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「クライム・サスペンス」(14年・アメリカ)  じんわりシビれまくる、上出来のアメリカン・クライム・ムービーやん!

クライム・ヒート
「マッドマックス 怒りのデスロード」の主役で一気に知名度がアップしたトム・ハーディが主演しているのにもかかわらず、劇場未公開DVD&ブルーレイ・スルーとなったのが、この「クライム・ヒート」。

スター俳優が出演しているのに劇場公開されずソフトスルーになる作品って結構あるけど、それは作品の出来がひどかったり、本国で大コケしたりってケースがほとんど。
本作も出来の悪い映画だったらイヤやな~と思ったんだけど、原作が、「ミスティック・リバー」のデニス・ルヘインの短編で、彼自身が脚本も担当しているって知り、見ることにしたんよね。

で、これが、メチャ渋の、
上出来のクライム・ムービーやったやん。

確かに、派手な銃撃戦などバイオレンスがあるわけではなく、
地味は地味なんだけど(それゆえに劇場未公開となっちっち~だろうね)。
俳優達の味のある演技と、監督のムダのないダーク・タッチの演出で、
じっくりと見せきってくれる作品なんだ。
でもってクライマックス・シーンに唸らされてしまったやん、ほんまに!

舞台はアメリカ・ニューヨークのブルックリン。
マフィアの金を一時的に預かる”闇銀行”でもあるバーを営むマーブと、バーテンダーのボブ。
店は、元々マーブのものだったが、マフィアに買収され、彼は雇われマスターだった。
ボブは、ある夜、傷ついた子犬を拾ったことで、ウエイトレスのナディアと知り合う。
同じころ、店に強盗が押し入り、売り上げを強奪されてしまった。
マーブとボブは、マイフィアのボスから犯人探しを命じられるが…。

教会に通い、捨て犬を飼おうとする、心優しげな主人公ボブを、
トム・ハーディが演じているんだけど、彼なら、そんな良い人だけで終わるはずはなく、
強奪犯人の切り取られた片腕を、表情も変えず淡々とラップで包みこんで、
犬の散歩がてら、それを海に投げ捨てたり、どこか危な気な雰囲気を漂わせよる。
優しさと、それに相反する凶暴性を併せ持つ男を、ハーディは巧みに演じ、実に印象深いやん。
少々感情移入しにくいキャラなのに、ハーディが演じることで、不思議に説得力があり、
ちょい、惹かれてしまうというか、ボブとお友達になってもいいかなって思わされてしまったわ。

マーブ役は、本作が遺作となったジェームズ・ガンドルフィーニ。
テレビドラマ「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」で知られる彼だけど、
僕は、彼が、事故で娘を亡くした男が、娘の面影を持つストリッパーの少女と出会い、
彼女の面倒を見ようとするヒューマン・ドラマ「ロストガール」(10)の
包容力のある演技が心に残っているな。
「クライム・ヒート」じゃ、店を乗っ取ったマフィアへの恨みを持ち続けている男の役柄で、
女に縁がないのか、姉と二人暮らしという設定が、なんだか面白かった。

そして、ナディア役は、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のノオミ・ラパス。
ちょい骨ばった華のない顔立ちで、ちっとも美人じゃないのに、
なぜかリドリー・スコット監督「プロメテウス」、ブライアン・デ・パルマ監督「パッション」と、
ヒロインを演じることが多いのが、不思議なんだけど、ま、確かに演技力はあるんだけどね。
でも、この「クライム・ヒート」のクライムな世界にはうまくマッチしていて、ちょい好感が持てたな。
ボブの本性を知って、うろたえ戸惑いながらも…ってところも、なんか納得させちゃってくれるのよ。

監督はベルギーのミヒャエル・R・ロスカム。
アカデミー外国映画賞にノミネートされた「闇を生きる男」(11)で注目されたそうだけど、
僕は「闇に-」は未見で、この「クライム・ヒート」が彼の映画の初体験。
物語の骨子をきっちり押さえ、あまり饒舌にならず、見る側に想像する余地を残しながら、
ノワールの世界に生きる人間たちを上手に映像に映しとっているって気がしたな。
淡々としながらも、ヤバ~イ空気を画面に漂わせ、まさかのクライマックスの展開にオヨヨッ!
ニクイやんかいさあ!

俳優でもう一人、「闇に生きる男」で主役を演じたマテヒアス・スーナールが、
捨て犬の飼い主で、ナディアの元恋人でもある卑劣な男エリックを演じていて、
見事なゲス男っぷりを見せてる。

とにかく、久しぶりに、出来のいいアメリカン・ノワール・ムービーに出会ったやんかいさあ。
そして、さようなら、ジェームズ・ガンドルフィーニさん。

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2016年6月3日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「アノマリサ」(15年・アメリカ) めっちゃ人間くさい、アダルト&シリアスなストップモーションアニメやんかいさぁ!

