「ザ・サムライ/荒野の珍道中」(74年・イタリア) 詐欺師と保安官と日米ハーフ足軽トリオが繰り広げるオバカ・マカロニ・ウエスタンやんかいさぁ!

マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション・12   ザ・サムライ 荒野の珍道中

今年の4月から朝日新聞出版が発売開始した分冊百科のひとつ、
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」シリーズ。
隔週で2作品セットで発売されていて、気になる作品があったら購入しているんだけど、
先週買ったのが「ザ・サムライ/荒野の珍道中」「帰って来たガンマン」の2作品収録の12号。

僕の好きな「続・荒野の用心棒」(66年)「殺しが静かにやって来る」(68年)のセルジオ・コルブッチが
最後に撮ったマロニ・ウエスタンが「ザ・サムライ/荒野の珍道中」で、
それも「続・荒野-」や「殺しが静かに-」と違ってオバカ・コメディ・ウエスタン。

日本じゃ劇場未公開となり、80年代にビデオが発売されたらしいけど、
それが今年、HDリマスター版でDVDリリース。
めっちゃ笑える、チョー・オモシロ・バカ・ウエスタンって記事をいろんなネット・ブログで目にし、
見たいなあと思っていたけど、DISCASでもレンタルされていないし、買うのもなあと思っていたら、
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」シリーズの1本として発売。
2作品で1900円ちょっとと安いし、迷わず買ってしもたんよね。

で、見たんだけど、名作・傑作とは言えないけど、
ほんまに底抜けにノーテンキでオバカこのうえない、楽しさ満々の作品だった。
とにかく日米ハーフの足軽・サクラのアホ・キャラがサイコーに笑わしよるんよ。

日本人移民のため、アメリカ大統領に神聖な仔馬シン・ミを献上するため、
列車で運んでいたサムライとシン・ミのフンの世話役(足軽)のサクラ。
だが、アパッチに襲撃され、サムライは命を落とし、シン・ミが誘拐されてしまった。
そして、アパッチたちは、仔馬の身代金100万ドルを要求してきた。
保安官ブラック・ジャックが身代金を運ぶ役目についたが、
たまたま列車に乗り合わせていた詐欺師スイス・チーズは、
ブラックに逮捕されるが、身代金をせしめようと脱出し、彼の後を追った。
サクラも、命より大事なシン・ミ様を取り戻すべく、ブラックと合流した。
そして、いろいろあって3人の珍道中が始まった…。

本作、なんでも三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンが共演した
西部劇「レッド・サン」(71年)のパロディとして作られたんだそう。
「レッド・サン」じゃ、合衆国大統領に贈るのは「宝刀」だったけど、
有難みがあるのかどうか、こっちは「仔馬」(ポニー)。
頭の毛をちょこんと結んで立ててるのが、ちっとも神聖ぽくないのね。

サクラは、米国兵士と日本の遊女の間に生まれたハーフなんだけど、
口の上の両端にチョコンと髭をたくわえ、雑なオカッパに団子を乗っけたような珍妙なヘアスタイルで、
風貌からして、どうにもこうにもヘンテコリン。
武士に憧れ、日本にいるときは「東京のサムライ学校に行きたかった」と
ワケのわからんこと言いよる。
とにかく、この映画の侍(さむらい)のイメージは、時代背景もそうだけど、かなりデタラメ。
でも、助けられた相手に対する恩義を重んじるなど、武士道精神はそこそこある。
演じるは、「ガンマン大連合」の陽気なキャラから、「情無用のジャンゴ」のニヒル・キャラまで、
マカロニ・ウエスタンじゃ、なんでもこなすトーマス・ミリアン。
ハンサムなのに、ほとんど本人とは分からないメイクで、ケッタイな日米ハーフを珍演。
こんな日本人キャラは日本じゃ絶対に受けないと劇場未公開になったのかもね。

詐欺師スイス・チーズに扮するは、
マカロニ・ウエスタンの貴公子なんて称されてるジュリアーノ・ジェンマ。
僕は、あまり好きな俳優じゃなかったんだけど、
本作じゃ、ニクメないヒョウキンな詐欺師を軽やかに演じていて、ちょい好感が持てたな。

そして、堅物の保安官ブラック・ジャック役は、「続・夕陽のガンマン/地獄の決闘」(66)で
ずる賢い悪党を演じて強い印象を残した、ちょいシブ親父、アメリカ俳優イーライ・ウォラック。
本作じゃ、どう見てもブサイクな女装姿を楽しくなさげに披露してる。

とにかく、それぞれのキャラが際立ち、
互いに出し抜きあう3人のヘンなトリオっぷりが、実に楽しい。

コルブッチは今までのマカロニ・ウエスタンに飽き飽きしたのか、
オバカ路線を突っ走り、次から次とアホなギャグを連発しまくりチヨコ。
ベタなものから突拍子もないものまで、ギャグはてんこ盛りだけど、
本作を未見のひとのために、あまりギャグのことは言わないでおこうかな。
ただ、ストーリーは意外にキッチリしていて、
シン・ミ誘拐のアパッチたちが実は…、誘拐事件の裏に隠された企みとは…など、
最初は、行き当たりばったり的展開に見えて、後半に意外な事実が明るみになり、
なるほど、そういう事だったのかと納得させられるやん。

単なるオバカ・ウエスタンに見えて、
さすがコルブッチ、押さえるところはキッチリ押さえている。

ただ悪党キャラが少々弱いかな。なんか安っぽいんよね。

それと、収録されているのがアメリカ版で、
イタリア版オープニングがカットされているらしく、
カット部分が、唐突なラストの伏線となっているらしいのね。
ま、なくっても、あまり気にならないような気がするけど。

しかし、このサクラは、何度でも見たくなってくるなぁ。
僕の好きな映画の中の個性キャラのうちでもナンバー3に入るくらい強烈やったわぁ!

朝日新聞出版 2016年9月15日発売 1843円(税別)



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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