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「唇を閉ざせ」(06年・フランス) 8年前に殺された妻から夫宛てにメールが!まさか‥でも、ひょっとしたらひょっとして‥!

唇を閉ざせ

去年、東京で「三大映画祭週間2011」ってのが開催されて、
カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの3つの映画祭で賞を取った作品が上映されたらしい。
ヒューマントラストシネマ渋谷って劇場でだけど、
多分ミニシアターだと思う。違ってたらゴメンクサイ。
どうも昨今は、いくら世界の有名な映画祭で受賞し話題になろうが、
ビジネス的に観客動員が見込めなさそうな作品は、
未公開のまんまになってしまいやすいんよね。
その時、特別上映作品として上映されたのが、この「唇を閉ざせ」。
3つの映画祭で受賞した作品じゃないけど、制作国のフランスじゃ、
07年に最優秀セザール賞最優秀監督賞、最優秀男優賞ほか4部門をとり、英国インディペンデント映画賞、エドガー・ランポー賞なども受賞してる。でもって、本国では500万人動員の大ヒット。
ハリウッドでもリメイクも決まったそうな。

しかし、受賞歴や大動員にもかかわらず、日本じゃ一般公開に至らずじまい。
やっとこさ、DVDスルーながら、お目にかかることが出来たわけでおまんにやわ。

監督は、フランス若手俳優のギョーム・カネ。
彼の出演作って「ヴィドック」ぐらいしか見ていなくて、あまり印象に残っていないんだけど、
彼のお手並み拝見ってことで、僕の好きなジャンルだし、見てみることにしたんでおます。

アレックスは最愛の妻マルゴと、子供の頃から一緒に遊んでいた湖を訪れた時、
突如、妻が誰かに襲われ、彼自身も殴り倒され湖に沈んでしまう。
彼は奇跡的に助かったが、妻は顔をひどく傷つけられた惨殺死体で見つかった。
それから8年後、今は悲しみから立ち直り、小児科医として忙しい日々を送るアレックスだったが、
ある日、彼のパソコンに、「M+A」というハンドルネームの主からメールが届く。
「M+A」とは、彼とマルゴが幼い頃に、湖のそばの木にハートマークと共に彫りつけた、
2人のイニシャルだった。
まさかそんなはずは、といぶかりつつも、指定された時間に、
指定されたリンク先をクリックし、データをダウンロードして、
その動画をみたら、な、なんと殺されたはずのマルゴの生きている姿があった‥。

ここから先のストーリーは、サスペンス作品ゆえ、
あまり言わない方が良いと思うんだけど、
巻き込まれ型サスペンスの形を取りながら、根底に”愛”があり、
愛ゆえに、アレックスはとんでもない目に遭ってしまうんだけど、
それでも最後には、”愛”にたどり着く‥。

サスペンスとラブストーリーが、ええ感じで溶け合った、なかなかグッとくる作品でありました。

アメリカの人気作家ハーラン・コーベンの原作を、
舞台をフランスに置き換えて映画化したもので、翻訳本も出ているらしいけど、
上下巻に別れていて、結構分厚いみたい。
そのせいかどうか、登場人物が多彩というか、やたら多い。
人間関係がどうなってるのか多少戸惑ってしまうところもあるけど、
カネは、それぞれの登場キャラをセリフや行動で端的に描き分け、
ギリギリのところで、見ている側が、物語に置いてけぼりを食わされないよう気をつけているみたい。

マルゴがはたして生きているのかどうか、それを確かめようとしたばっかりに、
アレックスは、マルゴの親友殺しの犯人として、警察から追われ、
そればかりか、マルゴを殺したのも彼だと疑われてしまう。
どんどん追いつめられていくアレックス。
彼に息子の病気を診てもらったことで恩義を感じている
裏社会の男ヌヴィルの助けを借りながら、なんとか、警察の目をくらますが、
謎の3人組に捕まってしまい、危機一髪に‥。

アレックスを演じるフランソワ・クリュゼ。
確か「ラウンド・ミッドナイト」で、ジャズに心酔するフランス人を演じていたけど、
どちらかと言うと、体つきや顔つきも平凡というか、味はあるけど地味な俳優さん。
それだからこそ、ごく普通の男がミステリアスな事件に巻き込まれ、
必死のパッチで逃げまどう姿に危なっかしさを感じるし、そこがなんともリアルっぽくスリリング。
オレがオレとしゃしゃり出ないところが、彼の持ち味かもしれないけど、それが主人公にぴったりハマってる。

