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「パーティー・ナイトはダンステリア」(11・アメリカ/ドイツ) チャラそうな邦題だけど、中身は青春の戸惑いを丁寧に描いててグッと来るやないの!

パーティー・ナイトはダンステリア

アメリカの青春映画にありがちな、男の子がパーティーで女の子ゲットに励む、ちょっぴりエッチな、ウキウキ・ご陽気・ノーテンキーな映画と思っていたら、意外や意外、自分の将来を決めかね、人生に戸惑ってる主人公の姿をキッチリと描いた、ほんのりサワヤカで前向きな気分にさせてくれる作品でありました。
しかし、邦題に「ダンステリア」って入ってるけど、ダンス・シーンがほとんどないやないの。
ジョン・トラボルタの「サタディナイト・フィーバー」もどきのダンス映画と思わせて借りてもらおうってな、ソフト会社の魂胆があったりして。

時代は80年代。名門大学を卒業していながら、ビデオ・ショップでアルバイトしているマット。
ある日、店に高校時代の片思いの女性トリがやってきた。
チャンスとばかり客を装い、トリに声をかけるマット。
彼女が投資銀行で働いていると知り、
気を引くために自分も別の投資会社の社員とウソをついてしまう。
その夜は高校の同窓生パーティー。
会場は、マットの妹ウェンディの恋人カイルの家。
トリも出ると聞き、なんとかお近づきになろうと、友人バリーを誘い出かけるが‥。

デブのバリーが、孫子の「兵法」の本をちらつかせながら一緒に読もうよと女性を口説く、
いまいち笑えないギャグのオープニングに、この映画借りたの失敗?と一瞬不安がよぎったけど、
バグルスのヒット曲「ラジオスターの悲劇」をバックに、
高校時代のアルバム写真をイメージした、ポップでカラフルなオープニングタイトルが始まるや、
不安もあっさり吹き飛んで、心もちょい弾んでしまいましたわさぁ。
本作、”80’sポップ・ナンバー満載で贈る”ってキャッチ・コピーどおり、
全編、懐かしのヒット曲が次から次と流れてくる。
知ってる曲が多いし、歌を聞いているだけで、なんだかウキウキしてくるやおまへんけ。
キムがパーティに現れるシーンに、キム・カーンズの「ベティ・ディビスの瞳」を流すなんて、
ほんまニクイやんかいさぁ。

マットはトリとうち解け、彼女に誘われて、同じ夜に行われている会社のパーティに行く。
カイルの家と違って、ビバリーヒルズの豪奢な邸宅のリッチなパーティ。
そこで、マットのウソがバレかかるけど、天才的に計算が特異な彼は、何とか難を逃れ、
上司からの誘惑に困惑していたトリを助けることもできた。
そして、彼女といい雰囲気になり、クチビルを‥。

監督は、「フランキー・ワイルドの素晴らしき世界」(04)で注目された、
カナダ出身、1973年生まれのマイケル・ドース。
「フランキー-」は未見だけど、確か聴覚を失ったDJの話だったと思う。
音楽がらみの作品だし、「パーティー-」の選曲センスも、なかなかグッドだし、
ドースさん、ポップスが大好きな監督かもよ。
笑いのセンスは、いまいちだけど。

そして、監督は、登場人物それぞれが抱える小さな心のモヤモヤというか小さな問題を、
深刻ぶらず、どこか優しさを込めた眼差しで描いていく。
今の自分の生き方に対する疑問や、決めかねる将来の目標など、
自分が本当にしたい事って何?と迷い迷い時を過ごしてしまっていいのか。
迷ったら、とにかく何でもいいからぶつかってみなきゃ。
迷ってばかりじゃ、前に進めない。

僕は、青春時代はとっくに過ぎてるけど、
今でも、自分の人生はこれで良かったんだと思うことはほとんどない。
やっぱ、今でも、本当にやりたい事を自分はしているんだろうかと疑問に思うこともしばしばよ。
マット同様に、僕も何かにぶつかっていくことを避け、前に進むのをどこかで止め、
ダラダラと生きてきたんじゃなかろうか。
なんかオセンチに、なりにけりやんかいさぁ。

