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「ターゲット」(10英・仏) 生真面目な凄腕殺し屋が、キュートな女詐欺師にメ~ロメロってか!

ターゲット

レンタルDVDには、これからリリースする作品の予告編が幾つか付いてるのが多いけど(最近は予告編の数が多過ぎてイヤになるのもあるな)、その予告編を見てオモシロそうやないけと思ったのが、この「ターゲット」。
出演が、老ロック歌手を好演した「ラブ・アクチュアリー」(03)で、英国アカデミー賞助演男優賞をとり、「アンダーワールド」シリーズや「パイレーツ・ロック」(09)など様々なジャンルの作品に顔を出してるビル・ナイ、「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラント、そして「ハリー・ポッター」シリーズのロン・ウィーズリー役でおなじみルパート・グリントと、そこそこ豪華。
でもって監督が、マリサ・トメイがアカデミー助演女優賞をとった「いとこのビニー」(92)や「隣のヒットマン」(00)のジョナサン・リン。
ま、ハズレじゃないだろうと思ってレンタルしましたわさ。

代々殺し屋稼業を営み、その世界じゃナンバーワンのビクター、54歳。
今度のターゲットは、
レンブラントの贋作を使ってギャングから大金をせしめたキュートな女詐欺師ローズ。
難なく仕事をこなすつもりが、邪魔が入ってばかりで暗殺が思うようにいかない。
なんとか、駐車場で暗殺のチャンスむが、その時、ギャングの部下が現れ彼女に銃口を向けた。
なぜだか分からないが、ビクターはその部下を撃ち殺し、ローズを助けてしまった。
そして、その場に偶然居合わせた若者トニーと共に3人で逃げるハメに‥。

本作は、フランス映画「めぐり逢ったが運のつき」(93)のリメイクだそうで、
「めぐり逢った-」の監督ピエール・サルヴァドーリが、本作の脚本にも参加している。
「めぐり逢った」じゃ、ビクター役は「髪結いの亭主」のジャン・ロシュフォール、
ローズ役はマリー・トランティアン、トニー役はギョーム・ドパルデュー。

ジャン・ロシュフォールとビル・ナイって、2人とも背が高くて、ちょい細身。
なんとなく似ていないでもないと思うけど、メインキャストは、
フランス版の出演者年齢に会わせているみたい。

殺し屋の仕事はそつなくこなすビクターだが、仕事でターゲットを殺した時、
お喋りなオウムがいて、ビクターの言葉をそのまましゃべるから、
これはヤバイと殺してしまおうとするんだけど、結局できず、
鳥かごに入れて、母親にプレゼントする。
この母親というのが、息子の仕事を誇りに思っているみたいで、
ビクターの誕生祝いの贈り物が、彼の今までの殺し屋の仕事の新聞の切り抜きを収めたアルバム。
「うちは代々由緒有る殺し屋の家系だから、仕事は確実にしあげなさい」なんて言ってね。

このオウムだけど後々のシーンで、あんなことに!

だから、ローズ殺しがうまくいかない時も、クライアントに謝って、依頼金は返して、
ローズ殺しを全うしなさい、とのたまう母親。
生真面目というか、母親には頭が上がらないビクターは、はいはいと素直に答えるんだけど、
結局、ローズに命を救ってしまうんやわさ。

ビクター達3人は、あえて豪華ホテルに泊まったほうが足がつかないと部屋を取るんだけど、
そこは、ギャングのボス・ファーガソンも宿泊しているホテルだった!

シチュエーションとしちゃ、いろいろ面白くなりそうな話なんだけど、
どうも、展開がかったるいところがあって、いまいち笑いが弾けないみたい。

結局、3人はギャング達に見つかり、軽めのカーチェイスがあり、
ビクターは、誰にも知られていない自分の家にローズ達を迎え入れ隠れることにするんだけど、
そこで、ビクターとローズの間に、淡い恋心が‥。

2人が好意を持ち始めるキッカケというか、そういう空気ね、
そこんところが、ちゃんと映像やセリフ、また心理描写で描かれていないみたいで、
恋に落ちるのが唐突というか、なんか不自然に思えてしまうんよね。
フランス版のシナリオなら、そこんとこ丁寧に描かれていたんやろか。
ひょっとしたら、イギリス版リメイクで、ストーリーを端折ったところがあるのかも。

ビクターが、54歳にもなって、恋のひとつもしなかったようだし、
そこにキュートで小悪魔っぽいローズが現れ、恋に奥手のビクターがイチコロとなったなら、
そういう雰囲気をちゃんと描き込まなきゃ、と思ってしまいましたです。

俳優達は、それぞれ自分のキャラをそつなくこなしているんだけどね。
特にビル・ナイ。
殺しの仕事意外じゃストイックな生活をおくっているみたいで、
ソファーなど家具は、汚れるからとビニールカバーをかけたままだし、
(仕事のせいもあり、多分、訪れる友人もいないんだろな)、趣味と言ったら盆栽いじりぐらい。

その盆栽を剪定している時、ついついローズのことを考えてしまい、
気がつきゃ、葉を全部切り落としてしまい、枝だけの丸裸に!

