「『僕の戦争』を探して」(13年・スペイン) 憧れのジョン・レノンに会おうと旅に出た英語教師の、ほっこり優しいンドラマでおまんにやわ!

「『僕の戦争』を探して」
邦題にある「僕の戦争」とは、「ビートルズがやって来る/ヤア!ヤア!ヤア!」(63)「HELP!四人はアイドル」(65)とビートルズ主演作を撮った才人・リチャードレスター監督が、ジョン・レノンを起用して作り上げたブラックでオフビートな戦争風刺コメディ映画のこと。

「僕の戦争」(67)は、「ジョン・レノンの僕の戦争」って邦題でDVD発売はされているけど、一般的に、そんなに有名な作品でもない。
だから、この「『僕の戦争』を探して」って邦題から、戦争映画と勘違いしてしまう人もいるかも知れないな。
ま、ビートルズファンなら知っているだろうけど。

本作は、この「僕の戦争」の撮影が、スペインのアルメリアってところで1966年に行われたそうで、ビートルズファンの英語教師が、ジョン・レノンに会おうとロケ地まで旅に出かけていく、スペイン映画。

なんでも、2014年にラテンビート映画祭で日本初上映されたらしいけど、結局劇場公開はされずじまい。
スペイン映画界のアカデミー賞と言われるゴヤ賞で、監督賞、主演だ入賞など主要6部門を受賞し、
去年のアカデミー賞外国映画賞のスペイン代表作にも選ばれているのにね。
ま、DVDで見ることができるだけでも、まだましかもね。

子供たちにビートルズの歌詞を使って英語を教えている、
ビートルズの大ファンの語学教師アントニオ。
憧れのジョン・レノンが、「僕の戦争」の撮影でスペインに滞在していることを知った彼は、
父親のお古の車を走らせ、彼に会おうと撮影現場へ向かった。
単なるファンとしてでなく、歌詞についてレノン本人から聞きたいこともあったから。
途中、ちょい人生に行き詰り気味の若い女性ベレンと、家出少年ファンホを拾い、
3人の旅が始まった…。

アントニオが、ジョン・レノンに会おうと悪戦苦闘する、軽いコメディ・タッチの作品を予想していたんだけど、
ストーリーに、大きな起伏ってのはなく、ほっこり穏やかなタッチで展開する、
なんとも、ハートウォーミングな、心優しいムービーだったな。

望まれない子を身ごもり、ちょっと心が折れそうになっているベレン、
口うるさい父に反発し、窮屈な日々から逃げようと家出した16歳のファンホ。
そんな二人が、アントニオの人柄に触れ、ほんの少し、人生に向かい合っていこうとする姿が、
見ていてとても良い気持ちにさせてくれるやん。

アントニオが、ベレン達に語りかけるセリフ、
「人生は犬と同じだ。怖がると噛みつかれる」
なかなか含みがある、良い言葉やん。

主人公のアントニオは、スペインに実在した英語教師だそうだけど、
監督・脚本のデヴィッド・トルエバは、
そんな彼の物語を、どこまで実話に基づいているのかはわからないけど、
彼らが出会う、酒場&食堂の主人カタランや彼の身障者の息子ブルーノらのほろ苦いエピソードを交え、
軽やかに、あたたかい視線で綴っていく。

当時のスペインはフランコ政権下にあったらしいけど、
生活苦で子供たちが学校にもいけない状況など、社会的背景もさりげなく描かれ、
そんな世の中で、アントニオが、若い二人に明るい未来を託すという、
声高ではないけれど、真摯なメッセージが込められているところも、なんか良い。

ジョン・レノンの幼い息子ジュリアン・レノンや、レノンの当時の奥さんシンシアが登場したり、
アントニオ達が忍び込んだ映画館で、「僕の戦争」のフィルムのテスト上映で、
ちらりとジョン・レノンが映し出されたり、ビートルズ世代なら、
ニンマリさせちゃってくれるエピソードも、ベリーナイス。

アントニオに扮したのは、
ペドロ・アルモドバル監督作「トーク・トゥ・ハー」が印象深かったハビエル・カマラ。
ずんぐりむっくりでハゲ、あんまり女性には縁がないけど、穏やかで気のいい独身男を、
気負らず、自然体で、人間味たっぷりに演じている。
教師だけに非暴力を心掛けていた彼が、ファンホを傷つけた男に対して、最後にとった行動、
つい拍手したくなってきたやん。

ベレン役のナタリア・デ・モーナは、本作でゴヤ賞新人女優賞をゲットしたらしいけど、
悩みを抱えながら、一歩前に進んでいこうとするヒロインを、ニュアンス豊かに好演している。
ちょっとマークしておきたい女優さんだ。

ファンホ役は、「ブラック・ブレット」のフランセスク・コロメール。
ベレンに愛を感じ、長髪を固辞していたのに、美容師経験もある彼女にあっさり髪を切ってもらったり、
ついでにナニの手ほどきも受けたり、10代の男の子らしさを、さらりと演じてる。

ところで、ビートルズのレコードって、66年以前は歌詞カードが付いていなかったらしんだけど、
レノンが、スペインに撮影に訪れて以来、LPに歌詞が付くようになったそうで、
ということは、実在したアントニオは、実際にジョン・レノンに会って…。

ラストに、カセットテープから、
生ギターでレノンが歌う「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」が流れるんだけど、
声がレノンまんま、レノン本人であるはずがないし、でもレノンの声だし…
ちょい気になってしもたやんかいさぁ。

松竹 2016年1月6日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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