「海の上のバルコニー」(10年・フランス) 幼い頃に愛した人と再会、でも彼女は突然消えた‥

海の上のバルコニー
アカデミー賞受賞作「アーティスト」で、日本でも名が知られるようになった(かな?)ジャン・デュシャルダン主演の、ちょいミステリー風味のフレンチ・ラブロマンスでおます。
今年の2月にWOWOWで放映されたらしいけど、劇場は未公開。
このブログで以前紹介した、僕の好きな映画「OSS117 私を愛したカフェオーレ」で、オバカで小粋なコメディ・センスを発揮したデュシャルダンだけど、ラブロマンスものはどうじゃろかい?と気になってレンタルすることにしたんよね。
で、感想だけど、もともとハンサム系の顔立ちだし、恋愛ものでも、なかなか良いところを見せてるやん!
でも、彼より、ヒロインを演じたマリ・ジョゼ・クローズの存在のほうが際立っていたけどさぁ。

南フランスのプロヴァンスで、妻子と暮らし、妻の父の不動産会社で働いているマルク。
ある日、取り扱い物件の別荘案内のために、義父に同行したマルクは、
購入業者の代理の金髪女性を見て、見覚えが有ることに気付く。
そして彼女が、紛争中のアルジェリアに住んでいた少年時代に、猛烈に恋したキャティだと気付く。
彼女の宿泊先を訪れると、キャティのほうから誘うように体を引き寄せられ、
この瞬間を待ってましたとばかりに、情熱的な愛のひとときを過ごしてしまうマルク。
だが彼女は、突然、彼の前から姿を消した。
それどころか、母から、キャティは紛争中に亡くなったと聞かされる。
はたして、マルクと過ごしたキャティは誰だったのか‥。

監督は、「愛と哀しみのボレロ」などに出演した女優で、
監督作にカトリーヌ・ドヌーヴ主演「ヴァンドーム広場」(98)がある、ニコール・ガルシア。
脚本も共同で書いていて、アルジェリアでの少年時代の描写をちょこちょこ差し挟みながら、
前半はマルクの視点で物語が進み、後半から、キャティと名乗るヒロインの視点に移る構成。
そして、この後半で、幼い頃のいじらしい恋心を、ずっと胸の奥にしまっていたヒロインの心情が、
ググッとクローズアップされ、ヒロイン主体の作品だったんだと気付かされる。

女性監督らしく、マルクとキャティ、それぞれの視線や微妙な表情を、
とても繊細に映像に写し取っているって気がするな。
ただ、ヒロインに比べ、マルクや彼の家族の描写は、ちょい不足気味で、あいまいな部分もあるけど。

どこかメランコリックで叙情的な、「リトル・ダンサー」のスティーブン・ウォーベックの音楽が
作品のラブロマンス・ムードを盛り上げてる。
南フランスの海沿いの街をとらえたジャン・マルク・ファーブルの撮影もベリーグッド。
オープニング・クレジットの、夜明け近くのプロヴァンス(と思うんだけど)の
青みがったか街の風景、どこか幻想的で、引き込まれるような美しさやんかいさぁ。

未見の人のために、ネタバレになるんで、あまりストーリーは書けないけど、
ヒロインの恋は、はたして成就するのか否か‥。

一応デュシャルダンがクレジットでもトップにきていて、彼なりに好演しているけれど、
最初に書いたように、マリ・ジョゼ・クローズの存在感でがとにかく大きいわ。
そんなに美人ってわけでもないんだけど、その分、親しみがわくってところもあるし、
謎めいているように見せていても、どこか人間くさくって、
だからこそ、僕は彼女にすんなり感情移入してしまったというか。

前に何かの映画で見たような気がして、なんだったかなぁと考えていて、
フランソワ・クリュゼ主演のミステリーの佳作「唇を閉ざせ」(06)に出ていたんだと判った。
「唇を-」では、主人公の妻の役で、死んだはずなのに、実は生きていたって役だったな。

マルクの会社のイタリア人の同僚セルジオ役に、「ゴモラ」 「穏やかな暮らし」の名優トニ・セルヴィッロ。
ジャケットに、彼の名前なんてなかったので、ゲスト出演かなと思っていたら、意外や重要な役柄。

そして、イタリアの往年の人気女優、CCことクラウディア・カルディナーレが、
マルクの母役で登場。1938年生まれだから、本作出演は75歳。
昔の面影は、さすがにないし、声もしわしわだけど、まだ健在だったんだ。

ラブロマンス系の作品って、僕はあんまり見ないんだけど、
久しぶりに、その手の作品を目にして、たまには見るのもいいもんだと思いましたわさ。

余談だけど、ヒロインの部屋に、スティーブ・マックイーン主演作「ブリット」のポスターが貼ってあった。
監督の趣味なのか、美術スタッフの趣味なのか、ちょっと気になった、こともないか。

ミッドシップ 2013年5月24日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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