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「ディフェンドー 闇の仕事人」(09年・アメリカ・カナダ) <スーパーヒーロー>でなきゃ生きてけない、ピュアな男の物語

ディフェンドー

「ゾンビランド」で、ちょいファンになってしもたウディ・ハレルソン。
彼が主演ってことでレンタルしたんだけど、
今里のTSUTAYAじゃ「コメディ・コーナー」に置いてあったので、
てっきりスーパーヒーローのパロディものかなと思っていたら、良い意味で期待はずれとういか、
スーパーヒーローになるしか生きてけない、悲しい過去を背負った男の物語でありました。
ラストじゃ胸にーンと来てしまい、ちょい目頭が…。

夜な夜な、スーパーヒーロー、”ディフェンドー”に変身して、
市民を悪の手から守ろうと頑張ってる、普通の男アーサー。
ある夜、悪徳警官ドゥーニーのお相手をしていた若いコールガール、キャットを助けるというか、
彼女の商売を邪魔し、ドゥーニーをボコボコにしてしまう。
後日、そのドゥーニーの仲間に、今度はディフェンドーがボコボコにされた時、
偶然そばにいたキャットに介抱される。
彼女は、アーサーが住む倉庫をしばしのねぐらと決め込み、同居。
キャットから、アーサーの母親の命を奪ったかもしれない「暗黒街の総帥ラドバン」の話を聞き、
ラドバン退治に立ち上がるアーサーだが…。

映画は、アーサーが、韓国女性の精神科医に診察を受けるところから始まる。
彼が囚人服を着ていることから、どうやら彼がなにか罪を犯し、鑑定を受けるハメになったと推察できる。
そして、精神科医の診察シーンを差し挟みながら、アーサーが起こした暴行事件、アーサーの悲しい過去、
どうしてスーパーヒーローになろうとしたのかが描かれていくんだ。

精神科医と会話シーンで、アーサーのしゃべり方や振る舞いが、どうも常人ではないようにみえる。
実は、アーサーはオツムにちょっと障害を持つ男だったんだ。
だから、体は成熟した大人だけど、行動がどこか子供じみているんよね。
ディフェンドーとして町に出る時、武器はビー玉にパチンコ、それにミツバチにライムの汁と、なんとも幼稚。
彼が乗る作業車も、犬のマスコットを張り付けてディフェンドッグと呼んでいたり。
コスチュームもナベを逆さにしたようなヘルメットに、胸のDの字はガムテープを張り合わせただけだし。

知能障害というこもあり、阻害されて育ったアーサーの子供時代、
ヒーロー物のコミックブックを目にした時、
ヒーロー世界を、孤独な自分の心の逃げ場所にしようときめたんだ。
ほんの少ししか描写されないけど、アーサーがヒーローにならざるを得なかった事情がなんとなくわかってくる。
「ディフェンドーでなければ自分でなくなるんだ」とキャットに語る場面があるけど、
アーサーにとっちゃ、現実は辛いことばかりで、そこに自分の居場所を見つけられなかったんだ。

そんな主人公を、ハレルソンは、切なさともの悲しさみたいなもんを漂わせながら、
誇張することもなく、絶妙のさじ加減で巧妙に演じてみせてる。
巧いなあ。

「スーパーヒーロー」らしく正義感は人一倍強く、悪を憎む気持ちもビンビン。
キャットがヘロインを吸っているのを見ると、手厳しくたしなめたり、
彼女が、父親にいけないことをされていたと聞けば、父の店に押し掛け、
彼をボコボコにし、ゴミ箱に突っ込んだり…。
それが暴行罪となり、逮捕されて、精神科医と向き合うハメになるんだけど。

そんな彼に、すこしずつ感化され、コールガールから足を洗い、立ち直ろうとするキャット。
「チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室」(08)に出ていた
カット・デニングスって女優さんが演じてるけど、演技が柔軟で、そこそこキュートだし、魅力あるなぁ。

アーサーを何かと気遣い、仕事を世話する友人ポール役マイケル・ケリーも、味わい深い演技を見せてる。
誠実で家族思い。息子を救ってくれたアーサーに恩義を感じ、それを大事にしているってのを、
すんなりと分からせてくれるんだ。ほんと、良い役者さんだ。

悪徳警官ドゥーニー役は、カナダ出身の演技派イライアス・コティーズ。
すっかり禿げ上がって、小汚いオヤジって感じだけど、いかにも性格の悪いキャラを、
人間くささたっぷりに演じてる。

