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「ローンウルフ 真夜中の死闘」(14年・アメリカ) 盲目の年老いた退役軍人が狼男退治に命をかける、レトロムード漂うホラーやん!

ローンウルフ 真夜中の死闘
ドラキュラやミイラ男と並ぶ、ポピュラーなホラー・モンスターのひとり、狼男が登場する、ちょっと風変わりなホラー・ムービーがこの「ローンウルフ 真夜中の死闘」。

何が風変わりかっていうと、主人公は年老いた盲目の退役軍人で、ベトナム戦争でのある出来事で心が壊れてしまい、家族とも距離を置いて孤独に生きているって設定だし、物語の舞台となるのが年寄りだらけの高齢者専用住宅地なんよね。

その住宅地に狼男が出没し、老人たちを食い殺すって話で、主人公を演じるのは快作「ステイク・ランド 戦いの旅路」(10)でタフなヴァンパイア・ハンターを演じていたニック・ダミチ。
彼、アメリカのインディペンデント系の作品で活躍している人のようで、「ステイク・ランド-」じゃ脚本もこなす才人みたい。他の脚本作にカニバリズムをテーマにした「肉」(13)があり、どうもホラー指向が強いみたい。
59年生まれだから、本作の出演時は55歳だけど、老けメイクで老人になりきり、孤独に生きる主人公を力演してるやん。

高齢者専用住宅地に、愛犬シャドーと共に引っ越してきた盲目の退役軍人アンブローズ。
新居の壁に食い込んでいた得体のしれない爪を見つけ、不安がよぎる。
その夜、隣人のデロリスが何者かに襲われた。
激しい物音に目を覚ましたアンブローズは、壁を叩いて彼女の名を呼び続けた。
そんな彼のもとに、デロリスを襲った者が侵入し、彼にも襲いかかってきた。
必死に抵抗し、何とか追い払うことは出来たが、
彼を助けようとしたシャドーは息絶え絶えの深手を負った。
アンブローズは、シャドーの苦しみを見かね銃弾を撃ち永眠させた。
翌日、やってきた警官から、デロリスが惨殺された事を知ったが、
近くの森の野生動物が襲ったのだろうと結論付けられる。
でも、昨夜は満月で、ひと月ごとに似た事件が起こっていると聞いたアンブローズは、
襲った者の正体を悟り、一人でそれと戦おうと準備を始めた…。

狼男をモチーフにしながら、主人公の心の闇と、彼と息子夫婦の気まずい関係など、
ドラマ要素を巧みに絡め、どこか80年代チックなレトロなムードを漂わせ描いているな。

監督は、「NITOROニトロ」「スクリーム・アット・ナイト」の
アルゼンチン出身のアドリアン・ガルシア・ボクリアーノ。
僕にはお初の監督だけど、キレの良い演出と編集で、
主人公の心情や周囲の人間関係など、端的に手際良く見せてくれる。
それなりに腕のある監督やないのって思ってしっまたわ。

狼男は、今どきのアメリカ映画に珍しく着ぐるみで登場し、
モッサリしていて動きも妙にダサいところがあるけど、
不思議にこの作品には似つかわしい気がしたな。
人間から狼男に変身していく様でも、CGを僅かに使っているだけで、
あくまで着ぐるみにこだわっているみたい。
狼男を通して、主人公が抱える心の闇を、彼らを倒すことで振り払い、
人生を終えようと覚悟を決める心情に焦点を当てているからで、
監督が、狼男をあまりリアルに見せないでおこうと心掛けたのかもしれない。

アンブローズが、最後の闘いに挑むとき、彼にとって正装である軍服を着るなど、
ちょっと「ローリング・サンダー」を思わせるところもあるが、
退役後も、戦争で心が壊れ、まともに暮らすことができなくなった彼が、
それにケジメをつけるために制服を着たんだろうな。

亡き妻のエンゲージリングの使い方もナイスやん。

ただ、ストーリーに説明不足気味な部分もいくつかあって、
なぜアンブローズがすぐに狼男の存在を察知できたのか?
狼男と教会の神父の関係は?銃砲店でアンブローズの前に銀の銃弾を買ったのは誰?
などなどだが、見ている間はそんなに気にならない。

ダミチを筆頭に登場するのは中年や老人ばかりで、
ノッポの神父スミスに「刑事グラハム/凍りついた欲望」(86)で殺人鬼を演じたトム・ヌーナン、
教会へのバスの世話係グリフィンに「ブギーマン(ハロウィンⅡ)」(81)のランス・ゲスト、
墓石屋のオヤジに「肉」のラリー・フェセンデン他、クセのあるオッサン役者が並んでいる。
彼らのうちの誰が狼男だったのか?
気になる人は作品を見てチョンマゲ!

