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「夢の世界 ノクターナ」(07年・スペイン) ふんわりレトロ、ほっこり優しいスペイン産ファンタジック・アニメでおまんにやわ!

夢の世界 ノクターナ
ディズニー作品など、アメリカ産のアニメは日本で結構公開されてるけど、ヨーロッパのアニメって、公開どころかソフト・リリースもあまりされていないみたい。
ま、アメリカ産アニメも、このブログで以前紹介した「クルードさんちのはじめての冒険」みたいに、本国や他の国でヒットしたにもかかわらず公開されされずじまいってのもあるんだけど。
本作「夢の世界 ノクターナ」は、そんなヨーロッパはスペインで作られたファンタジー・アニメ。
なんでも、ヨーロッパ版「」モンスターズ・インク」とも呼ばれ、スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞のアニメーション部門で受賞したらしい作品なのよ。

で、これが、ほっこりとした優しさと、どこか懐かしい匂いがする、なんとも心地良い気分にさせてくれるアニメーションだったやん。
物語の骨格がちょっと弱いって気はするんだけど、日本でもアメリカでもない、ヨーロッパならではの、おっとりとした感覚ってのかな、それがなんか良いんだ。

児童養護施設で暮らすティムは、暗闇が恐くて、
消灯時間に、他の子供達が電灯を消して部屋が真っ暗になるのがいやで、
ひとり、隠し持ったノブで窓を開き、輝く夜空の星たちを見上げていた。
そんなある日、いつものように夜空を見上げると、
ティムが名付けた大好きな星アデラが消えていた。
もっと近くで空を見上げて確かめようと屋根に上ったとき、
多くのネコたちを従えた、ボールみたいに丸い体の猫男にでくわした。
彼は、夢の世界ノクターナの住人だった。
そして、ティムは、消えた星を探すために、猫男とともに
ノクターナでの冒険へと旅立った…。

ノクターナの住人達は、子供達が眠っている時間を見守るのが役目みたいで、
夢のなかの話を作るのが役目の夢作家、女の子の髪の毛を乱すのが役目の髪乱しトリオ、
オネショ係のピーなど、独創的とまではいかないけど、微笑ましいキャラが次々と出てくる。
ネコたちも、各自担当の子供がいて、ねむり猫として、
夜中に鳴き声で眠らせるのが仕事ってのも、ファンタスティック。
ノクターナを治めるリーダー、モカが大のコーヒー好きってのもオモシロイやん。

星が消えた原因が、不気味な影が暴れまくっているからだと判るんだけど、
どうしたら、その影を退治し、星たちが再び輝きをとりもどすことができるのか…。
どうして突然、影がノクターナの世界に現れたのか、
その理由ってのが、いかにもファミリー・ピクチャーらしくって、これまた微笑ましい。

空の星たちが、ひとつひとつ、垂らされたヒモのようなものの先のフックにかけられているところ、
なんか学芸会の舞台装置っぽい手作り感を感じて、ほっこりさせられるわぁ。

監督は、ビクター・マクドナルドとアドリア・ガルシアのコンビ。
スペイン本国じゃ、どんな活動をしているのか、
ネットで調べてもほとんどデータが見つからなかったわ。
本作品じゃ、舞台を19世紀後半ぐらいに設定しているみたいで、
ちょいレトロで落ち着いた、やわらかい色彩のなか、
手書きアニメの良さみたいなものを重視して作ったみたい。
ところどころCGを使用しているようだけど、今どきのアニメみたいに
それを前面に出さず、あくまで手作り感というか、
一昔前のオーソドックスなアニメの匂いを残そうとしているって思わせ、好感が持てるやん。

ただ、ティムと猫男が心を通わていくところが、
ちょっとあっさり気味で、少々もの足らなかったかな。

ところで、DVDには、英語版に加え、吹き替え版も収録されていたから、
ひょっとして劇場公開も予定されていたんだろうか。

KRコンテンツグループ 2015年4月2日リリース



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ジャンル : 映画

「ブラインド 視線のエロス」(14年・ノルウェー)  視力を失った女性の心の揺れをセンシティブに描いた、魅惑のエロス・ムービーやん!