監督は、ハリソン・フォード主演の「K-19」(02)やカナダ映画「女子高生vs狼男」(08)
に出ている俳優ピーター・スッテピングス。
カナダ出身で、初監督なのかどうかわからないけど、本作は脚本も書いていて、
描写不足のところや展開にちょいまだるっこい部分はあるけど、
小さな役柄に至るまで、キャラにナイスマッチしたキャスティングのおかげで、
ヒューマンな味わいの異色のドラマを作り上げることができたんだなと僕には思える。
エンド・クレジットを見ていて判ったんだけど、
アーサーが入院する病院のドクター役でちらりと顔をも見せていたわさ。
ちょい線の細い、ハンサムガイって感じの人だ。

ラスト、ディフェンドーとして、売春や麻薬密売の組織に最後の戦いを挑む時、
キャットから銃を渡されるけど、「銃は弱虫の道具だ」と言いのけるアーサー。
渋いセリフやおまへんけ。

アジア系女優サンドラ・オーが、精神科医役で出ているけど、
「サイドウェイ」を見た時は、のっぺりした顔立ちで、華もなければ魅力もないと思ってたんだけど、
この映画じゃ、アーサーに少しづつ肩入れしていくというか、共感していくところを、
さりげなく演じていて、なかなか好感が持ててしまったわ。

しかし、この映画のDVDジャケット・デザイン、ひどいやないの。
ディフェンダー・コスチュームの主人公が金棒持ってるんやけど、
コメディともアクションとも見えるようなデザインで、中身と全然違うやんかいさぁ。
「闇の仕事人」って副題もなぁ、中身を見ないで付けた題名としか思われへんわ、ほんまに。


ソニーピクチャーズ 2010年7月14日リリース



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「プリズン211」(09年・スペイン) 刑務所で新米刑務官が暴動に巻き込まれてもた!

プリズン211

お気に入りとまではいかないけど、僕がちょい気になる監督のひとり、スペインのダニエル・モンソン。
ロールプレイング・ゲームの世界と現実世界をミックスさせたファンタジー「クィーン&ウォリアー」(00)
で監督デビューし、注目を浴びた人物だ。
「クィーン-」は、スペインでメガヒットしたそうで、日本でも小規模だけど劇場公開されたけど、
さほど話題にもならなかったな。
ゲーム世界のマッチョな剣士が呪いにかけられ、現実世界のひ弱な16歳の少年に生まれ変わるって
アイデアは面白かったけど、どうもアイデアだけで突っ走ってしまったような印象があって、
悪くはないけど、いまいちグッと来るものがなかったんだ。
それでも、ビジュアル・センスは良いし、展開もキビキビしていたし、次作に期待ができそうやな~と思った。

次に見たモンソン作品は、劇場未公開、DVDスルーの「イレイザー」(06)。
スペインのマヨルカ島を訪れたSF小説家が、マッドサイエンティストの犯罪を阻止しようとする、
謎解きミステリーと巻き込まれ型アドベンチャーをミックスした、痛快サスペンス・アクション。
斬新なアイデアってほどじゃないけど、自殺を強要する「自己抹消装置」を巡る話で、
「クィーン-」に比べ、演出センスも磨きがかかったみたいで、
ケレン味もたっぷり、グイグイ物語に引き込まれる、エンタテインメントに仕上がっていたな。

イレイザー

そんなモンソン監督の最新作で、スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞に、
今年度15部門にノミネートされ、8部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・助演女優賞他)を受賞した、
刑務所を舞台にしたサスペンスがこの「プリズン211」。
モンソンさん、おめでとう。
でも、ゴヤ賞大量獲得しても、それで客を呼べるってわけでもないのか、
日本じゃ、あたりきしゃりきのDVDスルー。ま、全く見れないよりマシだけど。

刑務所の新任職員として着任したファンは、突如起こった囚人たちの暴動に巻き込まれ、
凶悪犯が占拠し立てこもる監獄内に取り残されてしまった。
とっさの判断で、囚人のフリをし、脱出の機会を狙うファン。
その頃、ファンの身重の妻は、ニュースで暴動事件を知り、刑務所に向かっていた。
だが、刑務所の入り口で、妻の身に思いも寄らぬ出来事が…。

