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「グッバイ・クリストファー・ロビン」(17年・イギリス) 「くまのプーさん」のせいで人生が明るくなったり暗くなったりするクリストファーってか?

グッバイ・クリストファー・ロビン
今年9月に、クマのプーさんと大人になったクリストファー・ロビンが主人公のディズニー映画「プーと大人になった僕」が公開されたが、この映画に便乗しれソフトリリースされたってわけでもないと思うけど、「くまのプーさん」の作者A・A・ミルンと彼の息子クリストファー・ロビン・ミルンの関係を描いたのが、この「グッバイ・クリストファー・ロビン」。

A・A・ミルンが、いかにして児童小説「くまのプーさん」を書くことになったかの作品誕生秘話とも言える作品だけど、父と息子の心がすれ違っていく様をクラシカルな映像の中に穏やかなタッチで描いていて、ちょっぴり胸にグッとくる、なかなか味わい深い作品だったやん。

第一次世界大戦から帰還したミルンは、
辛い戦争による心的外傷後ストレスに悩んでいた。
そんななか、妻のダフネが妊娠し、男の赤ちゃんクリストファー・ロビンが生まれた。
ミルンは、文筆業に復帰するため、反戦を訴える執筆に取りかかったが、
なかなか思うように書けず、思い切って気分転換しようと家族と共に田舎町に引っ越した。
クリストファーの面倒を見てもらうナニーとして独身のオリーヴも一緒だった。
派手好きのダフネは、引っ越しても夫がちっともペンを走らせないことにイラつき、
ロンドンに帰ってしまった。
オリーヴも病気の母の看病のため実家に帰ることになり、
ミルンとクリストファーの二人だけで暮らすことになった。
親子ながら、最初はなかなか打ち解けあえずにいたが、
二人で森に出かけて過ごすうち、心が通い合うようになった。
ある日、クリストファーがミルンに「僕のために本を書いてよ」と言った。
ミルンは、クリストファーがいつも手に持っているヌイグルミのクマを見てアイデアを思いつき、
息子のために物語を書き始めた…。

ミルンが、自分の詩に、
友人で挿画画家のアーネストにヌイグルミのクマとクリストファーの絵を描いてもらい、
ロンドンのダフネに送ったら、彼女がそれを雑誌ヴァニティフェアの編集者に見せ、
気に入られて掲載され、人気が出た。
そして、クリストファーが登場する物語「クマのプーさん」の児童小説が出版され、
彼も人気者になっていくが…。

物語を生み出したミルンより息子のクリストファーにばかり周囲が注目することに、
ちょっとジェラシーを覚える少々気弱な父や、
息子の気持ちも考えずに様々なマスコミに彼を引っ張り出そうとする母、
そして、それに振り回されるクリストファーを心配するオリーヴ。
それぞれの心情を、優しく穏やかな視線で軽やかに綴られていくな。

クリストファーが親元を離れて男子学校に入りイジメにあい続けたり、
オリーヴに愛する男性が出来てダフネに嫌味を言われるなど、
辛辣に描けそうな場面も、あまりそうにはならず、さらりと描写される。
実在の人物だから遠慮があったのかどうか分からないけど、
ちょっぴりほろ苦さを漂わせるだけに留めている。

監督は「黄金のアデーレ 名画の帰還」(15)「マリリン 7日間の恋」(11)のサイモン・カーティス。
ドラマ的に少々深みに欠けるきらいはあるけど、
父と息子の決別と和解のストーリを軸にして軽やかに物語を綴り、
ラストで、じんわりとハートフルな気分にさせちゃってくれるところはニクイやんかいさぁ。
木漏れ日が降り注ぐ森や清流が流れる小川など、美しい自然をとらえた映像が何とも美しい。
衣装や美術なども、レトロムード満点で実に丁寧に作り込まれている。

ミルン役は、
「スター・ウォーズ フォースの覚醒&最後のジェダイ」で、
ハックス将軍を演じたドーナル・グリーソン。
知的だが、ちょい神経質っぽい風情がキャラにマッチしていて、
心的外傷で悩んだり、息子への接し方に戸惑ったり、
ちょっと不器用な父親像を、力まず巧みに演じてる。

ダフネ役は、「スーサイド・スクワッド」でハーレイ・クインが印象的だったマーゴット・ロビー。
派手好きで勝ち気、ミルンを尻に敷いているような妻を、
ちょいイヤミな感じを滲ませ、それなりに演じてる。しかし彼女の顔立ちって、なんかケバイなぁ。

ロビーよりオリーヴを演じたケリー・マクドナルドの方が印象的だ。
気立てが良くて、おとなしく、控えめだが愛情にあふれる女性を見事に演じてる。
彼女が、成人したクリストファーと橋から小枝を川に流すシーンは、心がホッコリとしてしまう。

クリストファーの子供時代を演じたウィル・ティルストン。
劇映画初出演で、出演時は8歳だったそうだけど、
物語のカナメとなる役柄を表情豊かに好演。
あまり演技してますって感じはなく、自然体でノビノビと演じているって気がしたな。
成人になったクリストファー役は、アレックス・ロウザー。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」では、
主人公役ベネディクト・カンバーハッチの少年時代を演じていた俳優だ。
「くまのプーさん」に登場したおかげでイジメにあい続け、
それがもとで父と決別して軍隊に入るが、戦地で仲間が「くまのプーさん」の歌を口ずさむのを聞き、
父の生み出したキャラクターが人の心を慰め励ましているんだと知ったと父に話し
和解するところは、じんわりと胸が温まってくる。
ちょっとクセのある顔立ちで、ひ弱なイメージだけど、性格俳優として伸びるカモ~ン。

この映画を観終わって、なんだかクリストファー・ロビンのことが気になってしまったやん。
映画によると、彼はその後「くまのプーさん」の印税を一切受け取ろうとせず、
ロンドンで小さな書店を始めたらしい。
デェズニーの「プーと大人になった僕」は、全くのフィクションだけど、
クリストファー・ロビンをどんなふうに描いているか、ちょっと見てみたくなったやんかいさぁ。
DVDレンタルされたら借りてみようかなぁ。


20世紀フォックス・ホームエンターテイメントジャパン 2018年10月3日レンタルリリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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