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「トレイター 大国の敵」(08年・アメリカ) テロリストの中の裏切り者はいったい誰じゃい?

トレイター 大国の敵

1994年から1998年にかけて、関西地方じゃ、
毎日放送で深夜に放映されていたアメリカTVドラマ「ピケット・フェンス ブロック捜査官メモ」。
ウィスコンシン州のローマという町で毎回起こる事件を地元保安官達が捜査するって話だけど、
起こる事件がいちいち奇妙というかシュール。
口のきけない美女が踊りながら銀行強盗をやらかしたり、牛の胎内で人間の子が成長していたり、
カエルのぬいぐるみを着た犯罪者、それにUFOなんかも絡んできて、起こる事件がなんか普通じゃないんだ。
起こる事件はへんてこりんだけど、
保安官一家や、一家を取り巻く若い保安官補、それに判事、市長、お調子者の弁護士など、
多数の登場人物が織りなす群像人間ドラマでもあるんよね。
なんていうか、ミステリー要素とホームドラマ要素をミックスし、
それに異常なシチュエーションをまぶしたような、ブラックユーモアを漂わせつつも、どこか心温まるというか、
一言では説明しにくいけど、不思議な面白さに満ちたTVドラマだった。
僕は、1・2話の「ブリキ男の変死体 前後編」で、このドラマにハマってしまい、
毎回欠かさず見ていたし、録画していた。
この前、やっと全3シーズン、ビデオからのDVD変換が終わり、久しぶりに見直しておりやんす。

このTVドラマで、職務に忠実だが、融通があまり利かない黒人の地区検事役で出ていたのが、ドン・チードル。
確かシーズン2からの出演だったと思うけど、
目立った役柄ではないけど、ドラマの中でしっかり存在感を示していて、
味のある俳優だなって思った記憶がある。
次に、彼を映画で見たのは、ポール・トーマス・アンダーソン監督作「ブギーナイツ」(97)。
カントリー&ウェスタン大好きのポルノ男優って、ちょい風変わりなキャラを、さらりと演じていたな。
その後、「ホテル・ルワンダ」(04)でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、
大作「アイアンマン2」に出るなど、なかなかの活躍だ。

前置きが長くなったけど、そんなチードルが、制作も兼ねて主演したのが、
このテロリスト映画「トレイター 大国の敵」。
トレイターってのは、辞書で調べたら裏切り者って意味。
最近は、洋画タイトルって英語ばかりで、時々、辞書で調べなきゃ、
何の意味か判らないことが多い。困ったもんだ。

幼い頃、テロで父を殺されたサミール。
成人後、中東イエメンに現れたサミールは、
テロ一味にプラスティック爆弾を売りつけようと交渉していた時、軍に急襲され一味と共に逮捕されてしまう。
投獄中、一味の一人オマールと親しくなり、テロ参加を誘われる。
そして、オマールの仲間の手引きで脱獄後、一味に加わり、爆弾製造を始めるサミール。
FBIのクレイトンは、兵士時代、特殊部隊に所属し、爆弾製造に詳しいサミールをマーク。
彼を追いつめ、一味撲滅を図るが…。

サミールは、本当にテロリストなのか?
一味に潜入した、政府機関の人間ではないのか?

この謎が、前半の大きな見所となるんだけどね。
そして、後半は、アメリカに入国したサミールやオマール達が進める爆破計画の行方。

世界各国のロケにより、制作費もそれなりにかかっていて、スケール感を出そうとしているし、
描写もソツがないと言えば、ないんだけど。
どうも、緊迫感がいまいち不足しているというか。
一本調子の演出で、ドラマに起伏が乏しいって印象なんですわ。
クライマックスの、果たしてアメリカの爆破テロは成功してしまうのか否かの、
刻々と迫る爆破までの時間経過も、なんか、ハラハラ感が弱いというか。

でも、テロというビビッドなテーマを扱ったストーリーは悪くないし、
クエイトンに「メメント」「ハートロッカー」のガイ・ピアース、
政府機関関係者に「消されたヘッドライト」のジェフ・ダニエルズと、キャストもそれなりに充実している。

監督・脚本は、「ディ・アフター・トゥモロー」の脚本に参加していたジェフリー・ナッチマンって人。
脚本の才はあっても、演出の才は、いまいちみたい。

だから、僕としちゃ、もっと面白く、かつ胸に迫る映画にできたのに、
もったいないなぁって思いましたわさ。

チードルって、誠実そうな顔立ちだけに、テロ犯役っていうミスマッチ?と思わせる役柄を
きっちり演じていて、演技力で演出の弱さをカバーしているな。
話が一段落した後の、ラストに見せる物憂げな表情もなかなか良いんだけどね。

その物憂げな表情に、重みを感じさせないのは、監督さん、アカンやないけ。

ガイ・ピアーズも、いまひとつ見せ場がないというのもなぁ。
サミールの周辺をうろちょろと走り回っているだけって感じだもん。
まだ、オマール役サイード・タグマウイのほうが、ピアーズより目立ってる。

この物語、監督が「ボーン・スプレマシー」のポール・グリーングラスなら、
緊張感バリバリ、めっちゃスリリングな作品になったかもしれない。
とにかく惜しい作品でありました。

気分直しに「ピケットフェンス」を見ようっと。

ところで、「ピケットフェンス」は、第1シーズンがアメリカでDVDリリースされているらしい。
日本のソフト会社のどこかで、リリースしてくれへんやろか。
ま、16年前の作品だし、日本じゃ知名度もないし、無理な話やろけど。

インターフィルム 2010年8月6日リリース



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森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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