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「ミステリー・ロード/欲望の街」(13年・オーストラリア) オーストラリア原住民アポリジニ出身の刑事が少女殺人事件に挑むクライム・ムービーでおます!

ミステリー・ロード/欲望の街
オーストラリア映画批評家協会賞6部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞)を受賞したらしいと知り、ちょっと興味をひかれて見たのが、この「ミステリー・ロード/欲望の街」。

主人公が原住民アポリジニの一匹狼刑事ってのが、いかにもオーストラリアらしいて気がするし、だだっ広いオーストラリアの荒野の小さな街が舞台ってのも意外に新鮮に目に映り、クライム系の映画が好きなら見て損はないんと違うって感じの作品だった。
ジャケットのうたい文句“全世界絶賛”というのは、ちょっと大袈裟やけどね。
この映像ソフトはレンタルのみで、なぜかセル(販売)されていないのね。主役に知名度がないせいでもないと思うんだけど。
ま、ビジネス的にいろいろあるんだろうね。

シドニーの警察署から地元の小さな舞い戻ってきた原住民アポリジニ出身の刑事ジェイ。
ある早朝、街の近くの道路脇でアポリジニ少女ジュリーの死体が発見され、
ジェイは捜査を担当することになった。
ジュリーの母親や彼女の友人ワーニに聞き込みを始めるが、
彼女たちの口は堅く、捜査はなかなか進まなかった。
偶然、路上にいた少年からジュリーが落としたらしいスマホを手に入れることができ、
その中のスナップ画像にジェイの娘クリスタルが映っていた。
彼女に会うため、別れた妻メアリーの元を訪れるが、
メアリーもクリスタルも彼には冷たかった。
やがて、事件に麻薬が絡んでいることが徐々に判明し、
署内の警官も事件に関わっていることにジェイは気付き始めた。
刑事ジョノがどうも怪しいとにらんだジェイが、
彼の後を付けるとジョノは前科者の男と落ち合っていた。
ジェイは、車のナンバーから前科者の男の住居を調べ、男の家に赴くが…。

主人公ジェイの目を通して物語が語られるだけに、彼がほとんど出ずっぱりで、
彼が目にしたり聞いたことだけが、見る側(観客)に提示され、あまり詳しいことは語られず、
セリフの端々から汲み取っていくしかないんだけど、あんまり苦にはならないな。
オーストラリアのだだっ広い明るく乾いた荒野の風景が、犯罪にはあまり似つかわしく思えないのに、
どこか暗く濁った影が漂っているようなニュアンスがじんわりと伝わってくる。
少しずつ事件の背景が明らかになっていくところも、
あえてメリハリを利かせた派手な演出ではなく、実に淡々と物語を進めていくところは、
アメリカなどの犯罪映画を見慣れた目には少々まどろっこしく感じるかもしれない。
でも切り取られる映像が実にシャープで、ついつい見入ってしまえるのよ。
そして、最後にライフルによる銃撃戦があるんだが、
ライフルだけに遠くから引きがねを引くと数秒後に相手に当たったかどうかが分かるいうのが、
妙にリアルでちょっとドキドキさせる。

監督は、脚本・撮影・音楽・編集を一人でこなしたアルヴィン・センって人で、
詳細は不明だけど、ネット検索で彼の画像を見たら、どうもアポリジニの人みたい。
セリフや物語の背景、それに登場人物の説明を最小限におさえ、
多少不明瞭な部分も、それで良しとして、
映像重視で、それによって物語を展開しようとしたみたい。
いちおう事件が一段落し、ジェイが夕暮れのハイウェイを車で走る途中、
別れた妻と娘を見かけ、車から降りて二人の前に立ち尽くすラストが妙にグッとくるやん。

主人公ジェイ役は、
ガイ・ピアーズ主演のテレビドラマ「不良探偵ジャック・アイリッシュ」シリーズや
ホラー「キリング・クラウド」に出ていたアーロン・ペダーセン。
彼もアポリジニの人みたいだけど、タフで男臭くて寡黙で、
それにどこか孤独の影を宿していて、主人公にナイスマッチ。

共演は、敵か味方かが最後まで分からないジョノ刑事に「マトリックス」シリーズや
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られるベテランのヒューゴ・ウィーヴィング、
牧場主の息子ピートにテレビ「トゥルーブラッド」のライアン・クワンティン、
それに、僕の好きな映画「人生は上々だ!」(94)の
ラッセル・クロウの父親役が印象深いジャック・トンプソンがワンシーン登場。

ほんまに主人公以外のキャストがオーストラリアのベテランや名優が並び、実に豪華やん。
監督の人徳のせいなんかしらね。
ジェイの別れた妻メアリー役タスマ・ウォルトンも、化粧気を落とし酒に溺れるやさぐれた女を好演。
彼女も、オーストラリアじゃ、そこそこ有名な女優さんみたい。

なんでも、この「ミステリー・ロード」は、オーストラリアでは人気が高いらしく、
続編「ミステリーロード2/悪徳の街」(16)が作られ、続いてテレビミニシリーズも製作されたとか。
「ミステリー・ロード2-」も、本作の後で見たけど(こちらもレンタルのみでセルなし)、
ジェイが長髪なって登場し、行方不明のアジア女性を捜査する中で、
悪事に染まりかけた若い警官に正義感を目覚めさせ、彼と共に悪に立ち向かう姿を、
本作同様のタッチで淡々と描いた作品だった。

テレビミニシリーズが日本でリリースされるかどうかわからないけど、
もしリリースされたら見てみたいやん。
ジェイ刑事がどんな活躍をするか、ちょっとばかし気になるんでね。


キングレコード 2018年9月5日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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