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「イージーマネー」(10年・スウェーデン) 丁寧な人物描写で見せる、ドラマ要素の強いクライム・ムービーやん

イージーマネー

スウェーデン製のミステリー映画「ミレニアム」シリーズが話題になり、
ハリウッドでダニエル・クレイグ主演でリメイクがされ、多分秋には日本でも公開されるけど、
同じスウェーデン製のこの「イージーマネー」も、ザック・エフロン主演で、ハリウッド・リメイクされることが決まったらしい。
そんな本作、人間ドラマにポイントを置いた、なかなか見応えあるクライム・アクションでおましたわ。

ビジネススクールで学ぶ地方出身の学生ながら、
白タクのバイトで金を貯め、
エリートを装って金持ち仲間とつき合ってるJW。
祖国のコネを利用してコカイン密輸を企てる、
アラブ系の脱獄囚ホルヘ。
そして、ホルヘ暗殺をユーゴマフィアから依頼されたセルビア人のヒットマン、ムラド。
白タクの元締めから頼まれホルヘを助けたことから、裏社会にズブズブはまり込んでいくJW。
ホルヘ暗殺をしくじったムラドは、マフィアに命を狙われてしまう。
そして、それぞれの思惑が交差し、運命の歯車が狂っていくが‥。

冒頭、ホルヘが刑務所から脱走するところから始まり、
JW、ムラド、それぞれの行動が、カットバックで手際よく描かれていく。
三人、それぞれの状況やキャラも、端的、かつ明確に示され、すんなりと物語に入っていけるな。

スウェーデンの北の外れの町生まれのJWは、ファッションモデルもどきに、背が高くてハンサム。
上昇志向が強くて、何とか大金を手に入れたいと考えている。
上流階級の女ソフィーと出会い、恋に落ちるけど、自分の素性は隠し、エリートを偽り続ける。
裏社会とは無縁の生活だったけど、ビジネス関係に強いことから、
元締めのコカイン密輸で儲けた金の洗濯や経理を頼まれ、金儲けと割り切って引き受ける。
これで、リッチになれると思ったのもつかの間‥。

髭面でマッチョなタフガイ、ムラドは、別れた妻が養っていた幼い娘ロヴィーサを、
ある事情で自分が育てなくてはならなくなってしまう。
マフィアから銃撃を受け、このままではヤバイと、可愛い娘を守るために、
JWに近づき、ある提案をするが‥。

ホルヘには、愛する妹パオラがおり、脱獄後も何かと手助けしてくれる。
彼女から妊娠していることを告げられ、オジさんになるんだなとニヤけるホルヘ。
でも、ホルヘの密輸計画をよく思わないユーゴマフィアがパオラの家を荒らし、
パオラとも気まずくなってしまうが‥。

スウェーデンを舞台に、アラブ系やセルビア系の人間達が、裏社会でうごめいているって、
なんか意外な気もするけど、ヨーロッパじゃありがちなのかな。
ストーリーに、さして目新しいところは、あまりない。
でも、主人公三人の、それぞれの心情や行動を、手持ちカメラで上手に画面にすくい取っていき、
バイオレンスや銃撃戦なども差し挟まれ、2時間オーバーの作品だけど、
ラストまで見せられてしまうわさ。

主人公3人に扮した俳優も、キャラにピタリのキャスティング。
JW役ジョエル・キンナマンは、ジュード・ロウにちょい面影が似ていて、
美形やし、センシティブな演技もなかなかええんよねぇ。
アメリカ進出したら、スターになりそうな予感がするけど。
裏切った仲間を、容赦なく殴り倒すのを見て、うろたえる表情なんて実に生々しいやん。

ムラド役ドラゴミール・マーシは、マッチョ・ボディの中年オヤジ。
バーベルで体を鍛える場面があったり、体力自慢なところがあるみたで、
今までは、暴力と殺人にあけくれる日々だったけど、
幼い娘が現れてから、心情に変化がおきていくってのを、うまく表現しているな。
年齢からいってベテラン俳優だと思うけど、
渋さと野獣っぽさみたいなのが体からじんわりと滲み出ているし、存在感たっぷりよ。
「人生は厳しい。お前はパパに似て強い子だ」と、娘に語るところ、
彼が言うだけに、説得力あるなぁ。

