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「インキーパーズ」(11年・アメリカ) 幽霊が出るぞ、出るぞ~、出た~!ギョエ~!久しぶりにビビらされたやんかいさぁ!

インキーパーズ

本作のジャケットに載っていた「ホステル」のイーライ・ロスの言葉「『インキーパーズ』は近年で最も素晴らしく、最も巧妙で、最も怖いホラー映画だ」。
ホラー映画好きの僕としちゃ、ほんまに怖いんかどうか、眉に唾つけて、見ることにしたんよね。
いくら名のある監督が絶賛したって、意外と、どうってことない作品だったってこと、よくあるからさ。
で、見た結果、ロスさんの言葉通り、久しぶりに、ほんまにビビってしまいまいましたわさ!コワイでぇ!

長い歴史を誇っていたが、客足が減り、閉鎖が決まった老舗ホテル。
ここじゃ昔、ホテルに住み着いた女性客マデリーンが結婚式の日に新郎に捨てられ、首吊り自殺した出来事があり、
それ以来、たびたび花嫁姿の彼女の幽霊が目撃された。
閉鎖までの数日間を管理することになった従業員のクレアとルーク。
客もほとんどおらず、退屈しのぎに2人は、幽霊の証拠探しを始めることにしたが…。

監督は、イーライ・ロス監督「キャビン・フィーバー」の続編「キャビン・フィーバー2」(09)を撮ったタイ・ウエスト。
「キャビン…2」は、なんでも配給会社に勝手に編集され、不本意な形で公開されてしまったらしい。
ビジネスライクな映画業界じゃ、よくある話だけど。
このタイ監督の演出タッチってのが、何て言うか、今時の血糊ドバッってな過激な描写ってのが一切無く、
ゆったりしたテンポで話が進み、ある意味、実にオードドックス。
物語の中盤までは、ほとんど何も起こらない。
若いクレアと30代半ばのルークの、ホテルでの日常を、丹念に描いていくのよ。
クレアが、ゴミの詰まったポリ袋を悪戦苦闘しながら入れようとするのをワンカットで撮っているけど、
ホラー映画なら、普通、そこで何か霊らしきものがちらりと過ぎったりとかありそうなのに、全くない。
夫婦喧嘩で家を飛び出してきた、つっけんどんな母子2人の泊まり客にしても、
クレアが対応に少々おろおろするってだけで、ちっとも幽霊にからんでこない。

喘息持ちらしいクレアは、真面目だけど、すぐ落ち込んでしまう、ちょいキュートな、ごく普通の女の子。
大学中退らしいルークは、「何も期待しなければ、人生はうれしい驚きの連続だ」なんて
人生諦め気味のところがあり、客にも平気でイヤミを言う皮肉屋だけど、根は優しい、これまた平凡なオッサン。
アメリカ映画にありがちな、2人の間に愛が芽生えるってわけでもない。

でも、何も起こらない展開だけど、見ていて不思議に退屈するってことはない。
ホテル内の、どこか不気味っぽいムードを、映像にほんのりと漂わせているからかな。
シネスコサイズで撮られた横長の画面のどこかに、何か得体のしれないモノが紛れ込んでいるような気にさせ、
そんな不安をちょい煽るような感覚が、なんとも良いんよね。

前半の描写で、クレアに親しみがわいてきたというか感情移入したところで、
タイ監督、いきなり最初の恐怖描写をドヒャ~ンとかましよる。
それも実に巧妙に!
(ここは、ほんまに心底ゾゾッとさせられたわさ!)
でもこのシーンじゃ、クレアはまだ霊の存在に気づかず、
見ているこちら(観客)にそれを提示するだけなんだけど。

そして、新婚旅行で訪れた部屋に泊まりたいと老人の客が現れたあたりから、
じわりじわりと、恐ろしげなムードが高まってくる。

ラスト20分あまり、ここで、一気におぞましい恐怖世界にドドッ~ンと突入!
もう、ビビリ・バビリ・ゾゾゾノゾ~!

タイ監督、暗闇の描写も、なかなかうまい。
闇の中に何かが潜んでいる、でもその何かは決して画面に出てこない。
見ている側の想像力を喚起し、何か恐ろしいものを皮膚感覚で感じさせようとしているんよね。

僕の好きなホラー映画に、ロバート・ワイズ監督「たたり」(63)があるけど、
露骨なグロメイクやスプラッターで恐怖をあおるのではなく、
きめ細かい人物描写と、おどろおどろしい雰囲気描写で見せる秀作。
それ近い作品かなって気がしたな。
「インキーパーズ」はクラシカルな素材を、現代風にアレンジはされているけど、
根っこのところで同じだと思う。
ワイズ同様、タイ監督、演出手腕もなかなかだし。

ただ、こういう雰囲気で見せるホラー映画、刺激に慣れた今の映画ファンには、
ちょいカッタルイと思ってしまうかもしれないな。
僕は、十分に怖がれたし、楽しめたけどね。

クレア役は、「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学」のサラ・パスクストン。
僕は初めて彼女を見たけど、ごく普通の女の子を感情豊かに等身大で演じていて、好感度大よ。
絶叫演技も、痛々しさを感じさせ、めっちゃリアル!それだけに…。
ルーク役も、僕には初めて見るパット・ヒーリー。「マグノリア」などに出ていたらしいけど、
大きな役は、本作が多分初めてかもしれないな。
霊の存在に怯えて、クレアを一人残してホテルを逃げ出したり、でも反省して戻ってきたり、
なんとも器の小さい男を、これまたナチュラルに演じてる。
そして、元女優で霊媒師のリアン役に、「トップガン」のケリー・マクギリス。
このブログで以前紹介したホラー映画「ステイクランド 戦いの旅路」にも出ていたけど、
最近はホラー系専門の中年女優になってもたんかしら。
本作のプロデューサー、ラリー・フェッセンデンは、「ステイクランド」の製作もしていたみたいだし、
その流れかもね。
落ちぶれてはいるが元女優としての気位は残している中年女性を、ベテランらしくそつなく演じてる。
彼女の存在で、作品に深みみたいなもんも出たし。

ラスト、誰もいないホテルの部屋が映し出される。
何かがそこにいるような、でもそれは…。
変な余韻を残すところもニクイやんかいさぁ。

ところでタイ監督の「ハウス・オブ・ザ・デビル」(09)が、
アメリカのホラー好きに評判が良いらしいんだけど、日本じゃ未公開でDVDスルーもなし。
どこかのソフト会社でリリースしてくれへんやろかねぇ。


トランスフォーマー 2012年8月3日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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