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「デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-」(17年・アメリカ) 愛する妻を救うためスキンヘッド男が監獄で殺人指令を実行する!?異色サスペンスやん

デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-
以前、このブログで紹介した異色ウエスタン「トマホーク ガンマンvs食人族」の監督S・クレイグ・ザラーの新作がこの「デンジャラス・プリズン-」。「トマホーク-」同様、この作品も日本劇場未公開でソフト・スルーとなっちっち。
「トマホーク-」は、風変わりだけど妙に面白かったので、ちょっと気になりレンタルしたんだ。僕の愛読誌「映画秘宝」に載っていた紹介記事で興味をひかれたこともあったし。

主演は、「ウェディング・クラッシャーズ」「ドッジボール」「人生、サイコー!」など、僕にはコメディ俳優のイメージが強い長身のヴィンス・ボーン。ジャケットを見ると、めっちゃシリアスな面構えで同スキンヘッドだし姓同名の別人と違うのん?と思うほど従来のイメージとかけ離れているやん。イメージチェンジをはかったんかしらね。

で、この作品、主人公が愛する妊娠中の妻を救うために、自ら悲惨な状況の中へと突き進んでゆく姿がなんだか胸にグッときてしまう監督らしい異色サスペンスだったやん。「トマホーク-」同様に、エグい描写もしっかりあったしね。

元ボクサーのブラッドリーは、自動車修理工場をクビになり、
生活のために昔の仲間ギルを頼って麻薬の運び屋となった。
一年半後、愛する妻ローレンが妊娠し、待望の子供が生まれると喜ぶブラッドリーだったが、
ギルの新しい取引相手エリエイザーの手下達と仕事をしたとき、
ブラッドリーの忠告も聞かず、勝手な行動に出て警察と銃撃戦を繰り広げ、
彼は巻き添えを食って逮捕され、刑期7年が言い渡された。
監獄にいるとき、初老の男が面会に訪れ、彼に妻のローレンが拘束された姿を携帯で見せた。
そして、彼女を助けたければ、極悪人が収容されている別の監獄に移り、
ある人物を殺してほしいと言われた。
仕方なく、暴力沙汰を起こし、なんとか別の監獄に移送されることになったが…。

ちょい暴力的だが、あまり感情を顔に表さず仏頂面の主人公ブラッドリーの行動を、
監督は突き放すのでもなく寄り添うのでもなく、少し距離を見つめるように描いていくな。
ブラッドリーが目的の監獄に移るまでが淡々と描かれ、
もうちょっと端折って展開してもええんやんと思わせところもあったけど、
ラストのエグい殺戮描写で見ている側に衝撃を与えるために、わざとそうしたと思ってしまう。
ま、登場人物たちをあまり説明過多にならず、それでいて的確に描写する手腕はナイスだし、
どこかクールなのに不思議に端正な映像もグッドよ。

ブラッドリーが移されることになる別の監獄は、最初の監獄と違って、
古色蒼然なカビ臭い建物で幽霊が出てもおかしくないところ。
ここで、彼は殺害を依頼された男に近づくため、獄内で隔離された、
一際薄暗い、中世の牢屋のようなところに移るんだけど、
便器が壊れ、ひどい悪臭が充満している部屋で、見ているだけどオゲッとなりそう。
おまけに、電流が流れるベルトを腰に装着され、刑務官がボタンを押すたびに、
電流が体中に流れて、もんどり打って倒れさせられる。
この現実離れしたような監獄ながら、なぜか妙にリアリティを感じさせるな。
そして、目的の男がいる部屋に入ることができるんだが、そこには…。

そして、ホラー映画そこのけの無茶苦茶な殺戮描写が披露される。
一瞬、目をそむけたくなるくらいよ、ほんまに。
でも、主人公の溜まり溜まった怒りの炎が爆発し、暴走しまくったんだ考えれば、
ま、納得できるカモ~ン。

主人公を演じるヴィンス・ヴォーンは、スキンヘッドの後ろに十字架の入れ墨を入れ、
無口ながら運び屋の仕事をプロとして実直にこなす男を力演してる。
すべてが終わり、自分の運命を受け入れる表情が、実に渋いんよ。惚れてもたわ!
元ボクサーって役柄にしては、囚人達のバトル・アクションじゃ動きが鈍い気もするけど、
好意的に見れば、リアリズム重視で描けば、こんな感じなのかなとも思ってしまう。
監督が、アクション場面は、あまりカットを割らずに見せようとしているせいもあるけど。

妻のローレンに扮したのは、爬虫類顔のジェニファー・カーペンター。
美人じゃなけど、やさぐれ感を漂わせていて、キャラにはマッチしているかな。
別の監獄の冷酷な所長にTVドラマ「マイアミ・バイス」でお馴染みのドン・ジョンソン。
すっかりロマンスグレーの初老親父になったけど、未だに男臭さを匂わせ貫録もあるなぁ。

そして、ドイツ俳優、ウド・キアが、
主人公に監獄内の殺人を依頼する謎の老人としてちょろっと顔を出している。
彼が画面に出ると、たちまちビザールな匂いが映像に立ち込めちゃうな。
「処女の生血」「ブレイド」など、人間離れした役柄の印象が僕には強いからかもしれないけど。
しかし、平気な顔してブラッドリーに、
「依頼を実行できなければ、妻の体内の胎児の手足を切ってしまうぞ」
なんて言葉はキアが言うだけにゾクゾクッとしてしまうわ。

ま、普通の監獄サスペンス・アクションに収まらない、
「トマホーク-」同様、一味違う映画でありやんした。


NBCユニバーサル・エンターテインメントジャパン 2018年6月6日レンタル&セル・リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

「ボックストロール」(14年・アメリカ) ファンタスティックでキュートなストップモーション・アニメの快作やん! 

