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「アウトランダー」(08年・アメリカ・ドイツ) 宇宙からきた男が、バイキングと共に凶悪生命体と戦うんだけどね…!

アウトランダー

ジョン・ハートって良い役者だと思うし、どんな役でもこなしてしまう実力はあると思うけど、
本作「アウトランダー」のバイキングの一族の長(おさ)ってはのどうもなぁ。
小柄で、ちっともタフに見えない体格だし、それを髭をたくわえたり衣装でカバーはしているけど、なんかなぁ。
「処刑人」の兄弟の父親を演じたタフおやじ、ビリー・コリノーや、
「新スター・トレック」のピカード艦長ことパトリック・スチュアートだったら、
体格もがっちりしているし、いかにも部族を率いるバイキングの長ってイメージにピッタリなんだけど。

「アウトランダー」を見てまず感じたのが、ハートの役柄の不似合いさ。
映画って、当たり前のことだけど、小説と違って生身の人間が役柄を演じるわけだから、
やはり役柄にふさわしい俳優を使わなくっちゃ。

役柄の不似合いさの事から書き出してしまったけど、
このSFアクション「アウトランダー」、なんて言うかキャストもそうだが、
ストーリーにしても、どこかバランスの悪いというか、スッキリしないものを感じたわさ。

はるか遠い惑星からやってきた宇宙船が、
8世紀の地球のノルウェーに墜落し、ただ一人生き残った男ケイナン。
彼は、地上を探索中に、バイキングの一族に捕らえれてしまう。
そのころ、船内に潜んでいた凶悪生命体が、村々を次々と襲い皆殺しにしていった。
バイキングの村にも凶悪生命体が現れ、数人を殺害。
ケイナンは凶悪生命体の仕業だと察知しているが、
それを信じず熊の仕業だと考えるバイキング達と共に退治に出ることに。
そこで、長を救ったことからバイキング達の信頼を勝ち取ちとる。
やがて、凶悪生命体がその姿を彼らの前に現した。
ケイナン達は、生命体の息の根を止める策略を開始するが…。

冒頭、宇宙船がノルウェーの湖に激突水没し、命からがら岸辺にたどり着いたケイナン。
そこで、知識伝達マシンみたいなのを使って地球の情報を脳裏に焼き付けるんだけど、
なんでも、地球を植民地候補惑星のひとつにしていたとかはまだ納得できるけど、
自分の墜落した場所がノルウェーとか、言語はノルウェー語とか、その他諸々の情報まで、
なんで遙か彼方からきた異星人のマシンにインプットされていたかが腑(ふ)に落ちないんよね。
まさか、大昔に地球に探索に訪れて、隅々まで細部にわたって探索しまくってたんかいな。
なんかねぁ、ウソでも、納得できるウソをつかなきゃ。
でもって、ノルウェー語を話すとかいいながら、バイキングの言葉は英語。
異星人であるケイナンも英語。デタラメもええ加減にせなあかんやないけ。

ケイナンに淡い恋心を抱いていく、少々お転婆な長の娘フレイアとか、
腕っ節はいいが長の地位とフレイアを狙い、ケイナンを敵対視したがる男ウルフリック、
それにケイナンを慕う孤児の少年や、ケイナンに好意的に接するお人好しっぽいバイキングなど、
この手の映画にお決まりのキャラが登場するのは、
物語を豊かにするためには必要な要素だし、悪くはないんだけどね。
でも、いまいち描き込み不足というか…。

監督は、「アンダーワールド:ビギンズ」の脚本担当だったハワード・マイケン。
本作も脚本を兼ねているけど、脚本家あがりにしては、物語の荒さというか穴ぼこがあっちこっちに。
だいたい異星人であるはずのケイナンが、あっさりとバイキングに溶け込み過ぎるし、
異星人と地球の人間との違いがなさ過ぎというか、まったく同じ感じ。
未来から過去にタイムスリップしたとかって話ならまだしもね。
でもって、アクションシーンの演出が、短いカット繋ぎだらけで、戦闘状況がなんか判りずらいんよ。
バイキングの時代だけに、剣と盾、それに弓矢など、生身の人間の戦いになるわけだけど、
その生身の人間っぽさって感じが、そんなに漂ってこないし。