ホルヘ役マティアス・パディンは、チビで体もちょい軟弱気味。
垂れ気味の目元が、ズルがしこい犯罪者だけど、
家族思いの優しい一面もあるってのをリアルっぽく演じている。

この映画、3人の俳優の演技に助けられてるって気もする。

物語にドラマ要素が強いって言ったけど、脚本がマリア・カールソン。
名前から多分女性だろうと思うけど、女性ならではの繊細さみたいのが、
脚本にうまく生かされているのかも知れないな。

ところで、ムラドの娘ロヴィーサ役の女の子、名前は判らないけど、
この子、ほんまに、あどけなくて可愛い。
父が出かけ、ひとり部屋に残され、寂しがる時の表情なんて、
もう抱きしめてあげたくなってしまうわさ。
ラスト、お父さんがあんなことになって、彼女、これからどうなるんだろう。
エンドクレジットが流れてからも、そればっかり気になってしまいましたわさ。

ひょっとして、ニキータみたいになるんやろか。
スピンオフで、彼女のその後を描いた映画を作るなら、ぜひ見てみたいわさ、ほんまに。
もちろん、この女の子も出演してだけど。


ファインフィルムズ 2011年7月8日リリース



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「ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡」(08年・アメリカ) アメリカvsフランス、美味いワイン対決、勝つのははどっちって話でおまんにやわ

ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡

僕の好きな監督の一人、アレクサンダー・ペイン。
彼の作品を初めて観たのは、脚本も書いたマシュー・ブロデリック主演の劇場未公開作「ハイスクール白書 優等生に気をつけろ!」(99)。
よくある学園コメディにシニカルな要素を加味し、ぶざまでコッケイな人間模様を軽やかに描いていて、ラストにグッときた覚えがある。
人生の機微みたいなもんを上手に物語に盛り込んだせいだろう、確かこの作品、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたはずだ。
ジャック・ニコルソン主演の「アバウト・シュミット」(02)も良かったし、
アカデミー賞で脚色賞受賞に輝いた「サイドウェイ」(04)も、
僕の大好きな映画のひとつだ。

「サイドウェイ」は、ワインについちゃ博識で深い愛情を持っている小説家志望の中年男が、友人とカリフォルニアへワインを味わう旅に出る話。
僕は、ワインって、あまり飲まないほうだけど、この映画を見ていて、なっだかとてもワインが飲みたくなってしまったな。

前置きが長くなったけど、そんなカリフォルニアのワインにまつわる実話を映画化したのが本作。
舞台は、カリフォルニアのナパバレー。
ナパバレーと言えば、日本版「サイドウェイ」(出演・小日向文世、生瀬勝久、菊池凛子)が撮影されたところ。
日本版は観ていない(あまり観る気もしないんですわ)ので、映画の出来に関して何ともいえないけど。

「ボトル・ドリーム-」は、1976年、ワインの本場フランスで開かれたテイスティング大会で、
白ワイン、赤ワインとも、カリフォルニアワインが一位を獲得した
(ワインファンの間じゃ伝説になっているらしい)エピソードをベースにしているんですと。

パリに住むワイン評論家のスパリエが、良質のワインを求めて、
カリフォルニア・ナパバレーにやってきた。
そこでシャトー・モテレーナを経営するジムと出会う。
最高のシャルドネ(ブドウの品種)を作るため、奮闘を続けているけど、経営状態は火の車だった。
ジムには、やんちゃな息子ボーがいた。
スパリエは、ナパのワインの美味しさに魅せられ、
フランスとアメリカの代表的ワインの飲み比べ・ブラインドテイスティング大会を開こうと計画。
ジムにも参加を要請するが、笑い者にされると彼は拒否。
でも、ボーが、父に内緒でワインを預けてしまった…。

オープニング、タイトルクレジットのバックに映し出される、
ナパの広大なブドウ畑の映像が、なんとも気持ちいいなぁ。

そして、画面はパリに移り、イギリス人だけど、ワイン好きが高じてパリに移り住み、
ワイン・ショップ(兼スクール)を開いているスパリエが、友人とワイン談義に講じている場面に。
スパリエ役は、「ハリー・ポッター」のスネイプ先生ことアラン・リックマン。
友人に扮するのは、「スナッチ」のベテラン俳優デヌス・ファリーナ。
ワインの逸品が並ぶ店内で、ワインのうんちくを熱心に語るリックマン、
いかにも人が良さそうでいて、そのくせ几帳面。ワインオタクな雰囲気が、なんとも良い感じ。
イギリス人らしく、カリフォルニアにやってきても、ちゃんと背広姿を通していていたり、
英国紳士らしさを崩さないところもいいなぁ。