生真面目で、どこかおぼこい殺し屋のオッサンを、コミカルな要素を滲ませながら
絶妙のニュアンスで好演。さすが、ベテラン、巧いなぁ。

素直に愛情表現ができないくせいに、ローズが疲れたと言うと、
足の裏をマッサージすると楽になるよなんて言いながら、
優しく解きほぐすように彼女の足の裏に、自分の思いを伝えるように指を走らせるところ、
いじらしいやんかいさ~!

エミリー・ブラントは、根っからの詐欺師なのに、どうしてビクターにグッときてしまうのか、
なんか理解できないまま、役を演じてるみたい。
気に入った男とエッチする時、まず最初に「あなた体重は?」と聞き、
ビクターを受け入れようと思った時も、この言葉を言うんだけど、クスッと笑えるはずが、
なんかねぇ。
彼女にコミカルな味がちょい乏しいのか、リン監督の演出がわるいのか。

まだ、突然ビクター達のトラブルに巻き込まれながらも、最初は驚きあわてるけど、
すんなりと状況を受け入れてしまうトニー役ルパートのほうが、オモシロイ味だね。
ヌーボーとしていながらも、肝心の時は、ええとこ見せるし。
ついでに、バスルームでマシュマロみたいなムニュムニュお肌も披露してる。
ま、ちょいロンを引きずってる節はあるけど。

脇じゃ、ギャングが、ビクターの代わりに新たな殺し屋ヘクターを雇うんだけど、
演じるは、来年公開されるらしい話題の映画「ホビット」の主役を演じることになった、
マーティン・フリーマン。
小柄で、虚勢を張りがち、でもって冷酷に殺しをこなすんだけど、
出番は少ないが、ヘンテコリンなテイストが画面に漂い、なんか印象に残ってしまう。
ビクターの手下ってのがアホで、ポプリをお菓子と間違えて美味しいと食べまくるし、
ビクター達の居所を突き止めるために相手に尋問した時、レンブラントの名が出ると、
「そのレンブラントはどこにいる?」「いえ、とっくの昔に亡くなってますが」と、
とんちんかんな会話をしたり、コネタ的軽めのギャグを連発しよる。

おもえば、このクライム・コメディー、
笑いは、コネタ・ギャグばっかり。例のオウムのブラックなギャグも、
さりげないって感じで表現されるし。
フランス版がそうだったのか、イギリス版があえてそうしたのか分からないけど。
いずれにしろ、ギャグ以外の部分でも、ジョナサン・リンの演出は、
どうも覇気に欠けるような気がしないでもないな。

もうひとり、ビクターのママ、ルイザを演じたアイリーン・アトキンス。
「ロビンフット」「ドレッサー」などに出ている名脇役として知られる
1934年生まれの女優さんだけど、
息子がローズを殺せないなら私がと、ローズの寝室に突然現れたり、
銃をぶっ放したり、家系を重んじるイギリスチックなシャキシャキ・マザーを、
コミカルかつドライに怪演。
ラストも、おいしいところを持っていきはるやんかいさぁ。

ま、作品としちゃ、出来はいまいちって気もするし、
アメリカン・コメディを見慣れた人なら、コネタの笑いに不満が残るかも知れないけど、
ビル・ナイ、マーティン・フリーマン、アイリ-ン・アトキンスらの演技を楽しむって
ことなら、それなりにオモシロイかもよね~。

そうだ、ギャングのボス、ファーガソン役は、ルパート・エヴェレット。
髭を蓄え、美形オーラが皆無で、後でキャストを調べるまで全然気がつかへんかったわ。
ま、たいして美味しい役柄でもなかったせいもあるけど。

ファインフィルムズ 2011年12月2日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「トゥー・ラバーズ」(08年・アメリカ) 人は愛に傷ついたって、でもまた愛を追い求めてしまうんよね、ウグッ!

