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「40 フォーティ」(09年・トルコ・アメリカ) 札束入りのカバンを巡って、3人の運命が交差するんでおます!

40

日本じゃ、あんまりお目にかからない国の映画、
それも娯楽系の作品がリリースされると、ついつい借りてしまうクセがある。
本作も、トルコの娯楽系作品ってことで、興味津々、見ることにしたんだ。
なんでも、去年開催された「大阪ヨーロッパ映画祭」で公開されたらしいけど、もちろん劇場未公開。
映画祭じゃ、本作の監督エレム・シャーヒンも来日したそうで、ネットでインタビュー記事を読むと、彼の映画作りのポリシーは「アーティスティックでありながらエンターテイメントの要素を持った映画」なんだって。
ナイスやんかいさぁ。
写真を見ると、まだ30代半ばで人なつっこいメガネのお兄さんって感じ。
イスタンブールに生まれ、アメリカ・ボストンに移って映画製作を学び、10年くらいドキュメンタリーを作った後、初の長編映画として撮ったのが本作だそうだ。

舞台はトルコのイスタンブール。
裏社会の運び屋もしてるタクシー運転手メティンは、ボスから預かった金の入ったバッグを紛失し、
パニックった彼は、運転中に人をはねてしまう。
はねられたのは、ナイジェリアからの不法移民ゴッドウィル。
彼は、愛する女性が住むパリに行くために、せっせと貯金した金を盗まれてしまっていた。
そして、病院に運び込まれたゴッドウィルを担当した看護師セヴダ。
数秘学に凝っている彼女は、不幸な結婚からなんとか抜け出そうと考えていた‥。

実写に油絵の具を荒々しく塗りつけたような動画に、
哀愁を帯びた女性ボーカルが流れるオープニング・タイトルが、なんかカッコイイし、グッド・センスよ。

そして、「イスタンブールは、まるですべての人間の終着駅。
まさに贖罪の街。天国と地獄が共存している」とモノローグが入り、3人の男女のドラマが始まる。

まずはメティン。
田舎で育った彼は、暴力的な父をナイフで刺し、地元にいられなくなってイスタンブールにやって来て、
やがて悪事に手を染め10年以上、刑務所と外の世界を行き来し、現在に至るって半生を、短いカットで見せる。
登場人物の生い立ちが、どう物語に絡むのかと思っていたら、あまり絡まない。
メティンが、どんな人間かが、よく判るには判るけど。
ゴッドウィルも、なんでそんな名前が付けれたのかってところから、
彼が誕生し、学校で金持ちの娘に身分違いの恋心を抱き、彼女を追いかけて船のコンテナに隠れたのに、
パリに行くつもりが、間違ってイスタンブールに着いてしまい、
スラム街で暮らしながら、今度こそパリに行くぞとせっせと金を貯めている現在までを、
これまた短いカットで見せる。

脚本も、監督自身が書いているけど、登場キャラの過去をきっちり描くことで、
見る者に、キャラに感情移入しやすくしようと考えたのかな。
また、どんな人間が、イスタンブールにやって来るのかってのを見せたかったのかもしれないな。
実際、この作品、イスタンブールって街が、第4の主役と言っていいほど、
美しいところも汚いところも街の様々な光景が、カメラに写し取られているし。

ドラマは、登場人物それぞれが中心となった話が、時間軸を前後して描かれる。
ここんとこタランティーノ風とでも言いますか。
ドラマの展開と共に、ストーリーの骨格が徐々に形作られていくんですわ。
監督は、アメリカでドキュメンタリーを撮っていたせいもあるけど、
映像は、リアルっぽく、でもってシャープ。編集もキレがあるし、全くダレない。
登場人物3人に待ち受ける運命を、じっと見つめてしまう。
僕としちゃ、ゴッドウィルの行く末がとても気になったなぁ。無事、恋する人に出会えるんやろかと。
3人の中で、一番健気で、共感できそうなキャラだったしねぇ。

ただ、見ている時はさほど思わなかったけど、
後で考えると金の入ったカバンを巡る3人の絡み合い方が、
ご都合主義的過ぎるんでは、とも思ってしまいましたわさ。
小さな町ならいざ知らず、イスタンブールって大都会だし、
そんなに簡単に3人が繋がってしまうんかいなと。

ま、これも、セヴダの数秘学からすると、偶然ではなく必然なのかもね。
「40」は、数秘学では、運命の象徴らしく、ゴッドウィルの病室番号が「405」、
カバンの中に入っていた金が「4万ユーロ」そして、ラストの信号機が、「あと40秒」。
さりげなく、タイトル通り「40」が出てくるから、3人は見えない糸で繋がっていたのかも。

それから、ハチに刺されて老人が死んだってニュースが、テレビで流れるけど、
それが伏線になっているところ、なかなかニクイやんかいさぁ。

全く馴染みのない役者ばかりだけど、それぞれ、いい味だしている。
ゴッドウィル役は、「ブラッド・ダイヤモンド」(06)や米テレビで活躍しているンタレ・ムワイン。
他のデニズ・チャクル、アリ・アタイは、多分、トルコでそこそこ活躍している俳優さんだと思うけど。
違ってたらゴメンクサイ!

