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「ロストガール」(10年・アメリカ・イギリス) 心の離れた中年夫婦とスレた少女、3人の心は通い合えるのか否か!でおまんにやわ

ロストガール

「エイリアン」のリドリー・スコットの息子ジェイク・スコットの監督作ってのに興味がひかれ、見てみることにしたんだけど、これがなかなか、とても穏やかな気持ちにさせられる佳作でありやんした。
ジャケットは、”16歳の誕生日、私はストリッパーだった”って、
ちょい刺激的なキャッチ・コピーに、クリステン・スチュアートの名がクローズアップされ、
彼女主演の切ない青春ドラマと思ってしまいがちだけど、
後ろの赤いライトの下、小さく写っているデブオヤジ、「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」のジェームズ・ガンドルフィーニが実質の主役。
ま、ガンドルフィーニのデブ顔アップじゃ、誰もレンタルしないし、商売的には正しい判断かもね。

それに、「トワイライト」シリーズで一躍人気者になったクリステンが出ていなかったらDVDリリースもなかったかもしれないな。

娘を事故で亡くして以来、
互いの心が疎遠になってしまった、ダグラスとロイスのライリー夫婦。
ダグラスは、食堂のウエイトレス・ビビアンと浮気を重ねていが、
ある日、彼はニューオーリンズに出張することになり、
ビビアンを誘うが、彼女は突然の心臓発作で死んでしまう。
心にむなしさを抱えたままニューオーリンズに赴いたダグラスは、
偶然入ったストリップ・クラブで、娘の雰囲気に似ていたマロリーと出会う。
ストリッパーをしながら平気で売春する彼女のすさんだ暮らしを見かねた彼は、
ニューオーリンズにとどまり、彼女の面倒を見ようと決意。
妻ロイスに、しばらく帰らないと連絡を入れると、
娘を失って以来、15年間、自宅に引きこもっていた彼女は、
一念発起し、夫がいるニューオーリンズへと車を走らせた‥。

ジェイク・スコット監督は、
ミュージック・ビデオやCMで活躍していた人で、R.E.M.のクリップ「エヴリバディ・ハーツ」で
、MTV賞最優秀監督賞、最優秀躍進賞を獲得。
「プランケット&マクレーン」(00)で劇場映画監督デビューを果たしている。
そんな彼だけに、父親譲りのスタイリッシュな映像で攻めてくるんではと思いきや、
登場人物たちを、ほんの少し距離を置きながら、
穏やかな眼差しを投げかけているような演出タッチで、なんともエエ感じ。
映像に凝ることもなく、ニューオーリンズやライリー夫婦が住むインディアナポリスの土地の
空気感みたいなものをナチュラルに映像に映し取ってる気がするな。
でも、淡々とした中に、アクセントとして軽めのユーモアやシビアさをさりげなく差し入れ、
物語に奥行きを与えているのよね。
オープニングで、赤い炎をあげて燃えさかる車を映し、それの意味が少しずつ判ってくるという、
構成もいい。ケン・ヒクソンの脚本のせいかもしれないけど。

ドラマティックな出来事が起こるわけでもなく、地味と言えば確かに地味で、
こじんまりとしたストーリーだけど、メインキャスト3人の好演もあいまって、
ラストじゃ、彼らを応援したくなって来るというか、
春の日差しのような優しさが僕の胸に広がってくるというか。

メイン3人の中で、僕が一番印象的だったのが、ロイス役の「ザ・ファイター」のメリッサ・レオ。
彼女は、娘の死に関わる、悔やんでも悔やみきれない過去があって、
それ故に引きこもりになっているんだけど、
15年ぶりに自動車に乗った時、オロオロして車をゴミ箱にぶつけたり、
ドライブインで、中年男に声を掛けられ、「誰かに誘われるの久しぶり、嬉しかった」と微笑んだり、
ちょっとした仕草の中に、内なる感情を見事に表現。
熟女の色気をほんのり漂わせ、なんとも上手い役者さんだ。
マロリーに、悔やみきれない過去を話す時の表情も、もう絶品ですがな!
さすが、「ザ・ファイター」で、アカデミー助演女優賞に輝いただけのことはあるやんかいさぁ。

ダグラス役ガンドルフィーニは、ズングリ堅太りを通り越して、
ブクブクブヨブヨの肥満体型になってしもてて、
その分、人の良い平凡な町のオヤジ・ニュアンスたっぷり。
以前のような脂ぎったところが薄まったのか、マロリーとエッチ無しの約束で彼女の家に住み込み、
彼女の行動に口を挟まず、かいがいしく世話を焼くキャラに説得力をもたらしてる。
15年ぶりに妻と愛し合うんだけど、その時の嬉しいような気恥ずかしいような、
やっと元のさやに収まることが出来た安堵感みたいなものを、サラリと演じて見せ、
これまた好演。
初めて、ガンドルフィーニって演技派なんだと思えたわさ。

そしてマロニー役クリスティン・スチュアート。
10代のストリッパーって役柄だけど、脱ぎはなし。
でも、クラブで、卑猥な言葉でダグラスに迫るところとか、
脱がなくても、妙に生々しいエロスの匂いプンプン。
幼い頃に母を自動車事故で失い、一人で生き抜いてきたようで、
すさみまくった生活を送りながらも、芯の強い、でもどこかもろいマロリーを、
気負い感じさせず、リアリティたっぷりに演じてる。
人の優しさを知り、ほんの少し、人を思いやる感情が芽生えていくところもイイなぁ。
「ミッションX」じゃ、可愛さ満々で勇敢だけどあどけない少女だったのに、成長したもんだ。

マロニーの本名は、アリソン。
ラスト、妻との愛情を取り戻したダグラスにマロリーから電話がかかるんだけど、
ダグラスが、彼女を「いつでも連絡をおくれ、アリソン」というところ、
なんかジーンときてしまいまたわさ。
もうマロリーに戻って欲しくないという彼の願いがイタイほどわかるから。

ところで邦題は、意味不明の「ロストガール」だけど、
原題は「ウェルカム・トゥー・ライリー(ライリー家へようこそ)」。
内容から言ったら、絶対原題の方がいいんだけどなぁ。

ジェイク監督、次回作もホノボノ・シリアスなヒューマンドラマでせめてくるんかしらね。
父リドリーと同ジャンルの作品だったら嫌でも比較されるから、
それを避けるため、本作のような映画志向になるんじゃないかと、勝手に考えるんだけど。


AMGエンタテイメント/アメイジングDC 2012年3月2日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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