「トレンテ ハゲ!デブ!大酒飲みで女好き!超・肉食系スーパーコップ」(98年・スペイン) 不道徳&無軌道オヤジ刑事、大暴れってか!

トレンテ ハゲ!デブ!大酒飲みの女好き!超・肉食系スーパーコップ
僕の好きなスペイン映画「どつかれてアンダルシア(仮)」(99年・監督=アレックス・デ・ラ・イグレシア)で、人気お笑いコンビの、どつかれ役ニノを演じていたサンティアゴ・セグーラが監督・主演した、ラテンなノリのピカレスク・アクション・コメディの快作やん。
何でも「トレンテ-」はスペイン本国だけでなく世界中で大ヒットし、シリーズ化されて4作作られてるらしい。
4作目の「トレンテ4」が、11年・ラテンビートフィルムフェスティバル(東京・京都・横浜)で上映されたそうだけど、知る人ぞ知るって感じで、映画情報サイトallcinemaにも紹介が載っていなかったくらい。
ハゲでデブで不潔極まりないオヤジが主人公だけに、今の日本じゃヒットしがたいってことで(多分)、劇場未公開の憂き目。
「ボラット」「ブルーノ」の、ちょいヤバ・コメディで知られるサーシャ・バロン・コーエンがハリウッドリメイクを予定してるらしいけど、そちらはひょっとしたら日本公開ありかもね。

どちらにしろ、DVDリリースもないやろなぁと思っていたら、
99年の第1作がめでたくリリース。
さっそくレンタルして見たんだけど、めっちゃオモシロカッタのよ。

マドリードの下町に、車椅子の父親フェリペと、超小汚い部屋で暮らすトレンテ。
「ウイスキーとコーラで俺の体は動いている」と、毎日酒をかっくらい、
身障者の父に、路上で物乞いを平気でさせてる、不道徳極まりない不良ポリス。
そんな彼が、向かいに越してきた魚屋の息子ラフィと親しくなり、
ラフィのいとこ、エロさ満々のアンパーロに一目惚れし、欲情指数が急上昇。
ある日、行きつけの食堂が、ツケが貯まって入店差し止めとなり、
仕方なく中華料理店に行くんだが、実はその店には‥。

本作で、スペインのアカデミー賞とも言えるゴヤ賞で、サンティアゴが新人監督賞を受賞したそうな。
ってことは、監督デビュー作になるんかな。
ラフィと彼の母親が、超分厚いレンズのメガネをかけていて、出目金みたいな顔だったり、
ラフィの妹ピリーが、小柄でブサイクで超デブで、すぐ奇声を発したり、
登場キャラが、生活感はあるのに、いずれもビジュアル的にちょい誇張され、どこかマンガチック。
また、トレンテの父親なんて、物乞いをさせられ、得た金を息子に巻き上げられてしまうという、
悲惨チックな仕打ちを受けてるのに、父親に悲惨さの影は微塵もない。
コミカルでコッテコテ、不道徳で、ちょいグロテスクなのに、
サンティアゴは、どこかカラッとドライな、活きのいい演出で、快調に物語を展開して見せてる。

部屋にブルース・リーと・シュワルツェネッガーのポスターを飾っているラフィは、
銃オタクで、やたら銃に詳しかったり、
ラフィの仲間ってのが、007スパイ映画マニア、すぐ格闘技を披露したがるカンフー・マニアと、
オタクな連中だらけで、見た目も性格も、どこか普通から逸脱気味。
カンフー・マニアが「次のアクションスターは、マーク・ダカスコスだ」って言うのには、笑ったな。
結局、ダカスコスは、テレビ版「クロウ」に出たくらいで、スターになれずじまいで、消えたも同然だもん。

とにかく、トレンテを筆頭に、見た目も性格も個性強すぎキャラが続々登場し、
ストーリーに弾みをつけてるな。

後半じゃ、トレンテは、なりゆきでヘロイン密売組織と戦うことになり、
ラフィや彼の仲間達と一緒に、組織の密売現場に向かうんだけど、
彼らに誘拐されたアンパーロが、喜々としてギャング達の股間に顔をうずめて、
ナメナメ奉仕にはげんでいたりして、緊迫感がないったらありゃしない。
派手な銃撃戦を繰り広げ、最終的にトレンテが手に入れようとしたのは‥。

人情なんてクソ食らえ、酒と女と金に執着する、ドアホ刑事を、
サンティアゴ・セクーラが、ふてぶてしさ満々に快演。
ムチャしよる男なのに、なぜだか不思議に嫌いになれないな。
なんていうか、感情移入はできないけど、あまりのムチャぶりに呆気にとられて、
笑うしかしゃあない、許したろって気になってくるというか。
ある意味、本能の赴くままに生きてしまえるトレンテが、羨ましい部分もあるかも。
とにかくトレンテって個性が強烈過ぎるんよね、ほんまに。

ラフィ役は、本作でゴヤ賞・新人賞にノミネートされた、ハビエル・カマラ。
ペドロ・アルモドバル作品「トーク・トゥ・ハー」(02)の看護士役が印象的だった俳優だ。
「トレンテ-」じゃ、終始魚眼レンズメガネかけてて、最小は「トーク」の彼だとは気付かなかったけど。
ガンマニアで童貞、でもってトレンテと違って少しは正義感のある青年を飄々と演じてる。

そして、トレンテの父親役、トニー・レブランク。
息子にイジメられてるのに、そんなのへとも思わず、ラテンな陽気でやりすごすオヤジを好演。
ゴヤ賞・助演男優賞の受賞も納得の、存在感ある演技を披露してるやおまへんけ。

それから、「007スカイフォール」にも出ているハビエル・バルデムが、カメオ出演してる。
ラフィの仲間がたむろするビリヤード場で、顔にキズある男でね。
注意して見なきゃ気付かないけどさ。
ハビエルの兄カルロスが、悪党の一味役で出ていて、その縁かもね。

トレンテ第1弾が、こんなに面白かったんだから、続けて第2弾・第3弾とリリースしてくれないかなぁ。
第2弾じゃ、ハビエル・カマラが続投出演してるらしいしね。
そのためには、レンタル店で、もっとみんなが借りてくれなきゃアカンわね。
でも、「ハゲ!デブ!大酒飲みで女好き」って副題、女性客へのアピール度ゼロだし、
ジャケットカバーのセクーラのブサイク顔じゃアカンかなぁ。

エプコット 2013年4月5日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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