「カットバンク」(14年・アメリカ) 一つの殺人(?)事件が、次々と新たな犠牲者を生んでしまう、ド田舎スリラーやん!

カットバンク
「カットバンク」ってタイトルから銀行に絡んだ犯罪ドラマと思っていたら、”カットバンク”ってのは、アメリカで最も寒い街と言われているらしい、カナダに接したモンタナ州の小さな町の名前で、そこで起こる偽装殺人事件が発端のサスペンス映画だったやん。

主演が、話題のSF大作「インディペンデンスデイ:リサージェンス」のリアム・ヘイムズワース、脇を「RED」のジョン・マルコヴィッチ、「チョコレート」のビリー・ボブ・ソーントン、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のブルース・ダーンと、ベテラン名優が固めているのに、劇場未公開&ソフトスルーとはこれいかに?

なんでかな~と気になって見たんだけど、ヒネリの利いたストーリー展開で、それなりに楽しめる作品であ~りました。

何の刺激もない人口3000人の小さな町カットバンク。
そ町に住む若者ドゥエインは、恋人で町のミスコンにでるカサンドラを撮影していて、
偶然、郵便配達人ジョージーが何者かに射殺されるところを撮ってしまった。
そして、なぜかジョージーの死体と配達トラックが消えた。
ドゥエインは、警察官ボーゲルに証拠としてビデオを差し出すが、
実は、情報提供の懸賞金をあてにした、ドゥエインが企てた偽装殺人だった。
しかし、町一番の変人ダービーが、是が非でも受け取りたい小包を探し出そうとしたことから、
事態はとんでもないことに…。

オープニングに、ジョージーが配達する小包の一つ、
青いバッグが意味ありげに映し出されるんだけど、
最初はそのバッグの意味するところが明かされない。
やがて、ダービーの登場により、彼が必死で探していたものが、
そのバッグらしいと見ている側が気づかされる。でも、なぜそのバッグが必要なのか…。

監督は、テレビ畑で活躍していたマット・ジャクソンの劇場映画デビュー作だそうだけど、
なんていうか、ソツはないけど、味わい不足気味で、緊張感も薄いし、
いまいち、見ていてグッとくるものがないんよね。
物語のどこにポイントを置くか、途中でまごついてしまったみたいな感じ。

マルコヴィッチは、のんびりした平穏な街で起こった殺人現場のビデオを見て、
すぐ吐き気をもよおし、トイレでゲーゲー吐いてしまう、
誠実だが気弱な田舎警官を、微妙なさじ加減でサラリと演じているし、
ブルース・ダーンは、少々ぐうたらな喘息気味の郵便配達オヤジを、これまた、
ベテランらしく、力まず演じて見せてる。

でも、結局のところ、ダービーに扮したマイケル・スタールバーグが、一番印象深いのね。
めっちゃ度のきつい瓶底メガネをかけてて、全身から変人オーラを発散しまくりチヨコ。
「森で拾われた頭の足りない子」って町の人間に言われ、
ほとんど誰とも付き合わず、どこかに消えてしまったなんて思われてる男を、
スタールバーグは、軽いサイコ風味を匂わせつつ、実に陰気くささ満々に演じてる。
彼、コーエン兄弟のアカデミー作品賞にノミネートされた「シリアスマン」の主演で注目され、
「ブルージャスミン」「ヒューゴの不思議な発明」など話題作に出ていたらしいけど、
いままでは、そんなに印象に残らなかったな。
「カットバンク」じゃ、物語を引っ掻き回す重要な役柄ってのもあるけど、なかなか目立つやん。
これからは、彼の出演作、チェックしようかな。
「シリアスマン」も、見てみたいなぁ。ソフトが出ないやろか。

周囲を演技派やベテランに囲まれ、
ヘイムズワースは、主役のはずなのに、なんだかあまり目立たない。
寝たきりの父の世話をし、うだつのあがらない日々に、やりきれなさを感じ、
都会に憧れている男を、控えめに演じているって感じ。

カサンドラ役テリーサ・パーマーも、ミスコンで下手くそな歌を披露して優勝してしまうんだけど、
取り立てて見せ場がなく、ちょいもったいない扱い。

物語は、次々と犠牲者が出てしまい、どういう結末に持っていくのかなと見ていたら、
なんかな~、僕には、どうにも納得しかねるエンディング。
その結末に持っていくなら、カサンドラの頑固おやじ(ビリー・ボブ・ソーントン)と、
警官ボーゲルの関係や過去を、もう少し描くとかしなきゃダメよ、ダメよ、ダメなのよ~、
と思ってしまいましたわさ。

監督は、どうも、登場人物それぞれの背景を、すっ飛ばし過ぎたような、そんな気がするな。

残念とまではいかないけど、良い役者を揃えたまではいいが、
素材は良いのに、料理の味付けを微妙にしそこなった、そんな映画であ~りました。
退屈はしないんだけどね。

ミッドシップ 2016年7月2日レンタルリリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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