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「アナイアレイション -全滅領域-」(18年・アメリカ) 謎の空間で女性調査員たちが恐ろしくも摩訶不思議な体験をしちゃうSF映画の秀作やん。

アナイアレイション -全滅領域-
SF映画は好きなので、気になる劇場未公開作品があると、レンタルして観ることが多い。
アイデア倒れで低予算のいまいちって作品も多いけど、中にはオオッと唸っちゃう作品に出くわすこともあって、そんな時はなんだか嬉しくなってくる。

本作「アナイアレイション -全滅領域-」も、そんな嬉しがらせてくれちゃった個人的にはなかなかの秀作だったやん。
主演が、ナタリー・ポートマンで共演にジェニファー・ジェイソン・リーとメジャーなキャストなのに、日本じゃ劇場未公開でNetflix (ネットフリックス) で配信されたらしい。
なんでも、制作の人間と監督の間で映画の内容変更にトラブルがあったらしく、両者が対立してアメリカと中国だけで公開され、全世界配給権はNetflixに売却されたんだそう。

ま、それはともかく、エリアX呼ばれる謎の空間の調査に赴いた5人の女性チームが
そこで摩訶不思議にして恐ろしい体験をするさまを、
シャープ&スリリング、そしてちょいグロテスクに描いた作品で、
何とも言えない奇妙な余韻を残すのよ。

元軍人で、退役後に生物学者として大学で教鞭をとっていたレナの前に、
1年前に軍の極秘任務に赴いたまま行方不明となっていた夫のケインが突然現れた。
彼の記憶は曖昧で、急に容体を崩し、レナが付き添い病院に向かった。
だが、途中で軍隊によってレナとケインは拘束され、研究施設に連れて行かれた。
そこで、レナは心理学者ヴェントレスから、ケインがエリアXと呼ばれる謎の空間の調査に派遣され、
その空間から生還した唯一の人間であることを知らされる。
レナは、ヴェントレスがチームを組んでエリアXの調査に向かうことを知ると、
夫のことで何か分かるかもしれないと思い、調査隊に同行することを決めた。
そして、エリアXの空間に入るが、
その中で次々と恐ろしくも摩訶不思議な体験をするが…。

物語は、エリアXから帰還したレナが、
尋問を受けてエリアXで体験したことを語るという、回想形式で始まる。

空間内では時間の感覚がおかしくなり、記憶を失ってしまうこと、
DNAが歪められたせいで、ワニもどき、クマもどきの不気味なモンスターが徘徊していること、
一つの茎から複数の花が咲く植物、人間の形をした樹木が生えていることなど、
異様な生態系の生き物などが探検隊の目の前に現れる。

エリアXの周囲の情景だけでなく、探検隊もそれぞれ体の変異に気付き、
レナは自分の血を採取して顕微鏡で観察すると…。

異空間での出来事が、描写はリアルなのに、どこか不気味で謎めいて、
なぜそうなったかの明確な結論を出さず、曖昧模糊としたまま描かれていくな。

ヴェントレスの最終目的地がエリアXの中の灯台であるらしく、
ヴェントレスに遅れて灯台に辿り着いたレナが、
そこに残されたビデオをカメラを通して、ケインに起こった出来事を知ることとなるが…。

エイリアンものと、なんとなく判って来るけど、
じゃあ、エイリアンは地球をどうしようとしているのか、征服か、はたまた人間との共生なのか、
はっきしりとした結論を見る側に語りかけてこないところが、
普通ならもどかしく感じてしまうんだけど、なんていうかこの作品じゃ曖昧なままなのが、
妙に印象的で、レナやケインのその後をいろいろ想像させられて、不思議な余韻を残すやん。

