッチョ!よ。

ハリウッド女優役は、当時のフランスのセックス・シンボル、ブリジット・バルドー。

普段は無骨で怖いもの知らずなタフガイなのに、
スクリーンのバルドーをじっと見つめるヴァンチュラの、
うぶな少年のような眼差しが、なんともステキだった。

気まぐれで小生意気、でも愛らしくってチャーミングなヒロインを、
バルドーが、楽しげに演じているのも、これまたステキ。

ヴァンチュラ出演作で日本劇場未公開ながら、
なぜかDVDリリースされているのが、「メドゥーサ・タッチ 恐怖の魔力」(77)。
これは、TSUTAYAで、50パーセント引きのセールをやっていた時、手に入れた。

メドゥーサ・タッチ/恐怖の魔力

建物を破壊したり、人間に災いをもたらしたり、超能力テレキネシスを悪用する男の正体を、
交換研修でフランスからイギリスにやってきた中年刑事が暴こうとする、SF風味のサスペンスの快作。

ネットで調べたら、いろんな映画系ホームページで、この作品に関して書かれているので、
今さらって気もするし、あまり詳しく書かないけど、
イギリスの演技派リチャード・バートンの
ほとんど横になったままで身動きしないのに、眼力(めじから)バリバリの不気味な迫力にゾックゾク。
彼を追いつめるには、やはりタフで厳ついヴァンチュラでなきゃ太刀打ち出来ないわな~、
と思わせちゃってくれる。
そのために、わざわざフランスから来てもらい、出演してもらったんだろうね。
それに充分応えて、映画をグッと引き締めてるな、ヴァンチュラさん。

リノ・ヴァンチュラ プロフィール

1919年、イタリア生まれ。50年に、レスリングでヨーロッパチャンピオンになる。
だが、怪我をし、レスリング選手を断念。
たまたま、ギャング役を探していたジャック・ベッケル監督に見いだされ、
ジャン・ギャバン主演の「現金に手を出すな」(54)で映画デビュー。
その後、「死刑台のエレベーター」(58)「モンパルナスの灯」(58)
「自殺への契約書」(59)「バラキ」(72)ほかに出演。
若い頃は、アクション系の作品出演が多かったが、
50代前後からは、クロード・ルルーシュの「男と女の詩」(73)
「サンデー・ラバーズ」(80)「レ・ミゼラブル」(82)他、いろんなジャンルに出演。
1987年、心臓マヒのため死去。

「シシリアン」 フォックス・ホーム・エンターテイメント
「ラムの大通り」 ハピネット
「メドゥーサ・タッチ/恐怖の魔力」 紀伊國屋書店



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テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

ミヒャエル・ブリー・ベルビヒ(ドイツ)

国民の8人に1人が見たというドイツ映画史の上で、戦後最大のヒットとなったウエスタン・コメディ「マニトの靴(DVD題名・荒野のマニト)」(01)の、製作・監督・脚本・主演をこなしたマルチ・タレント、ミヒャル・ブリー・ベルビヒ。
1968年生まれだから、彼が33歳の時だ。

ここしばらく、ヨーロッパ系のコメディって、ほとんど日本公開されなかったけど、「マニトの靴」は、本国の大ヒットの勢いをかってか、日本でも劇場公開された。でも、全くヒットしなかったみたい。
ま、馴染みのない役者ばかりだしね~。
「マニトの靴」って日本題名も、どんなジャンルの作品か判りにくいというか、ちっとも興味をそそらないわさ。日本でヒットさせる気があるんかいなと思ってしまう。

「マニトの靴」(DVDタイトル「荒野のマニト」)

アパッチのアバハチと、彼と義兄弟の誓いをしたレインジャーが、アバハチの双子の兄でオカマのヴィネタッチや幼なじみの美女ウシー等と共に、アホな冒険を繰り広げるナンセンス・ウエスタン。
90分弱の作品だが、すっとぼけたオバカ・ギャグが、テンポよく詰め込まれ、スラプスティックなドタバタ・アクションに、ミュージカル・シーンまで登場。
毒っ気ゼロで、とにかくノーテンキこのうえないんだけど、
見終わったら後、なんか楽しい気分に浸れるんだ。

ストーリーは脱線することなくスムーズに進み、ギャグも物語からはみ出すことはない。だから散漫な展開にはならず、物語としてのまとまりがとても良いんだ。
おそらく、ベルビヒは、脚本の段階でかなり練ったんだろう。
ストーリーを逸脱するようなギャグは一切入れないというか、ストーリーに沿ってギャグを考えていったんだ。
男同士の友情みたいなもんも、さりげなく描かれ、ちょい胸が熱くなるかな~。

いかにもアメリカの西部劇で流れるような勇壮な音楽を随所に流し、これぞ西部劇の荒野らいしい風景を描き込もうとしていて、物語のバックグラウンドには結構気を遣っているというか丁寧だ。
そうすることで、ナンセンスなギャグが、より際だつんでおます。