凶悪生命体がなぜ宇宙船に潜んでいたか、またなぜ生命体が凶悪になったのか、
それはケイナン達の種族が犯した過去の悪しき行為のせいなんだけど…ってサイドストーリーは、
ちょい目新しい気はしたけど、それもあんまり本筋にはからんでこないしなぁ。
ケイナンが過去の過ちをちょい悔いるだけで、
凶悪生命体は、「エイリアン」みたいに、ただ殺戮を好む生き物としか描写されないんだから。
生命体なりの悲しみなんて、微塵も画面に出てこないのよ。

ま、凶悪生命体の造形もそんなに悪くないし、撮影や美術は、そこそこ丁寧でB級感はないんだけど、
演出力がBマイナス級って感じよ。ガツンッとこないんだわさ。

ケイナン役は、「パッション」のジム・カヴィーセル。惑星に残した妻子を想うシーンじゃ、
切なげな瞳がナイスな感じだけど、この人、どこか地味っぽい印象で、あんまり溌らつ感がないなあ。
この役柄、彼に合ってないんじゃないじゃろか。
彼より、ウルフリック役のジャック・ヒューストンの方が、印象に残る。
最初は憎まれ役だけど、後半は、なかなか美味しい役柄に転じちゃうのよね。
顔立ちも映像に映えるし、体からエネルギッシュな力強さみたいなものを発散していて、
セクシーな魅力もあるし、彼の今後の映画界での活躍に、ちょい期待してしまうなぁ。
気になって、ヒューストンのこと検索エンジンで調べたけど、
本作に出た意外は、全く情報を見つけられなかった。多分、イギリス人なように思うんだけど。
フレイア役は、「アンダーワールド」で女吸血鬼に扮していたソフィア・マイルズ。
多分、「アンダーワールド」つながりで、マケイン監督から抜擢されたんじゃなかろうか。

そして、僕の好きなギレルモ・デル・トロ監督「ヘルボーイ」シリーズのヘルボーイこと
ロン・パールマンが、敵対する部族のリーダー役で登場してる。でも、メッチャもったいない使われ方。
別にパールマンでなくてもええんと違うって思ってしまったわさ。
せっかく出演してもらうなら、見せ場のひとつも作ってあげなきゃ。
監督は、あの個性的な顔が欲しかっただけなんかしら。
最初に書いたけど、風体でキャストを決めるんなら、バイキングの長にジョン・ハートは、やっぱり違うと思う。

しかし、ラスト、あんなんで凶悪生命体を死に追いやることができたんだろうか。
人間なら死んでしまうところだけど、曲がりなりにも、めっちゃ凶暴でどう猛で恐ろしく強靱な生命体なのに…。
やっぱ、脚本の詰めが甘いんと違う。

最後に、フレイヤがケイナンのことを
「彼は神の使いだ。でも、彼は神のもとへ戻らずここに残ることを選んだ」と語り、
監督は、物語を神話的エンディングで締めるつもりだったみたいだけど、
このセリフ、ちっとも心に響きませしぇーん、でおましたわ。

パラマウント 2010年8月6日リリース



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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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jirisさん、ありがとうございます

jirisさん、ジャック・ヒューストンの情報、ありがとうございます。
バリバリすごい血族の人だったんですね。
テレビ版「スパルタカス」にも出ていたんだ。確か、3時間ぐらいの長編ですよね。
一度、レンタル店で探してみます。
また、新しい情報があったら、教えてください。

ジャック・ヒューストンについて

はじめまして。 ブログに来てくださってありがとうございます♪
アウトランダーズのご批評で興味を持っておられたジャック・ヒューストン(27歳)について、ちょっと調べてみましたら、すげー血筋だったのでびっくり。
余計なお世話ですが、書かせていただきます。
父方の祖父は、あのジョン・ヒューストン監督。
母方の祖父は、第6代コルモンドレー侯爵だそうで、その祖先には、ロスチャイルド家の創始者アムシェルや、英国初代首相ロバート・ウォルポールがいるんだそーです。

本人は、2004年のテレビドラマ「スパルタカス」でフラヴィアス役、2009年の「Eastwick」でジェイミーという役をやっています。 2011年まで出演作が決まっているそうですから、これから活躍するんじゃないでしょうか。
突然来て、失礼しました。

No title

いつも楽しく観ております。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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