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「ミクロ・アドベンチャー」(14年・オランダ) ”ピカピカ”の魔法でミクロになった一家の、微笑ましくて人なつっこい軽めの冒険ファンタジーやん!

ミクロ・アドベンチャー
海外の児童向けファンタスティック・ムービーって、劇場じゃあまり公開されなくなったけど、最近、レンタルショップで、その手の作品をよく目にするようになったな。
ユーザーの需要がどれほどあるのか分からないけど、親が子供に見せてあげようかな、なんて思ってレンタルしてもらえるんじゃない、ってな思惑がソフト会社にあるんかしらね。

このオランダ映画「ミクロ・アドベンチャー」も、そんな一本。
本国じゃ”子どもの本の女王”と呼ばれてる、国際アンデルセン賞受賞作家アニー・M・シュミットさんの世界的世界的ベストセラー小説「魔法をわすれたウィプララ」を実写映画化したものだけど、僕は、作家の名前も小説も、ちっとも知らなんだ。
日本でも、そこそこ有名なんだろうか?

ちょっと気になって見てみたんだけど、こじんまりとした丁寧な作りで、
そこそこハッピーな気分にさせちゃってくれる作品やったやん。

教師の父ブロムと、いつも小言ばっかり言う姉ネラブラと暮らしている男の子ヨハネス。
ある夜、ヨハネスは、台所で、手のひらに乗っちゃうほど小さな人間を見つけてびっくり!
ウィプララと名乗るその小人は、ブロム家の飼い猫フライに驚き、魔法”ピカピカ”をかけて、
銅像にしちゃったから、またまたビックリ。
でも、どこか人なつこくて陽気なウィプララに好意を持ったヨハネスは、
家族に内緒で彼の面倒をみることに。
ある日、家族で高級料理店に行ったとき、
ウィプララが、ヨハネス達に喜んでもらおうと”ピカピカ”を使ったことから、大きなトラブル発生!
警察沙汰になりそうになり、家族を救うために、ヨハネス達3人を”ピカピカ”でミクロ化しちゃった…。

小さくなって、無事、料理店から脱出はできたけど、
父ブロムが、すぐに元の大きさに戻してほしいと言ったら、
ウィプララは、魔法をかけることはできるけど、解くことはできないと知り、
ガックリクリクリ・クリックリ!
そして、ミクロになったファミリーの冒険が始まった…。

CGによる特撮が当たり前に昨今、
もちろんCGも使われているんだけど、どこか懐かしい手作り感のある特撮も使っていて、
映画に、温かみみたいなものを感じさせるのがいいなあ。

東洋系のフードショップで一夜を明かすんだけど、
店主のやんちゃな孫が持ってた、リモコンのミニカーをゲットして、
街中を家路へと疾走する場面なんて、微笑ましいチャチっぽさというか、
ワクワク感はあまりないんだけど、なんだかホッコリと楽しい気分にさせてくれるのね。

病院に入院中の女の子や医者がミクロな一家を助けるところも、
最初は、小さな彼らに驚きはするけど、すんなり、それを受け入れるのが、
おとぎ話っぽくて良い感じ。

王宮の屋根に建っている銅像アトラスの言葉によって、
ウィプララの気持ちに変化が起こり…。
実はウィプララには、ヨハネス達に言えない秘密があって…。

監督ティム・オリーフークさんは、クセのない演出で、穏やかなタッチで物語を運ぶけど、
生真面目なのか、ユーモラスな場面も、いまいち笑えないところはあるな。
でも、あくまで、お子様視点にポイントを置いて、
ヘンに説教臭くならないところは、個人的にはナイスやん。

いろいろトラブルに見舞われながらも、父ブロムが、
何があっても家族はいつも一緒でなくちゃと言うところも、
なんか家族の絆みたいなもんを、さらりと見せているの悪くない。