ブラインド 視線のエロス
視力を失うヒロインといえば、僕の好きな映画に、スペイン産サスペンス映画の佳作「ロスト・アイズ」(10)がある。未公開作なら、ユマ・サーマンが盲目のヒロインを演じたアメリカン・サスペンス「ジェニファー8」(92)も悪くはなかったな。
古い作品なら、オードリー・ヘプバーンが盲目の人妻に扮した「暗くなるまで待って」(67)も、劇場で見てハラハラした覚えがある。なにせ「暗くなる…」の上映時、ヒロインが悪人に襲われそうになって部屋の灯りを全部消すシーンで、劇場内の非常灯が故意に全部消されて、見ている側も盲目状態!にさせられてしまったんよね。

ま、そんな視力を失ったヒロインの映画って、どうもサスペンス系が多いんだけど、このノルウェー映画「ブラインド 視線のエロス」は、ジャケットデザインからも分かるように、エロス系の人間ドラマ。

エロス系のたぐいってあまり見ないんだけど、
サンダンス映画祭ワールド・シネマドラマ部門で脚本賞を受賞し、本国ノルウェー・アカデミー賞じゃ7部門にノミネートされ4部門で受賞を果たしているし、他にも各国の映画祭で話題になったってのに興味をそそられ、オモシロイ作品に出会える予感がして見てみたんだ。

で、これが、現実と妄想の狭間で揺れ動く女性の心情を、
ビビッドかつクールな映像センスで描いた、なかなか映画的魅力に満ちた作品だったのよ。
ちょい、シビレテしまったわ!

元教師のイングリッドは、失明して以来アパートに引きこもった日々を送っていた。
夫モートンは、そんな彼女に以前と変わりなく優しく接しているが、
盲目のイングリッドは、夫を愛しているがゆえに、
いつしか、夫が心変わりして他の女と会っているのではと、あらぬ妄想を抱くようになり、
そしてそれを盲目者用のパソコンに綴っていく。
妄想はどんどんエスカレートし、やがて現実と妄想の区別がつかなくなっていき…。

白い部屋にこもるイングリッドの姿と並行して、
ネットで過激なエロ動画を見ては自慰にふけまくってるズングリ・ブ男エイナー、
スウェーデンからノルウェーにやってきて結婚し、子供をもうけたが離婚したエリンの行動が描かれる。
エイナーは、夫モートンの学生時代の友人だったらしく、
また、エリンはエイナーと同じアパートに住んでいて、彼は彼女に密かな性的欲望を抱いている。

エイナーから勧められモートンは、オンラインデートである女性とチャットを楽しむようになるが、
そのチャット相手はエリンだった。
そのエリンは、チャットの最中、突然、目が見えなくなり…。

どこまでが現実に起きた出来事なのか、
それとも、エイナーやエリンはイングリッドの妄想の産物で、
モートン以外は実存していないのか…。

見ているうちに、まるでラビリンスに迷い込んだような、
でも不思議に心地良い、どこか謎めいた映像世界にいざなわれてしまう。

監督・脚本は、本作が長編初監督となるエスキル・ヴォーグツ。
現実と妄想の境をとっぱらい、見ている側を幻惑させるような、
映像ならではの見せ方に、ちょっと魅せられしまう監督さんだな。
モートンとエイナーが向かい合って会話するシーンがあるんだけど、
場所がカフェだと思っていたら、背景が不自然に動き、いつのまにか走るバスの中だったり、
でも、気が付けば、やっばりカフェの中だったり、じゃあ、二人は現実には会ってないのか…。
なんだか、キツネにつままれたような、そんな感覚に陥っちゃうんよ。
モートンが出向いたパーティに、イングリッドが登場するシーンじゃ、
イングリッドと周囲が思っている女性が、エリンだったり、
でも途中でイングリッド本人になったり…。
下手したら、監督のひとりよがりな、訳の分からない作品になりかねないところを、
上手に、ヒロインの心理状態と重ね合わせ、彼女が、
ほんの少し心の安らぎを得るまでを巧妙に描ききってみせてる。
リリカルな音楽や、ナツメロ・ミュージックの使い方も、センス良いし。

エイナーがネットでみるエロ動画が生々しくて露骨すぎたり(当然ボカシまくり)、
ゲゲッと引いてしまうところもあるけど、別にそれが本作の見せ所ではないし、
あくまで、盲目になった主人公の不安な心の揺れがメインで、
ストーリーは、そこからブレルことはない。

余談だけど、モートンとエイナーは、学生時代に映画クラブに在籍していたらしく、
「スタートレック」の、先日亡くなったスポックことレナード・ニモイの話が出てきて、
彼はいい写真家でもあったなんて”うんちく”も披露され、
スタトレ・ファンの僕としちゃ、ニヤッとさせられたわ。
監督も、スポックのファンなんかしらね。

イングリッド役のエレン・ドリト・ピーターセンは、ほとんどスッピンで演じていて、
ちょいフケ気味の顔立ちだけど、不安に揺らめく思い詰めたような眼差しが、この作品にピッタリ。
夫の目の前で、オナニーにふけったり、体を張った熱演ぶりよ。

とにかく、久しぶりに、特異な映像センスを持つ監督に出会えたって思える作品でありやんした。

アットエンタテイメント 2015年3月4日レンタル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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