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「フェーズ7」(09年・フランス) 恋人が凶悪ミュータントになっても愛し通せるかな!

フェーズ7

洋画・邦画問わず、最近の作品タイトルって、英語のカタカナ表記や外来語ばかりで、
たまに、何の意味か、よく判らない時がある。
本作の「フェーズ7」って言葉も、雑誌「DVDデータ」の新作案内ページで見た時は、
最初、何の事やらさっぱり判らなかったけど、
感染者を怪物化するウィルスが猛威を振るうとか書いてあったので、
どうも、フェーズってのは、感染の度合いのことではないだろうかとかってに推測したわさ。

レンタル店で、この作品を目にした時、ジャケットの題名の下に、
サブタイトルとして「超厳戒感染レベル」とあったので、やっぱり感染の度合いだったんだなと納得。

「フェーズ」のことをネットで調べたら、
世界保健機関が、感染が世界的に大流行する危険性や、
事前対策を実施する必要性について知らせることを目的として、警戒レベルを6段階に分類しているそうで、
フェーズ1は「ヒト感染のリスクが低い」、2は「ヒト感染のリスクはより高い」、
3は「ヒトからヒトへの感染は無いか、極めて限定されている」とかあって、
4、5を飛ばして、6は「世界的大流行が発生し、急速に感染が拡大する状態」のことらしい。

その警戒レベルのもう一つ上の「フェーズ7」。

世界保健機構じゃ、「インフルエンザ・パンデミック計画」に、フェーズ7ってのがあり、
これは、パンデミックが発生する前の状態へ急速に戻ることとしていて、
インフルエンザの回復期のことらしい。

7が回復期と言うことは、感染がおさまってきた時期であって、
ちっとも超厳戒感染レベルじゃないと思うんだけど、いかがなもんでしょうか?

ま、それはともかく、
本作は、去年、日本で催された「フランス映画祭2009」で上映されたそうだけど、
劇場公開には至らず、DVDスルーとなってしまったみたい。

リリースされたのは去年の11月だけど、ジャケットのインパクトがいまいいち弱いし、
よくある感染パニック映画やないけ、と手に取らなかったんだけど、
たまたま、100円レンタル・キャンペーンってのをやっていて、
他のDVDを借りるついでに、ひょっとしたらオモロイかもと、おまけに借りたんだ。

で、これが、意外に、出来の良い、ホラー風味のSF感染サスペンスで、
なかなか面白がらせてくれましたわさ。

舞台は、感染すると凶悪なミュータントになってしまうウィルスが蔓延する世界。
恋人同士である看護士らしきソニアとマルコは、黒人女兵士の指示のもと、救急車で、
まだ感染していない怪我人救助を行っていた。
だが、マルコが、感染者に襲われた時、女兵士が銃で殺すが、感染者の血を謝って口に入れ感染しまう。
女兵士も死に、残った二人は、ひとけの全くない荒れ果てた病院に避難し、救助を待つことにする。
ソニアの懸命な介護にもかかわらず、マルコの状態は悪化し、徐々にミュータント化していくが…。

ドラマの中の季節は、一面雪に覆われた冬。
がらんとした病院内の冷えびえとした空気が、二人の孤独感を、うまく際だたせているね。

マルコの精神がどんどん病んでいき、凶暴になってソニアに襲いかかり、
恐怖感からソニアは彼から必死で逃げるけど、
まだわずかに人間の心を持っていたマルコが、自分自身に絶望し泣きわめくと、
優しく抱きしめるソニア。

愛する相手が異形の怪物に変わり果てていっても、まだ愛することができるのか。
愛しているなら、相手に対して何をしてあげればいいのか。
SFホラーの形をとりながら、「愛」をきっちり描いているところが良いなあ。

僕なら、そんな状況の時、どうするだろうか。
愛する相手をほったらかしにして逃げ出してしまうんじゃないだろうか。
ん~、どうするかな…。

この後、二人だけのドラマだと映画として持たないって監督は考えたのかは知らないけど、
中盤から、未感染の武装グループが登場し、アクション要素が強い展開となっちゃう。

確かに、ソニアとマルコの二人だけの物語だったら、地味といえば地味だけど、
僕としちゃ、その部分だけを掘り下げて描いてもええんではとも思ってしまった。
でも、そうしてしまうと、風変わりなアート系作品になってしまうかもね。

基本的に、エンタテインメント作品なわけで、アクション要素が必要だったんだろうね。
だけど、ベーシックな「愛」の部分はちゃんとラストまで押さえてるし、ま、いいか。

案の定、武装グループとソニアのバトルがあり、
ミュータントと化したマルコも、武装グループに襲いかかったり、
いろいろあって、マルコとソニアは、最後にある決断を下すことに…。

監督は、ディヴィッド・モーレイ。フランス人かどうかはわからいけど、
メリハリの利いたシャープな演出で、ソニアとマルコの心理描写も丁寧に描いている。
マルコがミュータント化していく過程も、こうして少しずつ人間でなくなっていくって感じを、
どこか切なさみたいなものを漂わせつつ描写していくところも、うまい。
脚本担当の、ヨハン・ベルナール&ルイ=ポール・ドサンジュのおかげもあるだろうけど。

ゾンビと違って、生きていながら自分自身が怪物化していってしまうわけで、
自身の変化に絶望し、悲嘆にくれてしまうなど、俳優の演技力を要求されると思うけど、
マルコ役のフランシス・ルノーは、それを巧みに演じて見せてる。
特殊メイクで容貌が不気味になっても、目の動かせ方ひとつで、悲しさ切なさを語ってくれるんだ。
ソニアに扮するエレーヌ・フジュロールも、少々地味な印象の女優さんだけど、
恋人の変貌に嘆き悲しみ、それでも気丈に振る舞うヒロインを好演し、物語に説得力を与えている。

アメリカの、この手の映画だったら、
ラストは主人公が助かって良かった良かったとかで終わりそうなところが、
切ない余韻を残してエンディングを迎えるところも、個人的には、ええ感じでおましたわ。

ところで、恋する人が怪物化するったら、
ディビッド・クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」もそうだったなあと、思い出した。
「ザ・フライ」も、ちょい切ないところはあったけど、
切なさの度合いでいったら、「フェーズ7」のほうが上かもって気がするな。

角川映画 2009年11月27日リリース



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テーマ : 日本未公開作品
ジャンル : 映画

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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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