一言で行って、ガツンとくる、久しぶりに手応えのある未公開作品に出会ったわさ。
モンソン監督って、ファンタジーやサイエンス系の娯楽派の人だと思っていたけど、
本作じゃ、社会性もちょい加味し、重厚なドラマに仕上げているんだ。
囚人達VS看守にSWATも加わる攻防戦が、なんともスリリング。
窮地に追い込まれたファンの心情描写も、なかなか巧みだ。
愛する妻との生活の一こまをちょこちょこ挿入し、愛が深いゆえに、
彼がブチキレ、とんでもない行動に出てしまうのも、見ていて納得させられる。

囚人達は、見るからにワルそうな面構えの男優が揃い、
中でも、ファンと奇妙な友情みたいなもんが生まれる凶悪犯のリーダー役、ルイス・トサルの存在感と言ったら。
太い眉に射抜くような鋭い眼光、厳つい風貌で激しやすく、それでいてどこか冷静に物事を判断し、
リーダーとして、囚人達を束ねる男をリアルに演じてみせてる。
この手の監獄映画や犯罪物でしか、主演としての出番がなさそうな人だけど、
この役で、ゴヤ賞主演男優賞受賞。これまた、おめでとさんです。
対するファンは、たった一人、囚人達の中で怯えつつも気丈に振る舞い、
妻を獄内から気遣ってはいたが、最後に感情が爆発してしまう、物語のキモとなるなかなか難しい役柄だけど、
誠実で優しさ漂う雰囲気のアルベルト・アンマンが熱演。
見事、ゴヤ賞新人男優賞を受賞しちゃった。おめでとさんです。
もう一人、出番は少ないけど、ファンの妻を演じるマルタ・エトゥラが助演女優賞受賞。
とてもナチュラルな魅力を放つ女優さんで、彼女の存在がファンを支えていたってのが、
ストレートに伝わってくる。
他に、ゴヤ賞ノミネート止まりだけど、裏で警察と通じている悪がしこい男を、
ハビエル・バルデムの兄貴カルロス・バルデムが演じ、候補に挙がっていましたわ。
バルデムより、ブサイクだけど、ちょい味のある俳優さんだ。

出演者のなかで、個人的にウヒョと嬉しかったのが、
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の、
僕のお気に入りの快作&怪作「ハイル・ミュタンテ! 電撃XX作戦」(93)
に主演したアントニオ・レネシスが、いけすかない先輩看守役で出ていたこと。
「ハイル・ミュタンテ-」の頃は若々しくエネルギッシュでセクシーな魅力も放っていたのに、
えらい老けてしまったなぁ。ま、「ハイル-」から16年ほど経っているんだから仕方ないか。

全編、緊張感が途切れるってこともなく、
題名にもなっている監獄211号室でラストを締めくくるエンディングまで、
数多くの登場人物を手際よくさばいて、混乱することなく物語を展開させ、
モンソン監督、見るたびに、映画作りが巧妙になるというか、熟達していくというか、
ますます次作が楽しみになってくるやおまへんけ。

「プリズン211」松竹 2010年7月7日リリース
「イレイザー」アルバトロス/ニューセレクト 2007年11月2日リリース



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「クラバート 闇の魔法学校」(08年・ドイツ) 愛は、闇の魔法に打ち勝てるんかな!

クラバート 闇の魔法学校

ファンタジー系の映画が好きで、以前は劇場未公開のファンタジー系の作品をよく借りて見ていたけど、
ハズレの作品が多くって、最近はあんまり借りなくなった。
この手の映画ソフトって、「ロード・オブ・ザ・リング」風のジャケット・デザインが多く、
夢と冒険にあふれる波乱万丈の物語を匂わせるんだけど、中身は、ありきたりのストーリーに
安っぽいCG映像で、驚きも興奮もありゃしないってのばかり。
それに、演出が平凡で、ちっともワクワクさせてくれないのよね。

このドイツ作品「クラバート 闇の魔法学校」も、ジャケット・デザインは、
いかにもファンタジーでございってな感じで、どうかなとも思ったけど、
本国じゃ、動員110万人を超えるメガヒットとかジャケット説明に載ってるし、
出演が「愛を読む人」のデヴィッド・クロス、「グッバイ・レーニン」の主演や
「イングロリアス・バスターズ」でナチス将校を演じたダニエル・ブリュールと、
メジャー映画に出ている俳優だし、日本で開催されたドイツ映画際で上映されたらしいし、
そんなにガックリはこないだろうと見ることにしたんだ。

