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「ヘンリー・アンド・ザ・ファミリー」(11年・米) 天才少年は、心に問題を抱えてるファミリー達を救えるのか?

ヘンリー・アンド・ザ・ファミリー
『TSUTAYAだけ!』って文字が、赤字に白抜き文字が目立ち過ぎる、TSUTAYA独占DVDレンタル商品の1本がこれ。
製作総指揮がジュリア・ロバーツってのが、セールスポイントのひとつみたいだけど、地味目の俳優が揃い、聞いたことのないトライベッカ映画祭ってのに出品したらしいけど賞をとったわけでもないし、見過ごされてしまいがちの作品だよね。
僕も本作のことは、あまり気にもとめておらず、宅配レンタル・DISCASの予約に入れていたのも忘れていたくらい。
で、送られてきた本作を見てみることにしたんだけど、
シニカルかつオフビートなユーモアに彩られた、なかなか面白い映画でありましたわさ。

1歳になる前に言葉を話し、写真記憶(目にしたものをすべて記憶できる能力)があるIQ310の超天才小年ヘンリー。
10歳で大学生となってしまうんだけど、ある日、祖父スタンから、自分はフェミニストの母パトリシアが精子バンクを利用した人工授精で生まれ、腹違いの姉がいると知らされ驚いてしまう。
そして、ヘンリーは、精子ドナーである父と、生物学上の姉に会ってみたいと考える。
一方、生物学上の姉、12歳のオードリーは、心理学者ある父スラヴキンの著書「同性愛は先天性か、後天性か」の表紙に彼女の写真を使ったせいで、周囲にレズビアンと誤解され、学校でイジメにあう毎日。
当然、彼女と父の関係も悪化の一途。
そんな2人の前にヘンリーが現れ、パトリシアも含めて4人が一堂に会することに‥。

監督のデニス・リーが、アメリカ映画学校の学生対象の映画賞で短編映画賞を受賞した作品を、
長編化したものだそうで、脚本も彼の手になるもの。
母パトリシアは、少女時代、自分の誕生日に起こった出来事(母の死)がトラウマとなり、
息子の誕生日にロウソクに火をつけることができないでいたり、
養護施設にいる祖父スタンは、従業員にメキシコ人が多かったので覚えたと、
わざわざ流ちょうなスペイン語で、ヘンリーの出生の秘密を話しよるし、
オードリーは、イジメにあっても表情ひとつ変えず、
それをクールに受け流しているし(心の内じゃ、ひどく傷ついてるんだけど)、
どこか、普通にみえて普通から逸脱しているような、
奇妙に明るく、でもって皮肉っぽい演出タッチがオモシロイな。
オードリーなんて、普通なら、痛々しくて可哀想って描写になるところが、そうはならない。
ダニー・モダー撮影による、カラッと明るく、乾いた空気感漂う映像のおかげもあるかな。

他にも、自分が黒人だと信じている精子ドナーの受付の白人男が登場したり、
パトリシアの双子の兄達のバカっぽい死に方があったりするし、
主人公が、IQ310で、世界に2番目の超天才少年って設定も、変わってると言えば変わってる。
だいたい、ヘンリーが大学生になったのも、カトリックスクールで
「神は存在しない」と言いまくったせいで退学になったから。

けっこう風変わりな設定のストーリーで、クセのあるキャラだらけだけど、
登場人物の心情を、根っこのところで、きっちり描かれているので、すんなりと物語に入っていける。
奇をてらってるだけじゃないところに、リー監督の演出センスのきらめきを感じるやん。

キャストじゃ、ヘンリーに扮するジェイソン・スペヴァックがすこぶる良い。
笑顔がなんともチャーミングで、素直っぽくて、
彼の存在が、風変わりな物語に説得力を与えていると言っても過言じゃなわさ。
オードリー役のサマンサ・ワイインスタインは、初めて見る少女俳優だけど、
美人じゃないけど、無表情のなかにも、心のキズをちらりと漂わせてて、これまた上手い。
なんでも、クロエ・グレース・モレッツ主演のリメイク版「キャリー」に出ているらしいけど、
日本公開されたら、彼女目当てで見てみようかな。
パトリシア役は、ベテラン、トニ・コレット。
僕は、彼女主演のオーストラリア映画「ミュリエルの結婚」が好きなんだけど、味のある女優さんだ。
「シックスセンス」の母親役も良かったし。
スラヴキン役は、「トロン・レガシー」「アリス・イン・ワンダーランド」に出ていたらしいマイケル・シーン。
2本とも見たけど、彼の出演場面、ちっとも思い出せないけど、ま、それなりに好演かな。
祖父のスタン役フランク・ムーアは、もっぱらTV作品が多いみたい。
クローネンバーグの「ラビット」(77)にも顔を出しているみたいだけど、知名度はほぼゼロ。
でも、本作じゃ、警官上がりのヘンな色ぼけオヤジを快演。なかなか印象深いやんかいさあ。

本作の英語題名は「Jesus Hhenry Crist(ジーザス・ヘンリー・クライスト)」。
映画中、誰かが、「くそ、なんてこった!」って意味で「ジーザス・H・クライスト」と叫ぶんだけど、
それが最後に、題名通りの言葉が出てくるところ、なんかニクイやん。

ちょい残念なのは、ヘンリーが18歳になった場面。
スペヴァックの成長後を演じる男優が、なんかなあ、ぬぼーとしていて、
ちっとも天才に見えないし、いまいちなんですわ、ほんまに。

感動するって作品じゃないけど、ほんのり温かく優しい気分に浸らせてくれる作品ね。

とにかく、デニス・リー、注目すべき若手監督の一人になるかもね。


カルチュア・パブリッシャーズ 2013年1月23日レンタルリリース



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「新・三バカ大将 ザ・ムービー」(12年・米) マンガなノリのナンセンス・ドタバタ・コメディやんかいさぁ!