監督のアレックス・ガーランドは、SFスリラー「エクス・マキナ」で注目されたイギリス人。
異空間での体験を、適度なエンタメ要素を加味しながら、節度を持ってじっくりと描いて見せてるな。
主人公であるレナのキャラ描写も丁寧で、他の女性探検隊員に関しても明確に描き分けられてる。
先に調査に来た男性調査隊の一人の腹を裂くと内臓がナマズのように蠢いていたり、
レナ達を襲うクマもどきのモンスターの描写など、
ちょいグロテスクで、ホラー風味を感じさせる描写もいいアクセント。
ラストに現れるエイリアンらしき存在は、ありがちに見えて、そうでもない微妙な感じだったけど。

レナ役のナタリー・ポートマンは、
夫に隠れて同僚の教授と浮気に走った過去があり、
夫に対する後ろめたい気持ちも抱えるヒロインを好演。
内面的演技も巧みだし、30代半ばらしい艶っぽさも匂わせ、いい女優さんになったなぁ。
軍隊上がりということで、ワニもどきに弾丸を浴びせるところも、実に様になってる。
ま、彼女のデビュー作「レオン」でも確か銃を構えていたしなぁ。

ヴェントレス役のジェニファー・ジェイソン・リーは、
僕にはお久しぶりって感じの女優さんだけど、
珍しく知的なキャラが意外に似合ってるなぁって思ったわさ。
最後には、驚きの変容を見せてくれちゃったりするやん。

救急医療隊員アニャ役のラテン系女優ジーナ・ロドリゲスは、
気丈でタフながら、疑心暗鬼に陥って精神に混乱をきたし、レナ達を縛り上げてしまうが、
クマもどきモンスターに○○○されてしまうキャラを、引き締まったボディで力演。

物理学者ラディク役のテッサ・トンプソンは、「マイティ・ソー バトル・ロワイヤル」で、
最強の女戦士ヴァルキリーを演じていたけど、本作じゃ、ちょっと気弱な女性キャラ。

そして人類学者シェパードに、スウェーデン出身のツヴァ・ノヴォトニー。
本作でハリウッド進出した女優さんだけど、出番は少ないながら、いい味出してる女優さんだ。
僕は、デンマークのアクション・コメディ「トランス・ミッション」の主人公を演じた彼女を
観ているけど、華に欠ける気もするが柔軟にいろんな役をこなしそうな女優さんて感じだし、
ハリウッドでも活躍してほしいと思っちゃったやん。

以上、5人の女性隊員たちを演じた女優たちのアンサンブルがなかなかいい感じだな。

とにかく、
個人的には久しぶりに刺激的で手ごたえのある劇場未公開のSF映画に出会えましたわさ。
ほんまにね。

ところで、この映画の原作は
ジェフ・ヴァンダミアが2014年に発表したSF小説「全滅領域(サザーン・リーチ1)」なんだそう。
小説は三部作らしいけど、続編は作られるのかなぁ。


NBCユニバーサル・エンターテインメントジャパン 2019年4月24日レンタルリリース



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「ホテル・エルロワイヤル」(18年・アメリカ) 寂れたホテルに集まった宿泊客たちの裏の顔は?ってなクライム・サスペンスやん

ホテル・エルロワイヤル
僕が愛読している映画雑誌「映画秘宝」の今年の5月号で紹介され、ちょっと興味をもってレンタルしたのが、このクライム・サスペンス「ホテル・エルロワイヤル」。

キャストが、オスカー俳優ジェフ・ブリッジス、マーベル・ヒーローで神の世界の戦士ソーを演じてるクリス・ヘイムズワース、「マッド・メン」シリーズのジョン・ハム他、結構メジャーな俳優が揃ってるのに、日本じゃPrime Video シアターで配信され、続けて即ソフトリリース。

