「ソムニア -悪夢の少年-」(16年・アメリカ) ちょい切なくて温かい、ホラー風味のダーク・ファンタジーでおまんにやわ!

ソムニア -悪夢の少年-
悪夢を扱ったホラー映画と言えば、眠ると殺人鬼フレディに襲われる悪夢世界におちいり、夢の中なのに本当に殺されてしまう「エルム街の悪夢」をまず思い浮かべてしまうけど、はたしてこの未公開ホラーじゃどんな悪夢が登場するのか!

「ソムニア -悪夢の少年-」って邦題から、少年が恐怖の悪夢体験をする話かなと思って見たんだけど、意外や意外、ちょい切なくてヒューマンな味わいもあるダーク・ファンタジーで、ラストじゃちょいウルッときてしもたやん。

愛する息子ショーンを亡くしたジェシーとマークの夫婦。
二人は悲しみから立ち直ろうと、8歳の少年コーディを里子として迎え入れることにした。
おとなしくて礼儀正しいコーディだったが、
彼は、なぜか眠りにつこうとせす、蝶の図鑑を眺めて夜を過ごすのだった。
そんなある夜、ジェシーとマークがリビングでくつろいでいると、
突然目の前に、色鮮やかな蝶たちが現れ、二人の周囲を飛び交った。
次の夜には亡くなったはずのショーンまで現れた。
驚きよりは嬉しさのあまり息子を抱きしめるジェシーだったが、
その姿はカスミのようにすぐに消えてしまった。
そして、起きてきたコーディが「ごめんなさい、僕が夢を見たから」と二人に告げた…。

冒頭、スヤスヤと眠る少年コーディの前に男が凶器を持って現れ、彼を手にかけようとするが…
ってな、いかにもホラー映画のオープニングっぽい場面で始まり、
いったい少年にどんな邪悪な魂が潜んでいるのかと興味をわかせ、ツカミはOK。

そしてジェシーたちの家で起こる不可思議な現象が描かれていくんだけど、
どうもホラーじみたエグイ描写は避けているみたいで、飛びかう蝶や死んだ少年の愛くるしい笑顔など、
なんとも幻想的でファンタジック。

と思って見ていたら、突如、不気味で禍々しい怪物らしきものが現れ、ジェシーの夫マークを…。

適度にホラーっぽい描写を交えながら、
物語は、特別な能力を持つがゆえの少年の心の闇と哀しみを、
じんわりと描き出していくんよ。

コーディが、怪物をキャンカーマンと呼ぶんだけど、
その名前にも、切ない理由があったりして…。
また、蝶が現れる理由も。

映画「シックス・センス」じゃ、
8歳の少年コールは、死んだ人間を見ることができる能力に悩んでいたけど、
本作のコーディもコール同様、ある能力を持ったゆえに悩んでいる。

監督・脚本のマイク・フラナガンは、
「人喰いトンネル」(10)「オキュラス/怨霊鏡」(13)と、ホラー中心に撮ってる人みたいだけど、
「ソムニア-」じゃ、ホラー要素は控えめに、ジェシーとコーディの心情にスポットをあて、
肉親を失ってしまった人間の悲しみゆえの行動を、
最後に心温まる(!?)ダーク・ファンタジーとして、手際よく描いて見せてるな。
ただ、里子を紹介するソーシャルワーカーの女性や学校のイジメっ子など、
多少描写不足気味なところもあるけど。

コーディに扮しているのが、第88回アカデミー賞で作品賞などにノミネートされた「エール」で、
ヒロインの息子を演じていたジェイコブ・トレンブレイ。
自分の特別な能力に悩み怖れながらも、誰かを傷つけてしまう少年を、
とてもナチュラルに演じていて、物語に説得力を与えているなあ。
放送映画批評家協会賞で若手俳優賞をゲットしたのも納得の演技よ、ほんまに。

ジェシー役ケイト・ボズワースは、
最初は少年コーディの能力を身勝手な理由で使おうとするけど、
その過ちに気付き、彼の出生の秘密を探り、心の闇を解きほぐしていこうとするヒロインを好演。
「スーパーマン・リターンズ」(06)じゃロイス・レインを演じるなどスター女優になりそうなのに、
なんかいまいち地味な感じ。演技力はあるんだけど、華に欠けるのかなぁ。

ところでジェイコブ君は、「エール」で、アメリカじゃ天才子役なんて言われて、
今後も出演作が続々あるみたいだけど、誰かさんみたいにヒン曲がったり落ちぶれたりせず、
俳優として順調に成長していって欲しいな、なんて老婆心ながら、思ってしまいましたわさ。

ギャガ 2016年9月16日レンタル&セル・リリース



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森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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