「スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方」(14年・アメリカ) 心がちょい屈折気味の双生児・姉弟が織りなす、おかしくて、切なくて、ほろ苦いヒューマン・ドラマやん!

スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方
僕の好きなSFコメディ映画「宇宙人ポール」で、イギリス男たちと行動を共にする、片方が黒いメガネをかけたヒロインを演じていたクリステン・ウィグと、同映画で、頼りない捜査官役だったビル・ヘイダーが、二卵性双生児の姉弟に扮した、ユーモラスで、ちょっぴりほろ苦いヒューマン・ドラマが、この「スケルトン・ツインズ」。
なんでも、アメリカの2014年サンダンス国際映画祭で脚本賞を受賞したらしいんだけど、主役二人の知名度が日本じゃ、皆無に近いってこともあり、当たり前田のDVDスルー。
ま、アメリカの人気バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」が生んだ2大スターが、このクリステンとビルと言われたって、番組じたい日本じゃ放映されていないし、仕方ないわなぁ。

で、見た感想だけど、
人間って、弱くてもろく、人生は思うようにいかないことも多いけれど、それでも、それを受け入れ、なんとか生きてかなきゃってのを、主人公二人を通して語りかけてくれる、
心にほんのりとした優しさを運んでくれるような、ビター&スイートな作品でありましたわさ。

恋人と別れたことで自殺未遂を犯した、ロスに住むゲイのマイロ。
同じ日に自殺を考えていた姉のマギーは、病院からの知らせを受け、
ニューヨークから駆けつけ、10年ぶりに弟と再会。
心配した彼女は、彼の心のキズを癒そうと同居を持ちかけ、
ニューヨーク郊外の小さな街で、マギーとランス夫婦と暮らすことになったマイロ。
幼い頃の思い出がよみがえり、マギーとマイロは姉弟の絆を深めていくように見えたが…。

マギーとマイロの父は、橋から飛び降りて、とっくの昔に亡くなっていて、
そのせいかどうか、子供の頃、二人は児童精神科医で治療を受けていた。
頼れるはずの母は、どうも二人を捨てたようで、ほかの男と再婚。
成人してからは、はほとんど交流がないみたい。

幼少の頃のほろ苦い体験のせいか、
心がちょい屈折気味のマギーは、ランスを愛していながらも、
彼が子供を望んでいるにもかかわらず、彼に隠れて避妊薬を飲み続け、
ダイビング教師と浮気を繰り返している。

ゲイのマイロは、彼が街を離れるきっかけともなった、
今は書店を営んでいる、彼の元教師で肉体関係のあったリッチに、
ヨリを戻そうと会いに行き、最初は拒絶されるが、結局…。

結構ドロドロしたエピソードが次々と出てくるんだけど、
さらりとした描写のせいもあって、不思議に、暗くて重いって印象は希薄。
なんて言うか、扱う素材はヘビーなんだけど、
根っこのところで、マギーとマイロの双子ならではの、
不思議な心の絆みたいなものを、ユーモアを交え、
きっちりと描いているからだろうな。

マイロが、歯科衛生士をしているマギーの医院を訪れ、
歯科器具を使って、キャアキャアとふざけあったり、
ちょっと落ち込んでいたマギーを元気づけようと、
マイロが、スターシップのヒット曲「ナッシング・ゴナ・ストップ・アス・ナウ」を
口パクで歌い踊ってみせると、マギーも一緒に歌いだしたり、
双子ならではの、心の寄り添いあいみたいなものが、なんとも微笑ましい。

ただ、マギーがオナラ連発するところは、ちょい引いてしもたけど。

監督は、本作が長編監督デビュー作のクレイグ・ジョンソン。
彼の経歴はわからないけど、重くなりがちな素材を、
説明過多にならず、歯切れのいいテンポと節度ある描写で、
力まず、軽やかにドラマを綴ってるなって気がしたな。
うまく生きていけない主人公たちの心の機微を、上手にすくい取っているというか。
ナタリー・ポートマン主演「ブッラク・スワン」のマーク・ヘイマンの脚本のおかげもあるみたいだけど。
ネイサン・ラーソンの、ふんわりとした音楽も効果的だし。

ビル・ヘイダーのナチュラルなゲイっぷり、
クリステン・ウィグの、いけない事と判っていながら自分では制御できない心の屈折ぶり、
二人とも、コメディ系のせいか、あまりシリアスにならず、
自然体の演技でキャラにリアリティをもたらしてるな。
出番は少ないけど、ランス役ルーク・ウィルソン、リッチ役タイ・バーレルなど、
脇も良い役者が揃ってる。

クリステンとビルの共演作、またリリースされたら見てみたいやんかいさぁ。


ソニー・ピクチャーズ 2015年4月29日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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