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「アナザープラネット」(11年・アメリカ) もう一つの地球にいる僕の運命は、この地球の僕の境遇よりマシなんかなぁ!

アナザー・プラネット

去年の12月、NASA(米航空宇宙局)が、地球に似た惑星を太陽系外で初めて発見したと発表し、水が存在する可能性があるらしく、地球外生物の存在もひょっとしたら!ってニュースが流れたよね。
なんでも、生命が存在すると考えられるゾーンを「ハビタブルゾーン」と言うらしいんだけど、発見された惑星が、太陽と似た星の周囲にあるハビタブルゾーン内にあることから、生命存在の可能性への期待が大きくなったみたい。
「Kelper-22b」と名付けられたその惑星は、地球から600光年離れた場所にあり、地球のおよそ2.4倍の大きさだそうだ。
NASAの科学者は、「これは地球のふたご発見に向けた重要な節目になる」と評価したらしい。

この広大な宇宙、
地球と同じように、生命体が存在する星があってもおかしくないし、
またSF映画によく出てくる、目玉が大きくてイカみたいなツルンとした体のエイリアンじゃなく、人間によく似た生命体がいても不思議じゃない。
なんか、無限のロマンが広がるじゃあ~りませんか!

ってなことで、本作「アナザー・プラネット」。
当然、NASAの惑星発見のニュースの前に作られたんだけど、なんか現実の話とダブってしまう。
地球に似た星の生命体は地球と全く同じ人間で、それも自分と全く同じ人格を持っているという、
SF的設定の話で、実際に地球似の星が発見されているだけに、
妙にリアリティを感じてしまうのは僕だけかしらね。

子どもの頃、ボイジャーが撮った木星の写真に魅了され、
幼い頃から宇宙に憧れを抱いていたローダは、
17歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)に合格した。
でも、ある夜、パーティーの帰り、新惑星発見のニュースがカーラジオから流れ、
それを見ようと夜空を見上げていて、車の運転を誤り、追突事故を起こしてしまう。
相手の車は大破し、妊婦と幼い男の子を死なせてしまう。
4年後、刑期を終えたローダは、罪悪感を抱えたままだった。
事故で大怪我を負いながらも生き残った、妊婦と幼い子の父ジョンに謝罪しようと訪ねるが、
真実を告げられず、清掃会社の無料トライアルだと偽ってしまい、
週に一度、ジョンの家の掃除をすることになった。
そんな時、新惑星が、自分と同じ人間が存在する<もう一つの地球>だとTVニュースであり、
その星へ惑星間旅行の参加者を一般公募していることを知り、
その星での自分も同じ過ちをしているのか、ひょっとしたら違うのではと思い、ローダは応募する‥。

監督は、マイク・ケイヒル。どうも新進気鋭の人みたい。
ネットで調べたら、ロックグループ・ポリスのドキュメンタリー映画の編集を担当してたみたい。
手持ちカメラを多用し、ローラの心の揺らめきを、繊細かつとてもビビッドに映像に映し取ってるな。
オープニングの自動車事故のシーンも上手い。
ジョン一家の幸せに満ちた家族の語らいを見せ、
カメラが車を俯瞰でとらえて、ゆっくりと引いていくや、猛烈な衝撃音と共に突然車に衝突される描写、
一瞬にして幸せが奪い去られてしまうのを、巧みに見せてくれるやないか、と思いましたわさ。

出所後、「重犯罪の私にはなんのチャンスもない」と、
なるべく他人と話さない仕事、高校の清掃係の仕事についたローダ。
そこで共に働く老人が、目や耳に漂白剤を自ら入れて、病院に担ぎ込まれた。
彼がなぜ、そんなことをしたのか。
多分、何も見なくていい聞かなくていい世界に逃げ込みたかったようだ。
それほどにも、彼は過去に、癒えることのない過ちを犯し、
それに悩み続け、ずっと引きずり続けていた節がある。
見舞いに訪れたローダに、「自分を許しなさい」と涙を流しながら語る老人。
自分じゃ自分を許せなかった老人が、彼女のためを思ってとつとつと語るところ、
なんだか、ちょいジーンときてしまいましたわさ。

