FC2ブログ

「ゾンビハーレム」(09・イギリス) ボンクラ男達が、ド田舎で女ゾンビ軍団に襲われちまったのよ!

ゾンビハーレム

劇場未公開のゾンビ・ホラー系ムービーって、結構リリースされているけど、あまり話にヒネリがなく、たとえヒネリがあっても演出力のなさで、ちっともノレないってのが結構多いんよね。
エグいスプラッター描写さえ入れとけば、お客は喜ぶやろし、金を稼げるんとちがう、と安直な考えで作ってるとしか思えないのもしばしば。
だから、ホラー好きの僕としちゃ、この手の作品をレンタルする時は、作品選びに結構慎重になってしまう。
やっぱ、ハズレに当たりたくないもんね。

本作は、角川の雑誌「DVD&ブルーレイでーた」のオススメ・ソフトスルー・コーナーで取り上げられていて、プッシュしたい作品のようだし、”本国イギリスで劇場公開大ヒット!”ってジャケットのうたい文句に釣られて、レンタルしてしまいましたわさ。
ところで、”オススメ・ソフトスルー・コーナー”の紹介作品って、ソフト会社のチョウチン記事っぽくて、それにノって借りて、ガックリくることが以前は多かったけど、最近は作品を厳選しているみたい。多分、読者から苦情の投稿があったんやろなと思うな。

ま、それはともかく、このイギリス映画「ゾンビハーレム」。僕としちゃ、久しぶりのヒットでおましたわ。
とにかくテンポが良いし、話もそれなりに練られているし、ユーモアも忘れず、
ラストじゃ、妙に元気な気分に浸らせてくれるし、満足させられたヤン坊マー坊アメンボウ!

離婚の危機に見舞われ、落ち込んでいるヴィンスを元気づけようと、
ニール、マット、グレアムら仲間たちが、女が男の四倍住んでいるという、
マイキーの育った田舎町に行くことになった。
そこで、酒と女を思う存分楽しむつもりだったが、
着いたとたんに、女ゾンビが襲いかかってきたやんかいさぁ‥‥。

オープニングで、手際よく男達が紹介される。
SFホラーショップで働くオタクなマット。
お客のデブ少年に「コミックは立派なアートだ」と力説して、コバカにされたのには、ちょいクスリッ。
女にモテまくってると豪語するニール、ゲイのグレアム、黒人のマイキー、ゴルフ好きのパトリック、
それに、遅刻して遅れてやってくるデブのバンクシー。
そして、彼らを田舎町ムードリーまで運ぶミニバスの美人運転手ルース。

てっきりルースと男達の誰かとのロマンスめいたものがあると思いきや!

俗世間をしばし忘れるために携帯電話をミニバスに置いてきたり、
ムードリーが陸の孤島であるってのが簡単に説明されたり、
男達が孤立無援の状態に陥る状況を、サラリと見せる。

そして、いきなりの女ゾンビ達の襲撃!
なぜ、田舎町の住人の女だけがゾンビになったのかってのは、
ウイルス実験のせいと簡単に説明されるだけで、安易といえば安易だけど、あまり気にならない。
とにかく、女ゾンビ軍団VSボンクラ男達のバトルが始まり、
快テンポでドンドコ物語が展開するんよね。

男達が町のいろんな店に逃げ込むんだけど、
オモチャ屋に入ったマットは、レアモノの玩具を見つけて大喜びし、
ヴィンスにたしなめられはするけど、玩具を使って安直ウェポンを作ったり、
リモコン操縦のミニカーを使って別の店に逃げ込んだ仲間と連絡を取ろうとしたり、
なかなかの活躍。スリリングな中に、笑いをチラリと入れるところもニクイやんかいさぁ。

ゴルフ好きのパトリックは、でっかい立て看板によじ登って、
そこからクラブを振って、ゴルフボール弾でゾンビを狙い打ちってのもナイスやん。

ニールは、指が好物のデブオバサン・ゾンビに捕まり、
リビングルームのイスに縛り付けられ、あわや指を‥‥。
ここは、トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」を思わせ、なんかニンマリよ。
「悪魔のいけにえ」と違って、ネアカっぽいユーモアが漂っているけど。

監督は、ジェイク・ウエスト。多分イギリス人だと思う。
編集も手がけていて、とにかく映像のキレが良く、全くダレないな。
また、89分の尺ながら、男達のキャラをきっちり描き分け、それぞれに見せ場を用意している。
遅れて来たバンクシーだけ例外だけど。
脚本のダン・シェイファーの力もあるかな。
もちろんスプラッターな描写も抜かりない。
ウエスト監督の前作「ALIENS/エイリアンズ」(05)もそうだけど、
彼、マット同様にSFホラー・オタクなんだろうな。
ひょっとしたら、マットはウエストの分身として登場させたのかもね。
「ALIENS-」も、荒っぽいけどマニアックなオモシロさに満ちた快作だったけど、
それより、演出力はアップしているし、でもってパワーは落ちていない。
B級娯楽に徹しているところも、好感が持てるな。
06年にアメリカ映画「パンプキン・ヘッド 復讐の謝肉祭」(06)を撮ったが、
こちらは、ウエストらしさを発揮できなかったのか、いまいちノレない、中途半端な出来に終わっていた。
プロデューサーにごちゃごちゃ言われて、やる気が失せたような感じやね。

