「恐怖の人体研究所」(15年・アメリカ) 超能力者を探し出す実験のはずが、ある被験者の中年女性が現れたことから、めっちゃ恐ろしい出来事が…!

一昔前の映画館って、夏場になると決まって、”納涼大会”と銘打って、怪談ものや恐怖映画を上映していたもんだ。
その頃は、まだホラー映画とは呼ばなかったな。
今でも、遊園地などアミューズメン系施設じゃ、夏場になると”お化け屋敷”が登場するけど、映画館は、季節感を意識しなくなったというか、季節に関係なく、ホラー映画が映されるようになってもてるよね。
そんな中、ユニバーサル・ピクチャーズが”夏の暑さをブッ飛ばす、恐怖のラインナップ・絶叫シリーズ”ってなうたい文句で7月から劇場未公開のホラー系作品のリリースをスタート。
おおっ、この猛暑に絶好のタイミングのリリースやん!
夏はやっぱりホラー映画やで!
その第1弾としてリリースされたのが、「恐怖の人体研究所」と「地下に潜む怪人」。
僕は、この手のジャンルが好きだけに、まずは「恐怖の人体研究所」を見ることにしたんよね。
疑似ドキュメンタリー風に作られた”モキュメンタリー”作品ってことで、
最初は見ようか見まいか迷ったんだけど、
愛読雑誌「映画秘宝」で高評価だったので、それならと見たんだ。
なにせ、モキュメンタリー風の作品って、レンタル店に結構並んでいるんだけど、
ダラダラした展開ものが多くって、期待を裏切られまくりなこと多かったしね。
で、この「恐怖の人体研究所」だけど、
初っぱなからラストまでヒリヒリした緊張感が持続する、
ダラダラ感一切ない、巧妙に作られた作品だった、ほんまに。
1970年代、ヘンリー・ウエスト博士は、
念力や予知など超能力研究のためにアティカス研究所を設立した。
超能力を持っていそうな被験者に対し、様々な実験を続けたが、
なかなか本物を見つけだすことは出来なかった。
そんな時、40代前半の女性ジュディスが、被験者として研究所にやってきた。
テストを行うと、彼女は並はずれた能力を発揮し、博士を驚かせた。
そして、それは、超能力さえ超えた、恐ろしい”力”を秘めていたことがわかり、
アメリカ国防情報局員が研究所に赴いたことから、
彼女は、凄惨な実験動物のような扱いを受けるハメになり、やがて…。
SFチックな話が、やがてオカルト的な恐怖ムードに包まれる展開だけど、
ジュディスの正体というか、彼女の超能力の秘密が明らかになっていく後半まで、
研究所職員や国防諜報員、それにヘンリー博士の家族のインタービュー証言と、
実験現場の記録映像を織り交ぜながら、巧みな編集で、リアリスティックに見せるな。
あまり知名度のない俳優をキャスティングしているのも、
モキュメンタリーとして、物語にリアルっぽさを生み出してるし。
監督は、「ATM」「リミット」などシチュエーションホラーの脚本を手がけた
クリス・スパーリングって人で、本作も、もちろん彼の脚本。
なにか禍々しい空気感を全編に漂わせながら、
モキュメンター系作品にありがちな、どうでもいいような描写を排し、
ジュディスの異様な存在感を見事に際立たせてる。
国防諜報員や軍が彼女に行う、非人道的な実験の容赦ないエグさに、
一瞬、軍のほうが彼女より冷酷でヒド過ぎると思ってしまうけど、
スパーリング監督、軍になにか恨みでもあるんやろか。
しかし、相手の心肺を停止させる能力開発など、
ジュディスを生きた軍事兵器にしようってところは、
なんかモキュメンタリーしちゃ、ちょっと逸脱しかけてる気もしたけど。
とにかく、ジュディスに扮したリア・キルステッドって女優さんが、
地味っぽい、ごくありふれた中年女性って風情なのに、
何かに取り憑かれたような狂気じみた演技は、
演技とは思えないほど生々しくって、めっちゃコワイ!
時折、素に戻るというか、普通の人っぽく振る舞うけど、そのギャップが強烈!
アメリカのテレビ・ドラマで活躍してる女優さんみたいだけど、
こんな強烈な役をリアルに演じたら、この後、この種の役ばかりくるんじゃなかろうか。
それくらい、彼女、ジュディス役にハマってるんよ。
さて、まだまだ猛暑が続いてるし、お次は「地下に潜む怪人」を見ようかな。
NBCユニバーサル 2015年7月8日リリース


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