脚本は、ケイヒルと、ヒロインを演じたブリット・マーリングの共作。
SF的要素に、ヒロインの贖罪の物語を巧妙にブレンドし、ちょっと新鮮な感じ。
地球とソックリの星を発見したことから、それぞれの星で同じ人間が同じ行動をとっていたのが、
シンクロしなくなっていくって設定もオモシロイ。
そうと知って彼女は、愛を抱くようになったジョンのために、ああいうプレゼントをしたわけなんよね。
彼の人生を少しでも良くできればと思って。
ストーリーに多少無理を感じるところもあるけど、ヒロインの視点だけで語られる展開ってこともあるし、
青を基調とした、ナイーブっぽい映像とあいまって、ま、そんなに気にならず、
ラストまで見せきってしまうな。

マーリングは、自分が脚本に参加したせいでもないと思うけど、ヒロインにピッタリ。
どこか切なげな眼差しが印象深い女優さんだ。
ジョン役は、「LOST」シリーズなど、TVドラマの出演が多いウイリアム・メイポーザー。
地味な印象の人だけど、大学教授だったのが、妻子を亡くし、仕事も捨て、
飲んだくれて世捨て人のような日々を送っていたのが、
事故を起こした張本人とは知らず、ローダの出現によって、
少しずつ前向きになっていくって男を好演してる。上手い役者さんだなと思ったね。
余談だけど、彼がローダのために、ノコギリで音楽を奏でるシーンがあって、
あんたは横山ホットブラザーズか!と、ちょい笑ってしまいましたわさ。
彼は、彼女への愛の告白として、真剣に奏でてるんやけどね。

ラスト、4ヶ月後にロビーの前に現れた人物。
最後の最後で、唐突に新展開を見せちゃってくれて、これにはムムッと唸ってしまったやんかいさぁ。
この後、4日後、4時間後、4分後、そして4秒後、何が起こるのか、
SF心をくすぐられまくりやん、ほんまにね!
そして、それまでのバックの音楽がリリカルだったのに、
エンドクレジットで、クールかつハードなダンステクノ。
ヘタに感傷的な余韻に浸らせないところが、ニクイやおまへんけ。

しかし、地球ソックリで自分ソックリの人間がいる星が実際に存在したら、
そっちが大金持ちなら、すり替わってみたいなぁと思うの、僕だけかしらね。

フォックス 2012年2月22日レンタルリリース



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「OSS 117 私を愛したカフェオーレ」(06年フランス) アカデミー賞作品「アーティスト」の前に撮ってた作品でおまんにやわ

OSS117私を愛したカフェオーレ

今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演男優賞・衣装デザイン賞・作曲賞の主要5部門をとり、日本でも何かと注目の的となっているフランス映画「アーティスト」(11)。
この映画の監督&キャストが、6年前に撮ったスパイ・アクション・コメディが「OSS117 私を愛したカフェオーレ」。
06年の第19回東京国際映画祭で東京サクラグランプリを受賞しているのに、日本じゃ劇場公開されず、3年後にやっとDVDリリースとなった。
前に見ていて、ちょいマニアックかつトボケたセンスが、個人的には気に入ってたんだけど、「アーティスト」がアカデミー賞に輝いたってことで、久しぶりに見なおしてみたんよね。

で、やっぱりオモシロかった。
でも、この映画のオモシロサって、オバカなギャグで笑わせるんじゃなくて、60年代のスパイ映画の雰囲気を細かい部分までまるまる再現し、当時のスパイ映画自体に愛情を込めつつも笑い飛ばすという、なんとも凝った作りになっていて、007シリーズの大ヒットで世界中で作られたスパイ映画のことを知らなきゃ、笑いのツボをハズしかねないかもね。
それに、隠し味としてのゲイ・テイストも、笑い飛ばせるか否か‥やんかいさぁ。

オープニングは、1945年、ナチスドイツから何かの設計図を奪い返す、
コードネームOSS117ことユベールの軽めの活躍がモノクロ画面で描かれ、タイトルバックへ。
007じゃ、お馴染みの導入スタイルね。
タイトルバックが、グラフィカルでカラフル、なんとも小粋よ。
そして本編へ突入。
消息を絶った親友のスパイ、ジャックの真相を探るため、
ユベールは、米英ソのスパイが暗躍するカイロへ潜入。
助手兼秘書のラルミナと共に、ジャックが働いていた養鶏場に赴くが‥。

