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「ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡」(11・米) 運命の啓示に導かれて、心にハッピーを手に入れたダメ兄弟ってか!

ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡
このブログで以前紹介した「僕の大切な人と、そのクソガキ」の監督ジェイ&マーク・デュプラス兄弟の、劇場映画第2作目(多分)となる本作。
「僕の大切-」がなかなか好感の持てる作品だったので、
ちょっと気になり借りて見たんだけど、
今回も、ほんのり良い気分にさせてくれる佳作でありやんした。

30歳を過ぎてるのに、職につかず実家でニート暮らのしジェフ。
M・ナイト・シャマランの映画「サイン」にめっちゃ感化され、
運命の啓示をひたすら待ちわびる日々を送ってる。
ある日、かかってきた電話に出ると
「お前はケビンか、ケビンを出せ!」と相手が怒鳴った。
間違い電話と思いすぐに切ったけど、
母に頼まれた買い物に出てバスに乗ったら”KEVIN(ケビン)”の名前入りのシャツを着た黒人青年を見かけた。
おおっ、ひょっとして「ケビン」が運命の啓示ではと思いこんだジェフは彼の後をつけるんだが、トホホな目にあってしまいる。

この後、ジェフは町中で、妻リンダとの夫婦仲が暗礁に乗り上げてる兄パットと遭遇。
でもって、2人は、見知らぬ男と一緒のリンダを目撃してしまう。
妻の浮気と決めつけたパットは、ジェフと共にリンダ達の後を尾行するが‥。

そのころ、ジェフ達の母でキャリアウーマンのシャロンは、
オフィスで、謎の人物からのラブレターを受け取り、心がチョッピリときめいてしまう‥。

デュプラス兄弟は、「僕の大切-」と同様、手持ちカメラのドキュメンタリー・タッチの撮影で、
運命の啓示に導かれて、ささやかな奇跡に巡り逢うってな、ちょいウソっぽい話に、
リアルな生活の匂いをまぶして、それなりに説得力を持たせ描いてみせる。
なんて言うか、こんな奇跡、ありかもって思わせるんだわさ。

ジェフに扮するは、「ザ・マペッツ」で、マペッツ(人形)ウォルターの兄を演じて、
歌も歌ってたジェイソン・シーゲル。
背丈はあるんだけど、どこかヌボーとした顔立ちのシーゲル、
ちょいだらしない半ズボンにジャージのセーター姿が様になってて、
いかにも引きこもりのニート風情だし、ナイス・キャスティングよ。
彼なら”ケビン”に導かれてしまうのも、しゃあないやんと思わせよる。
小型運送車に”ケビン”の名があったら、どこに行くか判らないのに、後尾ドアに飛び乗ってしまいよるし。
でも、その運送車が、リンダを尾行し、ホテルで見張っていたパットの目の前で停まったり、
ちょこちょこ、ささやかな奇跡というか、ま、偶然と言ったほうがいいか、それに出くわすんよ。

兄パット役は、「バッドトリップ!消えたNO.1セールスマンと史上最悪の代理出張」
「ハングオーバー」シリーズのエド・ヘルムズ。
少々身勝手で、妻の気持ちが自分から離れていっても、自分の非を認めたがらない男を、
こんなヤツ、身近にいそうやんって感じで、とてもナチュラルに演じてる。

2人の母シャロン役は、ベテラン女優、スーザン・サランドン。
早くに夫に死なれ、若い頃の自分の夢を捨て去ってしまい、生活にお疲れ気味の中年女性を、
女の色気をほんのり漂わせながら、さらりと演じてみせてる。やっぱ、巧いわ。
ラブレターを送った謎の相手を知った時、そして自分の夢が意外な形で叶った時、
その都度見せる彼女の表情が豊かで、なんとも魅力的だ。惚れてしまいそう、でもないか。

ラスト、ほんの少し気持ちを切り替えた家族3人それぞれの心にハッピーが訪れるんだけど、
母を囲み、息子達、息子の妻、そして謎のラブレターを送った人物が、
彼女の誕生日を祝うシーン、穏やかな優しさに包まれたような幸せムードに満ちていて、
なんともエエ感じやん。

ジャン・ジャック・アノー監督「人類創世」(81)シュワちゃん主演の「コマンドー」、
それに「クライング・フリーマン」(96)に出ていたレイ・ドーン・チョンも、
シャロンの同僚役で、味わい深い演技を見せてるわ。

そして、最後に「ケビン」が、やっぱり自分たち家族の絆を深めるための啓示だったと判るんだけど、
そのさりげなさもベリーナイスでおまんにやわ。

ところで「サイン」って、そんなに見た人に影響を与える程、深い映画やったかなぁ。
ま、人それぞれやから、そういう人もいてるかも。
僕は、「サイン」を見直そうとは思わないけれど。


パラマウント 2012年12月7日レンタルリリース



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「ブッチ・キャシディ 最後のガンマン」(11年・スペイン) 老境にさしかかった元アウトローの生き様にグッときたやんかいさぁ!

