「シークレット・ロード」(14年・アメリカ) ロビン・ウィリアムズがカミグアウトしちゃう(?)、ほんのり優しい人生ドラマでおます。

シークレット・ロード
数々の映画に出演し、2014年8月に亡くなったロビン・ウィリアムズ。
彼の出演作で僕が好きなのは、「フィッシャー・キング」(91)と「ハドソン河のモスコー」(84)。
「ハドソン河-」は劇場未公開でソフトスルーとなったけど、アメリカに亡命しちゃったソ連の男の人情ドラマで、味わい深い作品だったなぁ。
また見てみたいと思う映画の1本よ。
注文生産のオンデマンドDVD「復刻シネマライブラリー」にリストアップされているけど、ちょっと3800円は高いなあ。
そのうち廉価版が出ないやろかと待ちわびることにしてまんにやわ。

さて、本作「シークレット・ロード」は、ロビン・ウィリアムズの最後の主演作とうたわれてるけど、確か今年、劇場公開された「余命90分の男」(14年)も”最後の主演作”って宣伝されてなかったかな。
いったいウィリアムズの”最後の主演作”って何本あるんやねん?ほんまにね。

生真面目で実直な60歳の銀行員ノーラン。
長年連れ添った元教師の妻ジョイと平穏に暮らしていた。
ある日、介護施設にいる寝たきりの父を見舞った帰り、
通りかかった男娼レオを車で轢きそうになり、成り行きで彼を同乗させることに。
そして、これまた成り行きでモーテルの一室に二人で入ることに。
レオは、商売とばかり行為を始めようとするが、
ノーランは、そんなつもりじゃないと何もせず、金だけ渡して別れた。
だが、ノーランは、なぜか彼のことが忘れられず…。

初老を迎えた男が、自分の性的嗜好をカミングアウトするまでの物語だけど、
地味ながら、好感のもてる作品だったな。

若いレオと知り合ったことで、
彼と一緒にいると、ノーランは自分の気持ちを落ち着かせ、
感情を少し解放できるように思えてくる。

なぜ、そんな気持ちを抱くのか、ノーラン自身、分かっているんだけど、
レオの体には触れようとはしない。
それは、道徳観が強いからなのか、
それをしてしまうと、心のタガが外れて突き進んでしまい、
自分の周囲の者たちを傷つけるのを恐れているからなのか。

監督のディート・モンティエルは、
ネットで調べたら、アル・パチーノが顔を出してる「陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル」(10)など、
サスペンス系の作品を撮ってる人みたいだけど、
「シークレット-」を見る限りじゃ、淡々としながらもブレのない描写を積み重ね、
登場キャラたちを、表情や仕草、それに控えめなセリフで、きっちり描いている。

少し距離を置いて人物たちを見つめているようなカメラの視線、
人物配置に気を配った画面レイアウト。
物語にナイスマッチした映像センスも、なかなかよ。

ノーランは、12歳の時、両親と旅行したとき、衝撃的な出来事に出合ったらしい。
それは、ノーランにとって、自分の人生を変えた旅だった。
それが何かははっきりと語られないけど、それから彼の偽りの人生が始まった。

そんな主人公を、
ウィリアムズは、微妙な笑みをたたえた表情で、自然体に近い演技で演じてる。
何ていうか、彼の全身から、切なさと悲しみ、そして程よい暖かさみたいなものが漂い、
主人公の心情が、じんわりと伝わってくるというか。

妻ジョイ役は、演技派、キャシー・ベイカー。
夫婦円満で、夫に秘密があるなど、これっぽっちも思わなかったのに、
少しずつ夫に疑念を抱いていくが、
それでも、夫の偽りを信じないようにと務める妻を好演している。

僕は、彼女が出ていたテレビドラマ「ピケット・フェンス ブロック捜査メモ」(92~96)が好きなんだけど、
このドラマじゃ、ブロック捜査官の妻で女医に扮していて、美人じゃないけど、
家族思いで、意志の強い女性キャラが印象的だったなぁ。
この「ピケット・フェンス-」は、関西じゃ深夜に放送されていて
毎回録画しては欠かさず見ていたもんだ。
小さな町を舞台に毎回風変わりな事件が起き、
それにアメリカが抱える人種問題など様々な要素が加わった、
「ツイン・ピークス」のシリアスなファミリー版とでもいえる奇妙だけど変に心温まるドラマで、
また見てみたいと思ってまんにやわ。

レオ役ロベルト・アギーレは、
新人俳優みたいで、本作以外の出演作はフィルモグラフィーになかったけど、
ノーランの心を揺り動かす青年を、無理なく演じてる。

最終的にノーランの選んだ生き方、
それは、結局、誰かを傷つけたことになったけど、
彼の心の重荷だけは…。

深く心に染み入るってこともないけど、ほんの少し優しい気持ちになれる、
そんな作品であ~りました。

ギャガ 2015年10月2日リリース



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良い役者でしたですよね

ミントさん、コメントありがとうございます。
僕が見たロビン・ウイリアムズの作品は、ヒューマンニズム系から明朗コメディまでいろいろあります。
ヒューマニズム系なら、僕の記事に書いた作品以外に、ロバート・デ・ニーロと共演した「レナードの朝」なんか良いし、好きですね。
彼、いろんな役柄に挑戦したかったんだと思います。
「ストーカー」じゃサイコ・キャラにも挑んでいたし。
本当に、亡くなったなんて残念です。

忘れられない役者

わたしが見たのはヒューマニズムが多かった。
どの作品も彼のワンマンショーっぽいというか。
それだけ印象が濃くて一度みたらわすれられない俳優。
もう二度と会えないとおもうと残念です。
プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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