上司から親友の失踪を知らされた時、
ユベールは、親友との海辺での楽しく遊んだ光景をニチャつきながら思い浮かべ、
それがモノクロ映像として出てくるんだけど、
2人が、満面の作り笑顔で、砂浜を駆け、無邪気に体を寄せ合いふざけあってて、
どうみてもゲイ・カップルと思ってしまうやないけ。
これが、ラストへの伏線になってるんだけど、なるほどなるほど、なるほどねぇ。

ユベールは、見た目がジェームズ・ボンドまんまで、眉毛の形までショーン・コネリーにクリソツ。
カイロに派遣されたのも、アラブ世界をよく知っていると上司に勘違いされたおかげなんだけど、
実は、アラブの文化や歴史についちゃ、な~んにも知らない。
彼のあまりの無知さに、ラルミナがむかっ腹たてるのも分かる気がするなぁ。
カイロ政府に協力を依頼しに行っても、イスラム世界をコバカにした発言のせいで強制退室されてまうし、
(本人は、コバカにしたことに全く気づいていないというのが、やっかいやわ)
早朝のイスラム教の礼拝の声がうるさくて眠れないと、無理矢理黙らせたり。
(多分、一発殴って気絶させたんやろ)
養鶏場で働くトルコの老人に、いいものあげようとか言って、
フランス大統領の写真を渡したりもしよる。
(これでトルコ人が喜ぶと思ってるって、見下し過ぎやないの、ほんまに)

腕っぷしは確かに強いんだけど、どうもユベールさん、
自分本位で、うぬぼれ屋で傲慢なところもあるし、オツムの回転もいまいちというか、
なんかトンチンカン。
せっかくの真相解明の手がかりも、最後の最後まで、全然気づかへんし。
ま、正義感はそれなりにあるようだけど。

トルコの老人に「彼はバカなのか、賢人なのか?」と疑問を持たれても無理ないわなぁ。

そのくせ、ゲイ疑惑を持ち出されると、ムキになって否定し、
ノーマルですと言わんばかりに、そばの女性をとっさに抱き寄せとブッチューとキスして見せよる。
ゲイ=女々しいってイメージを持ちすぎちゃうか!
ま、60年代なら、強い男はゲイであってはならなかったってことやね。

しかし、監督のミシェル・アザナヴィシウスさん、
一昔前の娯楽映画が大好きなようで、衣装やセット、カメラアングル、それに音楽と、
細部に渡って、そんな映画を再現し、彼なりの笑いのテイストで味付けすることに頑張りまくってる。
おそらく「アーティスト」も、方法論としちゃ同じなのかもしれないな。
映画が本来持つオモシロさって何なんだってのを、先祖帰りというか、
昔に戻って、一から見なおしてみようとしているんかな。

ユベール役は、「アーティスト」で主演男優賞をとったジャン・デュジャルダン。
ハンサムなのに、自分じゃマヌケとは露ほども思っていないスパイを、軽やかに力演。
スーツの着こなしもナイスでおます。
ラルミナ役は、ミシエル監督の実生活の奥さんでもあるベレニス・ベジョ。
スレンダーな体から、フランスらしいコケティッシュな魅力を放ってる。
ラストじゃ、女同士のキャットファイト(「007ロシアより愛を込めて」もどき)も披露し、
ドレスが少しずつ破れて下着姿になるの、ムフムフフッ!

何でも、ジャン・ブリュース原作のスパイ小説「0SS117」シリーズがあったそうで、
フレデリック・スタフォード主演で映画化されていたそうな。
ネットで調べたらスタフォード主演、マリナ・ヴラディ共演「OSS117/東京の切札」
って作品があった。もちろん日本未公開。
日本が舞台みたいで興味びんびん、なんか見たくなったやんかいさぁ。
それはともかく、そんなシリーズを下敷きに、本作は作られたらしい。
フランスじゃヒットし、リオを舞台にした2作目も作られたらしいけど、当然日本未公開。
「アーティスト」がらみで、2作目もDVDスルーでいいから、どこかのソフト会社で出せへんやろか、
今なら「アカデミー賞監督のコメディ大ヒット作」てなうたい文句でね、
そこそこ売れるかもよ、ほんまに、確約はできないけど。

松竹 2009年1月28日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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