ラストに、アンブローズの息子ウィルが、様々な思いを込めて満月に向けて銃弾を発射するところ、
なんだか胸に軽くジワ~と来てしまったわ~。

ところで、アドリアン・ガルシア・ボクリアーノ作品って本作も含め、ほとんどが劇場未公開だけど、
彼の過去の作品がみたくなってきなぁ!DISCASで宅配レンタルしようっと!


アクセスエー 2017年8月2日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「ウォー・ドッグス」(16年・アメリカ) 若者二人が武器売買で大儲け!だけど、良いことばかりは続かないのよねぇ!

ウォー・ドッグス
実話を基にした映画って結構あるけど、この「ウォー・ドッグス」も武器ディーラーの実話をベースにした物語。
監督が、ヒットコメディ「ハングオーバー」シリーズのトッド・フィリップスだし、ジャケットにもクライム・アクション・コメディと銘打っているし、出演が「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のジョナ・ヒルだし、ギャグたっぷりのコミカルな作品と思って見たんよね。

ところがどっこい笑いの欠片もない、シリアスで、ちょいシビアな実録ドラマだった。
フィリップス監督が、コメディ以外の作品も作れまっせと、コメディ専門のイメージから脱却したかったのかどうか判らないけど、なかなか興味深い作品に仕上がっていて、僕個人としちゃ楽しめたな。

時は、イラク戦争の真っ只中。
マイアミ・ビーチで暮らす20代前半のデイビッドは、
金持ち相手の出張マッサージで細々と生計をたてていた。
だが、同棲中の恋人イズが妊娠し、今後の生活に不安いっぱいのデイビッド。
ある日、知り合いの葬式で、幼馴染エフレムと久しぶりに再開。
彼から、国防総省(ペンタゴン)のネット入札による武器売買の仕事を持ちかけられ、
デイビッドは彼のパートナーとなる。
初めは、取引も小さかったが、武器輸送トラブルを解決するために戦地に赴き、
命からがら陸軍に無事に武器を届けたことから信用が深まり、扱う取引の額も増えていった。
エフレムの会社も大きくなり、リッチな暮らしを手に入れたデイビッドだったが、
アフガニスタンの軍隊と300万ドルの大型取引を結んだところから、
雲行きが次第に怪しくなっていく…。

タイトルの「ウォー・ドッグス」は原題「WAR DOGS」のまんまで、
「戦場も知らず、戦争で稼ぐクズ」を意味するらしいけど、
ジョナ・ヒル演じるエフレムは、金のことしか頭にないホンマに銭ゲバでクズな青年。
デイビッドに対しても親友と言いながら、心の底じゃ、
そんなことちっとも思っておらず、平気で裏切りよるしねぇ。
そんな男を、ヒルは憎々しも、どこか人間臭さを漂わせリアルに演じて見せる。

デイビッド役は、「セッション」で注目されたマイルズ・テラーだけど、
エフレムに振り回されながらも、彼を親友として信頼し、
300万ドルの大型取引でヤバイ状況に陥ったとき、
大金に目がくらんだのか、躊躇せずに国防総省をダマす行動をとってしまうところなど、
人間の持つ心の弱さとモロさを、実にナチュラルに演じて見せ、なんか共感させられるなぁ。
僕だって、そうしたかもって思わせられてねぇ。

伝説の武器商人ヘンリー・ジラード役に、「ハングオーバー」のブラッドリー・クーパー。
ちょいミステリアスで危険な匂いを放ちながらも、ラストでデイビッドと互いの家族の話をするなど、
これまた、ほのかに人間臭い。

大金に目のくらんだ20代の若者の成功と挫折をシニカルに見つめた作品ともいえるけど、
あんまりお金に執着したらダメよダメダメ、ダメなのよ~、
それも国家を欺くような行為はダメ、絶対ダメって教訓も含まれているような、
そんな気がする作品だったな。

フィリップス監督の演出は、テンポ良く手際良く、上手にまとめ上げているって感じ。
アフガンでのトラックによる武器輸送や、寒々としたロシアでの武器の梱包のすり替えなど、
サスペンスフルとまではいかないけど、生々しさみたいなものが漂ってて、ちょいハラハラさせるし。

イズ役は、「ノック・ノック」のアナ・デ・アルマス。
出番は少ないけど、目鼻立ちのクッキリとした美人で、なかなか魅力的だった。
「ブレードランナー2049」に出演しているらしいけど、レプリカントに扮するのかな。
ちょっぴり気になるやんかいさぁ。

いずれにしろ、この映画、アメリカでヒットしたとも聞かないし、
フィリップス監督、シニカル路線は止めて、コメディ路線に戻るんじゃなかろうか。
「ウォー・ドッグス」が、決してつまらない作品ってわけじゃないんだけどね。


ワーナーブラザース・ホームエンターテインメント 2017年6月21日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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