「マッド・プロフェッサー 悪の境界線」(15年・スペイン) 殺されたがる教授と、彼の希望を叶えようとする教え子達のスパニッシュ・サスペンスなんだけどねぇ!

マッド・プロフェッサー 悪の境界線
スペイン映画と言ったら、アレックス・デ・ラ・イグレシアス、ペドロ・アルモドバル、ジャウマ・バラゲロ、ハヴィエル・フェセルなど僕のお気に入りの個性の強い監督が結構いて、彼らの作品は欠かさず見るようにしている。
彼らの作品を見てスペイン映画の面白さに目覚めさせられたようなもんで、ソフトリリースされるスペイン映画があれば、ジャンルを問わず結構追いかけて見ている。

ま、スペイン映画だから面白くって当たり前ってわけでもなく、当たり外れもあり、そうそう面白い映画を撮るスペイン監督に出くわすことはあまりない。
ひょっとしたら、面白い映画を撮るスペイン監督がいても日本で紹介されていないだけかも知れないけど。

この「マッド・プロフェッサー 悪の境界線」も、そんなスペイン映画の1本で、
WOWWOWで放映されたのみで劇場未公開作品。
ジャケットにインパクトがあり、期待を胸に見てみたんよね。

父がギャンブルで作った多額の借金を抱え、返済に四苦八苦している息子の学生ガラルダ。
なんとか卒業後の就職口は見つかったが、単位不足で卒業が危ぶまれ、
心理学教授エスピノーサに評価点を上げて卒業できるようにと頼み込んだ。
すると、教授から成績を改ざんする代わりに自分を殺してくれと頼まれる。
教授は、自分の過失から事故で愛妻の妻を四肢麻痺の重傷を負わせてしまい、
治療のための莫大な費用を捻出するため、自責の念もあって、
自分が死んで多額の保険金を手に入れ、それで妻の体を元通りにしたいと考えたのだ。
そんな無茶苦茶な取り引きはできないと、ガラルダは最初は断るが、
自分を殺してくれたら、多額の報酬も払うと言われ、それで借金がチャラになるんならと、
学生仲間も巻き込んで教授殺害を実行に移そうとするが…。

最初に、エスピノーサ教授の大学の教室の授業で、
「善悪の境界線は心の中にある。心の声に従いなさい」と彼が学生たちに語り、
物語は、善悪の境界線で右往左往する学生たちの姿が描かれていくこととなる。

監督は、脚本も兼ねているゴンサロ・ベンダラ。
導入部分は悪くないんだけど、学生たちが教授殺害を始めるあたりから、
どうにもこうにもメリハリに乏しいと言うか、平板に展開し、ちっともスリリングじゃないんよね。
演出のキレがいまいちなんよ。
ガラルダが薬を飲ませて殺害したと思った教授の部屋に忍び込んだとき、
彼の恋人ヌリアが教授に部屋に訪れる場面も、編集の手際がいまいちなのか、
ちっともハラハラさせないしなぁ。
結局は、殺害も失敗続きだし、まさかこんなところでって感じで、
教授が死の瀬戸際まで行ってしまうんだけど、それもなんかご都合主義っぽいしなぁ。
どうも、ベンダラさん、演出センスはどうもなぁって感じ。
いっそ殺しそこない続きをコメディ仕立てにして見せた方が、
よっぽど面白くなるんではとも思うけど、監督にコメディセンスはなさそうだしなぁ。

ヌリアは、姉が自殺したことから、その原因を探ろうと心理学を専攻したんだけど、
それも結局、専攻したってだけで原因が究明できたわけでもないし、
物語の本筋にに絡んでくるわけでもない。

「自殺の決定権は個人にあるべき。人生をどう終わらせるかのね」
「人生の非情さを脳は受け止めきれない」
とか、ちょい心理学的というか哲学的っぽいセリフがちょこちょこ出てくるが、
これまた、どうも上滑り気味。

なんとか作品を最後まで観れたのは、
死を望む教授に扮したミゲル・アンヘル・ソラの渋さ漂う懐の深い演技のおかげかな。
自分の過ちを深く悔い、愛する妻のために死のうとして
自分自身ではそれが出来ない心の弱さを、巧みに演じて見せる。
スペインじゃベテラン俳優なんだろうと思うけど、物語の核となる人物だけに、
それをしっかり意識した演技なんよね。
あの最後の姿、ニクイやないのぉ。
それに、彼に殺害を依頼されるガラルダ役、北村一輝似のマキシ・イグレシアスも、
ソラに負けず劣らず、教授の依頼を戸惑いながらも実行に移そうとする青年を、
柔軟に演じ、二人の関係がどうなっていくのかに興味を持たせる。

ちょこっと出てくるヌリア役アウラ・ガリードも、なかなか魅力的だし、
ガラルダの学生仲間達も、それぞれのキャラを過不足なく演じている。

まあ、そこそこ良い役者が揃っているのに、
ベンダラ監督の演出力の弱さで、
ちょっと残念な仕上がりになっちっちって作品であ~りました。

他に、面白い映画を撮るスペインの監督、おりまへんけぇ!


トランスワールドアソシエイツ 2018年 5月2日レンタル・リリース



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森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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