「シネマトゥデイ」サイトに載っていたカネ監督インタビューによると、
主役をクリュゼと決めたとき、出資者が手を引きそうになり、
ヴァンサン・カッセルにしろと要求したんだと。
でも、カネは、クリュゼの大ファンだったそうで、なんとか押し切ったみたい。
その期待に応えて、クリュゼさん頑張りまくり、結果、最優秀男優賞をとったんだから見事なもんやん。

ま、彼だけでは、作品まで地味になってしまうと考えたのかどうか
(出資者のご機嫌をとりなすためかもしれないけど。この考え、また違ってたらゴメンクサイ)
脇役に、名のあるベテラン演技派や若手をにぎやかに配してる。
マルゴの父に、「アガサ・クリスティーの奥様は名探偵」「ミックマック」アンドレ・デュソリエ、
アレックスの姉の女の夫(レズビアンなのね)に、「イングリッシュ・ペイジェント」のクリスティン・スコット・トーマス、
アレックスを追う刑事に、「トランスポーター」「オーケストラ!」のフランソワ・ベルレアン、
「愛しきは、女/ラ・バランス」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のナタリー・バイ。
乗馬クラブを取り仕切る大物に「髪結いの亭主のジャン・ロシュフォール
マルゴに、「潜水服は蝶の夢を見る」「ミュンヘン」のマリー・ジョゼ・クローズ、
ヌヴィルに、「この愛のために撃て」のジル・ルルーシュ、
アレックスの姉に「レディ・チャタレー」のマリナ・ハンズ。
ほかにも、フランスじゃ有名どころの俳優がいるかもしれないな。

フランス映画を見ている人なら、なかなか豪華なキャストやんと思うけど、
それぞれ、ちゃんと見せ所を用意しているし、単なるニギヤカしで終わらせず、
作品に厚みをもたらしているところがニクイやん。

アレックスを遅う謎の3人組の紅一点、
スレンダーで能面みたいな顔つきの女が、ターミネーターもどきに、やたら強靱で、
ピストルで撃たれても、なかなか死によれへんし、なんか現実離れしてる。
ちょいマンガチックな気がしてもたけど、お遊びとして、こんな変なキャラを作ったんやろか。
ま、それで、物語が脱線することはないけど、なんか引っかかってしもた。

真実が明かされるラストまで、
適度の緊張感を維持しながらも、どこか人間くささみたいな要素を残しつつ
カネ監督は上手にまとめ上げたなって思うな。

夕暮れの湖畔で口づけする、幼い頃のアレックスとマルゴの姿、なんとも愛らしいラストシーン、
美しい映像もあいまって、なんだか、胸がジーンときてしまったわさ。
結局、愛、カンじゃないけど、最後に愛が勝つのよねぇ、ほんまに。

ところで、ハリウッドでのリメイクの監督は、ベン・アフレックが候補にあがっているらしい。
俳優のカネが撮ったってことで、同じ俳優に監督やらせて話題にしようとしてるんかしら。
でも、アフレックなら、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」「ザ・タウン」と出来の良い監督作あるし、
ナイス・チョイスかもしれないな。


アメイジングD.C. 2012年4月4日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「デスティニー 未来を知ってしまった男」(06年アメリカ・ドイツ) 自分がいつ死ぬ運命にあるか、やっぱ知りたくないよねぇ。

デスティニー 未来を知ってしまった男

自分がいつ死ぬ運命にあるのか、あと10年くらいで迎えるのかな、
それとも事故に遭遇して、あっけなく早々とこの世にバイバイしてしまうのかな。
歳くってくると、時々、そんなことを考えることがある。
医学の進歩で、寿命が延びたからといっても、
いつかは必ず、死はやってくるもんやしなぁ。
あんまり長生きしたいとは思わないけど、
結局、なるようにしかならないし、
ケセラセラ~と日々を送るしかないじゃあ~りませんか!