ヴィンス役は、「パブリック・エネミーズ」「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」
に脇で出ていたスティーブ・グレアム。小柄で地味な顔立ちだけど、メジャー作品でも活躍しているみたい。
ニール役は、「必殺処刑人」「マリス・イン・ワンダーランド」と日本未公開作ばかりに出ていダニー・ダイア。
顔立ちが、「フリンジ」のピーター役ジョシュア・ジャクソンにちょい似てるハンサムガイ。
ジャケットカバーでもセンターで刀剣持ってるし、本作でも一番目立つ役柄だし、
彼も、そのうちメジャー作品に顔を出してくるかもね。
マイキー役は、どこかで見たことあると思っていたら、
「ドクター・フー」のヒロインの恋人役だったノエル・クラーク。
本作じゃ、女ゾンビを欺くために女装までして、奮闘してまっさ。
オタクなマット役は、リー・イングルビー。見た目弱っちくて、いかにもオタクな感じ。

そして、紅一点のルース役は、クリスティーナ・コール。
「007/カジノロワイヤル」にちょい役で出ていた女優さんだけど、
美人で色っぽいし魅力的なのに、ムードリーに着くなりあんなことになってもて‥。
もうちょっと美人顔見たかったわぁ。ほんまに。

ゾンビに襲われる男達は、ラストまで全員無事とはいかず、命を落とす者もいて、
軽めの悲壮感がほんのり漂うんだけど、最期には、離婚の危機で悩んでいたヴィンスが、
一皮剥けたというか、ヘンに前向きになって、女のことなんかで悩んでいられないと、
にこやかな笑顔を取り戻すってのが、不思議に楽しい気分にさせられるな。
本来の自分らしさに目覚めると言ったら大袈裟かもしれないけど。

なぜ、ゾンビなるのが女だけかっての、
監督なりに深い意味がありそうな気もするけど(意味なかったりして)、
とにかく活きのいいB級娯楽作品でありましたわさ。

アルバトロス 2011年8月3日リリース



にほんブログ村 映画ブログ 映画DVD・ビデオ鑑賞へ
にほんブログ村

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「スモールタウン マーダーソングズ」(10年・カナダ) 田舎の中年警官が、心に潜む凶暴性を必死に抑えようとするんだけどねぇ。

スモールタウン マーダーソングズ

キアヌ・リーブス主演の「コンスタンティン」(04)を見た時、
クライマックスに登場する地獄の大悪魔ルシファーを演じたピーター・ストーメアの、白いスーツでバシッと決めた、不気味なのに妙にカッコイイ悪魔っぷりに、ちょいシビレタ覚えがある。
大悪魔なのに、どこかユーモラスでもあり、人間臭いニュアンスを漂わせているところもナイスだったなぁ。

そんな彼が主役の、風変わりなクライムサスペンスが、
このカナダ映画「スモールタウン マーダーソングズ」。

ストーメアって、僕はアメリカ出身の俳優さんだと思っていたけど、
ネットで調べたら、出身はスウェーデン。
本国じゃ王立劇場に所属し、ベルイマンが演出した舞台「ハムレット」「リア王」等に出演し、日本でも舞台公演を行っていたんだって。
そのせいか、日本人女性と再婚したらしいのね。
しかし、映画の中の彼って、演劇畑出身の匂いを全く感じさせないなぁ。良い意味でだけど。

さて、本作は、なんとも風変わりというか、普通のサスペンスを期待したらガックリくるかも知れないな。
カナダの小さな村で、女性殺人事件がおこり、その犯人を主人公の警官が捜査するんだけど、
ちっともスリリングじゃないのよ。
映画の主眼は、過激な暴力行為でトラブった苦い過去を持つ主人公の警官の心の葛藤なんよね。

それに、この作品、多分に宗教的モチーフが根底にあるみたい。
オープニングに「主は汝のために戦われる。ただ静かにしていなさい 出エジプト記」と出てくるし、
ドラマの中でも、「悔い改め信仰を宣誓せよ」とか「世間に振り回されてはならない」とか、
「神はどんな自分にも会いにきてくださる」って言葉が、
静かな田園風景をバックに太いゴシック文字で出てくるのよ。

