「エージェント:スティール」(13年・アメリカ/カナダ) 大泥棒たちが仕掛けるトラップにハメられたのは、誰やねん!ラストで、な、な、何と‥。

エージェント:スティール
僕の愛読雑誌「映画秘宝」で、こいつは久々の拾いものの作品だって紹介されていたので、ちょっと気になり、レンタルして観たのがこの「エージェント:スティール」。
なるほど、確かに、観ている者を上手にダマしてくれ、でもって粋なラストにムフフッとさせられるピカレスク・クライム・ムービーでありやんした。
エンドクレジットのNG集は、ちょっと余計な気がしたけどさ。
しかし、邦題に”エージェント”って付いてるからスパイ映画と勘違いしそうなんやけど、なんでこんな邦題つけたんやろ?
ま、最近の洋画って劇場公開・未公開を問わず、直ぐには意味が分からない英語タイトルが多いし、それが主流になってるみたい。どうでもいいことだけどさ。

しかし、この手の作品って、感想を書くのがなかなか難しいわさ。
何を書いてもネタばらしになりそうでさ。
とにかく観てチョーダイとしか言われへんところがあるんよね。

オープニングは、主人公クランチが、ポーランドの刑務所に入れられるところから始まる。
そのシーンに彼のモノローグがかぶさる。
「人は裏切りの末、真の通貨は金ではないと知る。信頼だ。」
最初は、意味がいまいち分からなかったけど、このセリフ、ラストシーンで効果的に利いてくるんよね。
名うての美術品のすり替え詐欺師だったクランチは、詐欺仲間で腹違いの弟ニッキーの裏切りにあい、
投獄されてしまったんだけど、5年半後に出所し、アメリカでバイクスタントでなんとか生計を立てていた。
そんな彼の前に、突如見知らぬ男が現れ、暴力的にニッキーの居場所を聞き出そうとしてきた。
実は、ニッキーがスーラの名画を、その男と共謀して盗んだんだけど、
ニッキーが独り占めしようと裏切り、絵を持ち逃げしてしまったんだ。
その後、クランチは、昔の仕事仲間バディの部屋で、ニッキーと再会。
激しい口ゲンカが始まるが、その時、バディから、大金になる美味しい仕事を持ちかけられ、
結局、また組んで仕事をすることに。
その仕事とは、世界的に貴重な福音書を美術館に忍び込んで、すり替えること。
一方、スーラ絵画盗難事件を追いかけていたインターポール(国際刑事警察機構)は、
泥棒で元美術鑑定士のサムを減刑をエサに協力させ、ニッキーの行方を探していた‥。

90分とこじんまりとした尺の中、監督・脚本はジョナサン・ソボルは、
登場人物のキャラを手際よく描き分け、ハイテンポでストーリーを展開してるな。
初っぱなの警察とのバイクチェイス・アクションも、そつなく見せるし。
サスペンスとユーモアのブレンド加減も悪くないしね。
名画「モナリザの微笑み」盗難事件のエピソードも、
伏線としてストーリーにうまく組み込んでるのも、エエ感じ。
福音書すり替えのための小道具、見た目がもろ女性器のアートオブジェには、
ちょい引いてしまったけど。妙にリアルぽっ過ぎるんよ。
贋作師がニヤニヤしながらオブジェのワレ目に手を入れてヘンなセリフを吐くんだけど、
笑うどころか、オゾゾッとしてしまったわ。クランチたちも引いてたけど、わかるなぁ。

キャストは、トップランクからは後退気味だけど、スターとしてのオーラは、まだまだ充分な、
「遊星からの物体X」のカート・ラッセルと「メリーに首ったけ」「ランブルフィッシュ」のマット・ディロンが
腹違いの兄弟役で共演しているし、出番は少ないがサム役、「プリシラ」のテレンス・スタンプも、
ポーカーフェィスを崩さず、渋さ&味わい深さ満々の存在感を見せてる。
脇も、クランチの弟子フランシーに、僕の好きな快作アニメ「ヒックとドラゴン」で
ヒックの声を演じたジェイ・バルチェル。彼のウソ臭さビンビンの偽アーミッシュには笑ってしまったわ。
バディに、「シルク」のカナダ出身のケネス・ウェルシュ他、「新・三バカ大将」のクリス・ディアマントポロス、
キャサリン・ウィニックなどカナダ系のベテラン&若手俳優がぞろぞろ顔を出してるみたい。
それぞれ、キャラにあった風貌で、物語をギュッと締めてる気がするな。
熱血漢だけどアホなインターポールのビック役、これまかたカナダのコメディアンらしいジェイソン・ジョーンズの
バカっぽさもナイスでおます。なにしろ、その間抜けぶりにサムから呆れられてしもとるもんね。
ひょっとして監督のジョナサン・ソボルもカナダ出身かもしれないな。

物語にはほとんど関係ない場面だけど、
クランチたちが車を止める、人気の全くない雪の積もった広場で、
ミニバンで飲食店を開いてるむさ苦しい男。
「儲かってるか」とクランチに聞かれ、「さっぱり、ふるわねえよ」とぼやきよるんやけど、
脱力気味のユーモアが漂ってて、ヘンに印象に残るやん。
実際、エンドクレジットの後にも、この場面が再登場するし。
監督、この場面、よほど気に入ってたんかしら。

ラスト、スタンプのセリフ、「私には信頼がある」。グッとくるやんかいさぁ。
映画の締めくくりとして申し分ないし、
このセリフを言ってもらうために、イギリス俳優のスタンプをキャスティングしたのかもしれないな。
なんかそんな気がするんでおまんにやわ。


AMGエンタテイメント 2014年7月2日リリース



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森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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