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ラッセ・スパンク・オルセン

デンマーク映画の監督と言ったら、映画好きならまず思い浮かぶのが、
「奇跡の海」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアか、
新しいところで「ある愛の風景」「アフター・ウェディング」のスザンネ・ビアと、
どちらかと言うと、シリアスなドラマ指向というか、芸術映画的な作品を撮ってる監督だろう。

僕が、まず思い浮かぶのは、ラッセ・スパンク・オルセン監督。
どこの国でもそうだけど、アート系の映画があれば、単純に楽しめる大衆娯楽映画だってある。
当然、デンマーク映画にだって、娯楽派の監督がいるわけで、
その1人がスパンクさんなんだ。

ゼイ・イート・ドッグ

僕がはじめて彼の映画に接したのは、
ヨーロッパで大ヒット、ハリウッドでリメイク決定!なんてうたい文句で、
日本でもちゃんと劇場公開された「ゼイ・イート・ドッグス」(99年)。
公開と言っても、大阪で上映されたのは、繁華街からはずれた場所にある少々寂れた感じの映画館だったけど。

平凡な銀行員が、ある事件がきっかけで、ならず者の兄ハロルドの現金輸送車襲撃に加わるってストーリーで、
ポスターは、いかにも派手なバイオレンス・アクションってイメージだったけど、
映画本編は、すっとぼけたユーモア満々の、オフビート感覚のコミカル色の強い作品。
おもろいセンスを持った監督やないけ、といっぺんでファンになってしまった。

ラストで、唐突にファンタジーになってしまい、
アメリカ映画じゃ、おそらくありえへん展開に、口あんぐり状態だったわさ~。
でも、そこが実にユニークだったし、この監督、ただ者やおまへんな~と思わせちゃってくれた。

銀行員が一応主人公ってことだけど、
彼より、短気で暴力的な兄ハロルドと、ちょっと頼りないが心優しい兄の子分達のやりとりが、
なんともユーモラスで印象深いんだ。
子分の1人は、スザンネ・ビアの「幸せな孤独」に出ているニコライ・リー・コス。
そして脚本が、「幸せな孤独」「アフター・ウェディング」のアナス・トーマス・イェンセン。
シリアスなものから、オフビートな娯楽作品まで書いてしまえるなんて、
イェンセンも、ただ者やおまへんな~。

デンマーク本国じゃ、この映画のあまりの人気ぶりに続編が決定したと、
チラシか何かで知り、早くみたいな~と首を長くして待っていたけど、
その後、全く情報が入らず、忘れていた頃にDVD雑誌で続編のリリース知った。
やっぱ、DVDスルーの運命だったのね。
DVD邦題が「ゲット・ザ・マネー」(02)で、
「ゼイ・イート…」の3年後に作られたみたい。
前作は、原題と一緒だったのに、続編の題名がこれとは。
もうちょっとで、気付けへんかったとこやないけ。

ゲット・ザ・マネー

兄のハロルドが、刑務所から出所するところから物語は始まり、
ハロルドは、自分の育ての親である、死期が近い大親分に頼まれ、彼の息子を刑務所から脱出させる。
そして息子や子分達と共に、大親分の手術代を稼ぐため、またまた現金強奪をやらかすが…。

今回も、イェンセンが脚本を担当しているだけに、前作同様のとぼけたユーモアがビンビン!
ハロルドが留置所に居た間に、子分二人は、腕のいいコックとして暮らしていて、
コス扮する子分は、お菓子作り大会での優勝を目指してレシピ作りに日夜励んでいる。
でも、ハロルドの命令で、渋々それを断念せざるをえないことに…。
また、脱出させた息子というのが、女を見ると殺したくなる連続殺人鬼ときてる!
ハロルドが目を離すと、所かまわず、女を殺しにかかるから始末が負えないのよ!
でも、息子は、めっちゃ気の強い女に出逢い、はじめて愛し愛されることの素晴らしさ、
愛する人とのセックスの喜びをみたいなもんを知り、めでたく彼女とゴールインしてしまいよる。

