「ジグザグキッドの不思議な旅」(12年・オランダ) 亡き母の謎を追いかけて、少年ノノは不思議な冒険の旅に出たんやわさ!

ジグザグキッドの不思議な旅
子どもたちが観る”子どものための映画祭”「京都国際子ども映画祭(キンダー・フィルムフェスト・きょうと)」ってのが、1994年から開催されているらしいんだけど、今年、その映画祭で長編グランプリをとったのが、このオランダ映画「ジグザグキッドの不思議な旅」。
公募で選ばれた10歳から15歳までの子ども審査員が、グランプリ作品を選出するそうだけど、「ジグザグ-」は、子どもたちが選んだからと言って、ただおもしろいだけの底の浅い作品じゃなく、大人である僕だって十分に楽しめた、なかなかに味わい深い佳作であ~りました。
監督は、児童文学を映画化した「ネコのミヌース」(01)でオランダで空前の大ヒットを記録し、オランダ・アカデミー賞最優秀作品賞をとったフィンセント・バル。日本でも、日本語吹き替え版を室井滋、利重剛が担当し、劇場公開されたんよね。
「ネコの-」も、大人の鑑賞に十分耐えうる佳作で僕の好きな作品だけど、彼の2本目の日本登場作品となるのが本作。といってもDVDリリースのみで、劇場未公開だけど。
「ジグザグ-」も、イスラエルのディヴィッド・グロスマンって作家の児童文学を映画化したもので、バル監督、児童文学の映画化によっぽど縁のある人みたい。
でも、彼なら、お子さま向け作品には終わらせないだろうと思って観てみることにしたんよ。

空想癖がある12歳の少年ノノ。
父親ヤコブは、オランダで一番の敏腕刑事で、
ノノも幼い頃から、父に犯罪捜査の技を教え込まれ、父のような刑事になりたいと思っていた。
でも、いつも度が過ぎた行為をしでかし、周囲に迷惑をかけてばかり。
そんな時、「血のせいね、呪われてる、ゾハラの呪いよ!」と言われてしまう。
ゾハラとは、ノノが1歳の時に亡くなった母の名前。
ノノは、母のことを父に聞くが、堅く口を閉ざして答えてくれず、母については謎のまま。
ある日、いとこのユダヤの成人式(ユダヤ教では13歳になると大人とみなされ祝われる)で、
またまた失敗をしでかしたノノは、堅物の叔父の元へ送られることになった。
だが、向かう車中、鞄の中にあったチョコの包みの中に、父からの手紙があった。
それには、刑事になるための訓練として、車内で師匠を見つけだし、彼についていくようにと書かれていた‥。

バル監督は、在りし日の母の姿を追い求める、ちょっぴりアドベンチャーな少年の2日間の旅を、
ほんわかとしたタッチで、ファンタスティックな要素を絡め、軽やかに描いて見せてる。

ノノの師匠となるのが、元・世界一の強盗と呼ばれ、一度父に逮捕されたことのある、
今や、初老になってるフェリックス。
フェリックスは、盗んだ後に現場に、稲妻型(ジグザグ型)のネックレスを残していた。
それを目にした時、ノノは、同居している、父の秘書で、ぽっちゃり女性ガビーの言葉を思い出した。
実は、ガビーは、父ヤコブにぞっこんで、ノノも彼女が母になってくれたら良いと思っているんだ。
そのネックレスと、ローラという女性が持つ赤いショールを手にしたら、
この世は思いのまま、父さんのハートを盗める、と言ったことを。

フェリックスと共に、歌手ローラが出ているリヴィエラの劇場に向かったノノ。
最初は、ノノを無視したローラは、彼の苗字フィールドバーグを聞いたとたん、
がらりと態度が変わり、とても親しげに、優しく微笑みかけてきた‥。

刑事になるための訓練だと思っていたのが、
実は亡き母親の真実を知るための旅だったという展開が、
無理なくスムーズに運ばれていくな。
そして、ノノが自分の空想癖を使って、母親の本当の姿、
またなぜ亡くなったのかを知っていくところも、
映画ならではの見せ方で、うまい。

父と亡き母の関係は、出会いがポップでファンタスティックに描かれ、
やがて、夫婦の機微を、ほんの少しシリアスに、かつ切なげに描くなど、
大人の視点を差し挟む、演出の柔軟さも、なかなかよ。
ここんところ、あえて子どもたちに判りやすいようにと、描いていないところもなんか良いな。

ノノ役のトマス・シモンは、冒険好きで、ちょいヤンチャ、
でもって感受性豊かな主人公を、自然体でさらりと演じていて、好感が持てる。
歌姫ローラ役は、すっかり腰回りにお肉がついたイザベラ・ロッセリーニ。
体型は崩れ気味だけど、ほんのり女の色香を漂わせてるし、
ハスキーボイスの歌声も、なかなか聞かせるやん。
フェリックス役は、ドイツ俳優ブルクハルト・クラウスナー。
「白いリボン」(09)「ベルリン、僕らの革命」(04)に出ている俳優だけど、
世界一の大泥棒にしては、ずんぐり体型で動きは機敏とはいえないが、
ベテランらしく、ノノを導く師匠を、優しげな眼差しで、ユーモラスに演じてる。
こういうベテランが脇を固めてると、作品自体が豊かになるなあ。

名前が判らないけど、柳原可奈子風のぽっちゃり秘書ガビーも、いい味だしてる。
思えば、すべては彼女から始まって‥。

亡き母の本当の姿を知り、ちょっぴり成長するノノ。
彼だけじゃなく、父ヤコブも、やっとわだかまりを吹っ切ることができて‥。

とにかく、とても穏やかで、いい気分にさせてくれる作品でありましたよ~ん。
南フランス・リヴィエラの風景もステキだったしねぇ。


オンリー・ハーツ 2013年8月9日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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