ま、監督の演出手腕はなかなかだし、オリジナリティは感じられるし、
ちょい、エレム・シャーヒン監督に、注目しときましょ、ってか。

オンリー・ハーツ 2011年7月22日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「ステイク・ランド 戦いの旅路」(10年・アメリカ) 少年とタフな中年男のヴァンパイア退治の旅でおまんにやわ!

stakeland.jpg

去年公開され、日本でもヒットしたコミカル・ホラー・アクション「ゾンビランド」。
気弱な大学生、タフな中年男、それに姉妹詐欺師が、ゾンビがはびこる世界で、旅を続けながら、血は繋がってないけど心が強く結びついた<家族>になるまでを描いた、僕の好きな作品だ。
本作「ステイク・ランド」も、ヴァンパイア(吸血鬼)がはびこる世界で、少年、中年ヴァンパイアハンター、若い妊婦、シスター、黒人帰還兵らが、<家族>もどきを形成していくところが、「ゾンビランド」とよく似ているロードームービー風のホラー作品。
ただ、ポップでネアカな「ゾンビランド」と違って、
こちらは、シリアスで、どこかもの悲しく、ちょいセンチメンタル。
なんでも、トロント映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞(最高賞)を受賞したらしい。

舞台は、ヴァンパイアがはびこり、荒廃しかけているアメリカ。
少年マーティンの家がヴァンパイアに襲われ、両親が彼らの餌食に。
彼にも危険が!って時に、ミスターと呼ばれる中年ヴァンパイア・ハンターが現れ、助けられる。
マーティンはミスターと共に、ヴァンパイアがほとんどいないと言われる北部(カナダ)のニューエデンを目指し、
旅に出ることに。なぜ北に彼らがいなかと言うと、ヴァンパイアはは虫類と同じで寒さに弱いらしいんで。
道中で出会った人々も仲間に加わり、旅を続けるが‥。

最近のホラー系作品にありがちだけど、
物語が始まるや、世界はゾンビ、またはヴァンパイアがうようよいるんよね。
なぜヴァンパイアやゾンビが蔓延したのかって理由は、ほとんど説明されない。
ま、そのたぐいの映画が山ほどあるから、いちいち出現理由をくどく説明しなくても、
見る方も、世の中ヴァンパイアやよって言うだけで、今じゃOKなんよね。

独りぼっちになったマーティンとヴァンパイ・ハンターのミスター。
ミスターは、マーティンにヴァンパイアのやっつけ方を伝授するんだけど、
相手がヴァンパイアだけに、殺す方法が木の杭で胸をグサリッとひと突き!
ちゃんとドラキュラ退治と同じなのが、ちょいクラシカルチック。

ヴァンパイアがウジャウジャの荒廃した世界じゃ、
その機に乗じてワルサを働こうとする悪党たちの集団ブラザーフットがいた。
そんな集団に襲われた中年シスター(尼僧)を助けたミスターたち。
ずんぐり気味のオバちゃんで、色気のカケラもなさそうなのに、強姦の対象にしていたらしい。
ブラザーフットにとっちゃ、アナがあったらなんでもありなのね。(下品なこと言ってゴメンくさい)
後で、クレジット見たら、彼女、「トップガン」でトム・クルーズと愛し合ってたケリー・マクギリスやった。
えらい変わり様に、ビックリクリクリ・クリックリだわさ。

続いて出会う、酒場で歌っていた若い妊婦ベル(ダニエル・ハリス)が旅の仲間に加わる。
彼女の顔、どこかで見たことあるなあと、ネットでデータを調べたら、
「ハロウィン4&5」で、殺人鬼マイケルに襲われキャーキャー絶叫していた、
まだ7~8歳ごろの幼いローリー役で出ていたんだ。
子役ながら、達者な絶叫俳優だと思っていたけど、成長した彼女をまた見れるなんて。
へんに感慨深かったわさ。
もうすぐ、DVDで「ハロウィン4&5」リリースされるから、見直してみようっと。

低予算の作品で、ほとんどロケ撮影だけど、画面に安っぽさはあんまりない。
広大なアメリカだけに、廃ビルや、ひとけのない風景など、いくらでも見つけられるのか、
ま、郊外や田舎町が舞台ってのもあるけど、荒廃したヴァンパイア世界をうまく画面に滲ませている。
それに、ゾンビもどきのヴァンパイア・メイクも悪くないし。

監督は、ジム・マイケル。
カメラマンや美術担当で多くの映画に関わってきた人だそうで、前作「ネズミゾンビ」(06)は、
トロント・アフター・ダーク・フィスティバルで最優秀インディペンデント映画に輝いたらしい。
気になって「ネズミゾンビ」を見たけど、人間描写にポイントを置いたストーリー作りで、
シニカルで、殺伐としたなかに微妙に人間味漂うホラー作品だった。
本作も、マーティンが、ミスターと共に様々な経験をし、タフな心を宿していく過程を、
作品全体に人間味をキープしつつ、ホラー・ニュアンスも抜かりなく、うまく描いているなって思うな。

ミスター役は、本作の脚本も「ネズミゾンビ」に続いてジムと共作しているニック・ダミチ。
ヴァンパイアハンターのミスターが、殺したヴァンパイアの牙じみた歯を集めているとか、
細部の設定も、割合丁寧で、登場キャラをきちんと描き分けられてるし、
ありがちなホラーにしないぞって心意気が、ストーリーからも感じ取れて好感が持てるな。
ジムとダミチって、昔からの映画仲間なんだろうな。
スター要素は乏しいけど、少年を導くタフガイを、説得力ある演技で好演。
しかし、地味っぽい印象はぬぐえないけどね。
マーティン役は、TVドラマ「ゴシップガール」や
メジャー作品「アレキサンダー」「ミスティック・リバー」に出ていたコナー・パオロ。
どこかナイーブで、初々しい雰囲気が、役柄にあってるな。

ラスト、一抹の寂しさと、ほのかな光が見えそうな未来を思わせるシーンに、
なんだか、ちょいグッと来ましたわさ。

トランスフォーマー 2011年8月3日リリース



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ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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