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「バンド・エイド」(17年・アメリカ) ケンカの絶えない夫婦がバンドを結成して、歌ってウップンをぶちまけるってか!

バンド・エイド
「バンド・エイド」ってタイトル名を聞いただけなら、ジョンソン・エンド・ジョンソンの絆創膏が出てくる軽めのメディカル・ドラマかなとも思うってことは間違ってもないけど、副題も付いていないし、なんともイメージしにくい題名やん。

お話は、クチゲンカが絶えない夫婦が、バンドを結成して二人のケンカをネタにした曲を作って歌い、ウップンを晴らしちゃおうとするライト・コメディ。

原題も「BAND AID」とまんまで、それをカタカナ表記にしただけだど、なんか不親切やんかいさぁ。
もうちょっと映画の中身をイメージさせるような副題を付けなアカンのんと違うと思ってしまいましたわさ。

で、これが夫婦の機微を軽やかに綴った、ちょい人懐っこい小品って感じの作品だった。
制作・監督・脚本は、主演も兼ねてる30代半ばの女優ゾーイ・リスター=ジョーンズ。
テレビドラマ「LAW&ORDER:性犯罪特捜班」や映画「29歳からの恋とセックス」(12)に出ているらしいけど、僕にはお初の美人の女優さんだった。

なんでもアメリカのインディーズ系映画祭で評判になり、
辛口米映画評価サイト「ロッテン・トマト」ってのがあるらしいんだけど、
そこで85%の高評価だったのね。
それなら大ハズレにはならないだろうと思い、レンタルして見てみることにしたんだ。

今日も朝からキッチンの皿洗いのことでケンカを始めたアナとベンの夫婦。
アナは、作家志望だったが夢破れドライバー(個人タクシーみたいなもの)で生計を支え、
ベンは自宅でネットのクラウドを使ったデザイナーの仕事を細々と続けている。
互いに愛し合ってはいるものの、ある出来事の後、心にシコリが残り、
それ以来ギクシャクした関係が続いていた。
ある日、アナの親友の子供の誕生日会に出向いた二人は、
たまたま身近に会った子供用ギターをベンが弾き、アナが歌った時、
久しぶり二人の間に心が通い合い、楽しい気持ちに浸れた。
そして、バンドを組んで互いのウップンを歌にしたらいいんじゃないと思いたち、
ご近所さんの独身男ディヴが打楽器が得意と知ってドラマーとしてメンバー参加を頼み、
ガレージで練習が始まった…。

ジョーンズは、数本の脚本を書いていて本作が初監督作(と思うんだけど)だが、
手持ちカメラで、アナとベンの日常を実にナチュラルにサラリと描いて見せてる。
下ネタ・ギャグもちょこちょこ出てくるけど、女性監督のせいか、
露骨なイヤラシサはなく、カラッとしていてカ~ルク笑える。
お隣さんのデイヴが、両親が離婚して以来、それがトラウマとなって性依存症になり、
依存者の会で知り合った元ストリッパーの女性達と同居同然の暮らしをしているってのが、
ヒネリが利いていてちょっと面白い。

バンドを結成するだけに音楽シーンもあるけど、そんなに上手いとも言えず、
曲もいまいち印象に残るものがないけど、
アナとベンが日ごろのウップンをぶちまける歌詞はそこそこ楽しめるな。

バンドを通して仲が良くなりそうに見えたところで、
フトしたきっかけで、またまた大ゲンカとなり、ベンが家を飛び出すんだけど、
彼の母から、自分が知らなかった誕生秘話を聞き、
彼女から、男と女の考え方の違いなどを教え諭され、
初めてアナの気持ちをベンなりに理解するところも、そんなに説教臭くないのがいい。
ま、セリフに頼り過ぎかなって気もするけどね。

ジョーンズは、心の奥底に過去の辛い出来事を引きずったまま、
それから乗り越えられないヒロインを、自分が脚本を書いているだけに、
嘘っぽさを感じさせず自然体で演じてる。
小ぶりの乳房もサービス(?)で見せてくれちゃってる。

夫ベン役は「ダーティ・グランパ」(16)に出ていたアラン・バリー。
自宅にこもっても仕事にあまり身が入らず、下着姿でぐうたらと日々を過ごすダンナを
これまた力まずサラリと演じてる。

ジョーンズやバリーより強い印象を残すのが、デイヴ役のフレッド・アーミセン。
「サタデー・ナイト・ライブ」でアメリカで広く知られるようになったコメディ俳優だけど、
感情をあまり顔に出さないポーカーフェイスの元性依存症の男ってキャラにピッタリで、
軽めの奇人を微妙なニュアンスを滲ませながら好演してる。
顔立ちが東洋っぽいと思ったら、
彼の祖父は韓国系日本人で舞踊家の邦正美って人なんだそう。
祖父の記念館が東京にあり、アーミセンはそこを訪れたことがあるんだとか。

ズシンとくる手ごたえを期待するとアリャリャとなるけど、
夫婦の心模様を軽やかに描いた、軽いがそれなり美味しい食事を
味わってみましょうって感じで見たらいいんじゃないって作品であ~りました。

しかし、こういう会話がメインの作品って日本語吹替えも収録して欲しかったわぁ。
ほんまにね。


ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2018年2月7日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「スペースウォーカー」(17年・ロシア) 世界で初めて宇宙遊泳を行った飛行士レオーノフの驚きの体験を描いた実録スペースアドベンチャー!