ジムは、脱サラしたらしく、後で判るんだけど、
以前は弁護士事務所で、そこそこの地位で働いていたみたい。
なぜ、それをなげうってワイン醸造に人生を賭けるのか、理由は説明されない。
離婚した妻がいて、彼女をすごく毛嫌いしている。
息子のボーが、彼の母である元妻に資金援助を頼んだことを知ると、
えらい剣幕で怒るジム。
ボーとしちゃ、経営に苦しむ父のためにやったことなんだけどね。
ジムに扮するは、「インディペンデント・ディ」の元パイロットの大統領役が印象深いビル・プルマン。
元弁護士で、今は田舎のオヤジってイメージに、知的な匂いを感じさせるプルマンはピタリとハマってるな。
後半、思うようなワインが作れず、ワイン作りを諦めて、
元の事務所に再就職を願い出、平社員からならOKと屈辱的なことを言われるけど、
その辛い選択を受け入れようとする表情、もの悲しい風情を漂わせていて、実に巧い。
僕も、充分歳を食ってるだけに、なんか共感させられたわぁ。
同じ境遇なら、僕だってジムと同じようにするしかないのかなと。
でも、その後で息子からの電話により…。

その息子役、ボーに扮するのは「スタートレック」の若きカークことクリス・パイン。
70年代らしく、ヒッピー風の長髪で、最初はパインとは思えなかった。
やんちゃな感じは、「スタートレック」の時と一緒だけど。

監督は「プロフェッサー」(出演・アラン・リックマン、ビル・プルマン)他、
日本じゃ劇場未公開作ばかりのランドール・ミラー。
本作じゃ、監督だけでなく、脚本・原案・製作・編集と一人五役。
ミラーさん、ワインが大好きで、是が非でもアメリカワインの良さをアピールしたと作ったんだろうか。
クセのない演出タッチで、登場キャラをきちんと描き分け、
リックマン他、役者達もキャラにマッチした好演ぶりで、
気持ちのいい、作品に仕上がっているな。
実在の人物を描くってことで、多分に綺麗事めいていて、
ドラマ的に弱いなって思うところもあるけど、
ミラーの作品を撮り続けているマイケル・オジアーの撮影の良さが大きく貢献していて、
広々としたワイン畑を見ているだけで、気分はほんわかしてくる。

スーパーで、安くてオイシそうなワインを、久しぶりに飲みたくなってきてしまいましたわさ。

トランスフォーマー 2011年7月2日リリース



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「HYBRID ハイブリッド」(10年・アメリカ・ドイツ) 人食い自動車の次の獲物は整備士たちってか! 

HYBRID ハイブリッド

今年2月に、このブログで紹介したフレンチ・ポリティカル・スリラー「国家の陰謀」の監督エリック・ヴァレットの、とりあえずの新作でおます。
パチモンくさいイラスト・ジャケットを見て、最初は借りるの止めようかなとも思ったんだけど、監督がヴァレットとわかり、そんなにハズレじゃないだろうとレンタルしてしまいましたわさ。

で、感想だけど、娯楽のツボをきっちり押さえ、
展開もムダがないし、ソツなく作られた、
低予算ながら、活きのいいB級SFアクションでありました。
一昔前の、二本立て上映が普通だったころの、プログラム・ピクチャーって匂いもするな。

衝突事故で大破した車が、地下の車両整備工場に持ち込まれた。
深夜、整備に向かった整備士ヘクターが突然消えた。
ヘクターを捜していたアルが、車に食われるのを目撃したティルダ。
仲間に話すが、誰も彼女の話を信じない。
だがその時、謎の車が、突然、彼らに襲いかかってきた!