本国アメリカでコケのかどうか知らないけど、最近はこういうパターンのリリースが増えてきてる気がするなぁ。

それはともかく、観た感想だけど、ちょっとQ・タランティーノの匂いを感じさせる、充分に楽しめるクライム・サスペンスやったやん。

時は1969年。
カリフォルニア州とネバダ州の州境に建つ寂れ気味のホテル、エルロワイヤル。
ある日、人気のないホテルにしては、熟年の神父ダニエル、二流の黒人歌手のダリーン、
掃除機セールスマンのララミー、ヒッピーのエミリーと次々と宿泊客が訪れる。
ヤク中のボーイ、マイルズが宿泊客に各々の部屋の鍵を渡すと、
客たちは、部屋に入るなり不審な行動をとり始めた…。

オープニングは、
エルロワイヤルの一室で、怪しげな男が床の下に何かが入ったカバンを隠し、
立ち去ろうとして誰かに銃撃されて死んでしまい、それから10年後というところから物語が始まる。
なかなか興味をそそってしまうオープニングやん。

登場キャラの中には、裏の顔を持つ人物もおり、
物語が進むにつれて、それが少しずつ明らかになり、
お互いに見知らぬ者同士だった客たちが、なぜか繋がっていき、トンデモナイ展開を迎える。
だから、物語をあまり書けないんだけど、
次に何が起こるかと、多分にワクワクさせられながら見入ってしまったやん。

エルロワイヤルという限定された場所ながら、
1969年という時代色を隅々まで漂わせる美術や音楽がベリーナイスで、
一昔前の犯罪娯楽映画の匂いが濃厚に立ち込めるやん。

監督は、テレビドラマ「LOST」シリーズの脚本やホラー映画「キャビン」で知られるドリュー・ゴダード。
1960年代のヒット曲と出来事を物語に絡ませながら、先の読めないストーリーを、
バイオレンを交えながらメリハリの利いた演出タッチで見せきってくれる。

ただ、後で考えると、ちょっとご都合主義的な部分もあり、
登場キャラによっては、説明不足なところもあって、いまいち共感しずらい人物もいるけどね。

ジェフ・ブリッジスは、さすがベテランだけに一癖あるキャラをシブさ満々に好演。

二流歌手ダリーンを演じたシンシア・エリヴォは、
ミュージカル版「カラー・パープル」で主役を努めたイギリス出身の注目の女優&歌手。
本当は歌が上手いらしいけど、二流歌手らしい見事(?)な歌唱っぷりやん。
どこか寂しく切なげで、ドサ回りに身をやつす人生にお疲れ気味の黒人歌手を、これまた好演。

エミリー役のダコタ・ジョンソンは、ドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘だったと
後で知ったんだけど、そんなに美人ってこともないが、60年代のヒッピー風情を上手く醸し出してる。

エミリーの妹ローズを演じたケイリー・スピーニーは、
「パシフィック・リム:アップライジング」でヒロインを演じた女優さんだけど、
ちょいコワくてキレやすい少女を、憎々しげに演じてる。

ホテルのボーイのマイケル役ルイス・プルマンは、ビル・プルマンの息子で、
父同様に、目立った個性は感じさせないが、どこか生真面目っぽい雰囲気のアクター。
ヤク中ってイメージが、いまいち不似合な気もしたな。

掃除機セールスマン役のジョン・ハムは、
どこか胡散臭いながら、正義感を発揮したばっかりに…。
もうちょっと物語に絡んで欲しいとも思ったけど、物語の展開上しかたないか。

そして、マイティ・ソーことクリス・ヘイムズワース。
マンソン・ファミリーのボス風キャラを、
イカレたエロさムンムン、ブチ切れ気味に楽しげに演じてる。

とにかくこの映画、俳優それぞれの持ち味は、充分に発揮されていると思うな。

ただ、141分と2時間越えの作品のわりに、ダレルはないんだけど、
もうひとひねりあればなぁとも思ってしまったわさ、ほんまに。

ところで、あの隠し撮りしたフィルムに映っている大物が誰なのか、なんか気になるなぁ。
多分、銃撃された実在のあの人じゃなかろうかと思うんだけどさぁ。


20世紀フォックス・ホームエンタテインメント 2019年4月19日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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