スペースウォーカー
ソ連(現ロシア)の宇宙飛行士と言ったら、「地球は青かった」の言葉で知られるガガーリンしか僕は思い浮かばないけど、彼の後に世界で初めて宇宙遊泳に成功したソ連の宇宙飛行士がいたのね。
それがアレクセイ・レオーノフって人で、彼の宇宙遊泳がどんなものだったかを描いたのが、この「スペースウォーカー」。

インパクトがいまいちのジャケット・デザインに、なんか地味でこじんまりした作品と違うかって思ったんだけど、宇宙系の映画は好きだし、どんなもんじゃろかいと見たんよね。
で、これが実に丁寧で、しっかりした作りの見応えのある作品だったやん。
特に宇宙でのアクシデントの数々はハラハラさせられっぱなしで、一昔前の宇宙飛行がどんなに大変だったかが説得力たっぷりに描かれるのよ。
アレクセイ・レオーノフ本人が映画の監修を努めているが、どこまで現実に即してリアルに描かれているかは分からないけど、実際に宇宙遊泳時にアクシデントが起こり彼が死にかけたことは事実みたいだし、映画的に大袈裟に描いていないような気がする。
しかし、こういう宇宙物って劇場の大画面で見てみたいなぁ。

1960年代、アメリカと冷戦中のソ連は、
宇宙開発でも相手国より先に宇宙遊泳に成功させようと躍起になっていた。
宇宙飛行士としてスカウトされたアレクセイ・レオーノフは
恐れ知らずで向こう見ずな軍用パイロット。
そして彼と共にスカウトされたパベル・ベリャーエフは冷静沈着な男だった。
1号機として打ち上げられた無人宇宙船がトラブルに見舞われて失敗し、
有人宇宙船の打ち上げ計画が暗礁に乗りかけた。
だが、アレクセイは是が非でも飛び立ちたいと現場責任者セルゲイ・コロリョフに熱心に訴え、
コロリョフは、迷いつつも、このままではアメリカに後れを取ってしまうし、
危険を顧みないアレクセイの熱意を汲み取り、やむなく宇宙船発射を決断した。
そして1965年、宇宙に飛び立ったアレクセイとパベル。
細心の注意を払いながら、アレクセイは宇宙に飛び出し、
世界初の宇宙遊泳を成功させるが…。

アレクセイが空軍パイロット時代に、搭乗中にエンジントラブルに見舞われ、
機転を利かして何とか危機を乗り越える出来事に始まり、
パベルが訓練で落下傘降下中に両足に大怪我を負うなど、
宇宙飛行までのエピソードをテンポ良く描いている。
そして、アレクセイが宇宙船から飛び出し、宇宙遊泳を始めるところも、
きめ細かい描写と的確なカメラアングルで見せ、リアリテイ満点。
あたかも、自分が無重力の宇宙に飛び出したら、
多分彼と同じような気分になるんだろうなと思わせちゃってくれる。
リアルさを追求したSFXも文句なしよ。
開発の途上の時代だけに、宇宙服のちょっとした問題から、
服内の気圧が上がってしまい膨張して中の人間が身動きできなくなってしまうなど、
ほんまにゾクリッとさせられる。
何とかこの危機を脱するが、今度は機自体に小さな亀裂が走り、そのせいで
機内に酸素が充満し発火の恐れが生じるなど、フィクションまがいのトラブル連発。
もう、ロケットが宇宙に飛び出してからは画面に釘付けになってしまいましたわさ。
地球に帰還した後も、これまた危機が訪れてしまうし…。

監督はドミトリー・キセレフ。
ロシアのダークファンタジー「ナイト・ウォッチ」(04)「デイ・ウォッチ」(06)の編集をしていた人だけど、
最初と最後に、アレクセイの幼い頃の姿をファンタジックに映し出し、
作品全体を、実録ながら、どこか宇宙に夢を馳せた人間の姿を通して、
夢見ること、そしてそれを諦めない素晴らしさみたいなものを描こうとしているような気がしたな。
キレの良い演出と編集で、尺が136分と2時間を超える作品だけど、それがちっとも長く感じない。
宇宙船内と地上の宇宙司令室を緊迫感を持って交互に描くなど、
編集で培ったテクニックが存分に発揮されているんだろうな、きっと。
シネスコサイズを効果的に使った映像もベリーナイスよ。

アレクセイに扮したのは、エフゲニー・ミローノフ。
SF「カリキュレーター」で主演していた俳優で、
ドストエフスシー原作のTVドラマ「白痴」に主演するなどロシア名誉勲章を受章した演技派男優。
地味な顔立ちながら、向こう見ずで夢を追いかける主人公を、
決してヒーローではなく等身大の人間として説得力を持って演じてる。
アレクセイと共に宇宙船に乗るパベル役は、
「ナイト・ウォッチ」の主役で日本でも少しは顔が知られているコンスタンチン・ハベンスキー。
国の決めたことには素直に従うがいつも口癖で、アレクセイをサポートする冷静沈着な男を、
ベテランらしく味わい深く演じてる。
現場責任者セルゲイ・コロリョフに扮したタヌキ顔のウラディミール・イリインも、
アメリカに負けてはならじの国からの要請もあり、
失敗を覚悟の有人宇宙船発射を決断する責任者を、苦悩を滲ませながら印象深い演技を見せてる。

ハベンスキー以外、ほとんど馴染みのない俳優ばかりだけど、
本国ならいざ知らず、それが逆に物語にリアルさを感じてしまう結果となったようにも思うな。

とにかく、実録スペースアドベンチャーとして、ほんとに良くできた作品でありやんした。
変に、ソ連万歳みたいな国粋主義じみたものもないし、
エンタテインメントとして充分楽しめるんよね、ほんまに。
映画ファンなら、見て欲しいわぁ。

インターフィルム 2018年2月9日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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