アメリカ映画並のカーアクションなど、派手な見せ場は増えたけど、
基本的に、とぼけまくっているところは相変わらずで、個人的には、めっちゃ楽しめましたわさ。

次に日本で、DVDリリースされたオルセン作品は「トランス・ミッション」(07)。
今度は、盗まれた名画を巡り、ストリッパーで生計を立ててる女子学生と熱血刑事が、
成り行きでコンビを組み、悪人どもとバトルを繰り広げる、これまたコミカルなアクション。

トランスミッション

今回は、脚本はオルセン自身とニコライ・ペイクって人で、イェンセンは参加していない。
だから、すっとぼけたユーモアは相変わらずなんだけど、
アクションの比重が大きくなったようで、テンポがすこぶる良いんだ。

でも、女子学生の父の強盗仲間二人が、超肥満体のデブで、動きがちっともシャープじゃないし、
ロシアンマフィアのボスもコロコロのデブで、なんかマンガっぽい。
でもって、ボスの右腕が、初老の色気ゼロのシワシワのオバはん。
こういうキャラ選びって、なんかオルセンらしいな~と思えてニヤリとさせられる。
アメリカ映画なら、右腕の女に、セクシー系の姉御肌の女優を選ぶよね。

女子学生と刑事は、口げんかしながらも一緒に行動するハメになり、
デンマークからポーランドまで、車に船に飛行機と、いろんな乗り物で移動するんだけど、
ここらへんは、バディムービーっぽい趣がある。
でも、ポーランドで、刑事が有名オペラ歌手と間違われ、下手くそな歌を披露させられたり、
笑いも抜かりはない。

この作品もそうだけど、僕が見たオルセンの作品群じゃ、登場人物が、ほとんど死なない。
アクションはあっても、血をほとんど出さないし、死体もあんまり見せない。
血を見せないっての、オルセンのモットーなんかしら。
だからなのか、見た後、なんか、さわやか~な気分にさせられちゃうんだよね。

お国柄なのか、オルセン自身がそうなのか、
どこかおおらかというか、のどかな感覚みたいなもんが作品ににじみ出ている。
登場人物たちも、なんか人なつっこい感じだし。
そこんところが、アメリカやイタリアやフランスなどのアクション映画群と違ってるし、
特質かなって気もする。

ところでアナス・トーマス・イエンセンは、脚本だけでなく、
監督作品もDVDスルーで、2本ほど日本でリリースされている。

「フレッシュ・デリ」(03)って作品で、
肉屋を営む兄弟が、人肉マリネを売るはめになるという、ブラック・コメディ。
もちろん、脚本もイェンセンだけど、
ブラックなユーモアに、ちょいセンチなテイストをまぶした、なんとも奇妙な味わいの作品。

どこかのんびりしている空気感が画面に漂っていて、次々と人が死ぬのに、
心地よいエンディングにグッときてしまう、個人的にすごく好きな映画だ。

主演は、「アフター・ウェディング」「カジノノワイヤル」のマッツ・ミケルセンとニコライ・リー・コス。

風変わりな映画が好きって人にオススメかも。

フレッシュ・デリ

もう一本は、「ブレイカウェイ」(00)
ギャングの下っ端四人組が、組織を裏切り、
元レストランだったらしい廃屋に逃げ込むんだけけど、
そこでいろいろ事件があり、最後は、その廃屋をリフォームしてレストランを開き、
平和に暮らしましたとさ、ってな、ヒューマンな味わいもある、とぼけたストーリー。

どの作品も、リリースされて時間が経ってるから、レンタル店にあるかどうかわからないけど。
よほどのヒット作か名作以外の劇場未公開作って、毎月新作が次々とリリースされるから、
店の棚から、すぐ消えてしまう可能性があるからね~。

ところでオルセンの次作は、いつ見ることが出来るんだろう。
どうせまたDVDスルーになると思うけど、次作が待ち遠しいじゃあ~りませんか。

しかし、どの作品も、ジャケットデザインが、ハードアクションのイメージを打ち出していて、
内容とズレている気がするけど、ま、手にとって借りてもらうには、
ビジネス的にそうしなきゃいけないんだろうね。

「ゼイ・イート・ドッグス」SPO(販売のみ)
「ゲット・ザ・マネー」アット・エンタテインメント(レンタル)
「トランス・ミッション」アット・エンタテインメント(レンタル)
「フレッシュ・デリ」アット・エンタテインメント(レンタル)

 

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テーマ : 映画監督
ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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