新・三バカ大将 ザ・ムービー
邦題に「新」とついてる通り、本作は1930年代にアメリカで人気を博した短編映画シリーズ「三バカ大将」のリメイク作。
40年代には、アメリカじゃ短編映画をテレビ用に編集して繰り返し放映、誰もが知るコメディアン・トリオだったそうで、1960年代には日本でもテレビ放映されていたみたい。
「メリーに首ったけ」の監督ファレリー兄弟は、それのリメイク企画を2001年から進めていたらしく、数年前には、ショーン・ペン、ジム・キャリー、ベニチオ・デル・トロの3大スターを主演に撮るってニュースが確か流れていたような。
結局、その3スター出演はご破算となり、日本じゃ馴染みのない俳優を主役に、企画から10年越しで完成させたんでおまんにやわ。
アメリカじゃ、初登場2位のスマッシュヒットになったらしいけど、日本じゃDVDスルー。
ショーン・ペン等が主役なら、劇場公開もありえたかも知れないけどさ。
ま、アメリカのヒットコメディって、日本じゃ当たらないって言われてるだけに、3大スター主役でもDVDスルーになったかもねぇ。

で、映画の出来だけど、実写によるマンガというか、
「トムとジェリー」「バックスバニー」風のドタバタ・ギャグ満載の、
ドライで突き抜けまくった、すこぶる楽しいスラプスティック・コメディでありやんした。

孤児院の玄関に置き去りにされた3人の赤ん坊、モー、ラリー、カーリー。
すくすく育つが、過激なイタズラしまくり千代子で、シスター達は大困惑。
そんな彼らに、里親の引き取り手てはなく、気がつきゃ30才過ぎのオッサンに。
ある日、孤児院が財政難に陥り、取り壊しの危機に!
モー達は、孤児院を救うべく、大金を稼ごうと初めて外の世界へ飛び出したが‥。

孤児院の財政難の危機を救う話って言ったら、
ジョン・ランディス監督「ブルース・ブラザース」(80)を思い浮かべたな。
「ブルース-」じゃ、孤児院育ちの義兄弟2人が、ブルースバンドを結成して、
コンサートで金を稼ごうとしたけど、
三バカ・トリオは、重い病気で苦しむ夫を早く楽にしてあげるために、
彼を殺して欲しいという彼の妻の頼みを引き受けて、善意の夫殺しで稼ごうとしよる。
この話には実は裏があり‥。

主役3人は、元祖三バカ・キャライメージまんまだそうで、
少々短気なオカッパ頭のモー、髪の毛ウスウス・石頭でデブのカーリー、
それにモジャモジャ・ヘアの気弱チックなラリーと、見るからにマンガっぽい。

彼らが繰り出すギャグは、ひたすらオバカでナンセンス、でもって幼稚。
一応、現代を舞台にしていて、スマートフォンなど今時のアイテムも出てくるけど、
どこか、懐かしチックな匂いが画面に滲んでいる。
何て言うか、30年代当時の三バカ大将たちのギャグのセンスを、
現代に溶け込ませようとしているみたいな感じかな。

ファレリー兄弟は、多分、「三バカ大将」の大ファンで(でなきゃ10年越しで作らないよな)、
彼らにオマージュを捧げようと、昔の三バカ大将達のギャグの再現に力を入れているみたい。
電動ノコギリをカーリーの頭に当てたら、ノコの歯がボロボロになったり、
指でキュワキュワっと目突きしたり、無茶しよる。
でも、変な効果音のおかげで、ほとんどマンガの域。
ファレリー兄弟らしい下品ギャグももちろんあり、
夫殺しのために病院に忍び込んだ三バカが、
新生児室で赤ちゃんのオシッコのかけ合いしよるにのは、笑ったやんかいさぁ。

三バカ大将の短編映画にならって、映画を3つの章(「第一章 孤児院はモー大騒ぎ」他)に分けるのも、
彼らへの敬意のあかしかもね。
3つの章に分かれてるからって、バラバラの話ではなく、ちゃんとひと繋がりになってて、
少年時代のエピソードが、大人になってからの展開の重要な要素になっていたりする。
でもって、ドタバタ・ギャグばかりでなく、友情ドラマみたいなもんもプラス。

モー役クリス・ディアマントポロス、カーリー役ウィル・サッソー、ラリー役ショーン・ヘイズ、
それぞれ、キャラになりきり、バカっぷりを快演。
脇じゃ、三バカたちのイタズラの的となり、被害を被りまくるシスター・メアリー・メンゲレに扮した、
男優ラリー・デヴィッドが、面白いやん。
ウディ・アレンの「人生万歳!」で主役の皮肉屋の物理学者に扮してた人だけど、
ちょいシリアス系の役者だと思っていたら、こんなオバカ演技を見せるなんて。
元々はコメディ俳優なんかしらね。
「ドリームガール」のジェニファー・ハドソンは、ちょい役ながら、
すっかりスリムになって、お得意の歌もきっちり披露。
エンドクレジットでも、三バカたちと歌いまくってるやんかいさあ。

とにかく僕にとっちゃ、ケラケラ笑える、なかなか楽しいコメディ作品であ~りました。

フォックス 2013年2月6日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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