下ネタ系のギャグも、ライトなセリフとアクションでサラリと見せるのも、良い感じ。
オカマの兄ヴィネタッチのオネエ系ギャグは、ちょいベタ過ぎるやんけと思ったけど。

ベルビヒさん、昔から映画界への進出が念願だったようで、様々な娯楽映画を勉強しているみたいで、「マッケンナの黄金」「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」他、ヒット映画の名場面を、ギャグからませて上手に取り込んでいる。

俳優としてのベルビヒも、どこか人なつっこくて、お茶目で、なかなか好感が持てる。

「マニトの靴」に続いて、今度はSF映画にチャレンジした、「スタート・レック(宇宙大作戦)」のパロディとも言える「ドリームシップ エピソード1/2」(04年)も、日本でちゃんと劇場された。
これまた、日本でヒットしたって話は聞こえてこないけど。
映画業界の誰かが、メッチャ彼に肩入れしてるんやろか。

ドリームシップ1/2

今回も、ヘルビヒは制作・監督・脚本・主演をこなしてる。
役名は、オカマのバルカン星人スパック。(ヒネリのなさ過ぎる名前やないけ)
共演は、「マニトの靴」のレンジャー役クリスチャン・トラミッツが、これまたオカマチックなコーク艦長。それに「スター・ウォーズ」のレイア姫もどきのメタファや、宇宙タクシーの運ちゃんに「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のティル・シュバイガーが加わり、4人が地球の危機を救うため未来から現代にタイムスリップして、冒険を繰り広げるナンセンスSFコメディ。

「スター・トレック」のパロディって書いたけど、取り上げた作品を茶化すんじゃなく、ヘルビビ独自のオリジナルな要素をプラスし、その作品への敬意というか愛情みたいなもんも、ちょい感じさせてくれるのがナイス。
「マニトの靴」でも、西部劇への愛情を感じられたし。

自分が好きなジャンルの映画に対するオマージュを出発点に、作品作りをしているのかも知れないな。

今回の「ドリームシップ-」も、物語のバックグラウンドに気を遣っているというか、丁寧に作り込んでいて、SFXやセットにたっぷり制作費をかけている。
これは、ヘルビヒ監督の、映画作りのモットーなんだろね。
登場人物達のやってることと言ったら、とことんナンセンスでばかばかしいのに。
ドリームシップ号の形が、タマタマとオチンチンの形とお下品なのに、丁寧なCGIでみせられると、妙に感心させられてしまう。

映画の出来は、僕個人としちゃ、「マニトの靴」ほど笑いが弾けているって気はしなかったけど、それでも十分楽しい楽しい作品で、ラストのオチもベリーナイスでおまんにやわ。
「マニトの靴」同様、ミュージカル場面もあるし。
普通のソファーにしか見えないタイムマシーンとか、小道具も笑わしよるし。

ところで、「マニトの靴」でも、ラスト・クレジットの後で、おまけシーンとして、ヴィネタッチが「オカマが好きな男と結婚できない世の中はおかしい…」とかブツブツつぶやきながら、荒野に消えていくけど、「ドリームシップ-」でもオカマ・キャラ。
ヘルビビ自身、オネエ系のゲイなんだろか。
それとも、一昔前の藤井隆みたいにキャラとしてオカマを演じているだけなんだろか。
ま、どっちでも良いことだけど。

彼の新しい監督作は、日本でも出版されている児童小説「小さなバイキング ビッケ」の映画化作品。
この映画のドイツのホームページを見たけど、セットが懲りまくっていて、SFXもあり、もちろんヘルビビ風ギャグも、それなりに盛り込まれているみたい。
今度も、日本で劇場公開されるんだろうかしらね?

最近は、アメリカで大ヒットしたコメディでも、日本じゃ劇場公開見送りで、ほとんどDVDスルーでしかリリースされないし、ましてやドイツのコメディったらな~!
児童小説なら、別かな?

「ドリームシップ1/2」のスペシャルページが、まだネットに残っていたので、
そこのベルビヒ・プロフィールを要約して紹介

●ミヒャエル・ブリー・ベルビビ
1968年ドイツ生まれ。
1992年、ラジオのモーニングショー「」ランゲマンと朝のクルー」でキャリアをスタート。
ラジオ・コメディ「バイエルン・コップス」が800シリーズを越える人気となる。
1997年、ラジオからテレビへ進出。
ベルビヒ原案・出演・監督の「ブリーパレード」が第大人気となり、コメディ番組の権威ある賞ゴールデン・ローズ・オブ・モントレックスにノミネート。
ラジオ番組「ブリーのレイト・ライト・ショー」がドイツのラジオ史上初の全国放送となる。
2000年「エルカン&シュテファン」で劇場映画・監督デビュー。

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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