トゥー・ラバーズ

この「トゥー・ラバーズ」、なんとも地味で、ありがちな恋愛映画って言ってしまえば、確かにその通りの作品。
話に新鮮味はないし、ドラマティックな展開があるわけでもないし、あんまり面白くないやんと感じる人がもいるだろうね。
でも、僕には、登場人物達に親近感みたいなものが湧いてきて、なかなか好感の持てる作品でありました。
ラストなんて、とても穏やかで、ほんのりと温かな気分にさせられちゃったしね。

婚約者に一方的に去られ、心が病んでしまい、自殺未遂を繰り返すレナード。
実家に両親と住み、父のクリーニング店を手伝っている。
ある日、同じアパートに越してきた魅力的な女性ミシェルと知り合い、レナードは恋心を抱く。
レナードの両親は、同業者の娘サンドラとの結婚を期待しているようだけど、それを知りつつもミシェルにのぼせ上がっていくレナード。
でも、ミシエルは、レナードのことを、不倫相手の男の愛の深さを彼に確かめてほしいと相談したり、親しい隣人としか見ておらず、恋愛の対象ではなかった。
だが、ある出来事をきっかけに、2人の距離は近づいていく‥。

映画は、レナードの視点というか、彼の目の届く範囲や、彼の目に映ったものだけで描かれる。
だから、ある意味一人称的ドラマとも言えるな。
当然、レナード役ホアキン・フェニックスは、全シーン出ずっぱり。

海に身投げするも死にきれず自宅に戻るところから、物語が始まる。
部屋に戻ってきた息子の姿を見て、母親のルースは驚きもせず、
多分レナードのしでかした事を感づいているんだろうけど、ごく普通に接する。
でも内心じゃ、彼のことをとても気遣っているのが映像からさりげなく伝わってくる。

監督は、ホアキンと「アンダーカヴァー」で組んだジェームス・グレイ。
インディペンデント作品として撮ったのか、
派手な演出を一切避け、音楽もほとんど流れず、下町に暮らすレナードを、
寄り添うように、時にきめ細かく、丁寧な演出で見せていくんよね。
なんか、アメリカ映画には珍しい撮り方やなって気がしたな。
メジャーなアメリカ映画なら、物語にもっとメリハリをつけて、ドラマティックに仕上げてしまうもんね。
レナードが自殺未遂を繰り返していたってのを、サンドラとのデート中にさりげなく彼に語らせたり、
描写は淡々としているけど、ムダと思われるシーンはないし、レナードの心情は的確に捉えてる。
一般庶民の生活の匂いってもんも、映像に上手く映し取られているな。
ホアキン・バカ=アセイの撮影の力もあるみたい。

レナード一家はユダヤ人なんだけど、ユダヤ特有(なのかな)のお菓子フムスが出てきたり、
サンドラの弟デビッドの、13歳を祝うユダヤの成人式バルミツバなど、
アメリカに住むユダヤ人達の生活習慣なども描かれ、ちょい興味深かった。

ミシエル役は、グゥイネス・パルトロー。
僕の好きな映画、ポール・トーマス・アンダーソンの「ハードエイト」の
ラスベガスで働くウェイトレス役が印象深かった女優さんだ。
そんなに美人とは思えないんだけど、どこか心のモロサみたいなもんを上手に滲ませられるようで、
法律事務所のアシスタントの仕事をしているキャリア・ウーマンなのに、
不倫の恋ゆえかストレスが溜まるようで、クスリに手を出してる心の弱いミシェル役にハマってる。
本作じゃ、遠い距離でオッパイをポロリと見せているけど、
エリカ様じゃないけど、別にって感じやったかな。

彼女より、レナードに好意を寄せているサンドラ役ヴィネッサ・ショウの方が、
個人的には好印象で、好きになってしまいましたわさ。
どこにでもいそうな、いかにも下町の娘さんって風情で、
控えめにレナードを想い続けているってのが、なんか愛おしかったなぁ。
彼のために、手袋をプレゼントするんだけど、それがラストシーンへの伏線となっている。
そんな彼女の思いを感じながらも、ミシェルとの愛の成就を願ってしまうレナード。
身勝手と言えば身勝手な男だけど、ホアキンは、自然体で演じているというか、
とてもナチュラルな演技なので、不思議に彼をイヤなヤツとも思えない。
解っていながらも抑えがたい感情っての、誰にでもあるし、
恋に落ちたら、その相手しか見れなくなってしまう時ってあるし。

ちょっと驚いたのが、
レナードが、家族を捨ててミシエルと共に旅に出ると知った時の、母親ルースの反応。
息子の幸せを願うからこそ、そういう態度になってしまうのか。
ルース役を、イザベラ・ロッセリーニが、包容力のある演技で好演よ。

結局、レナードは、どこに心の安らぎがあるのかに気づく。
ひょっとしたら、これが安らぎなんだと思いこもうとしただけなのかもわからない。
それは、おそらく恋愛の対象としての愛ではないのかもしれない。

彼にとってそれはハッピーエンドなのか、そうでないのか。
仕方なくそうしてしまったのか。
でも、はたから見たら、やっぱハッピーエンドなのかも。

彼が選び取ったというか、そうするしかなかったのかも知れないけど、
見ていて、ほっこりと心が和んでくる。
それは多分レナードじゃなく、サンドラの笑顔ゆえだろうな。
ヴァネッサ・ショウの出演作、他のも見てみようかな。

いずれにしろ、僕にとっちゃ味わい深い作品でありました。

パラマウント 2011年11月11日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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