「マザーハウス 恐怖の使者」(13・ベネズエラ) 始まりは”恐怖”、そしてエンディングは…。驚きの展開を見せる、上出来のオカルト・ホラーやんかいさぁ、ほんまに!

マザーハウス 恐怖の使者
ベネズエラ映画って、日本じゃほとんど見る機会がないけど、世界のホラー映画祭で結構話題になったらしいベネズエラ製オカルト・ホラーが、この「マザーハウス 恐怖の使者」。

ベネズエラって国の名は知っていたけど、ほとんど馴染みのない国だし、南アメリカのどこらへんかも即座には分からなかったので、ネットで調べたら、南アメリカの北部。カリブ海に面したところで、南米大陸でも指折りの自然の宝庫として知られる国なんだ。

そんな自然に恵まれた国のホラー映画って、どんなもんじゃろと見たんだけど、これがもう、めちゃめちゃオモシロかった。

邦題から、家に邪悪な怨念がこもった「呪怨」やアメリカ映画「たたり」もどきの作品かと思ったら、全く違うのよ。
もう、後半30分の展開といったら、それまでの物語がものの見事にくつがえされ、それどころか…。

何ていうか、何を書いてもネタばれになってしまい、
まだ未見の人に、肝心の部分を伏せて説明するのがめっちゃ難しい作品なんだわさ、ほんまに。
僕が、最初に見たときは、ええっ!まさかっ!なな、なんと!と驚かされまくり、
そして、ラストじゃ涙腺がジワッと…。
充実の映画体験をさせられたやんかいさあ!

時は1981年。
気絶していたらしい中年の女ドゥルセは、ふと眼を覚ました。
頬に切り傷があり、手に鏡の破片を握っていた。
慌てて愛しい息子レオポルドを探すドゥルセ。
そして、地下室で、夫フォセが死んでいるのを発見した。
そばに、おどおど気味のレオポルドが、奥の開いた扉の前に立っていた。
彼女は、レオポルドを抱き寄せようと手を差し伸べた。
だが、彼がドゥルセの方に歩きだしたとき、急に何者かに扉の向こうに引きずり込まれ、
厚い扉が轟音をたてて閉ってしまった。
翌朝、ドゥルセは、夫と消息不明の息子を殺害したとして終身刑になり、監獄暮らしとなった。
決め手は、夫を差したナイフに、彼女の指紋がついていたから。
そして、30年後、ドゥルセは高齢を理由に釈放され、
警官の監視付きで、自宅で暮らすこととなった。
定期的に、40歳近い教区の司祭マリオが、彼女のもとを訪れ、いろいろと相談に乗ろうとした。
そして…。

映画は、30年前の事件が起こる以前のドゥルセ一家の話と、
老齢となった現在のドゥルセの話が交差しながら、
謎めいた殺人事件の全容を解き明かすというか、
見ているものを、後半で一気に”時の迷宮”へと導いていく。

彼女たちが住んでいた大きな家では、以前にも住人の失踪事件が幾度か起こっていた。
最初に、家を建てたのはイギリス人。
なぜか、その土地に家を建てることに強いこだわりを持っていたそうで、
そのイギリス人一家も、失踪したらしい。
誰も住む者がいなくなり、政府に買い上げられた家を、
5年前に、めちゃ安で手に入れたのが、フォセとドゥルセだった。

フォセは失業中で、一家にはレオポルドとロドリゴの、やんちゃ盛りの二人の息子がいた。
事件の前、ドゥルセは、家で不気味な怪現象に直面し、不安を覚えた彼女は、
霊媒師に来てもらって、家に何か憑りついていないか確かめようとしていた。

30年ぶりに、我が家に戻ってきたドゥルセだが、
家の中で、見知らぬ老人を目にしたり、またもや怪現象に、おののくことに。

製作・監督・脚本は、アレハンドロ・イゴルダ。
多分ベネズエラ出身だと思うけど、脚本が実に巧妙に練られているな。
母ドゥルセが息子に、お守り代わりに与えるムーンストーンの使い方もうまいし、
霊媒師のセリフ、レオが母に差し出したメモ書きなど、
随所に見せる、ちょい謎めいた伏線の張り方も絶妙。

その緻密極まりないと思える脚本を、ものの見事に映画ならではの演出で、
見ている側を翻弄しちゃってくれるのよ。

ドゥルセ役、ルディー・ロドリゲスの熱のこもった演技が、作品をグッと引き締めてるし、
息子レオポルドに扮した子役ロズメル・ブスタマンテも、
純朴でやんちゃ盛り、それでいて母を慕う息子を、とても自然体で演じてる。

……もう、これ以上、この映画のことは書けましぇ~ん!

とにかく予備知識なしに、まずは見てチョーダイ!

しかし、エンドクレジットの前に、「最高の母ディオニーとママリダに捧ぐ」って文字が出てくるの、
なんだか深い余韻を残しよるやないの。
監督は、愛する母親のために、この映画を作ったんやろか、
だから、ああいう結末にしたんやろか。
ホラー映画で、最後にこんなウルウル気分にさせるなんて、イダルゴ監督、ニクイわぁ!

アクセスエー 2015年12月2日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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