過去の暴力的な自分を悔い改め、教会で洗礼を受けて、生まれ変わろうとした主人公ウォルター。
村でおこった始めての殺人事件の捜査を始める中、
暴力が原因で別れた元恋人リナの今の恋人スティーブが、容疑者として浮かび上がる。
だが、リナがスティーブのアリバイを証言し、捜査は行き詰まってしまう。
何とか、スティーブを逮捕しようと焦ったウォルターは、リナに真実を話せと迫るが、
居合わせたスティーブに殴りかかられ、抑えていた凶暴性に火が点きそうになる‥。

物語は、驚くほど淡々と展開する。
スティーブと殺された女の関係も、あっさりと解明されるし。

監督は、エド・ガス・ドネリーって人で、本作の脚本・制作・編集も一人で手がけている。
ウォルターの心の葛藤が軸のストーリーだけど、説明的セリフを排除し、
登場人物の表情や仕草などを、端正な映像で見せようと心を砕いたみたい。
しかし、ウォルターが、父親と疎遠になっているけど、その理由は明かされないし、
ウォルターの過去の暴力行為も、彼が誰かを殴りつけている姿が映し出されるだけで、
相手が誰なのか、全く判らない。
「バイク野郎を殴った」ってセリフが、チラリと出てくるだけ。
なんか、もどかしいというか、あいまい。
だから、見る側が、いろいろ憶測しながら見なきゃいけないところはあるなぁ。

でも、そんな不親切さを感じてしまうのは、
判りやすがモットーのアメリカ映画を見慣れているせいかもしれないって気もする。

不親切ではあるけれど、映像に力があり、75分と短い尺の作品ってのもあるけど、
退屈することはなかった。

心の葛藤に苦しむ主人公を、ストーメアが、懐の深い演技力というか、
微妙かつ繊細に演じていて、彼のアップの表情だけで、めっちゃドラマを感じてしまう。
いかにもド田舎の警官って雰囲気も、巧みに醸し出してるし。
オーバーアクトにもならず、好演し、ストーメアって、なかなかの演技派やないのと感心させられたわ。

脇の役者も、なかなか良い。
妻サムに扮したマーサ・プリントン。彼女、キース・キャラダインの娘さんなのね。
主にインディペンデント系の作品によく出ているそうで、
美人ってわけじゃないし、小太り気味の体つきだけど、働き者で夫を愛する健気な妻のキャラにピッタリ。
殺された女性が全裸だったと聞き、「女性を裸のままにしていたの、裸を警官隊に見られたの、可哀相」と、
殺されたことより、裸のままにしていたことに怒りを感じ、夫に文句を言うところが、
いかにも、普通の主婦なら言いそうかなって感じを、ナチュラルに見せていてウマイなあ。

ウォルターが出会う、理髪店主の母親(と思うんだけど)に扮したジャーッキー・バロウズも印象的だ。
彼女が若い頃に、いとこの女の子が殺された話をウォルターにするんだけど、
その時の犯人は判明せず、それが心のどこかに引っかかっているような節を、じんわりと滲ませるんよね。
ラストにも、彼女が窓辺から外を眺めている姿が映し出される。
彼女が、何を見ているのか、ひょっとしたら、亡くなったいとこのことかもしれないなぁ。
彼女、「アンボリーへの道」のヘディ・キング役で知られているそうだけど、
僕は「アンボリー」見ていないので、いまいちよう判りましぇん。

もう一人、容疑者スティーブに扮したスティーブ・エリクソン・マッキンタイアも、
元ギャングの手下で、うさんくさいヤクザな雰囲気がバッチリ。
なんで、こんな男に、ウォルターの元恋人リサが惚れるというか、
彼をかばうのか、ほんま謎やなぁ。
彼女の前では、スティーブは多分凶暴じゃないんやろなあ。

映画の中盤、教会で「私は変わった。以前の私と違う」と牧師に話すと、
「人の本質は変えられない。だが衝動を抑えることは出来る。神から与えられた能力だ」と言われてしまう。
結局、ウォルターは、殺人犯を前にして、最期まで凶暴性を抑えることが出来たのか。
それは見てのお楽しみでありんすね。

この映画、使われる音楽がオモシロイ。
ゴスペルっぽいロックのような、アコースティックで、力強くて、
カナダの田舎の風景に不思議にハマっているなぁ。

ところで本作、トリノ国際映画祭批評家協会賞受賞、フェニックス映画祭最優秀監督賞、
サンタカタリナ映画祭最優秀作品賞と、あまり名前の聞いたことのない映画祭でいろいろ受賞しているみたい。

確かに、変わった作りの作品だとは思うけど、賞を取るほどなんかなぁ。
僕の鑑賞眼が鈍っているんだろうか。

確かに、つまらない作品ではないし、ある意味、アート系作品と言えるかもしれないし。
二三度見たら、この映画の良さが解るんやろか。
ちょい間をおいて、もういっぺん見てみるかねぇ。

オンリーハーツ 2011年9月2日リリース



にほんブログ村 映画ブログ 映画DVD・ビデオ鑑賞へ
にほんブログ村

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
QRコード
QRコード