車が人を襲うっていったら、エリオット・シルバースタイン監督の「ザ・カー」(77)や、
ジョン・カーペンター監督の「クリスティーン」(83)を思い浮かべるな。
本作じゃ、エイリアンが自動車に化け、乗った人間を次々とエサとして食いまくるという、
ま、以前の殺人カー作品に、ちょいアレンジを加えているというか、
なんかヒット作「トランスフォーマー」にあやかろうという魂胆も薄々感じてしまうなぁ。
でもって、人食い自動車に立ち向かうのが、タフな女性ってところは「エイリアン」シリーズっぽいし。

だから、新味には乏しいって気もするけど、
整備工場だけの限定空間で、登場人物も7人と少ないけど、
ヴァレット監督は、ラストまで緊張感が途切れることもなく、
快調なテンポで一気に見せきってしまう。
下手な監督なら、グズグズの出来になってしまうところよ、ほんまに。

人食い自動車VS整備士のバトルも、変化に富ませ、ケレン味もあるし。

ティルダ他、彼女の甥っ子ボビー、ゴーティ、アル、それに主任レイ、事務員マリアと
登場人物のキャラも、ちゃんと描き分けられているし。

それに、人食い自動車の凶悪さみたいなもんも、エグイ表現を押さえつつも、上手に描かれているな。
冒頭じゃ、真っ黒の車体で登場するんだけど、若者を誘い込む時は、真っ赤なスポーツカーに変身したり、
生命体だけに、知能もあるようで、なかなか悪知恵も働きよる。

ラスト、一件落着と思いきや…。
ありがちなエンディングだけど、その後の場面を想像したら、ちょいニヤけてしまう。

ヒロイン、ティルダ役のシャノン・ベックナーは、シガニー・ウィバーみたいな強靱には乏しいけど、
ちょい可憐っぽい顔立ちに似ず、ガッツ満々、シャープな動きで人食い自動車に挑んでいく姿は、
なかなか頼もしいやん。芯が強そうなところも、ええわぁ。惚れてしまいそう。
彼女のことネットで調べたら、「アメリカン・パイ in ハレンチ課外授業」(07)に脇役で出ていたみたい。
新人だと思うけど、アクションできるし、彼女の活躍、もっと見たいなぁ。

エイリアン自動車とわかり、これは大ニュースや、大金になると、
人食い車捕獲を画策する、狡猾で嫌みな整備主任レイ役は、
「ハムナプトラ」「バイオハザード」シリーズに出ていたイスラエル出身のオデッド・フェール。
絵に描いたようなイヤ~な男を、憎々しげに演じてる。

他に、ティルダの甥っ子ボビーに、カナダ出身のライアン・ケネディ。
「そんな彼なら別れさせます!」(09)他、日本未公開作が多いけど、
TVムービー中心に活躍しているらしい、なかなかのハンサムガイ。

エロい事務員マリア役、メラニー・ババリアは
「アメリカン・パイ in ハレンチ教科書」(09)に出ていた女優さん。
どこか、気さくでユーモラスな雰囲気がある人だ。
シャノン、メラニーとも、「アメリカン・パイ」つながり。
ひょっとして、この「HYBRID」って映画、
「アメリカン・パイ」関係のスタッフ・キャストが作っているかしら?

とにかく、この映画
すごくオモシロイと言わないけど、レンタル料金分はキッチリ楽しませてくれる作品であります。
派手なうたい文句で興味を引かせるけど、中身はスッカスカ、またはグッダグダで、
レンタル料返せ!と言いたくなるような作品も、まだまだ多いからねぇ。

「HYBRID」の前に、ジョン・マルコビッチ主演の「アイ・アム・キューブリック」を見て、
最初は、こちらを紹介しようかなと思っていたんだけど、
マルコビッチの怪演ぶりだけが目立つ実録ドラマで、演出が中途半端というか、
視点の定まらない、ストーリーの骨格ガタガタの作品だった。
コッケイで、どこか親しみを感じるゲイのペテン師として描きたかったのかもしれないけど、
マルコビッチの気色悪さだけが際だってしまい、なんか残念無念の出来でおましたわ。
で、「HYBRID」にしたワケでアリンス、プリンス、ヒヤシンス。

ところで、YAHOOオークション、最初に出品したD・アルジェントのVHSは、
良い値段で落札されたけど、続いて出品しているポール・ヴァーホーヴェンの
「グレート・ウォリアーズ 欲望の剣」「スペッターズ」が、ちっとも落札されない。
ヴァーホヴェンって、そんなに人気がないんやろかなぁ。
次は、ウィリアム・フリードキンのVHS「クルージング」を出品してみるか。

AGMエンタテインメント/アメイジングD.C. 2011年7月6日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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