”ピカピカ”のせいで巨大な銅像になってしまった、ブロムの親友で詩人のアーサーと、
彼が恋焦がれている女性のエピソードも、ベタなんだけど、あったかいやん。

全く馴染みのない出演者だらけだど、
ウィプララ役ゲザ・ワイズは、若いころのジョン・トラボルタを剽軽(ひょうきん)にしたような顔立ちで、
表情豊かに、異世界の住人をうまく演じていたな。
ヨハネス役のサーシャ・マイラナスも、ちょっと気弱だけど、家族のために知恵を働かす少年を、
自然体で演じていて、物語にすんなりと馴染んでいる。
お父さんのブロムに扮したピーター・ポール・ミュラーは、オランダじゃベテランの俳優みたい。
妻を失い、子供たちが一番大事と口にはしないけど、いつも思ってる心優しいパパを、
これまた出しゃばることなく演じてる。

ところで、この作品を見ていて、
父親の発明した物体縮小装置のせいで子供たちがミクロ化してしまう
ディズニーのSFコメディ映画「ミクロキッズ」を思い出したけど、
この作品でも、父親が子供を愛しく思う心情がさりげなく描かれていて、
ちょいジーンとしてしもた事、思い出してしまったわ。
見直してみようかな。

アルバトロス 2016年2月3日リリース



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ジャンル : 映画

「人生はローリングストーン」(15年・アメリカ) ポストモダン文学の俊英作家とローリングストーン誌の記者の5日間の旅をビビッドに描いた、ちょっぴり切ないシリアスドラマやん!

人生はローリングストーン
洋画を映像ソフトで見る場合、字幕版で見るか吹替え版で見るか、どちらで見る人が多いんだろうか。
映画好きの友人の中には、洋画は絶対に字幕で見なきゃダメだ、吹替えは邪道だ、なんて言う友もいる。
洋画の吹替えを軽視する映画ファンも確かにいるけど、僕は、日本の吹替えって技術的になかなか優れていると思っているから、絶対字幕でなきゃってこだわりはあまりない。
吹替えの方が、字幕より言葉の情報量が多いから、却って作品の意図を理解しやすくなる場合だってあるし。
だから、映像ソフトに吹替えが収録されていたら、字幕だけでなく、吹替えで見直すこともある。
吹替えの方が、映像に集中することができるって利点もあるしね。

さて、本作「人生はローリングストーン」。
ポストモダン文学の旗手の一人と呼ばれたアメリカの小説家デヴィッド・フォスター・ウォレスを密着取材したローリングストーン誌の記者デヴィッド・リプスキーの回想録を基にしたロードムービー風の実話ドラマ。
ウォレスとリプスキーの会話がメインの作品だけに、セリフがとても重要なんだけど、
最初に字幕版で見たときは、要約された字幕だといまいち二人の心情がつかみきれなくて、
吹替えで見直したんだ。
すると、ウォレスが抱える心の闇というか、
世間で文学的才能を注目されてしまったが故に思い悩んでしまう心情を、
より理解することができ、映画として印象深いものになったんよ、ほんまに。
もちろん、ウォレスとリプスキーを演じた二人の俳優の演技力、監督の演出の力量もあるんだけど。

1990年代末、アメリカ・ローリングストーン誌の仮採用記者デヴィッド・リプスキーは、
小説家でもあり、本も出していたが、恋人の勧めもあって、
注目を浴びている新進気鋭の作家デヴィッド・フォスター・ウォレスの小説を読み、
ヘミングウェイ等と並ぶ凄い作家だと思ったリプキーは、彼のことをもっと知りたくなり、
彼の新作小説のプロモーション・ツアーに同行取材することとなった。
ざっくばらんで気さくなウォレスとの旅は、最初はうまくいっていたが、
ある出来事をきっかけに彼とリプスキーの関係が気まずいものとなり、そして…。

