「セルフィッシュ・サマー ~ホントの自分に向き合う旅~」(13年・アメリカ) 生真面目な中年男とチャラい若者が道路整備作業を通して絆を深めていくんだけどね‥。 

セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅
前にこのブログで取りあげた作品「我が家のおバカで愛しいアニキ」で、気のいいおバカなアニキを好演していポール・ラッドが主演ってので、ちょっと気になりレンタルして見たのが、この「セルフィッシュ・サマー-」。
なんでも、第63回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(監督賞)を受賞したらしいのね、この作品。
しかし、いくら国際映画祭で賞をとったって日本劇場未公開になってしまうわけで、商売になりにくい地味な作品やろなと思って見たら、やっぱり地味。
でも、なんかホッコリ&ホンワカとした気分にさせてくれる、小粒ながら、ほんのりと味わい深い作品でありましたわさ。

1987年、中央テキサスの広大な森林が原因不明の山火事により焼失した。
翌年、森の破損した道路を修復するため、
作業員の中年男アルヴィンは、恋人の弟ランスを助手に雇い、町から遠く離れた場所で、
テント生活をしながら、二人っきりで毎日せっせと仕事を続けていた。
生真面目なアルヴィンと、女好き&遊び好きのランスは、
正反対の性格だけにソリが合わず、何かにつけてぶつかってばかり。
でも、そんな二人だったが、毎日顔を合わせ作業を続けていくなかで、
少しずつ心を通わせていくようになり‥。

登場人物は、アルヴィンとランス、
それに老いたトラック運転手と、アルヴィンが消失した屋敷跡で出会う老婦人だけ。
それもトラック運転手と老女はチョロッと登場するだけで、
ほとんどアルヴィンとランスが、ひたすら道路整備に従事する場面と、
仕事休憩の二人のやりとりだけがひたすら描写される。
ドラマティック要素を取り払ったというか、ちょっとアメリカ映画らしくない、
淡々とした描き方やなあと思ってしまったわ。

アルヴィンは、恋人とドイツ旅行を夢見ているようで、
ドイツ語学習用カセットを仕事中も聞いているんだけど、
ランスはそれにげんなりして勝手にロックミュージックのカセットテープに変えて、
怒ったアルヴィンとぶつかりあったりするんだけど、
そんなに大きなケンカにもならないし、とにかく描写がサラリとしているというか淡泊。

週末は仕事は休み、アルヴィンは釣りをしたり、静かに過ごすんだが、
遊びたがりのランスは、モノにできる女の子がいると町に出かけてしまいよる。
そんな二人だったが、アルヴィンは恋人から別れを告げる手紙を受け取り、ほんの少し動揺。
ランスもお目当ての女の子がゲットできず、おまけに以前関係を持った中年女性がヤバイことになり‥。

自分の気持ちが揺らいでしまうような出来事を前にして、
アルヴィンとランスが少しずつ本音を語り合い、ほのかに気持ちを通わせていくところが、
とてもナチュラルに描かれていて、なんか気持ちいいなあ。

消失した屋敷の老婦人が、「すべてが思い出になった」と語り、
元パイロットだった彼女が、焼け跡の残骸の中からパイロット免許と日誌を探している姿を見つめるアルヴィン。
最初は、彼女の登場の意味が判らなかったけど、実は彼女は‥。

過去をウジウジと引きずらず、人生に新しい一歩を踏み出すこと、
また、自分のしでかした出来事に対して、ちゃんと向き合うこと、
ほんの少し気持ちを切り替えて、明日に向かって生きてこうってのを、
声高ではなく、囁きかけるように、さりげなくメッセージしてくれる、そんな気がする作品だな。

監督は、これまた劇場未公開のコメディ「スモーキング・ハイ」(08)のデヴィッド・ゴードン・グリーン。
お笑い系作品が多い監督だと思っていたら、こういう地味だけど、味わいのある作品も撮る人なんだ。
黒く焼けた森林の中で、イモムシやアリの生態を差し挟んだり、さりげない自然描写を重ねて、
ストーリーにリアリティを醸成しているってのもナイスだしね。

本作は、アイスランド映画「Either Way」のアメリカ版リメイクらしいけど、
アイスランドのオリジナル版も、淡々とした作品なんだろかしらね。

余談だけど、彼、ダリオ・アルジェントのヒットホラー「サスペリア」のリメイク企画も立ち上げていたそうで、
それはポシャったらしい。ま、彼が撮るなんて、ちょっと場違いな気もするけど。
でも、スリラー「アンダートウ 決死の逃亡」(04)を撮ってるし、意外とハマルのかも。

アルヴィン役ポール・ラッドは「我が家のおバカで愛しいアニキ」と正反対のキャラを演じてるけど、
違和感なく、生真面目男になりきっていて、彼、意外に演技派じゃなかろうか、なんて思ってしまったわ。

ランス役のエミール・ハーシュは、「イン・トゥ・ザ・ワールド」(07)などに出ている若手俳優で、
彼の出演は見たことなかったんだけど、ハンサム系なのに、本作じゃ、ちょいズングリ気味だし、
時々、コメディ俳優ジャック・ブラックっぽい顔立ちになってしまうやんと思ったのは僕だけかな。
チャラさ漂う若者そのものになりきっていて好演してるけど。

しかし邦題に付いてる副題”ホントの自分に向き合う旅”って、
ま、作品の内容が判りやすいと言えば判りやすいけど、ちょっと気恥ずかしいようなキャッチやんかいさあ。
ほんまにね。

ところで、アルヴィンがドイツ語学習しているときに聞くドイツ語の名言
「真実の愛とは幽霊のようなもの 皆が口にするが実際に見た者はほとんどいない」
なんか、映画にリンクしているみたいで、ちょいニクイやんと思ってしまいましたわさ。


TCエンタテイメント 2014年9月3日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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