ボックストロール
日本を舞台にしたストップモーション・アニメ「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」が話題を呼んだスタジオライカ製作のファンタジー・アニメがこの「ボックストロール」。
今年の春に東京都写真美術館ホールで「スタジオライカ特別上映」として「KUBO-」等と合わせて特別上映されたらしいけど、劇場公開とまでは至らずソフトスルーとなっちっち。
なんでも、第87回アカデミー賞の長編アニメ映画賞やゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされたそうだけど、あちらの劇場で大ヒットしたって話も聞かないし、登場キャラやモンスターが日本人にはちょい取っ付きにくいと思われたのか劇場公開が見送られたみたい。
確かに、ジャケットに載ってる主人公達やモンスターを見ると、いまいち可愛げないし、あんまり魅力的には見えないな。
でも僕はスタジオライカ制作の「ココラインとボタンの魔女」(09)が気に入っていたし、レンタルで観ることにしたんだ。

で、これがキャラ達の見事なまでのナチュラルな動きと、背景となる街のファンタスティックな雰囲気にビンビンに魅入られ、個人的には大ヒットのストップモーション・アニメやったやん。
ジャケット画像と違って、主人公達も人懐っこくて好感が持てるし、モンスター達も愛嬌あるんよね。

チーズブリッジの街では、発明家トラブショーの幼い息子が失踪し、
街の地下に住むモンスター、トロールボックスが彼を誘拐して食べたんだという噂が流れ、
それ以来、トロールボックスに襲われないよう、夜は外出禁止令がひかれていた。
街の権力者ラインド卿は、駆除業者スナッチャーにトロールボックス狩りを依頼した。
そして数年後、トロールボックスに食われたと思われていたトラブショーの息子は、
実は彼らに大事に育てられいて、エッグスと名付けられてすくすくと成長していた。
夜になるとエッグスやトロールボックス達は、街に出て屑鉄や捨てられた金属加工品などを漁り、
地下に持ち帰っては、それで様々なマシンや道具を作り暮らしていた。
ある夜、街に出たエッグスは、ラインド卿の娘ウィニーに見つかった。
その後、エッグスを育てたトロールボックスのフィッシュがスナッチャー達に掴まってしまい、
エッグスはフィッシュ救出のために、初めて明るい昼間に街に出たが…。

とにかく、登場キャラ達のスムーズで滑らかな動きに魅了させられてしまう。
感情表現も豊かだし、それぞれがキャラに応じた動作で、個性がはっきりと伝わってくる。
トロールボックス達も、フィッシュを始めそれぞれの個性が際立つように動き、
顔立ちもそれぞれ変化を持たせていて、薄っぺらさの欠片もない。
ウィニーのスカートが走るたびにユラユラと揺れ動くなど、
びっくりするほど細かいところまで丁寧に描写されていて、
時間をたっぷりかけて根気強く製作されたんやなぁと感心しまりチコヨよ。
背景となるチーズブリッジの街の家々や舗道、スナッチャーのアジト、
それにボックストロール達が暮らすの地下世界など、
きめ細か過ぎるやんと思うほどきめ細かく立体的に作られてるのもベリーグッド。
ファンタジーの世界にすんなりと入り込めるのよ。

トロールボックスが幼い子供を食い殺したと噂を流したのは、実はスナッチャーで、
彼はラインド卿に取り入り彼を同じように街の権力者になるため、嘘をついたのだった。
そして、トロールボックス狩りで集めた彼らをある目的のためにアジトの地下で働かせ、
あるものを作らていた。
街の権力者になると、権力者だけのチーズの試食会に出席することができ、
スナッチャーは、それに出ることも夢見ていた。

スナッチャーはチーズが好きなのに食べると顔の様々なパーツがイビツに膨れ上がり、
異様な顔になるんだけど、そのたびに手下達が彼にヒルをたらふく浴びせて血を吸い取って
もとの顔に戻すなど、ちょいグロテスクな描写があったり、
ラインド卿が、自分の娘ウィニーより美味いチーズの方にうつつを抜かしていたり、
ちょいシニカルというか、ダークな要素がちょこちょこあり、物語に微妙な薄暗さを滲ませているな。
スナッチャーが、トロールボックスが人を食うという話を
念押しで街の人々に信じ込ませるためにマダム・フルー・フルーの名で女装して、
野外芝居を演じたりするのも、この作品を見るお子チャマには理解しがたいやんって気もするしな。

どうも、どこかヒネクレているというか、単純に明るく健全なアニメを作ろうとはしなかったみたい。
ま、「ココライン-」もどこかダークで、ヒネクレたところがあったしな。
ライカスタジオの製作ポリシーなんかしら。

それでも、トロールボックスに育てられたエッグスが、自分が人間だと自覚しても、
一緒に暮らしたトロールボックス達を見捨てることはせず、
彼らを助けようと勇気をもって冒険を繰り広げるってところはアドベンチャー物の王道チックだし、
ウィニーが、か弱い少女じゃなく気の強い勝ち気なところも現代風だし、
ライカスタジオならではのポリシーをちょこちょこ残しながらも、
微妙なサジ加減でこの作品を作ったみたい。

英語版の声には、
ベン・キングスレー、エル・ファニング、ジャレッド・ハリス、トニ・コレット、
それにサイモン・ペグとニック・フロストと豪華な俳優が並んでいるけど、
字幕版で見ると、有名俳優が声を担当していてもその有難みをちっとも感じないなぁ。

とにかく映像の隅々まで気が配られた作品だけに、
廉価版DVDが出たら、じっくり見なおしてみようと思った作品であ~りました。


ギャガ 2018年6月2日レンタル&セル・リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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