「ミッション・ワイルド」(14年・アメリカ/フランス) 心を病んだ女たちと流れ者が荒野を旅するロードムービー・ウエスタンやん!

ミッション・ワイルド
缶コーヒーBOSSのCMでお馴染み、宇宙人ジョーンズことアメリカ俳優トミー・リー・ジョーンズが監督・主演した日本劇場未公開の異色ウエスタンが、この「ミッション・ワイルド」。
2年前に、京都ヒストリカ国際映画祭で「ホームズマン」の原題で上映されたらしいけど、日本でも知名度のある俳優がドドッと出ていたにも関わらず劇場未公開となり、遅まきながらソフトリリースされたんよね。
トミー・リー・ジョーンズにとっちゃ2作目の監督作で、彼の初監督作「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」は僕はまだ未見だけどカンヌ映画祭で2部門受賞(男優賞・脚本賞)したし、演出手腕はどんなもんじゃろ?と見てみることにしたんだ。

でこれが、今まであまり描かれることのなかったアメリカ開拓時代に東部などから西部の開拓地に嫁いだ女たちの過酷な状況と、それゆえに心が壊れてしまった彼女たちを故郷に連れ戻す様を淡々と描いた、枯れた味わいのロードムービーだったやん。

舞台は19世紀アメリカの開拓地ネブラスカ。
厳しく過酷な荒野の生活で心が病んでしまった3人の妻たちを、
アイオワの教会に連れて行って故郷に送り返すことになり、
独身のメアリーがその役を引き受ける。
その直後、彼女は馬に乗った状態で木に吊るされた初老の男ジョージを目にし、
旅に同行することを条件に彼を助ける。
そして5人の荒野を超える旅が始まった…。

ジョーンズ監督は、荒涼とした西部の風景をシネスコ画面に鮮やかに切り取ってるな。
どこまでも広く荒々しく、どこか寒々とした風景、そんな中を荷馬車に女たちを乗せて進むんだけど、
見るからに大変な旅だというのがすんなりと伝わってくる。
旅の中で、メアリーやジョージの心情が描写されるけど、
なぜメアリーが一人で開拓地にやって来て住んでいのかなど、
あまり過去のいきさつは語られることもなく、
女たちの心を病んだ理由もそんなに丁寧に描かれず小出しにされるので、
見ている側が、推し量らなきゃならない部分があるな。
監督が、あえてそうしたのかも知れないけど、映像展開が時々ブツ切りというか、
女たちの開拓地での生き様が唐突に挿入されたりして、映像の流れがギクシャクするところもある。
メアリーがジョージに対して最後に取った行動も、なんとなく分かるような、そうでもないような。
なんていうか、映像の行間を読みこんでいかないと話に置いてけぼりを食ってしまいそうな感じかな。
アメリカ映画なら、もう少し解りやすく描いてもいいように思ったけど、
そうする気ははなからなかったような感じ。
しかし、物語の後半のメアリーのあまりにも唐突な…。
エエッと思ってしまいましたわさ。
いずれにしろ、西部劇の隠された部分をちゃんと描こうとした監督の心意気はなかなかよね。

メアリー役のヒラリー・スワンクは、東部からやっきた音楽が好きな31歳の女性で、
結婚願望があるのに、気位が高いゆえに男たちから敬遠され誰からもつれなくされるヒロインを、
リアルに演じて見せてる。
旅のさ中、一人迷子になって取り乱し、やっとジョージを見つけたときに泣きわめきいたり、
ジョージに結婚してと申し込んでも断られ、気位どころか生きる気力さえ失っていくところは、
痛々しいやら切ないやら。そしてとうとう…。

トミー・リージョーンズは、軍隊からの脱走した過去がある流れ者で、
義理堅く、どこか剽軽で多少の正義感を持ち合わせた男を、気張らずに演じて見せる。
メアリーとは、異性と言うより戦友のような気持で接していて、
彼女から結婚がダメなら、せめてセックスをして迫られても、
あくまで友情から仕方なく行為に及ぶなど、心優しさが滲み出るところがナイス。

心を病んだ主婦を演じる3人の女優、
グレイス・ガマーは、生んだ子供を次々と亡くし心が壊れた女の役で、
布製の人形を手放せないでいる若い妻を熱演。
オーストラリア出身のミランダ・オットーは、
夫から子供を産む道具としてしか扱われず、母の看病も重なり、これまた心を病んでしまう女を好演。
デンマーク出身のソニア・リヒターは、気がおかしくなって凶暴になる女を、これまた生々しく演じてる。

脇のキャストが、ハリウッドの大物俳優ジョーンズだけに、
彼が声をかけたのかどうかは分からないけど、なかなか豪華。
グレイス・ガマーの実の母であるメリル・ストリープが、ラストで教会の牧師の妻役で顔を出し、
ジョージが荒野にぽつんと建ってるホテルで出会う陰険なホテルオーナーにジェームス・スペイダー、
メアリーの知り合いの牧師にジョン・リスゴーと大物系が次々登場するんよ。
コーエン兄弟の「トゥルー・グリット」(10)で数々の映画女優賞をゲットしたヘイリー・スタンフェルドも
ホテルの裸足のメイド役でチラリと登場するし、ほんまに俳優に関しては贅沢でおまんにやわ。

本作、エンターテイメント性にはいまいち欠けるけど、
異色のウエスタンとして見て損はない作品かなって印象であ~りました。


トランスフォーマー 2017年12月22日リリース



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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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