主演は、本作の原案・指揮まで兼ねてるトファー・グレイス。
どこかで見た顔だと思って調べたら、「スパイダーマン3」で敵役ヴェノムを演じていたんだ。
ノーブルな顔立ちで、知的だけど、どこかひ弱さもあるような雰囲気が、マット役にはピッタリ。
というか、自分を主人公に当てはめて原案を練ったんだろうね。
双子の妹ウェンディに、アンナ・ファリス。
コメディ系に良く顔を出す女優さんらしけど、本作じゃ、作家志望でイギリスの大学院の試験を受け、
合否の手紙が来たのに、怖がってなかなか封を切れないでいる、兄と同様、迷いがちの女性。
もし受かっていたら、カイルが喜んで同行してくれるとは思いつつも、
実際のところどうなのか、不安なのよ。
カイル役クリス・プラットは、ファリスと実生活の夫婦。
どこかアホっぽい俗物キャラで、女は家にいるもんだとウェンディを少々見下している感じを、
オーバーアクトにならず、巧く演じてる。
実生活の夫婦の匂いを全く感じさせないところも、いいやないの。
プロの役者なら当然か。

デブのバリー役は、ズッコケ・コメディ「燃えよピンポン!」のダン・フォグラー。
ダチョウ倶楽部の上島竜平にちょい顔立ちが似てるコメディアンだけど、
この人、自分なりにムッチャ頑張ってはいるんだが、その頑張りがカラブリというか、
弾けそこなってしまうというか、コメディアンとしちゃ、どうもイマイチな気がしてしまう。
「燃えよピンポン!」もヒドかったしなぁ。
そしてヒロインのトリに、桜沢えりか的匂いを感じてしまうテリーサ・パーマー。
美人なんだけど、どこか冷たいのよね。
えりか様ほど演技力がありそうにないし、表情もなんか乏しいし。

結局、最期、マットはある決断をするんだけど、
僕も、違った形で、そういう決断ができるだろうか。
なんか、考えてしまいましたわさ。
決断するには、随分歳をくってしまったし、もう遅いか‥。

忘れていた、マイケル・ビーンがマットの父親役で出ているけど、
息子の優柔不断さをしかりながらも、暖かく見守り、彼を応援しているってのを好演。
物語をグッと引き締めてるなぁ。

ジェネオン・ユニバーサル 2011年11月2日リリース



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「レッド・ヒル」(10年・オーストラリア) 結構おもろいオーストラリア製・現代版ウエスタンでっせ!

レッド・ヒル

最近、TSUTAYAが、「TSUTAYAだけ!」と銘打って、劇場未公開作をいろいろ独占リリースしてるよね。
その1本、「アイアン・ドアーズ」(10・ドイツ)は、TSUTAYAのクラブマガジンでも1ページ使って、『斬新なシチュエーションスリラー』とか『息が詰まる極限サバイバル』とか、気を引くコピー並べて、それなりにプッシュしていたから、面白そうやないけと思って借りたんだ。
これが、なんと申しましょうか、ほんの少し目先を変えただけの密室スリラーで、ちっとも息が詰まらない作品だったのよ。
金庫室のような部屋に閉じこめられた男が必死のパッチで壁に穴を開け、くぐり抜けたら、そこも密室で、アフリカ系の女がいて、互いに言葉が解らず、でも何とか助け合って、逃げ道を探すんだけど‥。
ま、ミステリアスな展開といえば、そうかもしれないけど、あまり2人に感情移入できなくて、だんだん2人が脱出出来ても出来なくても、どっちでもええわと思わされてしまって、でもって、なんじゃこりゃあなラストに、ムカッときてしまいましたわさ。
どこかの映画祭で賞をとっているらしいけど、不可解な部分が不可解なままで展開し、あまりに不可解な結末。その不可解さが、現代社会の不穏な空気を巧くとらえているとか何とかと評価されたんかしらね。
僕が、見終わって印象に残ったと言えば、のどの渇きを癒すために自分のオシッコを飲むところ。
その種のマニアの人にはゾクゾクさせるものかもしれないけど、僕はオゾゾッとしてしもた。

だから、「TSUTAYAだけ!」での、この「レッド・ヒル」も借りるの迷ったんだけど、
ジャケット・デザインのカッコ良さに惹かれて、借りてしもたんでおます。
『コーエン兄弟の「ノーカントリー」を彷彿させるモダンウエスタンアクションムービー誕生』
ってうたい文句は、話半分に聞き流すことにして。

