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「キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!」(15年・スペイン) ボーイ&ガール、そして頑固ジイサンとトカゲ君大活躍のスペースアドベンチャーやんかいさぁ!

キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!
アメリカを舞台に、宇宙飛行士一家の少年と彼の仲間、それに少年の祖父の話だから、てっきりアメリカ製アニメだと思っていたら、な、なんとスペイン製のCGアニメ。
なんでも、スペインのアカデミー賞と呼ばれるゴヤ賞の長編アニメーション賞を受賞した作品なんよね。

日本じゃ、ディズニーやアメリカ・メジャー映画会社のアニメばっかり劇場公開されて、それ以外の国のアニメ作品って、あまりお目にかかる機会が少ないし、スペイン・アニメってどんなもんじゃろ?と見てみることにしたんよ。

で、これが大人だって充分に楽しめる、
なかなか良くできたアニメだった。

登場キャラそれぞれに愛着がわいてくるし、アドベンチャー要素も満々、
でもって”家族が何よりも大事”というメッセージが無理なく、しっかりと描かれていて、
独り者の僕だって、家族っていいなぁなんて思わされ、じんわり心温まったじゃあ~りませんか!

タイトルの「キャプチャー・ザ・フラッグ」というのは、
互いに相手陣地の旗を奪い合う騎馬戦や棒倒しに似た野外ゲームのことで、
宇宙や月とあんまり関係なさそうな題名だなと思っていたら、
月に立てたアメリカ国旗を巡る分争奪戦がクライマックスとなり、なるほどなぁと納得。

12歳の少年マイクの父は宇宙飛行士で、祖父のフランクも元宇宙飛行士だったが、
父と祖父はなぜか絶縁状態で、祖父はマイクの家族に近づこうとしなかった。
ある日、億万長者カーソンが、大衆を前に「アポロの月面着陸はねつ造で、NASAの大ウソだ」とぶちまけ、
それの証拠映像を放映し、自分が月に行ってくると宣言した。
それを聞いた大統領は、カーソンに先んじてスペースシャトルで月に行くことを決定したが、
カーソンの悪巧みにより、そのシャトルに偶然入り込んでいたマイクと仲間のエイミー、
それにフランクを乗せたまま唐突に発射されてしまった。
実は、カーソンは、月にある最強エネルギー、ヘリウム3を独り占めにして、大儲けを企んでいたんだ!
そのために、月に立てられたアメリカ国旗を自分の会社の旗にすげ替えようとしていた…!

カーソンが見せる証拠映像というのが、
ルパート・グリント主演の「ムーン・ウォーカーズ」(15年)でも描かれた、
都市伝説にもなってる、スタンリー・キューブリック監督による月着陸ねつ造映像ってのがニンマリよ。
その映像に現れるキューブリックを、カーソンの会社の掃除婦夫が演じてるってところがムフフッやん。

監督のエンリケ・ガトは、13年に作った「タデオ・ジョーンズの冒険」でも、
ゴヤ賞長編アニメーション賞、新人監督賞をゲットし、大ヒットを飛ばしたらしいけど、
「キャプチャー・-」は、ストーリーが決してお子様向けだけではなく、
祖父が家を出て、父たちと絶縁した理由、そして健気に夫と義父を気づかうマイクの母など、
ドラマ的にも、ちょっぴり深みをプラスしていて、物語に豊かなのがいいんだなぁ。
90分少しの作品だけど、アニメならでは柔軟な映像展開に、メリハリの利いた演出テンポ。
スリルとユーモアの配分も文句ないし、娯楽のツボをしっかり押さえてるやん。

父と祖父の仲を何とか取り持とうとするマイク、少々お転婆なエイミー、
発明家の太っちょマーティ、それにマーティのペットで愛嬌たっぷりのトカゲのゴーグル。
各々のキャラが際立ち、それぞれにしっかり見せ場が用意されているのもいいやん。
特に、ゴーグルの活躍ぶりったら、ほんま拍手拍手よ!

しかしペットにトカゲをもってくるなんて、
アメリカン・アニメなら犬や猫が出てくるところだけに、
スペインならではって気がしたな。でもないか。

悪役カーソンは、極悪人ってところまではいかないけど、
金儲けしか頭にない、ちょい無慈悲で身勝手なワル・キャラが、
マンガチックに描写されていて、マイケルたちの敵としては、丁度いい感じ。

祖父フランクが、息子であるマイクの父を嫌う理由、
それをマイクに話して聞かせるところは、なんだか、ちょい共感させられたわぁ。
僕だって、もしそういう立場になったら、せっかくの宇宙飛行の夢が夢のまま終わってしまうのだから…。

製作には、NASAの宇宙飛行士が技術顧問として参加しているそうで、
スペースシャトルの細部や月の描写など、そこそこリアリティを感じさせるところもナイスやん。

ただ、この作品、アメリカを舞台にしているせいかスペイン色が、あまり感じられない。
アメリカ製アニメと言われたら、それを鵜呑みにしてしそう。
ちょい、スペイン色みたいなもんが漂っていたらなぁとも思ってしまいましたわさ。
ま、ガト監督が、インターナショナルな作品にしようと、
あえてスペイン色を出さなかったのかしれないけど。

いずれにしろ、個人的には満足満足のアニメーションであ~りました。
ガト監督の前作、インディ・ジョーンズを意識したような「タデオ・ジョーンズの冒険」も
見てみたいやんかいさぁ。

パラマウント 2016年7月6日レンタルリリース



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「カットバンク」(14年・アメリカ) 一つの殺人(?)事件が、次々と新たな犠牲者を生んでしまう、ド田舎スリラーやん!

