「M I 5:消された機密ファイル」(11年・イギリス) イギリス国家を揺るがす重大機密を知ってしまったベテラン諜報員の運命やいかに!

MI5:消された秘密ファイル
邦題の”M I 5”って、何の意味なのかネットで調べたら、MIがミリタリー・インテリジェンスの略で、5はセクション番号で第5課のこと。
そこが英国機密諜報部の部署で、そこで働く初老の諜報員ジョニーが本作の主人公。

劇場映画と思っていたら、イギリスのBBCとユニバーサルが製作のテレビ作品だったんだけど、見たら、映像のクオリティといい、キャストといい、演出といい、劇場公開作としても充分通用する作品で、なかなか味わい深かったんよね。

007ことジェームズ・ボンドとまでは行かないがアクションがあるわけでもなく、ま、地味と言えば地味な作品で、最近ならMI6こと海外情報部のスパイを、元諜報員が探る「裏切りのサーカス」(11)に近いニュアンスのシリアスなドラマと言えるかな。
主演も、「ラブ・アクチュアリー」「アンダーワールド」シリーズの、中堅俳優ビル・ナイと、ベテラン演技派だけど、かなり地味目だし。

MI5の諜報分析官ジョニーは、長年の親友である上司ベネディクトから、ある機密ファイルを手渡された。
それには、アメリカのある軍事作戦にイギリス政府が関与していたという重大機密が記されていた。
なぜ、ジョニーにそのファイルを渡したのか、真意を知ろうとした矢先、
ベネディクトは、持病の心臓発作で亡くなってしまう。
同じ頃、ジョニーの向かいの部屋に越してきたナンシーが彼に接近してきた。
どこかミステリアスな彼女に興味を抱き親しくなっていくが、仕事柄から、不信感がよぎるジョニー。
やがて、ジョニーは、ベネディクトが彼に託した意味を悟り、
単身、政府の陰謀に立ち向かおうとするが‥。

ジョニーが、過去に、女に持てまくり、親密なお付き合いをしていたって設定が、
ちょいジェームズ・ボンドっぽい気もするけど、
そのせいで5回近い結婚歴があり、元妻が、今はベネディクトの妻になっていたりする。
仕事はきっちりこなすが、国に対する忠誠心には少々乏しく、
愛する娘ジュリアンとの関係も、いつも余計なこと言ってしまいがちで、あまり良好とは言えない。
なんとも人間くさい主人公で、ナイが、そんな男を、主役だからって意気込まず、
ほのかに男の色気を漂わせながら、淡々と演じてるな。

彼が、政府に立ち向かうのも、自分を信頼してくれた亡き友人のためで、
「彼が私に託した仕事を最後までやりとげたい。
それができなければ私の人生に価値はない」
と信頼に応えようとする昔気質な心意気に、なんかグッときてしまったやん。

地味な作りの作品だと言ったけど、いったい誰が政府の手先か!諜報員どうしの駆け引き!など
スパイ映画ならではのサスペンス要素も、しっかり盛り込まれ、
派手さはないけど、ちょい緊張感を滲ませた演出で、じっくりと最後まで見せられしまう。

多分、ビル・ナイをはじめ、「ナイロビの蜂」でアカデミー賞・助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズ、
「ハリー・ポッター」シリーズの闇の帝王ヴォルデモート役で知られるレイフ・ファインズ、
同じ「ハリー・ポッター」でホグワーツ魔法学校の校長ダンブルドアを演じていたマイケル・ガンボン、
「ローマでアモーレ」のジュディ・デイヴィスほか、イギリスのベテラン演技派がこぞって出演し、
作品に厚みを与えているせいもあるだろね。(ジュディ・デイヴィスだけはオーストラリア出身)
ジュリアン役フェリシティー・ジョーンズ、謎めいた若者ロロ役のトム・ヒューズなど、
若手俳優も存在感あるし。

監督・脚本は、「愛を読む人」(08)「めぐりあう時間たち」(02)の脚本で
オスカー・ノミネートされたデヴィッド・ヘア。
オープニングから、けだるいジャズ・ミュージックをバックに、
ジョニーがタバコをくゆらし夜の街を歩くという、
いかにも大人なムードで物語を始めるところが、ニクイやないの。
娘ジュリアンが前衛アーティストだったり、
ジョニーの部屋には幾つもの収集した絵画が壁に飾られていたり、
どこか、さりげなくアートの匂いがまぶされているのも、なんか良い感じ。
かっちりとした、いかにもイギリスらしい作品に仕上げてるな。

なんでも本作、ゴールデン・グローブ賞ほか、いろんなとろこでノミネート&受賞されたらしく、
イギリスじゃ、ジョニー主人公の続編(?)が2本ほど作られたみたい。
初老諜報員が活躍する渋めのサスペンス・スリラーが好評だったんだろうね。

確かに、ちょっとジョニーが今後、どんな活躍というか、
どんな体験をするのか見てみたい気もするわさ。
ラスト・シーンの、これまたオープニング同様、
ジャズをバックに、どこかへ旅立つジョニーの後ろ姿が、
ちょい背中に男の哀愁みたいなもんが漂ってて、ええ感じやったからさぁ。


アメイジングD.C. 2014年10月3日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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