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「黒蜥蜴」(62年・大映) 女盗賊・京マチ子がムチをビシバシ、ダンシング!キッチュでポップな、アメイジング・ムービーでおまんにやわ!

黒蜥蜴
あちこちのネット・サイトで、ヘンだけどオモシロイと書かれていて、ぜひ見てみたいなあと思っていたのが、この京マチ子・主演の「黒蜥蜴(くろとかげ)」。
それが、初DVD化されると聞き、発売日に大阪ナンバのヤマダデンキに行ったら売り切れ。ヤマダデンキじゃ、大映名作シリーズ廉価版が安く購入(定価2800円が確か1900円)できたのに~。
仕方なく、日本橋のディスク・ピアならあるやろうと行ったら、ここでも売り切れ。人気あるんやねぇ。結局、ディスク・ピアで予約注文して、一週間後にやっと手に入れることができましたわさ。

早速、見てみたんだけど、成る程なるほど、聞きしにまさる面白さ!
ミュージカル風とは聞いていたけど、単なるミュージカルってもんじゃなく、全編、現実感をとことん削ぎ落とし、女賊と名探偵の犯罪と愛を、文学的セリフと遊び心満々のケバくてキッチュな映像で見せる、何ともまか不思議な娯楽作でありました。

一応、作品紹介しておくと、江戸川乱歩の原作を、三島由紀夫が戯曲化したものを映画化したもので、
映画版・脚本は、名匠・新藤兼人。音楽が黛敏郎、歌詞が三島由紀夫と、実にゴージャスなスタッフ揃い。
(撮影当時は、そういう意識はなかったかも知れないけど)

宝石商・岩瀬は、娘・早苗の誘拐予告が届き、名探偵・明智小五郎にボディガードを依頼した。
娘を伴い、明智と共に大阪にやってきたが、そこには、岩瀬のひいき客・緑川夫人がいた。
予告通り、早苗は誘拐されてしまうが、明智の部下で尾行の達人たちにより、彼女は無事救出された。
そして、現場にいた緑川夫人こそが、誘拐の首謀者・黒蜥蜴と見抜くが、まんまと逃げられてしまう。
その後、岩瀬邸で、黒蜥蜴に早苗はまたもや誘拐されてしまった。
彼女と岩瀬所蔵の豪華な宝石「エジプトの星」を、東京タワーで交換すると黒蜥蜴から連絡が入るが‥。

冒頭、いきなり明智小五郎に扮した大木実が登場し、カメラ目線で観客に向かって話し出す。
「昨今は凶悪な犯罪が多いが、犯罪にも夢があり、美しさがあっていいはずです」
そして、ムチの音が響き、網タイツ姿の京マチ子が登場。
タイトルロールのバックで、「黒蜥蜴のテーマ」曲にのって、ムチをビシバシ、妖艶に踊るんよ。
まるで、ステージショーを見ているようなタッチ。
ここでハマるというか、オモシロがらなきゃ、これから始まる物語には入っていけないかもよ。

ミュージカル風と言っても、岩瀬邸の用心棒たちが歌う「用心棒の歌」とか、
黒蜥蜴の部下が、彼女から褒美に宝石を貰って、ステップ踏みながら歌う歌とか、
え、なんでアンタ等がここで?と思ってしまうような場面で唐突に歌が始まる。

京マチ子と大木実も歌うと思いきや‥。

見ている側の予測を、するするとすり抜けてしまうというか、ほんとにあっけにとられてしまうわ。

大阪で、令嬢・早苗が、黒蜥蜴の部下・雨宮と出会う場面じゃ、
互いに見つめ合う背景が、赤い照明に切り替わったり、
(これは、「ウエストサイド物語」で、マリアとトニーの出会いシーンのもじりっぽい)
明智の事務所場面と黒蜥蜴のアジト場面が交互に映り、
カメラがひいていくと、二つの場所が繋がっていて、
明智と黒蜥蜴が向かい合いながら、互いの心情を告げるなど、
時空もひとっ飛びの、映画ならではの演出があったり、とことん人工的な描写に徹してるみたい。

明智と黒蜥蜴の愛のテーマとも言える曲が、随所に流れるんだけど、
これが、切なくも美しい、なかなかの佳曲。
ラストじゃ、女性が歌うこの曲をバックに、明智が黒蜥蜴を腕に抱きかかえて、
紫色に輝く光に向かって、白い階段を上っていくんだけど、なんかウットリしてしまったわ。
(ちょい宝塚歌劇チックな気もしたわ)
別のシーンで、元トランペッターの雨宮が奏でるトランペット・バージョンも聞き惚れたやん。

京マチ子は、確かOSK出身だったせいか、流れるような身のこなしで踊り、
男装も披露しちゃってくれて、なかなかの快演。
女王様っぽい雰囲気もあるし、女ボス的風格も申し分なしね。

ちょい役柄に合ってないかなって思うのが、明智に扮する大木実。
存在感はあるんだけど、どうも生真面目過ぎるというか、無骨というか、
キッチュな虚構世界に合っていないように思ったな。
「子連れ狼 三途の川の子守歌」の悪役三兄弟の弁は、凄みがあってナイスだったけどね。

岩瀬役・ずんぐり小太りの三島雅夫が、やたらハイテンションでオーバー気味にしゃべったり、
岩瀬家の女中の一人を演じる久里千春のキンキン声が耳についたり、
いろんなものが、コッテリコンと、なんか過剰気味。
それが、より人工的テイストを増しているというか、あえてそれを狙ってたんだろね。

他にも、見所、聞き所(文学的で現実味のないセリフの数々)が随所にあって、
何度でも楽しめる、個人的にカルトな作品かな。

監督は、プログラムピクチャーの名手として知られた井上梅次。
彼の劇場映画はあんまり見ていなくて、
テレビのサスペンスドラマ(江戸川乱歩シリーズ他)をいっぱい演出していた監督って印象しかなかったけど、
こんな、ぶっ飛んだ作品を、商業映画として作っていたんだなあと、ちょい見直してしまったわさ。
彼の他の作品も見てみようかな。


角川映画 2013年11月22日発売



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ジャンル : 映画

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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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