カットバンク
「カットバンク」ってタイトルから銀行に絡んだ犯罪ドラマと思っていたら、”カットバンク”ってのは、アメリカで最も寒い街と言われているらしい、カナダに接したモンタナ州の小さな町の名前で、そこで起こる偽装殺人事件が発端のサスペンス映画だったやん。

主演が、話題のSF大作「インディペンデンスデイ:リサージェンス」のリアム・ヘイムズワース、脇を「RED」のジョン・マルコヴィッチ、「チョコレート」のビリー・ボブ・ソーントン、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のブルース・ダーンと、ベテラン名優が固めているのに、劇場未公開&ソフトスルーとはこれいかに?

なんでかな~と気になって見たんだけど、ヒネリの利いたストーリー展開で、それなりに楽しめる作品であ~りました。

何の刺激もない人口3000人の小さな町カットバンク。
そ町に住む若者ドゥエインは、恋人で町のミスコンにでるカサンドラを撮影していて、
偶然、郵便配達人ジョージーが何者かに射殺されるところを撮ってしまった。
そして、なぜかジョージーの死体と配達トラックが消えた。
ドゥエインは、警察官ボーゲルに証拠としてビデオを差し出すが、
実は、情報提供の懸賞金をあてにした、ドゥエインが企てた偽装殺人だった。
しかし、町一番の変人ダービーが、是が非でも受け取りたい小包を探し出そうとしたことから、
事態はとんでもないことに…。

オープニングに、ジョージーが配達する小包の一つ、
青いバッグが意味ありげに映し出されるんだけど、
最初はそのバッグの意味するところが明かされない。
やがて、ダービーの登場により、彼が必死で探していたものが、
そのバッグらしいと見ている側が気づかされる。でも、なぜそのバッグが必要なのか…。

監督は、テレビ畑で活躍していたマット・ジャクソンの劇場映画デビュー作だそうだけど、
なんていうか、ソツはないけど、味わい不足気味で、緊張感も薄いし、
いまいち、見ていてグッとくるものがないんよね。
物語のどこにポイントを置くか、途中でまごついてしまったみたいな感じ。

マルコヴィッチは、のんびりした平穏な街で起こった殺人現場のビデオを見て、
すぐ吐き気をもよおし、トイレでゲーゲー吐いてしまう、
誠実だが気弱な田舎警官を、微妙なさじ加減でサラリと演じているし、
ブルース・ダーンは、少々ぐうたらな喘息気味の郵便配達オヤジを、これまた、
ベテランらしく、力まず演じて見せてる。

でも、結局のところ、ダービーに扮したマイケル・スタールバーグが、一番印象深いのね。
めっちゃ度のきつい瓶底メガネをかけてて、全身から変人オーラを発散しまくりチヨコ。
「森で拾われた頭の足りない子」って町の人間に言われ、
ほとんど誰とも付き合わず、どこかに消えてしまったなんて思われてる男を、
スタールバーグは、軽いサイコ風味を匂わせつつ、実に陰気くささ満々に演じてる。
彼、コーエン兄弟のアカデミー作品賞にノミネートされた「シリアスマン」の主演で注目され、
「ブルージャスミン」「ヒューゴの不思議な発明」など話題作に出ていたらしいけど、
いままでは、そんなに印象に残らなかったな。
「カットバンク」じゃ、物語を引っ掻き回す重要な役柄ってのもあるけど、なかなか目立つやん。
これからは、彼の出演作、チェックしようかな。
「シリアスマン」も、見てみたいなぁ。ソフトが出ないやろか。

周囲を演技派やベテランに囲まれ、
ヘイムズワースは、主役のはずなのに、なんだかあまり目立たない。
寝たきりの父の世話をし、うだつのあがらない日々に、やりきれなさを感じ、
都会に憧れている男を、控えめに演じているって感じ。

カサンドラ役テリーサ・パーマーも、ミスコンで下手くそな歌を披露して優勝してしまうんだけど、
取り立てて見せ場がなく、ちょいもったいない扱い。

物語は、次々と犠牲者が出てしまい、どういう結末に持っていくのかなと見ていたら、
なんかな~、僕には、どうにも納得しかねるエンディング。
その結末に持っていくなら、カサンドラの頑固おやじ(ビリー・ボブ・ソーントン)と、
警官ボーゲルの関係や過去を、もう少し描くとかしなきゃダメよ、ダメよ、ダメなのよ~、
と思ってしまいましたわさ。

監督は、どうも、登場人物それぞれの背景を、すっ飛ばし過ぎたような、そんな気がするな。

残念とまではいかないけど、良い役者を揃えたまではいいが、
素材は良いのに、料理の味付けを微妙にしそこなった、そんな映画であ~りました。
退屈はしないんだけどね。

ミッドシップ 2016年7月2日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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