アノマリサ
静止している人形などを一コマずつ撮り、連続再生することで動いているように見えるストップモーションアニメ。
最近作じゃ、「グランド・ブタベスト・ホテル」のウェス・アンダーソンが撮ったキツネが主人公の「ファンタスティックMr.FOX」(09)が僕のお気に入りだけど、この「アノマリサ」も、そんなストップモーションアニメの最新作。

なんでも、今年のアカデミー賞の最優秀長編アニメーション映画賞にノミネートされ、何かと話題を呼んだんだそうだけど、日本じゃ、「東京アニメアワードフェスティバル2016」で上映されたのみで、劇場公開はされずソフトスルーとなっちっち。

監督が、「マルコヴィッチの穴」の脚本や「脳内ニューヨーク」の脚本・監督など風変わりな作品で知られるチャーリー・カウフマンだし、成人指定(R-15)アニメってところにも興味をひかれ、いったいどんなアニメなんやろとレンタルして見たんよね。

で、これが何ともヘンテコリンというか、一筋縄ではいかないというか、
妙に生々しくって、でもって切なくて、エンタメ的なものから遠くかけ離れているんだけど、
妙に映像に惹きこまれる、なんとも不可思議な作品だったやん。

主人公は、顧客電話サービス(カスタマーサビス)の極意のビジネス書の著者マイケル。
人生にお疲れ気味のマイケルは、講演のためにシンシナティーを訪れた。
彼は、自分以外の人間の顔や声が、同じに見え、同じに聞こえるという問題(悩み)を抱えていた。
だが、彼の講演を聞きに来ていた、同じホテルに宿泊していた女性リサに出会い、
彼女だけが、彼女自身の声(別の声)に聞こえ、彼女に惹かれていく…。

元々、朗読劇として書かれたものを映像化したものらしいんだけど、
そのせいもあるんだろうけど、最初にこの映画を見たとき、
「私以外の人間の声が同じに聞こえる」ってな説明的なセリフがないこともあって、
マイケル以外の人間の声が、男に限らず女の人まで同じなのに、
なんか違和感を抱いてしまったやん。
リサの声が流れて初めて、なるほど、そういうことだったのかと気づかされたけど。
(気づくのが遅いか!)

マイケルが、ホテルの自分の部屋に入るなり、
トイレに駆け込み、オシッコをしたり、酒を飲もうと氷を撮りに廊下に出るシーンがあるんだけど、
誰もがやりそうなことを、人形ながら、実にリアルな動きで表現されている。
オシッコなんて、ちょろちょろ出ている感じや仕草まで見せるんよね。
なぜ、そこまで?と思ってしまうんだけど、人形の繊細な動きに、ついつい見入ってしまう。

リサは、同僚で美人のエミリーと一緒に来ていて、
エミリーじゃなく、美しくもなく、顔に傷をもつ自分の方に、なぜマイケルが好意を寄せてくれるのか、
初めは、疑ってかかり用心していた彼女だったが、
「君の声は魔法だ」とか言われ、彼の喜びに満ちた笑顔を見ているうちに、
彼に心を許し、打ち解けていき、ベッドで抱き合い、そして…。

ここから成人指定ともなったエッチシーンが展開されるんだけど、
マイケルがリサの下着を下して、両足の間に顔をうずめ、クチュクチュリ~ン!
リサは気持ち良さげアァ~ン・ウゥ~ン!
やがて、互いに着ているものを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になって…。

DVDの特典に、ベッドシーンのメイキング映像があったけど、
実際にポルノ俳優に実演してもらい、その映像をもとに人形を動かしたみたい。
それだけに、人形とは思えぬ、微妙にリアルな感じが伝わってくる。

どうも、このアニメ、マニアックなまでに細かい動きや造形にこだわっているような気がするな。
マイケルが、シャワーを浴びたあと、鏡に向かっていたとき、
通路を歩くリサの声を初めて聞いて、慌てて素っ裸のままバスルームから出て、
服を着ようとする場面でも、
マイケルのチンポコがブラブラリ~ン揺れるところまで、きっちり見せたりするしね。
マイケルの体も、くたびれた50男の体型そのものってのもね。
なんていうか、生活感が漂いまくってるのよ。

人生に虚しさを覚え、くたびれ気味のマイケルの心に一筋の輝くような光をさした存在がリサ。
でも、翌朝、ともに朝食をとっているとき、マイケルはリサのある仕草が気になり…。

結局、一筋の光は、つかの間の光だったのか、
それとも、それは、単にマイケルの錯覚だったのか、
ひょっとして、次の明るい人生の扉を開こうとするサキガケだったのに、
つまらないことで、それを棒に振ろうとしたのか…。

もの悲しくて、やりきれなくて、でも、どこかホッコリと優しくて、
なんとも言えない余韻に浸ってしまうエンディングやん。

ところで、子どもへの土産に、間違えて入ったアダルトショップで、
ケッタイな日本の芸者チックな人形を買ったり、
でもって、この人形が♪モモタロサ~ン♪と日本語で歌ったり、
ヘンなエピソードも出てくるんだけど、これは意味があるのかないのか。

タイトルの「アノマリサ」というのは、
他人とは違う、一般とは違うという意味の「アノマリー」と女性「リサ」をくっつけたもの。
ラストにリサが、「アノマリサ」を和英辞典で調べたら「天国の女神」と意味だったって言うんだけど、
ここんところは???。
日本のどこか地方の言葉にでもあるんやろか?
それとも、天照(アマテラス)かなにかの言葉を、聞き間違いして言うてるんやろか。

声は、マイケルに「ハリー・ポッター」シリーズのルービン先生で知られるデヴィッド・シューリス、
リサに「ヘイトフル・エイト」で久々に元気な姿を見せたジェニファー・ジェイソン・リー。
そして、その他の人間の声に「脳内ニューヨーク」に出ていたトム・ヌーナン。

とにかく、ちょい難解というか、解りずらい部分もある映画なんだけど、
でも、また見たくなってくる、
なんだか深いや~んと思わせる、異色作でアノマリサ!

NBCユニバーサル・エンターテイメント 2016年6月3日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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