ぼさぼさのロングヘアにバンダナを巻き、2匹の犬と暮らしているウォレス。
穏やかな言葉づかいで、とても気さくな印象で登場するんだけど、
リプンスキーとべったりと過ごすうち、
ウォレスが、鬱(うつ)病で入院したこと、自殺監視プログラムを受けていたことなど、彼の暗い過去、
そして今もそれを引きずっているかもしれないことを、リプスキーが知ることとなる。

作家としての知名度が上がり、注目を浴びるが故に抱いてしまう心の不安。
シャイなのに、自己顕示欲が強くなってしまいそうな自分自身をおそれるウォレス。
そんなウォレスなりの「人生のつらさ、心の弱さ」を、同じ作家として理解していくリプスキー。

監督ジェームズ・ポンソルトは、本作で初めて知った監督さんだ。
とりたてて大きな出来事がおこることもなく、ほとんど主人公二人だけの会話で、
淡々としたタッチでストーリーを綴っていくんだけど、
二人の表情や仕草などを、カメラが寄り添うようなタッチで、
シャープ、かつ繊細に映像に切り取り、じんわりと人間味を漂わせながら描いて見せる。
そして、感動させられるってのとは違う、なんていうか、
「生きていくことのしんどさ」を静かに語りかてきて、
心の深いところでジーンとさせられてしまうような、そんな感じかな。

ウォレスに扮するジェイソン・シーゲル。
「ハッピー・ニート 落ちこぼれ兄弟の小さな奇跡」(11)で、
30歳にしてニートなダメ男を演じていたのが印象に残っている俳優。
「寝取られ男のラブ・バカンス」などコメディ作品によく顔を出している人だけど、
本作じゃ、才能豊かだが、砂糖菓子のようにモロイ心を持った小説家を、
シリアスに、説得力たっぷりに演じている。

ウォレスにより、人生のつらさを垣間見たリプスキー役は、
娯楽作からシリアスものまで幅広い役柄をこなす若手演技派ジェシー・アイゼンバーグ。
ウォレスを深く知るにしたがって、作家とは何かを考えるようになった(と思う)青年を、
実力派らしく、ニュアンス豊かに演じている。
「ゾンビランド」で演じた、ひきこもりの青年キャラが、僕は好きなのよね。

映画は、オープニングで、40代のリプスキーが、ウォレスの死(自殺)を知らされ、
12年前の、彼がウォレスと過ごした5日間の旅が描かれ、
そして、最後にまた現在に戻り、彼がウォレス追悼の会で、
その旅は人生最高の経験だったと集まった人に語りかける構成になっている。
リプスキーの追悼の言葉のあと、
地元の教会でディスコダンスを楽しげに踊る12年前のウォレスの姿が、
ハイキーな色合いで、愛おしむように映し出されんだけど、
彼の小説を読んだことがない、って言うかウォレスの名前さえ知らなかった僕だけど、
なんだか、彼に興味を持ってしまい、読みたくなってきてしもたやん。
今度、図書館に行って探してみようっと。

リプスキーの追悼の言葉のひとつ
「本は孤独を消してくれる」
僕が思うに、ウォレスは、いたたまれない孤独な人生を忘れるために
小説を書き続けたのか知れないな。

ところで、ウォレス達が新作プロモーション・ツアーで訪れた町ミネアポリスに、
メリー・タイラー・ムーアの像が観光名所として出てくるんだけど、
確かジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画「モダン・ミリー」に
出ていた女優さんだと思うけど、彼女、アメリカじゃメッチャ有名なんだなあと
本編とは全く関係ないところで、新しい発見をしましたわ、ほんまに。 

しかし本作の邦題「人生はローリングストーン」って、なんかベタ過ぎるやないけ。
おそらくリプスキーがローリングストーンズ誌の記者ってところから考えた安易なタイトルやろね。
原題「The End of the Tour」が、なんでこうなるの?
僕なら「旅の終わりに~ウォレスとリプスキー・心の旅路~」にするけどねぇ。

ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント 2016年1月27日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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