「アノマリサ」(15年・アメリカ) めっちゃ人間くさい、アダルト&シリアスなストップモーションアニメやんかいさぁ!

アノマリサ
静止している人形などを一コマずつ撮り、連続再生することで動いているように見えるストップモーションアニメ。
最近作じゃ、「グランド・ブタベスト・ホテル」のウェス・アンダーソンが撮ったキツネが主人公の「ファンタスティックMr.FOX」(09)が僕のお気に入りだけど、この「アノマリサ」も、そんなストップモーションアニメの最新作。

なんでも、今年のアカデミー賞の最優秀長編アニメーション映画賞にノミネートされ、何かと話題を呼んだんだそうだけど、日本じゃ、「東京アニメアワードフェスティバル2016」で上映されたのみで、劇場公開はされずソフトスルーとなっちっち。

監督が、「マルコヴィッチの穴」の脚本や「脳内ニューヨーク」の脚本・監督など風変わりな作品で知られるチャーリー・カウフマンだし、成人指定(R-15)アニメってところにも興味をひかれ、いったいどんなアニメなんやろとレンタルして見たんよね。

で、これが何ともヘンテコリンというか、一筋縄ではいかないというか、
妙に生々しくって、でもって切なくて、エンタメ的なものから遠くかけ離れているんだけど、
妙に映像に惹きこまれる、なんとも不可思議な作品だったやん。

主人公は、顧客電話サービス(カスタマーサビス)の極意のビジネス書の著者マイケル。
人生にお疲れ気味のマイケルは、講演のためにシンシナティーを訪れた。
彼は、自分以外の人間の顔や声が、同じに見え、同じに聞こえるという問題(悩み)を抱えていた。
だが、彼の講演を聞きに来ていた、同じホテルに宿泊していた女性リサに出会い、
彼女だけが、彼女自身の声(別の声)に聞こえ、彼女に惹かれていく…。

元々、朗読劇として書かれたものを映像化したものらしいんだけど、
そのせいもあるんだろうけど、最初にこの映画を見たとき、
「私以外の人間の声が同じに聞こえる」ってな説明的なセリフがないこともあって、
マイケル以外の人間の声が、男に限らず女の人まで同じなのに、
なんか違和感を抱いてしまったやん。
リサの声が流れて初めて、なるほど、そういうことだったのかと気づかされたけど。
(気づくのが遅いか!)

マイケルが、ホテルの自分の部屋に入るなり、
トイレに駆け込み、オシッコをしたり、酒を飲もうと氷を撮りに廊下に出るシーンがあるんだけど、
誰もがやりそうなことを、人形ながら、実にリアルな動きで表現されている。
オシッコなんて、ちょろちょろ出ている感じや仕草まで見せるんよね。
なぜ、そこまで?と思ってしまうんだけど、人形の繊細な動きに、ついつい見入ってしまう。

リサは、同僚で美人のエミリーと一緒に来ていて、
エミリーじゃなく、美しくもなく、顔に傷をもつ自分の方に、なぜマイケルが好意を寄せてくれるのか、
初めは、疑ってかかり用心していた彼女だったが、
「君の声は魔法だ」とか言われ、彼の喜びに満ちた笑顔を見ているうちに、
彼に心を許し、打ち解けていき、ベッドで抱き合い、そして…。

ここから成人指定ともなったエッチシーンが展開されるんだけど、
マイケルがリサの下着を下して、両足の間に顔をうずめ、クチュクチュリ~ン!
リサは気持ち良さげアァ~ン・ウゥ~ン!
やがて、互いに着ているものを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になって…。

DVDの特典に、ベッドシーンのメイキング映像があったけど、
実際にポルノ俳優に実演してもらい、その映像をもとに人形を動かしたみたい。
それだけに、人形とは思えぬ、微妙にリアルな感じが伝わってくる。

どうも、このアニメ、マニアックなまでに細かい動きや造形にこだわっているような気がするな。
マイケルが、シャワーを浴びたあと、鏡に向かっていたとき、
通路を歩くリサの声を初めて聞いて、慌てて素っ裸のままバスルームから出て、
服を着ようとする場面でも、
マイケルのチンポコがブラブラリ~ン揺れるところまで、きっちり見せたりするしね。
マイケルの体も、くたびれた50男の体型そのものってのもね。
なんていうか、生活感が漂いまくってるのよ。

人生に虚しさを覚え、くたびれ気味のマイケルの心に一筋の輝くような光をさした存在がリサ。
でも、翌朝、ともに朝食をとっているとき、マイケルはリサのある仕草が気になり…。

結局、一筋の光は、つかの間の光だったのか、
それとも、それは、単にマイケルの錯覚だったのか、
ひょっとして、次の明るい人生の扉を開こうとするサキガケだったのに、
つまらないことで、それを棒に振ろうとしたのか…。

もの悲しくて、やりきれなくて、でも、どこかホッコリと優しくて、
なんとも言えない余韻に浸ってしまうエンディングやん。

ところで、子どもへの土産に、間違えて入ったアダルトショップで、
ケッタイな日本の芸者チックな人形を買ったり、
でもって、この人形が♪モモタロサ~ン♪と日本語で歌ったり、
ヘンなエピソードも出てくるんだけど、これは意味があるのかないのか。

タイトルの「アノマリサ」というのは、
他人とは違う、一般とは違うという意味の「アノマリー」と女性「リサ」をくっつけたもの。
ラストにリサが、「アノマリサ」を和英辞典で調べたら「天国の女神」と意味だったって言うんだけど、
ここんところは???。
日本のどこか地方の言葉にでもあるんやろか?
それとも、天照(アマテラス)かなにかの言葉を、聞き間違いして言うてるんやろか。

声は、マイケルに「ハリー・ポッター」シリーズのルービン先生で知られるデヴィッド・シューリス、
リサに「ヘイトフル・エイト」で久々に元気な姿を見せたジェニファー・ジェイソン・リー。
そして、その他の人間の声に「脳内ニューヨーク」に出ていたトム・ヌーナン。

とにかく、ちょい難解というか、解りずらい部分もある映画なんだけど、
でも、また見たくなってくる、
なんだか深いや~んと思わせる、異色作でアノマリサ!

NBCユニバーサル・エンターテイメント 2016年6月3日リリース



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ジャンル : 映画

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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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