原作は、チェコ生まれのドイツ人オトフリート・プロイスラーが、クラバート伝説を下敷きに書いた児童小説。
日本でも、30年以上にわたって親しまれているらしい世界的ベストセラーなんですと。
なんでも、宮崎駿も敬愛しているんだとか。

舞台は、17世紀ヨーロッパ。放浪の旅を続ける孤児のクラバートは、
どこからともなく聞こえる声に導かれ、水車小屋にたどり着くと、
不気味な雰囲気を漂わす”親方”が待っていた。
食べ物と寝るところを保障してやるといわれ、見習いとして働くことにしたクラバート。
11人の先輩達とともに、キツイ労働の日々を送るが、先輩のリーダー格サントが何かと手助けしてくれた。
やがて、そこが黒魔術を学ぶ魔法学校だと知り、彼も魔法を学ぶ。
だが、それと引き換えに、仲間達には、恐ろしい運命が待ち構えていた。
それを知ったクラバートは水車小屋からの逃亡を図るが‥。

それなりに制作費がかかっているようで、
建物や衣装など、美術が丁寧で、撮影も深みがあり、映像に説得力があるな。
親方の下で働くクラバートをはじめ12人の若者たちのキャラも、そこそこ描き分けられてるし、
親方の邪悪っぽさ、クラバートが恋心を抱く村の清純な娘など、
役柄にナイスマッチした俳優を揃えているのもええ感じ。

でもね、演出にメリハリが乏しいというか、ケレン味も不足気味で、なんか物語が弾まないんだわさ。
クラバート達が、村人を襲う悪漢の群れを、魔法を使って退治する場面も、
ちっともスリリングじゃないし、痛快さもない。
クライマックスの親方との対決も、どうも盛り上がりに欠けるし‥。

監督は、マルコ・プロイツパインナーて、一度じゃ覚えられない名前の人だけど、
どうも、アクションやアドベンチャー系の作品を撮ったことがないんじゃなかろうか。
その手の作品の、演出のツボみたいなのを外しまくってるんだわさ。
それに、魔法がベースにあるのに、あまり魔法を使う場面が出てこないし。
仲間が、親方のために命を落とすとか、ダークな要素もあるけど、
暗いニュアンスみたいなものも希薄だし。
展開も、ちょこちょこ拙い部分もあるし。
ひょっとして、マルコさんはプロデューサーあがりで、映画作品・初監督だったりして。

原作が児童文学だから、おとなし目な演出でお子様向けに作ったとも思えないけど‥。
「ハリー・ポッター」シリーズなんて、ワクワク感いっぱいの痛快作に仕上がっているんだから、
この作品も、そう出来たはずなのにね。

魔法、恋、青春、邪悪な支配者、などお膳立ては揃っているのに‥
やっぱり監督がダメなんだ。

監督は、脚本も共同で書いてるみたいだけど、
クラバート伝説を素材に、単なる娯楽作品じゃなく、何か深いの要素をプラスしたかったんだろうか。
邪悪なものに対しても、最後は<愛が勝つ>ってテーマだけじゃ、ダメだから‥。
でも、それ以外に何かがあるようなストーリー展開でもないし。
要するに、物語に膨らみがないというか、イマジネーション不足でおまんにやわ。

結局、僕にとっては、残念とは言わないけど、面白さを発揮しそこなった、
もったいない作品だったなって印象でアリンス・プリンス・ヒヤシンス。

本当に、ドイツで110万人も動員したんだろうか?
観客の目を曇らせる特別な黒魔術をかけ、面白いと思わせたんとちがうかねぇ!

村娘を演じた「見えない雲」のパウラ・カレンベルグが、
可憐でかわいかったのが印象に残ってるけど。

おなじ”クラバート伝説”を扱った作品なら、
チェコのカレル・ゼマン監督が作った切り絵アニメ「クラバート」(77)のほうが、
よりファンタジックで、イマジネーション豊かだし、味わい深い作品に仕上がってたわさ。

カレル・ゼマン クラバート

親方とクラバートや仲間達が、いろんな動物に変身する魔法合戦を繰り広げたり、
魔法ってモチーフを、アニメならではの技法で上手に物語りに組み入れ、
幻想味たっぷり、魅惑的だったのよ。
国の要人を馬に変えて救出した後、人間に戻さず、馬のまままのほうが良いとそのままにしたり、
シニカルな要素もあって、75分と短いけど、濃い中身の作品でおます。
大きなレンタル店なら、置いていると思うから、気になる人は見比べてみたらどうじゃろかい。

トランスフォーマー 2010年7月2日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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