ってなことで、本作「デスティニー 未来を知ってしまった男」
原題は「First Snow」。
「あなたは初雪が降る日に死ぬ」
と占い師に予言されたことが、この題名につながってる。

自分の運命を知らされてしまった男が、その運命に抗おうとするストーリーでありやんす。

車が故障し、立ち寄った砂漠の町で、修理を待つ間、
時間つぶしに、初老男の占い師に未来をよんでもらうことにした、やり手セールスマン、ジミー。
だが、仕事やプライベートのことなど幾つかの予言の後、
占い師の表情が突然こわばった。
「これ以上占えない。私は、自分の力を制御できないんだ」
と言うなり、ジミーを突っぱねてしまう。
理由を言わず、占い料金も返してくる占い師に腹を立てたジミーは、
いい加減な占いをしやがってと罵声をあびせ、その場を去る。
だが、占い師の予言は、ことごとく的中。
心臓に疾患が見つかったジミーは、不安になり、
再度占い師のもとを訪れるが‥。

「この道は自分の意志で選んだ」とセリフとともに、
夜のハイウェイが映し出され、タイトル・クレジットが流れる。
カウボーイ姿の男児2人が撃ち合いごっこをしている場面が挿入される。
なかなかムーディーで、ちょい思わせぶりなオープニングだ。

ジャケット・デザインからも、サスペンス風味を匂わせるし、
どんな展開が待ち受けてるか、期待させるやないの。

占い師から、死を予言されたジミーは、
野心家で薄情なところもあり、人に恨まれることも多い。
彼のせいで会社を首になったロペスもそのひとり。
ある日、ジミーの元に射撃場の標的紙が送られ、ロペスを疑うが‥。
また、服役中だった幼なじみ、ヴィンセントが出所したと知り、おののいてしまう。
2人一緒に悪事を働いたことがあり、逮捕されたがジミーだけが、罪を逃れた過去があるからだ。
ヴィンセントが復讐のために自分を殺しにくるのでは‥。
徐々に精神のバランスをくずしていくジミー。
同居する恋人ディアドラとも心が離れていってしまう。

そして、とうとう初雪の日がやって来た‥。

「カウボーイ&エイリアン」の原案、「アイアンマン」などの脚本家マーク・ファーガスンの初監督作。
脚本も彼だけど、死の予言に翻弄される主人公の心の機微を、
どうも映像ではなく、セリフで語ろうとしてしまっている気がするな。
だから、ジミーが運命を受け入れるか否かって部分の描写が、
あいまいというか、ちょっと弱いような。
死を予言されたことで、だんだん自分自身を見つめ直していくワケだけど、
それが、上手く表現されていないように感じるのね。

ヴィンセントと再会したときの、ジミーに対する彼の突然の行動も、
解ったような解らないような。
せっかくオープニングで幼い頃の子供の撃ち合いごっこを見せたのに、
それがあんまり効果的ではないしなぁ。
ファーガスン監督、撮影中に演出の迷いが生じて、おかしなことになってしもたんかいな。
それとも、監督の頭の中では、ちゃんと必然性があって挿入したのに、上手に処理できなかったのか。

でも、エリック・アラン・エドワーズ撮影の映像は深みがあるし、
スティーブン・ソダーバーグの「コンテイジョン」「ソラリス」などの
音楽家クリフ・マルティネスのミュージックも悪くない。

主演のガイ・ピアースも、演技に定評があるだけに、「パルプフィクション」の時の
ジョン・トラボルタ・チックなロングヘア姿で、ちょいイヤァな男になりきってる。
占い師に、サム・ライミの「スパイダーマン」の編集長役で知られる
J・K・サイモンが演じてるのも、なんか新鮮な感じだった。
普通のオヤジっぽいのに、不思議な力を持ってるって設定が、妙に説得力があるのよねぇ。
他に、「コヨーテ・アグリー」ノパイパ・ペラーボ、ロペスにTVドラマが多いリック・ゴンザレス。
そして、一癖ある脇役ならおまかせのウィリアム・フォークナー。

スタッフ・キャストは申し分ないんだけどねぇ。

ラストまで見れるんだけど、なんとも地味というか、いまいちインパクトに欠ける作品だったかな。

サイモンの占い師だけが、印象に残ってしまいましたわさ。
このキャラ、別の映画撮ってもオモシロイかなって思ったくらい。

ところで脚本家の初監督作って、当たり外れが多いみたいやね。
「リクルート」「スリー・オブ・ハート」の脚本家ミッチ・グレイザーの「パッション・プレイ」。
ミッキー・ローク、ビル・マーレー、ミーガン・フォックスと充実したキャストの、
ノワールにラブ・ファンタジーをミックスした作品だけど、
演出力のなさが露骨に出てしまった、ぎこちなくて残念な出来やったわ。
クリストファー・ドイルの鮮やかな映像だけが、なんとか映画の面目を保とうとしてるというかね。


ニューセレクト 2012年3月2日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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