ブッチ・キャシディ 最後のガンマン
アメリカン・ニューシネマ「明日に向かって撃て!」(69)で描かれた実在の銀行強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド。南米ボリビアに逃亡するが、結局、警官隊に銃殺されたってことになってるらしいけど、もしも、ボリビアの奥地でブッチ・キャシディが生きながらえていたら‥。
主演がアメリカ俳優サム・シェパードだし、最初、本作はアメリカ映画だと思っていたら、な、な、なんとスペイン映画。
スペイン人が撮った西部劇って、どんなだろうと思って見たんだけど、これがなかなか渋い、見応えある作品でありやんした。

1927年・ボリビア
ブラックソーン(本作の原題)と名を変え、
ボリビアの奥地で静かに暮らしていたブッチ。
老後の余生を、今は亡きキッドの恋人エッタの息子と暮らそうとアメリカへの帰国を決意する。
銀行で全財産をおろし、帰国準備を始めた矢先、スペイン青年エドゥワルドに襲われ、金を積んだ愛馬に逃げられてしまい無一文になってしまう。
ブッチは、青年に怒りをぶつけるが、彼が「命を狙われ逃げてきた。鉱山経営者から盗んだ大金を隠しているから、それで返す」と言うのを信じ、仕方なく隠し場所に向かうことにするが‥。

エドゥアルドの言葉を信じたばかりに、えらい目にあうんだけど、
昔、強盗をはたらいていたブッチだけに、
どこか彼に若い頃の自分を見ているような気になったからかも知れないな。
おかげで、ブッチまで命を狙われるハメに‥。

監督は、佳作サスペンス「パズル」(99)を撮ったマテオ・ヒル。
アレハンドロ・アメナーバル監督作「海を飛ぶ夢」「アレクサンドリア」の脚本も書いてる人だけど、
西部劇へも思い入れがあったのかな。
端正かつ深みのある映像で、ブッチの男らしい生き様を、少々の哀愁味をまぶし、丁寧に描いてみせてる。
表面が真っ白な塩で覆われているウユニ塩湖の珍しい景観で繰り広げられる銃撃戦など、
アクション描写もキレがあるし。
ウユニ塩湖をはじめ実際にボリビアで撮影したらしい(と思うんだけど)風景は広大で実に美しいし、
本作が、スペインのアカデミー賞と言えるゴヤ賞撮影賞と美術賞をとったのも納得の映像美よ。
劇場の大きなスクリーンで見たかったな~って気にもさせよる。

また、挿入される音楽が、これまた良いんだ。
ブッチが馬に乗って道を歩むバックに、切ないギターの音色とともに
「♪俺の遺体を収めておける墓はない、終末のラッパが聞こえたら 土から飛び出すのさ
川を見ろして俺が何を見たと思う 俺を追ってくる天使の一群さ♪」
とシャガれた男性の声で情感たっぷりに歌われるんだけど、
ブッチの心情とシンクロするみたいで、なんか胸にグッときてしまうわさ。

映画は、1900年のブッチとキッド、それにキッドの恋人エッタの描写がインサートされ、
彼らを追うピンカートン探偵社のマッキンリーが、キッド達にしてやられる場面も見せる。
また、ブッチがキッドのために最後に行った行為も‥。

おそらく、帰国を決めたブッチの心に去来する、在りし日の楽しく過ごした日々の追憶なんだろうけど、
それがブッチにとっては、何ものにも代え難い、深く胸に刻まれた記憶なんだ。
その記憶を止めおこうとして、里心もあるけど、エッタの息子と暮らしたいと考えたのかも知れないな。

ブッチに扮するサム・シェパードは、撮影時、70歳の手前。
白くなった髭を蓄え、深く刻まれたシワ、静かに年を重ねて、
それでもまだ男の色気を匂わせる気骨ある主人公にピッタリで、渋さ満々に演じてる。
ピストルを構える姿も、なかなかカッコ良いし。
バンジョー弾いて、下手ウマな歌声も聞かせてくれたりもする。
20数年ぶりに再会するマッキンリーに、「クライング・ゲーム」など、
ニール・ジョーダン監督作でおなじみのスティーブン・レイ。
ブッチを追い続け、それに疲れ切り、今ではボリビアの街で安酒をくらいながら
旅客のガイドみたいな仕事で食いつないでいる、人生にくたびれた男を好演。
そして、ブッチを窮地に追いやるスペイン青年にエドゥアルド・ノリエガ。
ヒル監督の「パズル」に主演している、ハンサムで演技力もあるスペインの人気スターだ。
未公開でDVDリリースされ、本ブログで紹介した彼主演の「命の相続人」(08)
特殊な能力を持ってしまった医師の話だけど、ヒューマン・ファンタジーとも呼べる佳作で、オススメよ。

単純明快な西部劇アクションを期待したら、ガックリくるかもしれないけど、
老境にさしかかったブッチの心情を描いた人間ドラマとして見たら、結構、胸にしみるかも。
実際、僕もそうだったしね。
劇中、ブッチのセリフに「男の人生には2つの瞬間がある。家を出る時と戻る時だ。他は全部、その間だ」。
そして、ブッチは「家」である「アメリカ」に帰っていくのよねぇ‥。


角川映画 2013年1月11日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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