で、これが意外とオモシロかった。

西部劇でお馴染みネイティブ・アメリカン(以前はインデェアンと呼んでいた)を、
オーストラリアの原住民アポリジニに置き換え、
すんなりとオージー版・現代ウエスタンに作り上げているんだ。

オーストラリの辺境の地レッド・ヒル。
妊娠中の妻のために、都会からこの地に赴任してきた若い警官シェーン。
署に初出勤の日、この町で警官殺人未遂事件を起こしたジミーが刑務所から脱獄したニュースが流れる。
ジミーが町に戻ってくると察知した警部補ビルは、あわただしく町の男達を招集し、
ジミーを迎え撃つ準備を始めた。
シェーンは、町に通じる道のひとつの警備を命じられ、車を走らせた。
そこにはトラックが停まっており、職務質問をしようとした矢先、突如ジミーが現れた!
シェーンは、何とかジミーをなだめようとするが、足を滑らせ谷底に滑り落ちてしまう。
その夜、町に現れたジミーは、男達に銃を向け次々と撃ち殺していった。
傷を負いながらも、なんとか署に戻ってきたシェーンだったが‥。

なぜジミーが町に戻ってきたのか、
そして、なぜビルが応援も呼ばず住民達だけでジミーを迎え撃とうとするのか、
徐々に、事の真相が解き明かされていき、
シェーンの心情が、ジミーに傾いていくってところを、
ムダなくタイトに展開し、ラストまで一気に見せきってくれる。

シェーンが、不慣れな馬にまたがって舗装された道路を闊歩したり、
ジミーが、セルジオ・レオーネの「ウエスタン」の冒頭で登場した殺し屋達みたいな、
足元までのロングコート姿で馬にのり、夜の町に現れたり、
アメリカン・ウエスタンだけでなく、マカロニ・ウエスタンのテイストも
ちょい感じさせて、なんかムフフッだ。
オーストラリアの広大な大地も、現代版ウエスタンにピッタリよ。

シェーンが、生まれくる子供のために、どんな名前にしようかと
コンパクトな名前事典を持ち歩いているけど、
これが伏線として、効果的に使われているのも、なかなか良い感じ。

未見の人のために、あまり物語を話さないほうがいいと思うけど、
監督パトリック・ヒューズは、多分オーストラリア人だと思うけど、
エンタテイメントのツボはバッチリ、演出手腕はありそうやん。
本作じゃ監督だけでなく、脚本・制作も自ら手がけているところを見ると、
ウエスタン大好きな人じゃなかろうか。

シェーン役は、「デッド・サイレンス」のライアン・クワンテン。
アメリカ人気テレビドラマ「トゥルーブラッド」で注目を浴びてるらしいけど、出身はオーストラリア。
「シネマトゥデイ」のインタビュー記事によると、
何でも母国での映画出演は8年ぶりだったらしく、
ウエスタン好きってことで、本作の出演を決めたんだって。
多分、同じウエスタン好きってことで、ヒューズ監督と意気投合したのかも。
クセのない顔立ちで、家族思いで誠実そうな雰囲気が、役柄にベリーマッチ。
対するジミー役は、オーストラリア原住民(アポリジニ)のトム・E・ルイス。
顔も体も厳ついながら、瞳に哀愁を漂わせ、存在感たっぷり。
ラストまで一切セリフがなく、最期に一言だけしゃべるんだけど、
ひょっとして素人さんかなとと思って、ネットで調べたら、
舞台俳優やミュージシャンでもあり、映画出演も数本あるし、地元じゃそれなりの有名人なんだろうな。
警部補ビル役の中年俳優も、渋い。
冒頭にチラリと登場する身重の妻アリスを演じた女優も、可愛かったし。
この作品、良い役者が揃ってる、ほんまに。

しかし、ジミーの最期のセリフ、グッとくるなぁ。
一瞬差し挟まれる、彼と妻との幸せそうな姿。
ちょい、ウルッとしてしまいましたわさ。

ただ気になったのは、ヒョウ。
なぜに動物のヒョウが、オーストラリアに現れたのか?
これだけが謎でおまんにやわ。
監督には、ちゃんと必然性があるのかもしれないけどね。

TSUTAYAさん、「TSUTAYAだけ!」リリース作品は、
今後は「レッド・ヒル」レベルの娯楽作品をリリースしてチョーダイ!
でないと、誰も借りてくれなくなりまっせー、ってか!


アース・スター エンターテイメント 2011年10月7日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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